he Last Song -I disappear lonelily- 中編
次の日から、私を含めた5人はバンドコンクールに向けて、猛烈に特訓した。
何日かたったある日だった。
部室に急に現れたのは綾瀬紗奈さんだった。
「へー。頑張ってるんだ。下手な癖に」
「な、何だと?」
れんが紗奈さんに近寄る。
「あ、君じゃなくて、雨宮さんの事」
「……じゃあ、バンドコンクールで私が勝ったらどうします?」
私は少し強気で紗奈さんに言った。
「…ッチ。さぁね。私が負ける筈無いんだから、どうもしないわ。フフフ」
紗奈さんはそう言うと、部室を出て行った。
「なんて嫌な奴なんだ。今の一年にはあんな奴が居るのか…」
「はとるさんの組にはいないんですか?」
「いない」
きっぱりと答えた。
「あんな奴には絶対に負けられないな。慈雨、れん、はとるさん、まっき…絶対に優勝するぞ!」
ヴァルたんが気合を入れる。
「言われなくても、俺はそのつもりさ」
まっきーは強気だった。
「俺も勝つつもりだけどな」
れんも強気だった。
「そうだね。僕たちは5人で1人。皆が勝つ気でいないとダメだね」
はとるさんもやる気満々。
私は…弱気…これじゃダメだ…私が頑張らないと…。
「私も!…その、絶対勝つ…つもり!」
「つもり?皆、つもりじゃダメだ!絶対だ!」
私たちは一致団結して、練習を始めた。
「ヒキ」
「は、はい。紗奈様」
「秋菜を殺せ。まっきの彼女らしいから…奴を消せばもうまっきは滅茶苦茶ね」
「む、無理ですよ…人を殺すなんて…」
「じゃあ、お前が死ぬ?」
「い、いや、殺します…」
ヒキは全速力でその場を去る。
「お前か…殺人犯は」
「誰?」
「天宮雨月」
俺は女を睨み付ける。
「…。知らないわ…まぁいいわ、何のようかしら?」
「てめーが人を殺したってんなら通報だ」
「どうかしら?先にあんたが死ぬんじゃない?」
そう言うと、紗奈は物凄い勢いで雨月を刺しに行った。
俺は何とか腕で受け止めたが、少し血が流れる。
「て、てめー…」
俺は、何とか女からナイフを奪おうとした。
でも、奪えなかった。運悪く、俺の腹に…ナイフが刺さったんだ…。
「フフフ」
女は笑いながら俺を踏み潰す。
「………グ」
俺は意識を失った。
「ねえ、救急車」
私は救急車がこの学校に来てることに気づいた。
皆が一斉に窓から外を見る。
誰かが運ばれている。
嫌な予感がした…。雨月たんじゃないかって…。
「ま、まさか…また殺人事件…か?」
「そろそろ、演劇部も終わるよな…俺、帰るわ」
まっきーはそう言い、部室を出た。
「どうしたんだろう?」
「心配になったんだろ…彼女か何かが…」
れんはボソッと呟く。
「俺たちも今日は帰ろう」
「そうだね。今日は帰ろう」
私たち4人は、片づけをして下駄箱に向かった。
はとるさんだけは、隣の2年の下駄箱に向かった。
「秋菜、帰るぞ」
「まっきぃ?どうしたの…?」
私は少し怯えながら、まっきぃに近づく」
「いいから。今日は帰るぞ」
「う、うん。今、片付けするから、待ってて…」
私は、直ぐに片づけをして、まっきぃの下に向かう。
まっきぃは外へ出ると、直ぐに私を抱き寄せて話さなかった。
嬉しい様で、怖かった…。何でだろう…、こんなまっきぃ始めて見た…。
「…じゃ、じゃあね。皆」
「慈雨は帰らないのか?」
「うん、友達待ってる」
私は咄嗟に嘘をついた。
「出来るだけ早く帰れよ?危険だから」
「うん。わかってる」
そう言って、私は雨月たんを捜し始めた。
でも、見つかんなかった…
既に時計は六時を指していた…。皆と別れたのは5時30分…。
「嫌…運ばれたのが雨月たんなんて……信じたくない!」
