「おーい、あんまり先に行くなよー」
アーロンに肩を貸しながら、
バッツは前に向かって呼びかける。
わかってるー、と返事はあるが一行に速度が遅くなる様子はない。
しかし、それも無理はないだろう。この先にずっと捜し求めていた父がいる
可能性が高いのだから。
アーロンは、この島にターバンを被った、
クーパーと同じ青い髪の少女を連れた男がとり残されたと証言した。
容姿からも、おそらく
アニーを連れている事からも、父である可能性は高い。
それが自然とクーパーの足を速める。
こうして、クーパーはほとんど駆け足で先へと進んでいった。
その後を
リディアが続く。ほんの少しリディアは大変そうだったが、気遣えるほどクーパーは大人ではなかった。
すぐに、祠の側まで辿り着く。そこでクーパーたちを待ち受けていたのは…
「なに、これ」
祠周辺で嵐が巻き起こったような…実際正にその通りなのだが…有り様に、クーパーは息を飲む。
リディアは呆然と祠の方を見ていた。不思議な力で見えなくなっていたはずなのに、今はその祠の姿がはっきりと見える。
それはつまり、祠を覆っていた加護が消えてしまったと言う事で…
クーパーは溜まらず大声を上げた。
「お父さん、アニー!誰か、いないの!?」
雪原に響き、それに呼応するように祠の中から人影が現われる。
引き締まった長身、頭にはターバン、漆黒の瞳を持つ青年。
「お父さん!」
「クーパー…よく無事で!」
少年は雪を蹴って駆け抜ける。そして思いっきり青年の胸に飛び込む。
それを青年はしっかりと抱きとめて、そして力強く抱きしめる。
こうして、子供たちは父親に再会することが出来たのだった。
暫くして、バッツたちも到着した。
一目で、クーパーの側に立つ青年が彼の父だということがわかる。
それだけ、クーパーは青年を信頼しきっていた。
少し妬けるな。そんなことを考えていると、青年がこちらにやってくる。
「初めまして。
とんぬらと申します。クーパーとアニーがお世話になりました」
「バッツだ。その…別に礼を言う必要はないよ。俺のほうこそ二人には世話になった」
そう言うと、とんぬらは一つ肯き、アーロンを挟んでバッツの向こう側に回る。
「あなたも…あの時はありがとうございました」
「気にするな。お前は間違っていない」
アーロンはかすかに表情を緩めたようだ。とんぬらはアーロンの腕を自分の肩にかける。
アーロンをバッツととんぬらで支え、その後をクーパーとリディアが続く。
こうしてバッツ、クーパー、リディア、アーロンは祠に入った。
「クーパー!」
「アニー、良かった無事で!」
双子は手を取り合ってお互いの無事を喜び合う。
それを微笑ましそうに眺めてから、バッツは視線をもう一人の少女に向けた。
エーコ。神殿で命を取り合ったあの男を仲間だといっていた。信頼しているようだった。
だから、話さなくてはいけない。神殿での顛末を。
「エーコ…真夜中の放送は、聞いたか?」
「え? …ううん、目が醒めたら日の出だったから」
「そうか。なら…知らない、んだな?」
神妙なバッツの態度にエーコは思わず口を噤む。
歓声を上げていたクーパーたちも、バッツを見た。
そして、バッツはゆっくりと口を開き、神殿での出来事を語り始めたのだった。
――――全員、言葉がない。
クーパーが自分が仕出かした事にじっと床を見つめ、
そんなクーパーにアニーとリディアは何ともいえない視線を投げかける。
バッツはじっとエーコを見据え、エーコは…泣き出しそうな、今にも怒り出しそうな、
何をどうしたらよいのかわからない、そんな表情だった。
「そんなの、ないよ…
ジタンは、そんなのないよ」
「すまない」
「謝らないでよ! 誰も悪くないじゃない! ジタンだって…悪くない!」
怒りながらも、目から涙が溢れて落ちる。そしてそのまま、泣き出すエーコ。
そんなエーコを、ただ見守ることしか出来ないバッツ。
「それよりも、この人の治療を」
気まずい雰囲気を強引に打ち切ったのはとんぬらだった。
アーロンの額に手を当て、アニーにあるだけ毛布を持ってくるように指示する。
まるで何ごともなかったかのように振舞う父にクーパーは批難の視線を向けるが、
「顔を上げるんだ、クーパー。後悔するのも、自分を呪うのも好きにすればいい。
ただし、諦めるな。絶望するな。前を見て、今、何をすべきかを見るんだ」
アーロンを部屋の中央に横たえ、アニーが持ってきた毛布を掛ける。
「死ななくてもいい人が苦しんでいる、そんなときに黙って立っているのが正解なのか?」
バッツは大きく息を吐いた。
「そう…だ。まずはおっさんだ。薬を調合して、それからゆっくり話そう。それでいいか?」
「……私は、話すことなんて、ない」
涙声のエーコに、バッツは小さく肯く。そんなわけはないだろう、バッツに怨嗟を投げつけたくてたまらないはずだ。
なのに、小さなこの体は必死に我慢している。
準備するからしばらく待ってくれ、と言い残してバッツは部屋を出て行った。
【とんぬら 所持品:
さざなみの剣
第一行動方針:アーロンの治療を見守る
第二行動方針:島から出る方法を探す
第三行動方針:
パパスとの合流
第四行動方針:
アイラの呪いを解ける人を探す】
【アニー 所持品:
マインゴーシュ
基本行動方針:とんぬらについていく】
【エーコ&モーグリ 所持品:なし
第一行動方針:なし】
【アーロン 所持品:折れた鋼の剣
第一行動方針:体を癒す
第二行動方針:仲間を探す】
【バッツ@魔法剣士(アビリティ:白魔法)
所持品:
ブレイブブレイド グレネード五個 レナのペンダント
第一行動方針:アーロンの薬を調合する
第二行動方針:パパスを捜す
基本行動方針:クーパー達と共に行動する
最終行動方針:ゲームを抜け、
ゾーマを倒す】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし
第一行動方針:アーロンの治療を見守る
第二行動方針:仲間を捜す?】
【クーパー 所持品:
珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
第一行動方針:とんぬらについていく、儀式に参加する?
第二行動方針:パパスを捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【現在位置:祠の湖】
最終更新:2011年07月17日 19:01