スコールはずっと考えていた。
開始早々、恐怖に負けたこと。人を機械のように殺し続けたこと。
そうする事で
自分の弱さを隠そうとしたこと。そんな薄っぺらな自己防衛を力ずくで引き剥がされたこと。
どれもこれも、なんて無様。ただそれだけで絶望したくなる。蹲り、沈んでいたくなる。
そうすれば誰かが自分を殺してくれるだろう。死ぬ勇気もない自分に出来る唯一の救いである。
救いである、ハズだった。今は、
リノアがいる。
合わす口などないけれど、彼女を勝者にするために何かをすることは出来ると思う。
幸い、リノアと自分の関係を知るのはごくわずかだ。
それさえ始末してしまえば、自分への怨嗟が彼女に向くことはない。まずはそこからだ。
長い黒髪の戦士と、逞しい中年の戦士は無傷だ。格闘家の女は、手応えは鈍かったが即死させたと思う。金髪の男は、ひょっとしたら即死には至らないかもしれない。
何にしても、最低二人。そのいずれもかなりの使い手である事は身を持って知っている。
勝てるのか。己に問う。いや、問わない。考えてしまったら、何も出来なくなる。
幸い、二人の内の一人が自ら寄ってきた。同行人がいる様子はない。今が絶好の機会だ。
勝たなくてはいけない。勝って、殺さなくてはいけない。
ガンブレードを握り締める。ガンブレード……剣でも銃でもない。中途半端な存在。
自分に勇気を与えてくれる。
スコールは音もなく
ザックスが入っていった家の扉に向かう。
扉の影になるポジションをとり、息を殺してザックスが出るのを待つ。
そして、家の扉が開いた……瞬間!
「………!」
スコールはその場から飛び離れた。
刹那、扉が吹き飛ばされ、スコールがいた場所を巨大な剣が薙ぎ払う。
建物の出入り口は奇襲の常道、それをスコールがガーデンで習ったように、ザックスは神羅カンパニーで教わっていた。
失敗か……僅かに体勢を崩すスコール。
家から飛び出したザックスはスコールの姿を補足すると、一足で間合いを詰める。
ギィン!……一閃。
ギャン!……二閃。
三閃目は、刃を合わせることなく、回避された。ザックスは一旦間合いを取る。
「やれやれ、油断も隙もないヤロウだな。だが、それもここまでだ!」
ザックスは
バスターソードを構えて、吐き捨てるようにいう。
目の前にいるのは、黒づくめの殺人鬼。後ろには瀕死の友人。
状況は非常に芳しくない。それでもやるしかない。
この男は倒さなきゃいけないし、
クラウドを死なせるわけにはいかない。
どっちもやらなきゃいけないのが辛いところだが、1stソルジャーならばやれるはずだ。
スコールもガンブレードを構える。逃げ出す様子はない。
上等だ――――ザックスは上唇を舐めた。戦いの感触で、口の中が鉄臭くなった気がする。
「決着をつけようぜ、クソヤロウ!」
ザックスの咆哮と同時にスコールが襲い掛かる。
戦いの火蓋は切って落とされた。
【ザックス 所持品:バスターソード 「かいふく」マテリア
第一行動方針:スコールを倒す
第二行動方針:クラウドの治療、
エアリスの捜索
基本行動方針:非好戦的、女性に優しく。】
【クラウド(重傷)
所持品:折れた正宗
第一行動方針:?】
【現在位置:五番街スラム】
【スコール 所持品:ガンブレード
真実のオーブ
第一行動方針:ザックスを殺す
第二行動方針:
パパスを殺す
最終行動方針:リノアを優勝者に】
【現在位置:五番街スラム】
最終更新:2011年07月17日 16:10