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[[●米国「対テロ戦争」09Ⅱ]] から #contents *110715 アフガン民間人犠牲最悪ペース 11年上半期1462人 [朝日]  アフガニスタンの政府当局者は14日、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)が南東部コスト州で夜襲を行った際に、民間人6人を殺害した、と語った。AP通信などが報じた。同州では市民ら約1千人が抗議デモを行った。  また、南部カンダハル州のモスクで同日、何者かが自爆し、内務省によると、5人が死亡、15人が負傷した。モスクでは12日に殺害されたカルザイ大統領の弟アフマド・ワリ・カルザイ氏の追悼式が行われており、同省は式を狙ったテロと見ている。  国連は14日、アフガンで今年上半期に戦闘などに巻き込まれて死亡した民間人が1462人に上り、2001年以降最悪だった昨年の同期に比べ15%増加したとの報告書を発表した。(カブール=五十嵐誠) *110502 ビンラディン容疑者を殺害 米大統領「最大の成果」 [朝日]  オバマ米大統領は1日夜(日本時間2日)、ホワイトハウスで演説し、2001年の米同時多発テロを首謀したとされる国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者を米軍などがパキスタン国内で殺害し、遺体を確保したと発表した。同容疑者の死亡によって、約10年に及ぶ米国のテロとの戦いは大きな節目を迎えた。  オバマ大統領は演説の冒頭で、ビンラディン容疑者が「数千人の無実の男女や子どもを殺害した責任を負う」とし、「米国の作戦によって死亡したと、米国民と世界に報告する」と語った。ビンラディン容疑者を拘束または殺害することが就任以来の最優先課題だったとし、「アルカイダ打倒の戦いの中で、最も大きな成果」と強調した。  米政府高官によると、米中央情報局(CIA)が昨夏、ビンラディン容疑者がパキスタンに潜伏しているとの情報を入手。その後、同国北部アボタバードの潜伏先を特定した。オバマ大統領は4月29日、身柄を確保するための作戦を許可した。  作戦は現地時間の2日未明に実施され、小規模の実行部隊がヘリコプターを使って潜伏先を襲撃。ビンラディン容疑者は銃撃戦の末に死亡し、遺体は米側が確保した。この際、同容疑者の側近2人や息子らも死亡した。  米メディアによると、実行部隊は米海軍特殊部隊(SEALS)とCIAの軍事部門。ビンラディン容疑者は襲撃に抵抗し、頭部に銃弾を受けた。米当局は身元の確認のため、遺体のDNA型鑑定を実施しているという。  一方、AP通信などによると、同容疑者の遺体はすでに水葬された。イスラム教の慣習で死後すみやかに埋葬すべきだとされることや、遺体の受け入れ国を探すのが困難なことが理由という。また、イスラム教の慣習に従って土葬すると、同容疑者の支持者らがその場所を「聖地」とみなしたり、遺体を奪還しようと攻撃を仕掛けたりする可能性も懸念したとみられる。  米政府高官は、ビンラディン容疑者の死亡について「アルカイダや関連武装勢力に壊滅的な打撃となる」と指摘。一方、指導者を失ったアルカイダ側が「米国を攻撃する努力を加速させかねない」とし、米政府が世界各地の大使館に「報復テロ」への警戒を呼びかけたことを明らかにした。  オバマ大統領も「我々は国内外で警戒心を保たねばならない」と述べたが、イスラム世界への配慮から「米国はイスラム世界と戦争しているわけではない」とも強調した。  オバマ政権は今年7月、アフガンに駐留する米軍約10万人の部分撤退を始める。アルカイダとの戦いで「最も偉大な勝利」(米政府高官)を受けて、約10年に及ぶ泥沼の戦いからの出口がようやく見え始めたとも言える。  ビンラディン容疑者は、1957年、サウジアラビアで建設業で財をなした富豪を父に生まれた。旧ソ連がアフガンに侵攻した79年以降にイスラム・ゲリラに参加。91年の湾岸戦争でサウジが米軍駐留を認めたことへの反発から反米闘争を始めた。