酸鼻

もう一度来た道を引き返す二人。先頭のバッツの目には、もうハーゴンの部屋の扉が見えている。
バッツはここを通る覚悟がもうできている。だが、
クーパー、来るな!」
ストップ、と言えばクーパーの足は止まっただろう。時空魔法を使ってでもバッツは止めたかったのだ。
ピエール!」
だがクーパーは駆け寄った。自分の目で確かめた、ピエールの死を。
「ピエール!!」
クーパーは騎士の体を揺さぶるが、返事をするはすがない。
「ピエール!!」
何度でもクーパーは叫ぶ。
こうなることは予想できただろうに、実際にピエールの死を目の当たりにしたクーパーは
思考が飛んで感情だけの生き物になってしまっていた。
もはや話し合うことなど、頭の片隅にもなかった。
ピエールの体に数百とも思える傷が刻み込まれていれば、そうなるのも無理はなかった。
「こんな酷い、酷い、なんでこんなことできるんだ!」
「おっさんを殺したお前たちが言えたことかよ!」
バッツは違うと言いたかったが、とても聞く耳を持っているとは思えなかった。
相手が魔物だから残酷とも言える殺し方ができたのかもしれないが、それにしても
酸鼻を極める光景だった。バッツは頭を激しく振って身悶えた。

「許せない、ピエールをこんな風にしてええ! お前なんか死んじゃえよっ!」
バッツがはっとなったときにはクーパーが走っていた。
「クーパー、危ない」
バッツがジタンの異変に気付いた。

「ふざけるな、そう簡単に死ねるか!」
ジタンの精神の高まりはそのまま目に見える形で具現化され、弾ける。全身から糸のように伸びる
青白い光は、だが急速に収縮し、次の瞬間には、光だけを纏う衣服も無い獣のジタンがそこに出現した。

「ストラサークル!」
盗賊の裏技。
「ファイブッ」
不可思議なリングが突然クーパーの足元に現れた。リングはいくつも連なりその体を包み込んだ。
ちょうど何枚ものフラフープを体に通したような形になって。
「よせーー、やめろ!」
「ミールツイスター!」
虹色光線が巨大な十字を切って、リングの力で浮かび上がったクーパーの体を貫いて爆発する。
伝説の英雄メルビンが得意としていた、グランドクロスという技に似ていた。

「……くそっ、こんな武器じゃパワーが引き出せない」
盗賊の裏技は全て武器依存である。どれだけの力を発揮できるかは、手に収めた武器によって変わる。
今のがマサムネかアルテマウェポンによるものだったなら、クーパーの体は跡形もなく消し飛んで
いたはずだ。

吹き飛んで壁に背中からぶつかったクーパーは、浜に打ち上げられた魚のように口をパクパク開けて
呻いている。
結局クーパーは死ななかった。仕込み杖ではたかが知れていた。

【バッツ@魔法剣士(アビリティ:白魔法)
 所持品:ブレイブブレイド グレネード五個 裁きの杖
 第一行動方針:ジタンたちと決着をつける
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬらパパスを捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【クーパー 所持品:天空の盾
 第一行動方針:ジタンたちと決着をつける
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【現在位置:ハーゴンの自室の前】

【ジタン(トランス中)
 所持品:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛、グレネード複数
     試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
 第一行動方針:クーパーを倒す
 第二行動方針:魔法使いを探す
 第三行動方針:エーコを探す
 最終行動方針:ゲームから脱出】
【現在位置:ハーゴンの自室の前】
※ハーゴンの部屋には導師が控えています、カイン気絶中


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最終更新:2011年07月16日 21:39
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