プロローグ(天台河原登志夫ヴィルヘルム)

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天台河原登志夫ヴィルヘルムプロローグ

『セレブリティ ~登志夫ヴィルヘルム様のハイソな旅立ち~』


 幼き日、客と向き合う人道的経営を説いてた父の工場が、上位企業間の敵対的買収の余波でなくなった。父自身も、ほどなくして失踪した。
 俺は金しか信じない。
 大会社を経営する天台河原の祖父は俺に手を差し伸べてくれたが、策を弄した役員に汚職の責任を被らされ失脚した。
 俺は金しか信じない。
 そして今、そんな役員たちの中で働ける待遇となった俺の周りにも、たかだか17の小僧に対して、とにかく汚い罠が溢れてる。
 俺は金しか信じない。

 俺は金しか信じない。

~1~

 朝もや煙る長野の山中に、ふくよかな芳香が舞う。
 ダッデリーノ・トマトと溶けた高純度バターの香りが見事に調和し、クツクツと米の炊かれる音が、鼻孔と同時に耳をくすぐる。いずれも産地直送の最高級素材を調理するのは、こちらも超一流のケータリング・シェフ。
 朝食である。
 三ツ星シェフの粋を凝らして仕上げられたモーニング・リゾットが差し出されたのは、その拓けた地点に腰かける一人の青年。

「フッフフフ、ご苦労。あとで特別ボーナスを振り込もう」

 かしずくのはシェフだけではない。青年の背後には、数名の黒い衣服の部下が控えている。いずれの部下も、そして青年自身も、まとっているのは最高級の登山ウェアだ。その機能性、デザイン性は他社の追随を許さない。
 特に青年のものは、ハイブランドによる特注品である。おそらくその靴下一足だけで、ゆうに上場企業役員の月収分は下るまい。
 服装だけにとどまらず、身だしなみも見事なものだ。
 バッチリセットの決まった髪。自然且つ美しいアッシュブロンドに染められている!
 さりげなく襟元に止めたプラチナアクセ。精緻な銀細工はフランスデザイナーの一点もの!
 腕時計はロレックスのゴールドベルト! どれもとにかく金が掛かっている!
 そんな青年の対面、折り畳み式テーブルの向かい(無論そのテーブル、そしてイスの骨組みは大理石製。しかも精緻を凝らした彫刻に、きらめくダイヤモンドがあしらわれている!)に座っているのは、彼とは対照に中流的……どちらかと言えば「冴えない」中年男性だった。くすんだグレーのマウンテンパーカーは裾が寄れ、靴も履き古し、頭髪も寂しい。

「どうしました? シェフ自慢の一品です。この黒のダイヤ……キロ20万はする最高級トリュフをたっぷり削って食べるのがおすすめですよ」
「は、はあ……へへ」

 用意された二人分のリゾットを挟み、青年が笑顔で言う。相手の男は緊張を隠しきれない。
 長野の山間で早朝より行われる、あまりにセレブな会食……キャンプとしても些か不似合いなこの光景は、いったい何事か。
 それは……商談! しかもおおよそ書類も取り交わされ既に結果も定まった、現場でのブレイクタイムであった!
 青年の名は天台河原(てんだいがわら)登志夫(としお)ヴィルヘルム。
 総資産100兆円を超える企業グループTENDAIホールディングス御曹司の一人であり、17歳にして役員待遇で経営にも関わっている稀代の高校生なのだ!

「あ、あのう……ところでその、書類まで出た所であれなんですがね、ヘヘ」
「はい? どうしました? ……もしや朝食のリゾットには金粉をかけるのがお好みで? それは失礼を! 今削りたての最高品質を用意しますので……」

 今回のプロジェクト要の商談がまとまり、上機嫌の登志夫ヴィルヘルム! しかしその相手、男は歯切れが悪い。これは!?

