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妹の敵

セーラはふらふらと森の中を歩いている
死ぬ前にせめて朝日が見たいと思ったのだ、だが朝日を見てしまったが故に死の覚悟が揺らいでしまった
これからどうしようか?溜息交じりで海の方向を見つめるセーラだったが
横から迫る足音に振り帰る

そこには鬼気迫る表情で鉄球を振りまわす片腕の男がいた
男の手から鉄球が放たれる、だが片腕では狙いが取れないのか頭を一撃で砕くはずのそれは
セーラの足下にごとりと落ちる。
その光景を呆然と見ながら、これで死ねる・・・・・と心の中で思いながらセーラは気絶した。 

気絶したか・・・・まあいいこれで手間が省ける
フリオニールはゆっくりとセーラへと近づき鉄球をその頭に振り下ろそうとする
が、途中でその動きが止まる、何故なら彼の手を後ろから何者かが掴んでいたから
「フリオニール!!気でも違ったか!!」

レオンハルトはフリオニールの片腕を握ったまま、彼の身体を砂浜へと投げ飛ばした
フリオニールは何とか空中で体勢を整え、足から着地するとふてぶてしい仕草でレオンハルトに言い返す
「いや・・・・違っちゃいないさ、俺は正気だ、それにこういうルールなんだろ?」

「何故だ!!何故お前までもが殺戮に走った!!マリアが死んだのだぞ」
しかし、フリオニールは動じない、相変わらずまるでそれがどうしたと言わんばかりのふてぶてしい表情で
レオンハルトを睨んでいる
この反応・・・まさか・・・・・レオンハルトは悟ってしまった、誰が自分の妹を殺したのかということを

「貴様・・・・・・・」
レオンハルトは剣を抜くとフリオニールへと構える
「俺は・・・お前を真の友だと思っていた、虫のいい話だがそれは立場がいかに変わろうとも
決して変わらないと思っていた・・・・・だがそれは俺の思い違いだったようだ」

レオンハルトは何故、自分がフリオニールを求めていたのか、今はっきりとそれを自覚していた
(そうだ、俺はお前に死に場所を求めていたんだ・・・お前の手でこの汚れた命を断ち切ってもらいたかった)
だがそれは今となっては・・・・・・

「俺はお前を斬る!わが親友フリオニールは俺の心の中で既に死んだ、今のお前は妹の敵でしかない!」
宣言が終わると同時にレオンハルトはフリオニールめがけ真っ向から左手の剣を振り下ろした
フリオニールも苦し紛れにモーニングスターを振りまわして応戦するが
レオンハルトの剛剣は今の手負いのフリオニールでは到底受けられるものではない

しかし、片腕で振りまわすモーニングスターの不規則な動きがレオンハルトの予測を超えた軌道を描く
渇いた音とともに彼の剣は遥か背後の砂浜へと弾き落とされてしまった。

フリオニールが笑う、これで形勢逆転といった表情だ
景気良く鉄球を振りまわしながらレオンハルトへと迫る・・・だが・・・・・・

「素手なら勝てると思っているのか?舐めるな・・・・・」
大振りな鉄球のその隙をつき、一瞬で懐に入り込んだレオンハルトの拳打がフリオニールの胸に炸裂する
その拳はフリオニールの肋骨をすべてへし折っていた
のけぞるフリオニールの胴体にさらに追撃の膝蹴りが入る、内臓のいくつかが壊れた。

「これで終わりだ・・・あの世でマリアに詫びろ」
そしてレオンハルトの手刀がフリオニールの胸を貫く・・・・・はずだった
だが悲鳴を上げたのはレオンハルトの方だ、何故か彼は脚を押さえて苦しんでいる
フリオニールの手にはブレイズガンが握られていた、殴られ蹴られながらもこのチャンスを待っていたのだ

しかし片手で照準を合わせるしかなかったのと、あまりにも殴られ過ぎたせいで外してしまった・・・・・・
脚を撃たれてもなおレオンハルトはフリオニールの身体を掴もうと手を伸ばす
それを必死で払い除けるフリオニールだったがそのとき手から銃を落としてしまう。

もはや勝機は無い、今が逃げるチャンス
そう考えたフリオニールは踵を返して逃げ出す、背後にレオンハルトの叫び声を聞きながら。
手には最後に残された切り礼である、アルテマの呪文書、それだけをしっかり握り締めて

レオンハルトも体勢を立て直し後を追おうとするが
足に激痛が走る、浅傷ではあるが痛みがひどい
見ると痕が凍傷のようになっていた、このまま放置すれば歩けなくなるだろう
彼はひとまず追撃を中止して、薬草を探しに藪の中に入っていった。

【フリオニール(左腕喪失)
 所持品:アルテマの書(1回)
 第一行動方針:逃走
 基本行動方針:ゲームに乗る】
【現在位置:東部山脈北部】
【レオンハルト 所持品:暗黒騎士の兜 銅の剣 ライブラの魔道書
 第一行動方針:傷の治療
 最終行動方針:戦って生き残る?】
【現在位置:東部山脈北部】


ツヨイ・・・・カタ・・・・・・
セーラは陶然とした表情で騎士の姿を見つめていた
せめてお名前を、そう声に出そうとしたときにはもうすでに騎士の姿は彼女の視界から消えていた
ああ・・・・・・騎士様・・・・・
心の中でそれだけを唱えて彼女はひたすら森の中をさまよう
そう、彼女の心の中にレオンハルトは強く、深く焼きついてしまっていた
先程までの死への誘惑をすべて消し去るほどに。

はぁはぁと息を荒くしながら森の中を歩くセーラの背中に声を掛ける男がいる 
「お姫様、どうなさったのかな?」
振り向くとそこにいたのはお笑い芸人パノン
彼は結局セリスとははぐれてしまったらしい
「お姫様、こういうときだからこそ笑わないといけませんよ、さぁそんな顔をしないで」

パノンはこっけいな仕草でくるくるとセーラの周囲を踊ってみせる
しかしセーラには何も見えていないようだ
「あらら、お姫様お気に召しませんでしたか?」
パノンは楽しげな笑顔を見せてさらに道化を始めようとする、だが彼女が握っているものを見て絶句する
彼女の手には先程拾ったブレイズガンが握られていたのだ。

「ちょっと・・・冗談でしょう!ねぇ・・・やめてやめて・・・・・」
しかしセーラは相変わらず無表情なまま引き金を2回、3回と引く
パノンの命乞いの声が聞こえなくなるまで・・・・・・・
「申し訳ありません、もう1度あの騎士様にお会いできるまで私、死ぬわけには参りませんの」
 ですから私死ぬのはやめて戦う事にいたしましたわ」

こうしてお笑い芸人パノンは自分がどうして殺されないといけないのか
最後まで納得できないまま死んだ。


【セーラ 所持品:癒しの杖 ブレイズガン
 最終行動方針:レオンハルトを探す】
【現在位置:東部山脈北部】
※モーニングスター、なべのふたは放置

【パノン 死亡】
【残り 86人】


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最終更新:2011年07月18日 00:57
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