後悔

「クーパーッ!?」
「次は、お前だ!」
ジタンの刃がバッツを襲う。
早い!ギリギリ弾く事はできたものの、力もスピードも自分より段違いだ。
勝てない、ニ度三度打ち込まれて、バッツはそれを認めざるをえなかった。

こんな所でやられる?このまま、この男に殺されるのか?
バッツは思う。認めたくはなかったが、何か手を打たなくては現実になってしまう。
考えろ。考えろ。奴だって絶対じゃないんだ。

もしもジタンに漬け込む隙があるのなら、
それはジタンの能力が確実にバッツを勝っている事だった。
だが、油断はしないだろう。この狂人は、確実に殺すことのみを狙ってくる。

バッツは間合いを離すと魔法を唱え始めた。
ジタンは追い討ちをかけない。その代わりにジタンを覆う光がより一層力を増した。
さっきの技を使うつもりか。それはわかったが、バッツは魔法を止めない。

もしも、自分にこいつより勝るものがあるのなら――――

ジタンの放った光は容赦なく、自分を貫く。と、同時に魔法が完成する。
やられた、決定的な一撃をもらってしまった。吹き飛ばされながら、魔法を発動させる。
壁に叩きつけられる、胸から血飛沫が散った。立ち上がろうともがいてみるが、すぐに無理だとわかった。
顔だけ上げると、トランス状態から解放されたジタンがこちらに歩いてくる。
なるほど、あの状態は一定時間しか持たないらしい。それも連続発動は無理ということか。

「終わりだな。おっさんの仇を取らせてもらう」
「…俺は、殺していない、といっても、問答無用か」
「当り前だ!よくも騙してくれたな!」
「誤解、といっても聞くつもりはないんだな…エリアを誤解で殺めた俺は、誤解で殺されるわけだ」
ぴくり、と。ジタンの表情が揺れる。

バッツはジタンをじっと見つめる。そして吐き出すように言う。
「誤解が誤解を生んで、人が死んで。憎しみと悲しみが生まれて…それが消えることはない」
「………」
「延々と繰り返して。それを断ち切るにはどうすればいいんだ?」
はあ、バッツは溜息を付いた。視線を下に向けると、腹部から真っ赤な血が広がっているのが見える。
少し、眩暈がした。

ジタンは刃を振り上げた。
こいつの言葉を聞いてはいけない、聞けば、引きずられる。
自分は、いつも騙されて、それを非難して、騙したことに理由があることに気付いて、後悔した。
そして後悔するたびに、人が死んでいった気がする。
また――――同じことを?
そんなことが思い浮かんだから、ジタンは早くこいつを殺そうと思った。

思考を停止して、自分を守ろうとした。
それが、自分の命も停止させた。


「ギガディン!!」


クーパーは、全身を抱きしめながらバッツの元へ向かった。
息は荒いが、傷は塞がっている。バッツがあの時使ったのは、クーパーへのケアルガだった。
自分がジタンより勝っていること、それは一人ではないということだ。
クーパーは子供だが弱くない。むしろ強い。精神的にも、純粋な戦闘能力も。
ジタンは隙を見せない、ならば作ればいい。
憎しみに捕らわれた奴が自分を殺そうとする一瞬を作ればよかったのだ。

「結局、どちらが消えるまで続くんだろうな…殺すことでしか、憎しみは消えない」
消し炭になった「彼」を見る。強烈な電撃を受けた仕込み杖は、ボロボロに崩れている。
顔を上げると、部屋の奥から導師が出てくるのが見えた。


【バッツ@魔法剣士(アビリティ:白魔法)(重傷)
 所持品:ブレイブブレイド グレネード五個 裁きの杖
 第一行動方針:ジタンたちと決着をつける
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬらパパスを捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【クーパー(後遺症あり) 所持品:珊瑚の剣 天空の盾
 第一行動方針:ジタンたちと決着をつける
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【現在位置:ハーゴンの自室の前】

【導師(MP0)
 所持品:天罰の杖 首輪
 第一行動方針:バッツを殺す】
【現在位置:ハーゴンの自室の前】

【ジタン 死亡】
【残り 34人】


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最終更新:2011年07月17日 18:27
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