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ステータス(評価点数:Lv.1300)
特殊能力①『αクルーシス』(発動率:100%)
効果:遠距離通常攻撃
時間:一瞬 対象:隣接1マス敵全員 タイプ:瞬間型 スタイル:アクティブ 制約:なし 能力原理
自分中心半径十メートル内に十字架を召喚する
サイズはアスプルンドの十字架ぐらいまで、数は同時に十三本まで 特殊能力②『ミモザ・プディカ』(発動率:100%)
効果:行動封印(単体)
時間:1ターン 対象:同マス敵1人 タイプ:付与型 スタイル:パッシブカウンター カウンター条件:敵からの同マス通常攻撃を受ける カウンター対象:条件を満たした敵のみ 待受範囲:同マス 待受時間:4ターン 待受回数:1ターン1回 タイミング:先手 制約:なし 能力原理
触れた人にお辞儀をさせる
本来は自由自在に使える能力だが、普段使わないので集中や休憩が必要 必殺技『クリージュⅣ』 (消費MP:8)
効 果 :
必殺技原理
十字架を敵の頭上に4本連続で召喚する
キャラクター説明
魔人集団『律星列〈アスタリスト〉』上級構成体(第10等位/Binary 3rd)。
妃芽園学園の不穏な動向を掴んだ律星列代表の命により、高等部からの編入生として潜入調査を開始した。 すぐに周囲にとけ込んだ彼女は、兼部してみたり副委員長になったり街で遊び歩いたりと、完全に学園生活をエンジョイ中。 任務を忘れていないか他の仲間に心配されているが、一応自分の仕事はちゃんとやっているとのこと。
銀のくせっ毛はショートにまとめ、コバルトブルーの瞳を輝かせる。
カジュアルで動きやすい服装。ホットパンツから伸びるのは陸上部で鍛えられた美脚。 「永遠の十代」を自称しており趣味が少々古くさいものの、実年齢は見た目通りの十五歳。背伸びしたい年頃なんです。 いま一番好きな時間は、夕方、練習後にクールダウンをしながら宵の明星を見上げるとき。
十歳の頃に魔人として覚醒し、ほどなくして律星列に加入した。
それ以前の生い立ちは彼女の他に誰も知らない。 ひとり暮らし。 臨海学校は当然もの凄く楽しみにしている。 律星列〈アスタリスト〉
夜空に輝く星々に由のある能力を持つ魔人が集まった団体。
某S機関に比肩するともいわれており、年を追うごとに勢力を増している。 18名からなる上級構成体のうち、3名が連星〈バイナリィ〉と呼ばれる複合能力者。 エピソード
妃芽園学園の裏山は、星がよく見える。
つい最近までは生徒しか知らない穴場であった。
しかし山で一番見晴らしの良い広場にある日突然、高さ三メートルほどもある石造りの重厚な十字架が現れた。
そこに訪れた女生徒たちが写真をSNSにアップロードしたところ、たちどころに評判を呼び、カップルに人気のスポットとして広く有名になりつつある。
夕陽が沈み、空が橙から紫そして紺から黒へと階調を描く。
輝き始めた星空の下、恋人たちが十字架の傍で寄りそう。それを横目に、広場の脇の森に分け入ってしばらく進むと、現れるもうひとつの空間。
少し狭いけれど、木々の壁の上に見える空の美しさはまったくひけをとらない。
だが、もしも訪問者がいたならば、空より前に驚かされるものが目に入るだろう。
何十本もの十字架が、うず高く組み上げられていた。
不規則に幾何学的なオブジェクトは、見る人が見れば芸術だなんだと褒め称えるかもしれない。
けれども頂点に座る銀髪碧眼の少女、十星迦南に美を表現するつもりはさらさらなく。
ただ星を近くで見たい、それだけだった。
「きれー……」
思わず感嘆の声が漏れる。
友達と笑い、汗をかき、涙を流すのもいいけど、ひとりで星を眺めているのもいい。
宵の明星を見つけた。もうすぐ居場所を移す星。ひときわ光るそれが自分を導いてくれる気がして、迦南はそっと微笑んだ。
空とひとつになれる気がする……気がしたが、すぐに人恋しくなって、バッグから携帯を取り出すのだった。
「もしもしせんぱーい。カナンです」
「何だ」
「いやぁ、星が綺麗だなって」
「そうか。切るぞ」
「ままま待ってくださいよう! もー、まだ先輩の季節じゃないからごきげん斜めなんですか? わたしなんて年中ずっとあっちょっ」
電話口から聞こえる声は低く太いが、どこか若さも残されている。
声の主が容赦なく電話を切った。迦南はめげずにもう一度コール。
ちょっとしおらしくしよう、と努力してみるが、長持ちした試しはない。
「もしもしせんぱいごめんなさい……切らないで……」
「用件を言え」
「そうです用事あったんですわたし! えっとですね、今日泊めてくれません?」
「ダメだ」
「えー早っ。どうしてですか?? カナンはさみしいと死んじゃうんですよ」
「俺の寝る場所が無い。独りが嫌なら友達の家にでも行けばいいだろう」
「ダメですよこないだ行ったばっかりだもん。家出大好き不良少女に思われちゃう」
「実際そうじゃないか?」
「不良じゃないですー。それに、一般人に上手くまぎれろって言ったのは先輩たちです」
「俺は命令してないし俺の家に泊まる必要はない」
「まあ、そうですけど……」
「わかったら帰って早く寝ろ」
「はぁい……」
すげなくされてしまった。当然の流れだが。
調子に乗りすぎたか、と落ち込む迦南。
だが、彼女の情けない声が憐れを誘ったのだろうか。先輩の言葉は続く。
「……迦南」
「はい?」
「今晩は魚が食べたい」
「……えへへ」
「そんな気分だ」
「ありがとうございます先輩! 大好き!!」
「礼はいい」
「またまたー、照れちゃって! あ、明日から臨海学校なんで荷物取りにウチ寄ってくからちょっと遅くなりまーす」
「おい」
「マグロ買ってきますから! 失礼します!」
「お」
先輩はまだ何か言いたさげだったけれど、聞こえないふりをして電話を切った。
確認しておくが、二人は別に交際しているわけではない。
これは迦南の日常であり、先輩にとってはまだ非日常。
ひとり暮らしの彼女はよく寂しくなって、学校の友達の家とアスタリストの仲間の家を泊まり歩いている。
満面の笑みを惜しげもなく振りまきながら、十字架の塔から飛び降りる。
七メートル近くあったが怪我ひとつない。それが魔人。
銀色の髪が僅かに残る空の光を反射して、美しく輝く。
献立を刺身か炙りかアラ炊きかどうしようか考えながら、満天の星空の下、家路につく迦南であった。
[了]
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