「雨宮さん」
「さ…紗奈…さん」
突然、私の前に紗奈さんが現れる。
「雨月って天宮雨月?」
「知ってるんですか…?」
「えぇ…さっき、私が刺したから」
紗奈さんは平然と言う。私は絶句した。
「う……そ……」
やっとの思いで、声を出した。
「…じゃあ、次は貴方を殺そうかしら…?」
紗奈さんはナイフを出して私に突きつけた。
「嫌…い…や…死にたくない…まだ…歌いたい…」
紗奈さんが私に向かってナイフを振り下ろした…瞬間
「慈雨―――!!!!」
私を呼ぶ声とともに誰かが紗奈さんを殴った。
「お、お兄ちゃん…?」
雨宮松雪。私の2つ上のお兄ちゃん。この学校の高3。
「ッチ…」
紗奈さんは急いでその場を去り、私は座り込む。
「大丈夫か…?怪我は?」
「大丈夫……それより、病院に…」
私は急いで立ち上がって、外へ出た。
「病院…?」
「雨月タンガ… サ サ レ タ ノ … サナニ サ サ レ タ ノ …」
「おい、慈雨!しっかりしろ…!」
私はそこで意識を失った。
次の日、私は布団から出なかった…。
「慈雨。お兄ちゃんは学校に行くから、それと病院のこと、先生に聞いておく」
そう言って、お兄ちゃんは学校へ行った。
「慈雨…来ないな…」
ヒキが呟く。
「……紗奈の奴、なんかしたんじゃ…」
「俺…秋菜ちゃんを殺さなきゃいけない…」
「慈雨の親友の…?」
「…うん」
「止めろよ!もう、あんな奴の言いなりになんかなってられるか!」
「…へー。じゃあ死ぬ?」
突然、俺たちの後ろに紗奈が現れる。
「…マジキチ…」
「あ゛?」
「……狂ってるよ…どうして、こんな事を…」
「…フフ。いい?バンドコンクールの日には絶対優勝するから、もう1人メンバーをつれて気なさい。今日中に…後、優勝できなかったら皆殺しだから」
そう言うと、紗奈はどこかへ消えてしまった。
「俺…ベース…だよな」
ヒキが怯えながら呟く。
「俺はドラム…」
邪神も怯えながら言う。
「後は、キーボード…」
「帝国病院…?」
「あぁ、天宮雨月くんが運ばれたのはね。奇跡的に意識はまだあったらしいから、助かる余地はあるらしいよ」
「ありがとうございます」
俺は、直ぐにメモって、教室に戻る。
「松雪さん」
教室の前で、はとるくんに話しかけられる。
「あ、はとるくん」
「慈雨さんが休んだって本当ですか…?」
「あ、あぁ…昨日色々会って…」
僕は松雪さんから全てを聞いた。
「その、雨月さんって人は…慈雨さんの彼氏だったんですか…」
「っぽいね。慈雨は多分隠していただろうけど…」
「ありがとうございました。慈雨さんにもお大事にと伝えておいてください」
僕はそれだけ言って、教室に戻った。
「今日は4人か…」
集まったのは、俺とはとるさんとれんとまっきだった。
「慈雨は休み…か」
「こんなんで、バンドコンクール優勝できるのかよ!」
れんが思いっきり壁を叩く。目からは涙が少し流れていた。
「勝つんだよ。…きっと、これは紗奈って子の作戦だろう…。全てを無茶苦茶にして、僕たちの演奏を台無しにする…という」
「確かに。俺は、そんな作戦に一々ビビらないけどな」
まっきは強気でベースの練習を始める。
「確かにな。敵の作戦に一々引っかかってるようじゃ、ダメだな。慈雨が居なくても練習するんだ。絶対に優勝する為に…」
俺も自分にそう言い聞かせ、ドラムの練習を始める。
「そうだね。コンクールまで後一ヶ月。精一杯努力しよう」
はとるさんもキーボードの練習を始める。
「……帰る…」
しかし、れんだけは練習せずに、部室を出て行ってしまった。
「彼には彼なりの悲しみがあるんだ。今はそっとしておいてあげよう」
