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スカイドラゴン

在来生物界竜類ドラゴン目飛竜属。

1989年4月30日 天:雷鳴

この歳になって腰を浮かすのは骨が折れるが、今日は格別な「出会い」があった。

例の、麓の村で「天空を往く生ける伝説」と噂されていた、あの黄色くて長い髭の東洋龍についてだ。奴らときたら、生涯を一度も土に触れることなく、大空のゆりかごで過ごすという。まさに風そのもののような生き物よ。

今日、村の若造たちが「魔王討伐の修行だ」と息巻いて登っていった、あの切り立った古塔の頂上付近まで薬草を摘みに行っておった。するとどうだ、雲を割って現れたのは、山脈ほどもある長い、しなやかな体躯。

鱗の一枚一枚が煌めいていて、長い髭がそよ風に遊んでいる。恐ろしい威圧感を覚悟したが、奴が発した第一声は拍子抜けするものだったな。

「ニーハオ。いい景色じゃな、若人よ」

……なんとまあ、気の抜けた挨拶だろうか。

塔のテラスで剣を構えて固まっていた勇者志望の若者たちも、これには拍子抜けした顔をしていた。龍の奴は、彼らが持っていた干し肉の匂いにつられたのか、巨大な鼻先をひくつかせながら、悠然と空に浮かんでおる。

「一生を空で過ごすと退屈せぬか」と、俺が思わず問いかけると、龍は目を細めてこう笑った。

「退屈?まさか。雲の形も、風の味も、毎日違う。それに、たまにこうして塔の上で、面白い二本足に会えるからのう」

ひとしきり若者たちと盛り上がった後、奴は尾をひと振りして、また果てしない蒼穹へと消えていった。

一生を空で過ごす龍。
奴の目から見れば、みんなが必死に守っておるこの大地も、ほんの一時の宿り木に見えるのかもしれん。

今夜は刺身が旨くなりそうだ。

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3世代
最終更新:2026年05月16日 10:00