在来生物界ヒューマノイド類亜人目大盾属。
俺は薄暗い地下牢の石畳に座り込み、天井から吊り下げられた錆びた鎖の音を聞きながら俯いている。
俺は、一ヶ月前に、この地下牢に閉じ込められた。何の為に?何故?誰が?分からない。ただ、毎日、同じ時間に、食事と水が運ばれてくるだけだ。そして、同じ時間に、遠くから、その「踊り」が聞こえてくる。
「何が楽しいんだよ……」
俺は、頭を抱えた。その「踊り」は、俺の精神を、少しずつ蝕んでいく。それは、単なる踊りではない。それは、何か、別の、不気味な、不吉な、何かだ。
その「踊り」は、体長1mほどの、小人共によって行われている。彼らは、俺が座らされている場所の周りを囲う様に踊っている。彼らの体は、暗闇に紛れてよく見えないが、彼らが持っている盾は、鈍く光っている。
その盾には、不気味な顔が彫られている。それは、彼らが信仰する武神の顔だ。その顔は、彼らよりも大きな動物を威嚇するのに効果を発揮する程、恐ろしい。彼等は、その盾を構え、その陰から、銅の短剣を振り回して、戦う。その盾は、どんな鋭い爪や剣の一撃をも防ぐ逸品だが、普通の人間には扱えないといわれている。
彼らは、その盾を鳴らしながら、奇妙な歌を歌い、踊っている。その歌は、言葉ではなく、ただの、呻き声の様な、叫び声の様な、不気味な音だ。
「おい、いい加減にしろ!何が楽しいんだよ!」
俺は叫んだ。この台詞はもう何回目だろうか。しかし、彼等は、俺の声が聞こえていないかのように、踊り続けている。彼等の踊りは、次第に激しくなり、俺の精神を、さらに、蝕んでいく。
俺は、もう、限界だ。俺は、この地下牢から、抜け出したい。この「踊り」から、逃げ出したい。
俺は、壁に体を打ち付けた。しかし、壁は頑丈で、びくともしない。鎖を引っ張った。しかし、鎖は外れない。
俺は、床に座り込み、泣いた。もう、どうすればいいのか、わからない。
「おい、いい加減にしろ……」
俺は、最後の一言を呟き、目を閉じた。そして、俺は、彼等のステップの音を、ただ、聞き続けた。
最終更新:2026年05月16日 07:13