はとるさんがそう言い、俺たちは3人で演奏を始める。
「…瞳舞秋菜ちゃんだよね?」
私が、トイレから出て、部室に戻ろうとしたとき、柳泉くんに話しかけられた。
「あ、柳泉くん。どうしたの?」
「君を…殺す…」
「え…?」
その瞬間、柳泉くんが私に向かって殴りかかってきて、私を押し倒した。
「い、いや…な、なに…?」
柳泉は何度も秋菜を殴り、気絶させる。
「はぁ…はぁ…クソ…」
柳泉は直ぐにその場から逃げようとするが、運悪く、れんに見つかる。
「おい。てめぇ…何してんだ…」
「……クソぉぉおおおお!!」
柳泉は物凄い勢いでれんに殴りかかる。
しかし、れんはそれを受け止め、殴り返す。
「グッ……クソ…」
柳泉はよろめく。
「何してんだ…?しかも、女の子相手に暴力…?ふざけんじゃねぇ」
「お、お前には関係ない…」
柳泉はそう言って、逃げ出す。
「………秋菜ちゃん…?おい!しっかりしろ!」
俺は、そいつを逃がし、今は倒れてる秋菜ちゃんを助けることにした。
「…気絶してるだけか…」
とりあえず、廊下だと寒いし、危ないので部室まで運ぶことにした。
部室の扉を開けた瞬間、3人は固まった。
そして、まっきがいきなり走ってきた。
「秋菜!!」
「…彼女…か?」
「てめぇ…秋菜に何をした!!!」
まっきは物凄い勢いで俺を殴る。
「俺じゃない…名前はわからんが、4組の奴だ…」
「……秋菜…。どうして…」
まっきは今までになく、弱気になって秋菜を抱きしめていた。
「恐らく、恐らくだけど、その四組の奴は綾瀬紗奈と関わりを持っているかもね」
「…確かに。秋菜ちゃんが、まっきの彼女と知っての犯行とも考えられるな…」
はとるさんとヴァルが考え込むように話す。
「それに、秋菜ちゃんは…慈雨の唯一の女友達だ…」
俺がそう言うと、皆は固まった。
「やっぱり、綾瀬紗奈が絡んでいるかもな…」
「俺、慈雨の家に行って来る…」
俺は直ぐに、部室を出て、走った。
慈雨の家は俺の家と割と近い。
俺は直ぐに、慈雨の家に着き、インターホンを押した。
「……れ…ん?」
「慈雨!」
「……入って…」
俺は、急いで中に入って慈雨の部屋に向かった。
「な、何があったんだ…」
「殺されそうになったの…紗奈さんに…」
「……アイツ……」
「でも、イツまでも逃げちゃダメだよね…明日は学校行く…」
「無理しなくていいから…。…それと…俺、慈雨のこと、好きだから…」
俺はそっと慈雨を抱きしめて、離さなかった。
「……ありが…とう…。でも…ごめんなさい…」
私はそう呟き、れんから離れた…。
「…遅いよね…もっと早く言っておくべきだった…」
「…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「いいよ、謝らなくて…でも、コンクールは絶対に…優勝しよう?」
「うん」
俺は慈雨と握手をし、慈雨の家から出た。
丁度、そこに松雪さんが帰ってきた。
「れんくん…。慈雨はどう?」
「あ…はい。慈雨は…明日は学校に行くって…」
俺は慌てて答えた。
「そっか。良かった。ありがとね、れんくん」
松雪さんはそれだけ言って、家へと入っていった。
「…もう、遅いんだよな…」
「うあああああああああああ!!!!」
倉庫で紗奈が暴れまわる。
その場に居るのは紗奈を入れて6人。
紗奈、ヒキ、邪神、アオツジ、まさぴー、モララー。
「なぜ…秋奈は死んでない…慈雨は死んでない…雨月は死んでない!!!!!」
ナイフを振り回し、まさぴーに思いっきり刺し、バラバラにする。
「……ウフフ。アハハハ!!!」
「…く、狂ってる…」
咄嗟に逃げ出したのはモララーだった。