「い、いや違うんです。あのォ、よく考えたらこの山、2億で買って頂けましたが、もうちょっと価値があった気がしまして……ほら、秋はマツタケも採ったり採れなかったり……」
「……ああ。そうでしたか。では5千万上乗せしましょう。いや気が利かず申し訳ない。私は飲めませんが、酒は如何ですか? 朝からヘネシーやレミーマルタンを一杯なんて、中々できませんよ」
「えっ。ああいやその……」

 にこやかな登志夫ヴィルヘルムに対し、曖昧返事なこの男。そう、彼らが会食を行っている山地の地主なのである!

「どうしました?」
「えヘへ……まあぶっちゃけますか。正直ね、私、倍の4億でも足りないと思っとるんですわ」
「おや」
「あのね、小耳に挟んだんだけど、この山、ワタシの山にね、あるんでしょう? スーパーダンジョン? 何でも願いの叶うって噂の洞窟が」
「ほうほう。フフッ、さすがお耳が早い」
「そう! お兄さんもソレ目当てなんでしょ? だったらさあ、もっとそれ相応? のコレ出してくれないと」
「なるほど。ふむ、それでは」
「だから、ここはイッコ私の気が変わらないうちにまず5お」

 バシーン! 札束!!
 分厚い二百万の束で張り倒された男が、地面に転がる! 登志夫ヴィルヘルムの、汚物を見下ろすまなざし!

「ゴミが……維持費と税金ばかりが掛かり、利便性も薄くまさしくお荷物なこの山を、誰が買ってやると思っている! 俄かにこの地の価値が上昇した幸運は認めてやろう。だが貴様にそれを活かしきる器量があるのか? 昨日までその情報すら掴めなかった愚鈍の分際で! その3億を持ってとっとと失せろ!」
「ヒッ、ヒィィィ~~~ッ!!」

 慌てて遁走する男! 金しか信じない登志夫ヴィルヘルムは、既にその様子を見てもいない。彼の視線の先にあるのは、男の席の背後に開く漆黒の洞……長野県某所、通称SuperSpaceダンジョンの入り口である!
 そう、今まさにこのダンジョンは登記的には登志夫ヴィルヘルムの物となったのだ!
 何という悪魔的手口! 金の力でこの地もろともダンジョンを買い上げた登志夫ヴィルヘルムなら、所有権を主張して周囲一帯から探索者を締め出すことも可能だ!
 このままダンゲロスSSDungeonは終焉を迎えてしまうのか!? 危機!
 そんな時であった。洞……ダンジョンの入り口から、また一人の男が現れたのは。
 黒髪をウルフカットに整えた、端正な面持ちの青年であった。
 折野鐘汰(おれのかねた)
 登志夫ヴィルヘルムが土地の買い上げともう一つ、今この地へ赴いた理由である。
 折野鐘汰はフラフラと足を進め……登志夫ヴィルヘルムたちの前で膝を折った。黒服の部下たちがざわめく。登志夫ヴィルヘルムも、この様子に彼の『結果』を悟った。

「……何ということだ。兄さんすら敗れてしまうとは」
「ヴィル……すまない……!」

 鐘汰がうなだれる。
 兄!
 無論、血の繋がった本物の兄ではない。だが折野鐘汰は、幼き登志夫ヴィルヘルムが先代天台河原当主に見出され居を写した際、最初に出会い親身になって接した男!
 周囲の大人の打算もアリはしたのだろう、だが家族とて信用ならないTENDAIホールディングスにおいて、共に青春を過ごす鐘汰こそが登志夫ヴィルヘルムにとって一番の兄であり、親友であり、腹心となったのだ!
 鐘汰の戦闘力は、登志夫ヴィルヘルムもよく知っている。パンツに金を突っ込むことにより、様々な魔術的パンチを実現する魔人能力『汚れし黄金』。そしてストリート仕込みのボクシングファイトを操る精鋭。少なくとも、登志夫ヴィルヘルムの一派では最強の使い手である。
 登志夫ヴィルヘルムの願いを叶えるため単身潜行し、昨夜二戦目を突破――無論、登志夫ヴィルヘルム達は知らぬことだが――していたほどの男だ。
 そんな彼が敗退してしまうとは。これには、凱旋を祝うつもりであった登志夫ヴィルヘルムも動揺を隠せない。いや、臆してる場合ではない。ここはやはり己が直接攻略するしかないのだ。

