序章4

エビルマージの説明の中、『生贄』達の恐怖や絶望、憎悪、諦観、そして警戒……。
そういった感情が、広間の空気を締め付ける。



そんな中、アルスはひとり、何とも言えない不思議な感覚に陥っていた。
始まりは、この異様な場所で目を覚ました時。
(僕は、この場所を知っている……?)
だが、どうしても思い出せない……。
ゾーマの姿を見た瞬間、同様の――しかし、更に強い感覚が、アルスの中を駆け巡った。
それでもやはり、何も思い出すことはできなかった。
必死で何かを思い出そうとするアルスの大魔王を見つめる視線が、大魔王のそれとぶつかる。
アルス以外、誰も気付かなかったが、
ゾーマの口元に一瞬、不気味な笑みが浮かんで、消えた。



「それでは、まずアルス!!こちらに来いッ!!」
突如自分の名前が呼ばれ、アルスはハッと我に返った。
渋々立ち上がり、旅の扉の間の入り口に立つ。
「これが『ふくろ』だ。この中に先程述べたアイテムが全て入っている。
 それでは、この扉を開き、旅の扉から――」
「待てい!アルスよ!」
エビルマージの言葉を遮り、ゾーマが突如口を開く。
「これはお前への餞別だ……受け取れ。
 大切にすることだな……わはははははっ!!」
ゾーマの手から放物線を描き放たれた物体を、アルスは片手で上手くキャッチした。



手を広げてみる。
それは、変わった紋章の上に『ROTO』と刻み込まれた、小さなメダルだった。


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最終更新:2011年07月18日 08:15
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