概要



本作における『格差』とは、プレイヤー間における(多くの場合)納得しがたいほどの不公平・不平等感のことであり、
その原因となっているシステムの問題点・盲点を指す。
本作に置ける格差問題はRMT問題と肩を並べるほど、クリエイター・プレイヤー双方の頭を悩ませる種であり、
この問題に如何に取り組むかが、今後ドラクエ10の寿命を左右すると言っても過言ではない。

ゲーム進行度格差


同程度のプレイ時間を費やしても、プレイの仕方や条件によって大きな不平等が産まれてしまう、
あるいはそう錯覚してしまう格差。とりわけVer 1.0サービス初期に多かった。

サービス初期は(当たり前ではあるが)同時期スタートしたプレイヤー層が最も多かった時期であり、
それゆえにプレイヤー間の連帯感やコミュニケーションも活発だった。にも関わらず『狩り場』や『穴場』の知識の有無や、
職業・種族などのアプローチの違いによって、驚くほど差が産まれてしまう。
最短で冥王ネルゲルを討伐したプレイヤーは8月15日前後だったが、その頃にはまだキーエンブレムにすら手が届かない層もザラにいた。
なまじ連帯感が強かっただけに、『おいてきぼり感』『落ちこぼれ感』を強く感じ、ここで挫折してしまったプレイヤーも少なくはない。

職業格差


これも初期バージョンにおいて顕著だった格差。ver1.0では武闘家のタイガークローが、ver1.1では魔法使いの魔力覚醒とパラディンが
他とは比較にならないほど突出して強く、逆に戦士や扇などは『運営に恨まれているのでは?』と錯覚させるほど弱かった。
一時期は職業が戦士だと言うだけでパーティー募集から阻害されるようなこともあり、不穏な空気の要因に。
ただ運営側もこの問題に関しては全力で対処しており、バージョンアップの度に行われる微細なパラメーター調整の多くは、この問題を解消するものである。
その甲斐もあって、ver1.5現在においては、この問題の大部分は、解消されていると言ってもいいだろう。

Ver1.5後期のコロシアムでこの問題が再燃し始めている。

武器・防具格差


一部の武器・防具が飛び抜けた性能を持つため他の装備が生産されにくいなどの問題が起きている。
また、両手武器・上下一体装備は装備枠が減るといったハンデを背負いながらもそれを補う性能があるかといえばノーとしか言えない状態のため
武器・職業の選択を狭め、そのまま職業、職人の格差へと直結している状態であった。
両手武器に関してはツメのみが防御を犠牲にした攻撃力を有しているのでトレードオフができているといえる。

2.1にて上下一対装備の廃止(全てからだ上に統合し、下(パラディンチェインも体上)を新たに装備可能とする)、不遇だった特技のダメージアップや消費MP軽減の措置が行われることとなった。

運営側も「全ての職業、呪文、武器が均等に使われる世界が望ましい」としているので、この問題は今後の課題となっている。


種族格差


種族間にある各ステータスの格差。
主にDQ10で最重要視されるHP、おもさがトップであり、火属性の攻撃をしてくる敵が多く火属性に耐性を持つオーガが優遇されているという言及がある。
バージョン初期の頃はさほど問題になっていなかったが職業格差が解消され始めたver1.4あたりから急に持ち上がった問題。

これを受けて2.1にて各種族の低いステータスを高い種族に近づける措置を行うことが発表された。

また1.5中期では真・災厄の王を倒すと種族毎にそれぞれの出身地限定のルーラストーンがもらえるが、
オーガ→しょっちゅう日替わり討伐クエストで近くのラギ雪原の依頼が出る
ウェディ→近くにガルゴルの狩場のメッカがある、仲間モンスターの懐かせに適したライノスキングもすぐ側にいる

と便利なのに対し、
ドワーフ→町から他の場所へ移動する際の移動距離が極端に長い、一見近そうなザグバン丘陵もガタラから行くのと大して変わらない
プクリポ→せいぜい中レベル帯の稼ぎに使えるりゅうき兵ぐらいしか見どころがない、賢者の隠れ家もピィピの宿屋と互角(+ポポリアの存在で完全に負ける)
エルフ→村周辺に強敵ゾーンが全くない、大ナスビナーラさえ倒せば来る必要性が見当たらない

等、種族毎に出身地の恩恵が大きく異なってしまう。

プレオープン中のコロシアムでも現在種族格差が問題になっており有用な耐性を持ってないエルフ・ドワーフ・人間お断りと呼びかける人もいる。
こちらは続くようであればコロシアムでの種族耐性無効という措置も検討すると回答があったが、どうなるか明言されていないので今後も続く可能性はある。

職人格差


主にver1.1において大きく取り上げられた格差。
特に、『稼ぎやすい裁縫職人と素材調達が容易な鍛冶職人の優遇と、逆に素材調達・稼ぎ共に不遇な木工職人と練金職人の冷遇』を感じたプレイヤーが
この時期とても多く、提案広場で激しい議論になることも多かった。これらは個々人の主観に依るところが大きいため、断定するのは危険であるとしても、
その声の大きさから後のバージョンにおいて修正が計られる。結果、木工に関しては現行では素材がかなり調達しやすくなっている。