「いや……よくやってくれたよ。今日はゆっくり休んでくれ。なぁに、こんな穴倉の一つや二つ、俺がマネーパワーで吹き飛ばしてやるさ」

 力こぶを作るポーズで、登志夫ヴィルヘルムがにっと笑う。だが鐘汰はフラフラとそんな彼の脇をすり抜けてしまった。

「お、おい兄さ――」

 こんな鐘汰は見たことがない。やはり気落ちしているのか。それともどこか負傷が? 一戦ごとに全て治療されるというが、念のため検査を――。
 登志夫ヴィルヘルムが振り返ろうとしたその時だった。
 突然、登志夫ヴィルヘルムの右肘が、抉れたように消失した。

「?! え――」

 遅れて吹き出す鮮血。自重に耐えきれず、地に落ちる右腕。

「すまない……すまないヴィル……」

 こちらを見る鐘汰の瞳は、かつての優しく頼れる兄のものではなくなっていた。

「イ……痛ダアアーッ!!」
「登志夫様!」
「ヴィルヘルム様!!」
「登志夫ヴィルヘルム様!!!」

 恐慌に陥る登志夫ヴィルヘルム! 色めきだつ部下!
 ジャケットを脱ぎ捨てる鐘汰! ズボンを下ろす鐘汰!
 そこに履かれたトランクスから覗くのは……おお、大量の紙幣!
 構えられるは左利きのヒットマンスタイル。体の前面に揺れる左拳の傍らに浮かぶのは……虚空より現れし超自然の鮫の顎!

「すまない……ヴィル……!!」

 耐えるような表情の鐘汰!
 洗脳とは考えにくい。ダンジョンで受けた変質は、フロア移動の際に復元されるからだ。何よりパンツから覗く紙幣、それは……ドル札! 明らかに探索の際、こちらで用意した予算の万札ではない!
 ダンジョン内で持ちかけられた、卑劣な籠絡作戦か!? 彼の心中には果たして……何が!?

「ク、ク、ク……」

 対する登志夫ヴィルヘルム。彼の口からは、絞り出すような含み笑いが漏れている。それは反逆の兄への嘲笑か、自らを虐する嘆きの発露か。

「ク、クク……まさか、まさか兄さんが俺を裏切るとはな」
「登志夫ヴィルヘルム様!」
「うろたえるな!!」

 登志夫ヴィルヘルムの一喝が飛んだ。
 立ち上がり、ゆっくりと左だけの拳を構える。
 しかし。

「お、お前達は、下がっていろ」
「! と、登志夫ヴィルヘルム様……」
「俺がなんとかする……うっ、ぐふっ」

 登志夫ヴィルヘルムの瞳から、涙がボロボロと流れていた。
 登志夫ヴィルヘルムは、金しか信じないと公言してはばからない男だ。だがそんな彼にとって、この涙はある種致し方のないものだったのかもしれない。

「ハハッ。そうか金だな? ククッ、金で俺を売ったか」

 ――くそ、どうなっているんだ。痛い、めちゃくちゃ痛い。どうして……。
 ――俺を誰だと思ってるんだ。登志夫ヴィルヘルムだぞ。なんで……。
 ――このウェアがいくらしたか知ってるのか。この一秒でお前の年収なんかカスみたいに飛び散る金を生み出せるんだぞこのド貧乏人が。
 ――え~っ税金それだけしか払ってないんですかァ~?
 ――……どういうことなんだよ兄さん。

「ンン~ならば俺は倍、いや三倍出そう。幾らがいい? 言い値で雇い直してやるぞ」

 涙と脂汗にまみれた顔で、登志夫ヴィルヘルムが言う。
 鐘汰の返事はない。

「……ユーモアだろ! 滑っただろうが! 俺に恥をかかせるなよ!」

 理不尽!

