パノンは、地図を広げながら、何かを呟いていた。
「アリアハン……レーべ…………ありゃ~、はんたに困ったなぁ。こんな状況じゃ、どうしようもれーべ。
……なんかイマイチだなぁ」
……どうやら、新しいシャレを考えていたようだ。
こんな状況でも笑いを忘れようとしないのは、見上げた根性だが……
「洞窟探検はどーも苦痛だ、ナジミの塔ってなぁ、地味なとうころだ……う~ん」
もっと面白いネタがないか? パノンは、何かを探すように顔を上へと動かした。
「……あ」
今まで気がつかなかったが、すぐ近く。「一体コイツは何をやっているんだ」、と言わんばかりの表情をした女戦士と、視線がぶつかる。
どうやら、パノンの独り言を――おそらく、大分前から――聞いていたらしかった。
「………」
目が合ったことに気付いた女戦士は無表情に戻ると、踵を返し走っていった。
パノンは彼女の行動に、ショックを受けていた。
(――そんな、笑いを全く取れないなんて!)
一世を風靡したお笑い芸人パノンにとって、女戦士を笑わせられなかったことは屈辱に近かった。
気がついた時には、パノンは彼女を追って駆け出していた。
【パノン 所持品:鎖がま
第一行動方針:非好戦的、女戦士(
セリス)を笑わせてみせる】
【現在位置:西部山岳地帯、南の森との境界辺り】
【セリス 所持品:???
基本行動方針:非好戦的だが自衛はする】
【現在位置:西部山岳地帯、南の森】
最終更新:2011年07月18日 00:57