ハーゴンの出した課題である術式の解読を行っている導師。
周囲には、この神殿にまだ残っていた知識の残骸である何冊かの書物が集められ、無造作に散らばっている。
拡がってページがめくれている状態の本。
それは、このロンダルギア地方の特性について書かれたものだった。
曰く。
この地方は、現実と幻覚との境界がひどく希薄な特性があり、それを利用した方術を行うのに適した一面がある。
とある精霊神ルビスに使える神官は、この地方のどこかにある祠をロトの血を引く者にのみ見える結界を張ってそれを守る礎の一つとし、その所在を隠しているらしい。
異界の神々を祭る西の神殿は、それら神々の加護の証を持つものでなければ己の中に抱く安らぎの地に永遠にを奪われる幻覚を見せられる。
もちろんこういった幻術を操るには、高位の魔力やそれに相当する能力、特殊な血脈などの要素が必要不可欠とされる。
その才覚に及ばない魔力は本来の効果を発揮することは難しいといわれ、知能の低いアンデッド程度をだますのが関の山だと思われる。
逆を言えば、力ある要素を取り揃えることが出来れば、幻を現実そのものとして具現化させることも可能であるだろう。
理想的な条件が――――意図的にせよ、偶発的にせよ――――重なれば、例えば…この世のすべてを破壊するとされる
呪われた剣と、隼のような素早さを兼ね備えた剣を、次元的な位相を虚構によってずらすことで、一本の剣として力を兼ね備えさせることも可能なことだろう。
そのページを一瞥した導師の脳裏に、先程のハーゴンの言葉が蘇る。
「これは単純に魔力の強さや知識のみを問う問題ではない、ぶっつけ本番で儀式を成功させるには、特別なセンスが必要」
きっと、ここに書かれている『力ある要素』っていうのも同じことなんだろうなぁ、と思う。
自分にそれだけの資質があるのだろうか?
いや、迷っている時間はない。
ジタンが条件に合う人物を見つけ出し、協力を取り付け、無事に戻ってこれるかどうかはわからないのだから。
導師は、再び術式の解読に頭を悩ませ始めた…。
【導師(MP減少) 所持品:
天罰の杖 首輪
第一行動方針:問題を解く
第二行動方針:ハーゴンの看病
最終行動方針:不明】
【現在位置:ハーゴンの自室】
最終更新:2011年07月13日 21:38