「………………」

 しかし鐘汰これも無視!
 そう、かつては軽口の絶えなかった二人の関係は、今や完全に失われてしまった。両者の間に殺気が奔る。見守る黒服たちも、じりじりと包囲の輪を広げていた。
 ……どの道、目の前の男はこのダンジョンの敗北者なのだ。己一人で制圧できなければ踏破など夢のまた夢。登志夫ヴィルヘルムも、黒服たちも。この場にいる誰もが、それを理解していた。
 苦難に立ち向かう。
 その意味での『戦い』は、これが初めてではない。だが他人任せではない、真にこのSuperSpaceダンジョンをめぐる登志夫ヴィルヘルムの『戦い』は、ここから始まるのだ。

~2~

 その激突は、時間にしてみればごく僅かなものだった。
 鐘汰のドル札が、パンツの内部へ引き込まれるように消えた。同時、構えをチェンジ。両拳が、ピストンさながらに激しく上下運動を始める。
 蛇のようにしなり、拳自体が無数に分裂してるかのごとく錯覚させられるスピード。
 更に、その拳たちが激しく発火し始めたではないか。
 ごう。風が吹いた。
 ごう。ごう。ごう。ごう。周囲の大地が抉れる。紅蓮の猛火が舞う。
 その拳は一息で万軍を薙ぎ払い、その炎は一撃で山野を滅却する。

 Bionics Command Mk-2.OROCHI-KNUCKLE + 炎掌「フレイムスロワー」!
 『汚れし黄金』ミックスパンチ“火焔太鼓”!!

 互いに相手の能力は判っているのだ。
 自らの体をテープとしてらせん状に展開する、登志夫ヴィルヘルムの魔人能力『TOSHIO☆SPIRAL PHENOMENON』。
 直接的な打撃ダメージは効果が薄い。ならば逃げ場のない制圧的炎で、まるごとに燃やし尽くす!
 瞬間、鐘汰の死角から跳んだ「何か」が、左拳の手首と上腕に絡みついた。
 これは……テープ! 否、登志夫ヴィルヘルムの右腕である!

「ぐっ!」

 不意を討たれた鐘汰、ほくそ笑む登志夫ヴィルヘルム。登志夫ヴィルヘルムの右腕は、先ほど同様肘から血を流し……いや、違う。
 血に紛れて、薄い薄い、帯状の肉が伸びているではないか!
 鮫の拳に食いちぎられ、自重で千切れたかに見えた腕は、あの時既に極薄のテープとして繋がれたまま、自然落下に擬態されていたのか!
 テープの粘着力と登志夫ヴィルヘルムの筋力が、鐘汰の左腕をがっちりと縛る。両拳から繰り出されんとした“火焔太鼓”の左側が、完全に止まった。
 己から見て右、業炎の安全地帯をかいくぐり、登志夫ヴィルヘルムが一気に距離を詰める。

 ――やるじゃないか、ヴィル!

 既に事態を把握した鐘汰の顔に笑みが浮かぶ。至近距離、二人の視線が交わった。
 あるいは、この瞬間だけは、共に笑い、共に悩み、共に戦った、かつてのいたずら小僧二人に戻っていたのかもしれない。
 さあここからどうする? 顔面か? ボディを狙うか? はたまたパンツか? パンツが脱げれば金を突っ込む先もなくなるものな。
 鐘汰の自由な右腕は、既に炎もなければ分裂もしていない。
 代わりに、頭上には先ほどの何倍もある、実体ある鮫の幻影!

 ――関係ない、その前に終わらせてやる! “シャーク=冥 土(MADE)”!!

 鐘汰が拳を打ち下ろす。防刃仕様のウェアすら容易く食いちぎった鮫の顎が、直撃のカウンターとなって襲いかかる!
 その時、登志夫ヴィルヘルムの頭部がテープのようにほぐれ、帯状に広がった。

 ――ッ!?

