炎に囲まれた少女がいた。炎は生き物のようにうごめき、少女を攻めたてる。
少女はその熱に浮かされ、時折飛んでくる火の子に身を焦がす。
元気が取り柄の少女がじっと体を丸めて助けが来るのを待っている。
やだ……熱……焦げちゃう……
炎によって火照っていた体は急速に熱を失い、涼やかな風が心地よい。
少女は体を大きく広げ解放されたことを噛み締めているが、表情は硬く少女の元気さが窺えない。
だが少女は気丈にふるまおうと無理して元気な声を出し、こう言う。
た、助けてくれてありがとう!