パッシブ格差


バージョンが新しくなるに連れて大きくなっている格差問題。主にサポート仲間システムと絡めて取り沙汰にされる。
周知の通り本作ではパッシブスキルは非常に強力であり、例え同じレベルであっても、スキルの有無でその能力価値は体感2倍以上にも違ってしまう。

例をあげれば現行では最早、Lv50以上で『攻撃魔力400以下、あるいは魔力かくせいの無い魔法使い』『会心完全ガードの無いスティック僧侶』『HP+パッシブの貧困な全職業』などは
地雷扱いされることが多く、これらでサポート仲間に登録しても雇用される機会は初期と比べて著しく少なくなった。

もちろん雇う側からしてみれば、より強い仲間を雇いたくなるのは当たり前なのだが、
『長時間プレイしなくても楽しめるように』導入されたサポート仲間システムが、
逆に『雇用されるためには長時間プレイしなくてはならない』という、皮肉としか言えないジレンマを産み出してしまっている。

もっともこの格差に関して言えば、プレイ時間の浅いユーザーであってもパッシブの豊富な強力キャラを雇うことが容易になったため、一概にマイナス面ばかりとも言えない。

最近では職業の追加が遅くなっているため、あまりいわれていない。

経済格差


プレイヤー間の総資産(ゴールド)の格差で、サービス初期よりずっと続いている、ある意味本作最大の格差問題。
例え相応のプレイ時間を費やしたとしても、『狩り場』『穴場』『オイシイ金策』の知識があるかないかで、
その貧富の格差は、それこそ産業革命時代の貴族と平民ほどにも違ってしまう。
『RMT』『強ボスでのオーブ稼ぎ』『リュウイーソーとバサラーナ』『バザーの価格破壊』などは、全てこの問題に直結している。

ルサンチマンを感じるのは何も貧困層だけではなく、ver1.1初期においては、苦労して貯めた50万Gで一等地の住宅を購入したプレイヤーが、
(正統に稼いだGであるにも関わらず)他プレイヤーから『不法住宅』『闇金ハウス』などと心ない揶揄を飛ばされるという、心を痛ませるような問題も発生している。

住宅地格差


ハウジングによる住宅の場所を巡っての格差問題。
実装初期の頃は施設が密集しているオルフェアのトゥーン地区、バザーの中心地であるグレン(オーグリード大陸)の草原地区など利便性の良い土地が次々と売れて行き、逆にガタラなどは全く売れず、後続は渋々人気がなくて売れ残った土地を買っていった。
つい最近までは特にグレン住宅村で空き地の椅子取り合戦が激しく行われていた。

その後、土地がない問題に関しては10000丁目まで増加した事で概ね改善されたが、今度はモーモンバザーに加え、
栽培やモンスターの家など、人の多い土地に有利で、過疎地では不利なコンテンツが増え、格差が広がってきている。
特にVer2.0で追加されたモンスターの家で入手するハッピーハートは取引不可なので、過疎地にいるプレイヤーは圧倒的に不利である。

提案広場ではゴーストハウス(引退したプレイヤーの住居)の強制的な撤去や、住宅格差の大きな原因となっている大陸別バザーの統合の要望が出ているが、これらは一概にデメリットともメリットとも言い切れないので賛否両論となっている。

カジノ賭博格差


カジノによってコインが当たらない人とそうでない人との格差。
今までのドラゴンクエストではリセットが使えたり、その気になれば巨万の財力でコインをなんとか調達できたのだが、近作はオンラインゲームなのでリセット法も使えないし、金で買えるコインの枚数も1000枚が上限である。

カジノを楽しまなくてはお目当ての景品がもらえないというシステムなのだが、景品にはルーラストーンや魔物の書といったアイテムが含まれているので、やらなくてならないという雰囲気となっている。
そのため運が味方してくれず金をどぶに捨てることになったプレイヤーたちの間で「金でコインを買えるようにしてくれ」「カジノをあたりやすくしてくれ」と不満が大きい。

しかしカジノはあくまでギャンブル。アクセ合成やコインボスと同じようなものであり、勝ち続きになりやすいようにしてしまったらギャンブルという要素が崩壊してしまう。商品はあくまで目標に過ぎず、負けるか勝つかの運を楽しむゲームがカジノだということを忘れずに。

どうしてもゲームで勝てなければ、【清掃員】になってコインを拾いまくることも考えた方がいい。時間こそかかるが100%負けることはないし、地道に稼いでいる為堅実感・健全感・達成感も大きいかも知れない。意外とやっている人は多いので恥じる必要もない。

仮に金でコインを買えることになってしまったら、景品の香水を使った一般ユーザーへの参加費搾取が横行し、金持ちだけが得をするようになる【カネトルティア】になってしまうのは誰にも予想できる。

総論


格差問題を考えるに当たって一番難しいのは、これらの問題は、その殆どが『努力すればするほど報われる』システム設計の裏返しであり、
その負の産物であるにしかすぎないからだ。つまりメリット(やりがい・達成感)とデメリット(格差)は表裏一体であり、
格差の解消は達成感の喪失にもつながってしまうため、運営側もうかつには対処できないのであろう。

ただ、これらの問題がカジュアルユーザーを遠ざけている面も大きく、今後さらなる対策が期待される。
最終更新:2014年02月26日 19:59