アルスは、アリアハンの自宅、自分のベッドの上に横になり、必死で記憶の糸を手繰っていた。
バラモス討伐へ向かい、帰ってこなかった父親のこと、
仲間との出会い、船旅、ジパングの溶岩洞窟……そして、バラモスとの死闘……。
バラモスを倒し、アリアハンに凱旋したところまではハッキリしている。
それ以後の、たったひとつの確かな記憶は、
異界で、自分の愛用した武具や
アイテムを、様々な賢者達に託してきた、という事だけだった。
どんなアイテムだったかは、やはり思い出せない。
だが、この
小さなメダルは、その中のひとつだったような気がする。
それを何故、
ゾーマが所持していたのか。ゾーマとは何者なのか。
不思議なことだが、ゾーマのことを考えていると、
彼をこの手で葬らなければいけない、という使命感が沸々と沸いてくる。
首輪に触れてみた。冷たい感触が、アルスの指先に走る。
(……ゾーマに引導を渡すのは、僕だ)
その時、階下でドアの開く音がした。
アルスは、袋の中から『鋼の剣』を取り出し、ゆっくりと構えた。
【アルス 所持品:小さなメダル 鋼の剣
行動方針:基本的に自衛のみ】
【現在位置:アリアハンの自宅2階】
最終更新:2011年07月17日 20:58