しかし、紗奈はナイフを投げて、見事に背中に命中させた。
「…紗奈様…落ち着いてください…秋奈は必ず殺します…」
「殺さなくても、まっきの心は既にボロボロ。慈雨ももう終わり…作戦は成功では?」
「俺は、キーボードをやればいいんだよな…?よし、練習しよう」
アオツジがキーボードの練習を始める。
「ある程度できるならいい…後は奴らをボロボロにして、優勝するだけ…」
紗奈は赤く染まったナイフを床に落とし、倉庫の上を見上げた。
「帝国…病院…?」
「あぁ、雨月くんが運ばれたのはそこだよ」
「行く…行きたい…」
「わかった」
松雪は車を出し、慈雨を乗せて帝国病院へと走った。
「はとるさん…コンクール出られるでしょうか…」
「…今の状況じゃまずいよね…皆ボロボロだし」
まっきは未だに、秋菜を抱きしめたままだった。
「まっき。秋菜ちゃんは気絶してるだけだから…」
「何度も殴られてる…痣がある」
その時、秋菜が目を覚ました。
「……まっきぃ…?」
「秋菜!」
まっきぃは直ぐに私を起こしてくれた。
そして、力強く私を抱きしめた。
「く、苦しいよ…まっきぃ…」
私はそれでも嬉しかった。
「もう、お前を1人にはしないから…部活のときは1人にならないでくれよ…?」
「わかってる…もう、1人にならない…」
「じゃ、じゃあ。そろそろ帰るか…」
ヴァルが皆に声をかける。
「そうだね。後三週間のうちに演奏を完璧にして…コンクール優勝しないと…」
皆は片づけを始めて、私はまっきぃと一緒に帰った。
「あのさ…まっきぃ…だよね?私を助けてくれたの…」
「え、いや…その」
「ありがとう…好きだよ?まっきぃ」
そう言い、私はまっきぃの頬に口づけをした。
「ここが、雨月たんの病室…」
「じゃあ、俺は外で待ってるから」
私は一息ついてから、中に入った。
「う、雨月たん…?」
「慈雨」
雨月たんはいつもと変わらない様子だった。
「明日、手術だってさ…でも、命に別状は無いって」
「良かった…雨月たん…無事で…」
「退院は三週間後…バンドコンクールはギリギリいけると思う…」
雨月たんはいつもより弱気だった。
「はい…ポッキー」
「これ、この間俺が買ったやつ…」
「食べて…。美味しいよ」
雨月たんは私が差し出したポッキーを無言で受け取り、食べた。
次の日、私は普通に登校した。雨月たんの為にも、歌…練習しなきゃ…
私が上手く歌えないときも、雨月たんだけは側に居て励ましてくれた…
だから、私は…雨月たんの為に歌っているんだ…
「慈雨」
部室にはいつもの5人が揃った。
「慈雨さん、おかえり」
「やっと、全員か。これでまた演奏できるな」
それから、三週間…私は雨月たんのお見舞いもしながら、練習をした。
何事も無く、本番当日を迎えた…。そう、誰もが思っていた。
私たちはトップバッターだった。準備も万端だった。
『ブーブー』
誰かの携帯が鳴る。
「俺のだ」
鳴ったのはまっきーの携帯で、まっきーは直ぐに携帯を見る。
『助けて…』
まっきーは携帯を見ると、突然、形相を変え、舞台裏から飛び出していった。
「お、おい…!もう、本番5分前だぞ!」
助けてとメールを送ったのは綾瀬紗奈。
「フフ…秋菜ちゃん。まっきが助けに来るかな?」
「どうして、邪魔をするの…。私は死んでもいい…助けてなんて思ってない…慈雨たちの邪魔をしないで!!」
私は思いっきり叫んだ。
「クソアマ…殺してくれるわ!!」
その時、紗奈の腹に誰かの蹴りが入った。
「いい加減にしろ、クソ」
「き、貴様は…雨月…」
「まっきはここには来ない…。俺が舞台に戻しておいた。これで、お前の作戦も終わりだな」