 XM84スタングレネード。ダイヤモンドがあしらわれた超限定ヴィンテージモデル。
 登志夫ヴィルヘルムの頭部からまろび出たその筒は、既にピンが抜けている。

「っ、頭――!」

 猛烈な閃光が周囲を埋め尽くす。
 閃光が収まるより早く。オリンピック金メダリスト超一流コーチ仕込みの背負い投げが、両眼の灼かれた鐘汰を地面に叩きつけた。


 ¥   ¥   ¥


「鐘汰様!」
「折野鐘汰様!」

 受け身も取れず地に倒れた鐘汰に、黒服たちが駆け寄る。その腕に運ばれているのは……担架!
 これは……かつての頼れる味方とは言え、今や薄汚い裏切り者を……看護しようというのか!?
 黒服の一人が登志夫ヴィルヘルムに耳打ちする。すると登志夫ヴィルヘルムは消耗した顏を途端に厭らしく顔をゆがませた。ニヤァ!
 ばさり。小切手が鐘汰へと放られる。

「いやァ~兄さん、お母様がご病気ですって? ちょっと“ケンカ“してる間に調べさせましたが、初耳だなァ~。いえボクは兄さんの事情なんて知りませんけどね? もしかしたら身内に? 何かそんなショッッッボイ理由でボクを裏切る? クソ貧乏野郎が? 存在するかもしれませんからね?」

 その顔、筆舌に尽くしがたい醜さ!

「会社の派閥争いって怖いからなァ~! どこで誰が罠を張ってるか判らないよなァ~! あれェ~ところでオレの小切手どこ行ったかなあ~。常に懐に忍ばせてた筈なのになァ~家に忘れて来ちゃったのかなあ~悪用されたら嫌だなあ~~~!」
「……ヴィ」

 口を開きかけた鐘汰を、黒服たちが素早く搬送して行った。

「…………どうして言ってくれなかったんだよ」

 鐘汰に背を向けたままの登志夫ヴィルヘルム。その小声を、拾えた者は存在するだろうか。
 そんな彼の目の前には、ダンジョンへ通じる洞が口を開いている。
 黒服が手配した治癒能力の魔人も、まもなくやって来る筈だ。不測の費用だが想定のうち、万全の状態に繋がるだろう。体に隠し武器を仕込む手も、今回は上手く行った。悪くない結果と言える。
 実地での前哨戦は終わった。あとは挑戦への一歩を踏み出すだけだ。

~3~

 今、一人の青年がダンジョンへ足を踏み入れようとしている。
 その瞳には野望。その腕には金。

「ついにこの日が来た! 千載一遇のチャンスが!」

 登志夫ヴィルヘルムが黒服たちへ吼える。
 そう、登志夫ヴィルヘルムの大願を果たすため、俄かに降って湧いたのがこのダンジョンだ。この山地の買収も、いわば最後の下準備!

「俺の願いはこのダンジョンの全容と支配権だ! 俺が勝ち抜いた暁には、このダンジョンの全てを俺の物とする! そして……このダンジョンのステージを余すことなく生かした一大テーマパークとして、市民の皆に提供することを誓おう!」

 ゆえに探索者を締め出すなど、苦々しいが言語道断。後に『お客』になるかもしれない者たちにへの対応に、いま不要な落ち度があってはならない!

「行くぞ、この俺自らが踏破する! これよりTENDAI浄化プロジェクト第一シークェンスの仕上げへと移る!」

 金は力だ。力は力に集う。そして集った力はそれにより、また新たな力を生む!
 自分が指揮する金にあかせたプロデュースならば、大学を卒業するまでの数年の間で巨額の富という結果を出せるだろう。そしてその成果を手土産にTENDAIホールディングス取締役会へと乗り込む。
 金という美しい力の奔流で、巨大企業という腐ったモンスターの首を狩る。このダンジョンは、その最初の礎になってもらう!

 彼の名は天台河原登志夫ヴィルヘルム。
 彼は金しか信じない。



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