ゾーマの言葉と共に、どこからともなく現れた
エビルマージが、
参加者達の前へ歩み出た。
「これから説明を始める。質問は後で受け付けてやるので、私語は慎むように。……あの女のようになりたくなければ、な」
魔道士の言葉に、一人の青年が拳を握り締めた。爪がくい込み、血が溢れ出す。
青年=
ヘンリーの顔には、怒りと憎悪がありありと浮かんでいた。
「後ろの通路から通じている部屋にある『
旅の扉』は、ある島へと繋がっている。
お前らにはそこで殺し合いをしてもらうわけだ。
もちろん、死亡者の人数や名前は、1日2回……日の出と日没の時刻に教えてやる。
それ以外にも、大事なことを告げる場合がある。聞き逃したりしないように、せいぜい気をつけることだ。
……おっと、そこの男。変な真似はするなよ?」
ヘンリーの様子に気付いたエビルマージは、嘲笑うかのように言葉を続けた。
「お前らの首を見てみろ。……銀色の首輪があるだろう」
その言葉に、全員がのど元に手を当て、戦慄した。
――一体、いつの間に?
たった今殺されたはずの女性の首に何も着いていないことから考えれば、
武器を破壊した際、同時に着けられたと考えるのが妥当かもしれない、が……
絶句する『参加者』たちを前に、エビルマージは覆面の下で邪笑した。
「許可なく戦場から逃げようとしたり、我等やゾーマ様に刃を向けようとすれば、首輪が爆発する。
また、24時間以内に誰も死ななかった場合も、爆発だ。
生きて帰りたければ、自分が最後の一人になるまで戦うしかない。
……言っておくが、無理に外そうとしても無駄だ。下手に外そうとすれば、それだけで爆発するようになっている。
最も、異世界のからくりにゾーマ様が直々に呪いをかけた品……元よりそう簡単に外せる代物ではない」
低く、冷たい笑い声が、広間で不気味に反響した。
ひとしきり笑い終えた後、エビルマージは説明を再会した。
「これから、順次名前を読み上げ、旅の扉の間へと案内する。
そこで『食料』と『地図』、『明かり』、そして『武器』の入った袋を渡そう。
……武器といっても、使えないモノが入っている場合もある。その場合は、自分の運の無さを恨むんだな。
武器を確認したら、旅の扉に入ってもらう。島についた時点で、ゲームスタートだ」