チー山ズ田ソイ重郎

■キャラクター名:チー山ズ田ソイ重郎
■読み方:ちーやまずたそいじゅうろう
■性別:男性

特殊能力『お前もオニギリ食わないか?』

チー山ズ田ソイ重郎の居る場所で争いが発生した時、ソイ重郎がボタンを押して発動する。フードファイト番組の司会でおなじみのンラッシャー板前さんが駆けつけフードファイト勝負を提案する。ソイ重郎とンラッシャーさんが居てフードファイトしないなんて事、まずは無い。

設定

日本に帰化した元スーパーヘビー級ボクサーにして元総合格闘技選手にしてフードファイター。
スキンヘッドにボクサーパンツ、オープンフィンがーグローブという見た目で外を歩いても職質されないお茶の間のアイドルおじさん

にわかファンから帰化前の名前で呼ばれるのと、ディレクターの梅屋敷氏によるパワハラが最近の悩み。

ボクサーとしての戦績は平凡だったが、フードファイターとしては一流。
フードファイト番組で知り合ったンラッシャー板前さんと友情を築き、彼をいつでもよびだせるボタンを魔人能力として発現した。彼とンラッシャー板前さんが居る所、常にフードファイトの嵐が巻き起こる。

プロローグ

『自滅のソイヤ・見切り発車編』

「うむっ!お前らの財布は全部俺が引き受けよう!」

新幹線むげん、そのグリーン車内の平和は一人の男によって破られた。男の名は殺軀座(やくざ)、ヤクザな両親の間に生まれ立派なヤクザになる様に名付けられ、その期待に答えヤクザになっちまったヤクザの殺軀座である。なお、変換がめんどいので今後はやっくんと表記する。

何故やっくんはこの様な凶行に及んだのか?それは、先日後輩からいい儲け話を聞いたからである。広域催眠能力を持つ後輩が新幹線でのスリを成功したと聞かされたのだ。

やっくんは、自分も負けてられない、後輩が自由席で成功したなら俺はグリーン車でやってやる!と勢いだけで決定し、いざグリーン車に来たやっくんだったが、自分の魔人能力がスリに全く役に立たない事に今更気付き、ゴリ押しする事になったのだ。

そして、このゴリ押しは案外上手く行った。グリーン車に乗ってる人は金持ちばかり。金持ち喧嘩せず。強盗はどうせ捕まるだろうし、今逆らって怪我したり死んだら目も当てられない。そう判断した乗客達は次々と財布をやっくんに渡していく。

しかし、その流れに逆らう男が一人居た。

「金は無い。乗車券と大量オニギリ、それからこの呼び出しボタンが俺の手持ち全て」

やっくんはこの裸一貫無一文オニギリ座席一杯男を知っていた。会った事は無いが、昔見た格闘番組にチーズ・ソイというあんまり強くないデブボクサーがいた。間違いなく本人だ。

「その特徴的な見た目、お前は格闘家のチーズ・ソイか。こんな所で有名人と会えるとは、よもやよもやだ!」
「その名は捨てた。今の俺はチー山ズ田ソイ重郎。そんな事より素晴らしい提案をしよう。お前もオニギリ食わないか?」
「なにっ」

やっくんは驚愕した。ソイ重郎はスリ(強盗)である自分に全く怯えていない。それどころか、フードファイトしようと提案してきたのだ。

「オニギリはいいぞ。オニギリを食っていれば決して餓死しない。その上、具材を変えれば無限に飽きる事なく食い続けられる」
「断る!人はオシャレしてキャバクラで散財するからこそ美しい!俺はオニギリを食ったりしない!」

やっくんにはヤクザとしての意地があった。今回のスリという名の強盗は完全に見切り発車だったが、それはそれとしてヤクザがフードファイターの真似事など決して出来ない。

「ふむ、どうやらお前の意志は固い様だな。しかし、乗客の安全とお前の反省の為に、後、フードファイトは楽しいから絶対に受けてもらうぞ!はい、ポチッとな」

ソイ重郎が持っていた謎の赤いボタンをポチッと押すと、隣の車両から一人の男が入ってきた。

「さあ、この掛け軸の評価額は?ジャカシャン!」

ンラッシャー板前さんだ。フードファイト番組司会として超有名なンラッシャー板前さんだった。フードファイト番組の仕事以外何してるのか誰も知らない知られちゃいけないンラッシャー板前さんが期待を込めた目でやっくんの顔を覗き込んでくる。

「やーるのか、やーらへんのか、どっちやねん」

ソイ重郎が手拍子する。ンラッシャー板前さんの顔がやっくんに近づいていく。

「あ、そーれ、やーるのか、やーらへんのか、どっちやねん」
「うぐっ…」

ソイ重郎とンラッシャー板前さんはやっくんの前後に立ち、やっくんを挟んだ状態でチューチュートレインする。やっくんもつられてチューチュートレインするが、フードファイトの誘いには必死で耐える。

「やーるのか、やーらへんのか」
「わかった!やる!やるからンラッシャー板前さんを楽にしてやってくれ!」

ソイ重郎が画鋲付きバレーボールをトスし、ンラッシャー板前さんが顔面レシーブした所でやっくんの心が折れた。フードファイトの司会以外の芸をやるンラッシャー板前さんの姿に耐えられなかったのだ。

という訳でフードファイト開始。

「うまい!うまい!うまいっ!」

フードファイト開始後、最初は美味しそうにオニギリを食べるやっくんだったか、すぐにペースダウンしていく。

「フードファイトがこんなに苦しいとはな!別腹があったら入りたい!」

フードファイト素人のやっくんは十五個食べてギブアップ。この時点でソイ重郎は十六個食べ終わっていたので、勝利確定。まあ、プロとアマかタイマンしら普通こうなるよね。

その後、新幹線は駅に止まり、やって来た警察がやっくんを捕まえ事件解決。やっくんは一切抵抗しなかった。有名人とのフードファイトの喜びと食べ過ぎで動く気も起きなかったのだ。

こうしてヤケになったやっくんによる列車強盗は一人のフードファイターと司会者によって防がるたのだった。だか、忘れてはならない。ソイ重郎が大量オニギリと共にグリーン車に乗っていたのは強盗を迎え撃つ為などでは無かった事を。

「で、青菜の握り飯の食レポはどうしたのだ?」

事件の翌日、テレビ局で梅屋敷ディレクターに説教されてようやくソイ重郎は自分の仕事を思い出した。
そう、ソイ重郎は新幹線からの風景を見ながらオニギリを食レポする為に乗車していたのだ。

「ソイ重郎よ、貴様は私の命令を無視して何をしていたのだ?」
「し、しかし、私は逸材を見つけたのです!初めてのフードファイトで私と競り合いオニギリ十五個食べた男です!彼が罪を償ったらもう一度スカウトします!きっと梅屋敷Dの力にー」
「黙れ。頭を垂れて蹲え」

梅屋敷の命令に従い、すぐに土下座体勢になるソイ重郎。その後頭部を梅屋敷ディレクターが踏みつける。

「ソイ重郎、お前は私が選んだ面白外人の柱だ。お前には期待しているが、何をするかを決めるのは私だ」

それは違うと反論したかった。目の前で犯罪が起きているのに、番組用の動画撮影を優先しろと言うのかと反論したかった。だが、出来なかった。ただの芸人とディレクターには絶対的な力の差がある。梅屋敷の気分一つで簡単にソイ重郎の首は飛ぶ。ソイ重郎は歯ぎしりしながら梅屋敷の言葉に従うしかなかった。
最終更新:2021年02月18日 16:52