(早く決着がつけばよろしいのに・・・・・・)
セーラは森の中から扉を巡る攻防を眺めていた
あの集団の中に彼女の求める騎士の姿は無かった、
見るとセーラのドレスは泥まみれであちこち破れている
きっと森の中獣道を愛しい騎士様に会いたい一心でさまよっているうちに
それが結果的に近道となり、こうして彼女の思い人よりも早く扉にたどりつけたのだが
彼女にはその事は知る由も無い。
セーラの前方の藪の中から不意に人影が現れる
あれは・・・・・その後ろ姿には見覚えがある、ついさっき自分を殺そうとした男だ。
セーラはその男、
フリオニールの背中へと銃を構えようとするが、やめる。
彼女から見てフリオニールまでの距離は10メートルほど
普通に考えれば十分に命中させられる距離だ、しかも彼は瀕死のうえ呪文に集中しているようだ
しかしそれでもセーラには彼を倒せる自信がなかった。
自分はおそらくまともに戦えば他の誰よりも弱いだろう
相手を倒すためには自分の容姿と一国の姫である立場を最大限に利用し
懐に入るしかない、そう考えたセーラは自重したのだった。
不意に強烈な閃光が広場を包む、呪文が発動したのだ
人々は光の中、次々と扉に逃れる、まずは
竜騎士と巨漢がほぼ同時、それから赤マントが飛びこむ
それから少し遅れて銀髪の男とさらに金髪の少女が続く
そのとき銀髪の男の持つ剣が閃いたような気がしたが
そこからはセーラにも分からなかった。
全てが収まり、焦土と化けた広場へとセーラは足を進める
扉の傍らに焼け焦げた誰かの下半身が転がっていたのだが、セーラは気がつかなかった。
渦潮を上げる扉の中を見て、セーラは一瞬ためらう
(本当に大丈夫なのかしら?)
しかし、ここを通らなければ騎士様に会えない、そう思ったセーラは目を閉じて鼻を押さえ扉へと飛びこんだ。
最終更新:2011年07月10日 15:32