「せぇい…りゃあっ!」
ごおっ、と爆風に近い剣風が空を薙ぐ。
冗談みたいな大きさの鉄塊が、敵を喰らおうと咆哮を上げる。それはまさに獣
鉄塊の形をした剣という獣を使役するは黒髪の青年。ソルジャー1st・
ザックスの名を持つ青年。
剣…
バスターソードは、敵に己と言う巨大な牙を叩きつけた。
どかん!と炸裂音がして、大剣は地面をえぐる。
そう。抉ったのは地面。地面は敵ではない。ならば敵は?
ザックスは小さく舌打ちをして身を翻した。今まで彼が立っていた場所に、鋭い刃が突き込まれる。
刃、
ガンブレードの刃。突き込んだのは額に傷痕を持った少年。
スコール=レオンハート。
スコールは突いた刃をすぐさま薙いだ。ザックスはそれをバスターソードで受け止め、受け流しながら左の肘でスコールの鳩尾を狙う。
「くたばれっ!」
叫ぶザックスの狙いは僅かに逸れ、へその辺りに大砲のような一撃が決まる。
スコールは数メートルほど吹っ飛ばされながらも、地面にしっかり足をついて体勢を立て直した。
その顔にはダメージなどまるで見えない。
お互いがお互いをじろりとにらみ合い、そして動きを止めた。
たったったったったったったったっ…
足音を大きく響かせながら、
リノアが走る。
大声を上げるのはさすがに止めておくが、それでも気が緩めば思わず探し人の名を叫んでしまいそうだ。
(スコール…)
彼は何処に行ってしまったのだろう?何をしに行ったのだろう?自分をおいて何処に行ってしまったのだろう?
ぞくぞく、と体が震え出すのをリノアは感じた。まさか、おいて行かれた?
おいて行かれたら、自分はどうすればいいのだろう?
「あっ…あああっ…ああっ?!」
ぽろぽろと涙があふれてくるのを、リノアは感じた。口から意味のない呻きが漏れる。
涙は、先ほど流れた跡を伝って流れ落ちていく。
しかし、涙の意味がまるで違う。
先ほどの涙は悲しみ。日常を認識してしまったが故に、それにもう戻れないことに気づいてしまった悲しみの涙。
今の涙は、恐怖。スコールがそばにいない、恐怖。
スコールは怖い。だが、スコールが居ないのはもっと怖い…。
ぎゃりぃっ!
耳障りな金属音が、リノアを思考の海から引っ張り上げた。
はっと息を呑み、足を止める。
非日常の音にたちまち頭が冷めていき、代わりにあの時の、このゲームの結末に気づいたときの冷静さに取って代わる。
耳障りな足音を押さえ、近くのジャンクに身を隠す。
こっそりと、リノアは音がしてきた方を覗き込む。
(あの時の…!)
リノアはスコールと激しく打ち合うザックスの姿を見つけ、ぞくりと背筋を震わせた。
(スコール…助けなきゃ…っ!)
リノアはザックから
妖精のロッドを取り出し、ぐっと握りしめた。
スコールもザックスも、まるでリノアに気づかず、にらみ合ったまま動かない。
【ザックス 所持品:バスターソード 「かいふく」マテリア
第一行動方針:スコールを倒す
第二行動方針:
クラウドの治療、
エアリスの捜索
基本行動方針:非好戦的、女性に優しく。】
【現在位置:五番街スラム】
【スコール 所持品:ガンブレード
真実のオーブ
第一行動方針:ザックスを殺す
第二行動方針:
パパスを殺す
最終行動方針:リノアを優勝者に】
【現在位置:五番街スラム】
【リノア 所持品:妖精のロッド
月の扇 ドロー:アルテマ×1
第一行動方針:スコールを助ける
基本行動方針:スコールに着いていく】
【現在位置:五番街スラム】
最終更新:2011年07月17日 17:35