胸の血

リディアは混乱していた。
この世界に来る前…ゲームに強制参加させられる前までは、外界からの力が届くはずのない幻界で暮らしていたからである。
急に頭痛がしたかと思うと、目の前が真っ暗になりそしてこの世界にゲームの参加者として強制参加させられている…。
こんなことができるはずがない…なぜ幻界に力が? どうやった?? 考えれば考えるほどリディアが考えたくもない方へ向かってしまう。

…ゼロムス以上の力を持ったもの…。

(そんなわけがない…ゼロムス以上の力だなんて考えたくもない…)
だが、それを雄弁に物語るかのように、ゲームの説明が行われている時に何度も何度もMPが尽きるまで幻獣たちを呼び出そうとしていたが、誰一人と呼びかけに答えてくれることはなかったのである。
(帰りたい…こんな悪夢のようなできごとがあっていいはずがない…)
リディアは混乱しながらも、広間でちらりと見たかつての仲間たちを探すべく歩き始めた…。

ゲームに乗った人がいるなどと考えたくもなかったが、なるべく人目を避けるよう影が濃いほうへと足を向け歩いていく。
スタート地点の近くに見えた森に入り、しばらく歩いていたときだった。
突然茂みの向こうからぶつぶつと人の声が聞こえてきた。
(人がいる…)
声が聞こえたであろう方向に息を殺して近づいてゆく。
「あ~、何でこんなことになったのかしら…日ごろの行いのせいかな、はぁっ」
自分より年下か、同い年ぐらいの女の子が、地面に座りながら枝をぶんぶん振り回していた。

(彼女には…敵意はなさそうね…)
リディアは、しばらくのどうしようか迷っていたが、意を決して話しかけてみることにした。

「すみません! ちょっと聞きたいことがあるの」
「うわぁっっ」

枝を振り回していた女の子…アリーナは、不意に声をかけられたせいもあってか、かなりの驚きようを見せている。

「驚かせてしまったみたいでごめんなさい」
「心臓止まるかと思ったわ…」

「それで何、聞きたいことって? 敵意は感じられないし、聞いてあげてもいいわよ」
「その前に名前教えてくれないかな」
「あ、私はリディアといいます」
「私はアリーナよ。よろしくね」
「それで…人を探しているんですが…」
「もう、ほらこっちにきてよ。離れてしゃべるのも何か変じゃない?」
「それもそうですね」

アリーナの言葉にリディアは頷くと、アリーナの元に歩いていった。

「昔、ともに戦った仲間…名前は、セシル、カイン、ローザエッジっていうんだ…」
「あれ? どうしたのリディア…?」

リディアは、見てしまった。
アリーナの服のところどころに返り血のようなものがついているのを…。

【アリーナ 所持品:イオの書×4(テラからルート) リフレクトリングサラマンダーからルート) 行動方針:とりあえず人目を避け、休息】
【リディア(混乱気味) 所持品:フィアーの書×7
 第一行動方針:仲間を探す】
【現在位置:アリアハン城南の森中央】


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最終更新:2011年07月17日 22:07
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