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挑戦

山脈の連なる歩くのも困難な場所を、テリーは無心に駆けていた。
麻痺した心は、幾重にも立ちはだかる障害物をものともせずに突き進ませる
何度も小さな岩につまづいて転びそうになったが、その度に小さな手を支えに踏みとどまった。
手は血が滲んで無数の傷を作っていたが、感覚も遠ざかっているのか痛みは感じていない。
大斜面を駆け下りると、目の前が開けてきた。
荒涼とした砂漠が寒空の下に広がっていた。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
休むことなく走り続けたので心臓が激しく高鳴っている。テリーはもう動けず立ち止まった。

「みんな嫌いだ。みんな、どいつもこいつもいやな奴だ」
自分は何も悪くないといった風にテリーは吐き捨てた。もう嫌な奴と一緒にいなくていいという気持ちが
一瞬の安心感を生み出した。
でも何故か堪えられずに涙があふれ出した。
どうして泣いてしまうのかわけもわからず、テリーは手で涙を拭った。


走っていた間はよかったが、こうして足を止めると寒気を覚える。
流れていた汗は、身体の熱を奪う冷たい雫となりテリーの体を震えさせた。

「あう…寒い」
かなり疲れていたので走って熱気を取り戻すことはできない。
だが立ち止まっているよりはマシかと思い、テリーはとぼとぼと歩き出した。
砂に足を取られ、山を下ったときよりも重みを感じる。
ほんの十歩ほど歩いたところで風が吹いた。


「ううう……」
普段なら軽いものだと気にも止めない風が、今はデュランの放つ凍て付く波動のように体にこたえた。
負けないように一歩一歩確かめて、テリーは大地を歩いていく。
楽しいことを考えていれば頑張れる、テリーは懐かしい不思議な世界に思いを巡らせた。
タイジュの国に帰ったら、わたぼうのふかふかな毛に飛びつくんだ……
マルタの国にもまた行きたいな。いつもあそこは夏みたいに暑いもんなあ。
牧場のみんな、いま何してるんだろうな……

砂漠地帯を越えた先はうっそうとした草木がまばらな平原だった。
更に先は草一本生えそうも無い地の果てのような荒野だ。
ゴオォォォッ 強烈な横風が吹き荒れた。
思わずテリーは身を固くしてうずくまった。耳をつんざく爆音のように聞こえる風の音。
テリーの表情が強張っていく。どこまでも続く冷淡な情景がテリーの心を変えていった。
……やっぱりあいつは許せない。
温かに溶け始めた心が再び凍りだす。同時に怒りを奥底から呼び戻した。
テリーが見た敵――ティナの最後の姿。左腕から流れる血の色、気を高ぶらせる紅蓮の赤。
あの光景はもはやティナの見せた優しさではなく、自分に対する挑戦だとしかテリーは捉えられなかった。

【テリー 所持品:なし
 第一行動方針:強くなりたい
 基本行動方針:謎の剣士の敵を取る】
【現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南にある平原】


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最終更新:2011年07月18日 07:53
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