俺は勝ち誇ったように笑う。
「ど、どうして私の邪魔をするぅう!!!」
「邪魔?邪魔してんのはお前だろ!!慈雨の歌を聴きたかったけど、先にお前を片付けないといけないみたいだな…」
俺は紗奈の握っているナイフを蹴りで飛ばす。
「!?」
紗奈は驚き、後ずさる。
「秋菜ちゃんだよね。逃げて、まっきの演奏でも聴いてあげな?」
「…は、はい。ありがとうございます…」
「これで、俺とお前だけだな。作戦は失敗。哀れだなぁ…」
「クソォォォ!!!ヒキ、邪神、ツジ!」
「……もう、やけくそだ!!死ね!!」
三人は暴走して、雨月を殺しにかかった。
でも、雨月は負けず、三人を死なない程度に倒した。
しかし、その隙に紗奈がナイフを拾い、雨月に向かって刺す…
だが、雨月はそれを受け止める…そして、引き抜き、紗奈に刺す。
「…そ…そん…な…」
紗奈はゆっくりと倒れる。
「終わった…な」
雨月はその場を離れ、会場に向かう。
その、少し前…
「…今日まで、色々なことがありました…でも、私たちはその難関を乗り越えて、ここまで来ました…聞いてください…ワールドイズマイン…」
世界で一番おひめさま
そういう扱い心得てよね
その一
いつもと違う髪型に気が付くこと
その二
ちゃんと靴まで見ること いいね?
その三
わたしの一言には三つの言葉で返事すること
わかったら右手がお留守なのを なんとかして!
別にわがままなんて言ってないんだから
キミに心から思って欲しいの かわいいって
世界で一番おひめさま
気が付いて ねえねえ
待たせるなんて論外よ
わたしを誰だと思ってるの?
もう何だか あまいものが食べたい!
いますぐによ
欠点?かわいいの間違いでしょ
文句は許しませんの
あのね?私の話ちゃんと聞いてる?ちょっとぉ…
あ、それとね?白いおうまさん 決まってるでしょ?
迎えに来て
わかったらかしずいて 手を取って「おひめさま」って
べつに わがままなんて言ってないんだから
でもね 少しくらい叱ってくれたっていいのよ?
世界でわたしだけのおうじさま
気が付いて ほらほら
おててが空いてます
無口で無愛想なおうじさま
もう どうして! 気が付いてよ早く
ぜったいキミはわかってない! わかってないわ…
いちごの乗ったショートケーキ
こだわりたまごのとろけるプリン
みんな みんな 我慢します…
わがままな子だと思わないで
わたしだってやればできるもん
あとで後悔するわよ
当然です!だってわたしは
世界で一番おひめさま
ちゃんと見ててよね どこかに行っちゃうよ?
ふいに抱きしめられた 急に そんな えっ?
「轢かれる 危ないよ」 そう言ってそっぽ向くキミ
…こっちのが危ないわよ
雨月が到着したのは、丁度1曲目が終わったときだった。
そして、他2曲を歌い、雨宮慈雨率いる「VOCALOID」の演奏は終わった。
「続いての出場者、綾瀬紗奈率いる「グダグ団」は試合放棄となり、不戦敗となりました」
そして、全組の演奏が終わり、優勝者の発表となった。
「優勝は――――雨宮慈雨率いる「VOCALOID」です!!!」
歓声が響き渡る。そっか、私…優勝したんだ。
「優勝おめでとう。慈雨」
「ありがとう。雨月たん…でも、こうして2人で帰るのも久しぶりだね…」
私は少し照れながら、雨月たんと腕を組んだ。
「そうだな。はい、これポッキー」
右手で私にポッキーを渡す。
その、ポッキーの箱には血がついていた。
「血…雨月たん。手、見せて」
雨月たんは黙って右手を出す。
人差し指から少し、血が流れていた。
私はそれを、そっと口で舐めて、ふき取ってあげた。
最終更新:2010年02月01日 16:19