(ワシントン=望月洋嗣) *101225 パキスタン 自爆テロの犠牲者、最悪更新 無差別化進む [朝日]  【イスラマバード=五十嵐誠】パキスタンで自爆攻撃による死者数が今年、過去最悪を更新した。地元紙ニューズが24日に報じた。一方で、自爆攻撃の件数自体は昨年より3割以上減っており、民間人を狙ったり、巻き込んだりする無差別テロ化が進んでいることがうかがえる。  同紙がパキスタン内務省のデータを基に報じたところによると、今年1月から今月23日までの間、自爆攻撃で犠牲になったのは1224人で昨年を7人上回った。このうち民間人は85%の1041人。宗派別では少数派のイスラム教シーア派信者が151人、アフマディーア教団信者などが103人だった。  件数は52件。昨年は80件だった。平均すると今年は1件の攻撃で23.5人が死亡した計算になる。 *101120 ウイルス、イラン核施設標的説に現実味 米社明らかに [朝日]  【ワシントン=勝田敏彦】産業制御システムを乗っ取るウイルス「スタクスネット」が、ウラン濃縮などに使われる遠心分離器を誤動作させるのに最適な設計になっていることがわかった。スタクスネットの感染は、イランに集中しており、同国内の核施設が標的との説が現実味を帯びることになる。  米セキュリティーソフト大手シマンテックの公式ブログで明らかにした。同社によると、スタクスネットは、非常に高い回転数モーターの回転数を制御するシステムを乗っ取って回転数を急に変動させ、誤動作させる設計になっていた。  この種の制御システムの用途は、核燃料や核兵器の製造のためのウラン濃縮装置などに限られる。また、スタクスネットは、フィンランドまたはイラン・テヘランに本社があるメーカー2社の製品だけに影響することもわかった。  スタクスネットの感染はイランなどに集中しており、プログラムにはイランへの警告とも受け取れる旧約聖書の登場人物を暗示する単語が書き込まれていることも判明。イランの核開発を恐れるイスラエルの関与を疑う見方があるが、19日付米紙ニューヨーク・タイムズによると、イスラエル当局者は最近、関与などについて尋ねられると、笑顔を見せているという。 *101023 イラク戦争、市民の死者は6万人超 機密暴露サイト公表 [朝日]  【ロンドン=伊東和貴】民間ウェブサイト「ウィキリークス」が22日、イラク戦争を巡る米軍などの機密文書約40万件を公表した。事前に情報提供を受けていた米英メディアは電子版で、市民の死者数は民間団体の集計より1万5千人多く、米軍がイラク当局による拷問を黙認していたと報じた。  ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジュ氏は23日、ロンドンで記者会見し、「民主国家は戦争を始める際に常にウソをつく。イラクでもそうだった。そのウソを暴いていく」と述べ、さらなる米軍の機密公開に踏み切る考えを示した。  公表されたのは2004~09年の文書39万1832件。この間のイラク戦争の死者は約10万9千人で、約6万6千人が民間人だとしている。イラク戦争の民間人死者数を数えているNGO「イラク・ボディー・カウント」は「これまでの記録より約1万5千人多い」と指摘した。  また、英ガーディアン紙の電子版は文書が「米軍がイラク警察と軍による何百件もの虐待、拷問、強姦(ごうかん)、殺人の報告を調査しなかった」ことを詳述していると説明。手足を縛られ、殴打やムチ打ち、電気ショックを受けるなどして6人の囚人が死亡した▽12人のイラク兵が囚人を通りに連れ出して射殺するビデオが米軍に渡されていた――などの事例を紹介した。  一方、やはり情報提供を受けていた米ニューヨーク・タイムズ紙は電子版で、米兵が拷問を止めようとした事例も紹介。「人命を危険にさらす文書は改訂するか公開を控えた」とし、米政権に配慮をみせた。このほか、仏ルモンド紙、独シュピーゲル誌も事前に情報提供を受けた。  ウィキリークスは7月にアフガニスタン戦争を巡る米軍などの機密情報を公表した際、個人名の公開が人命を危険にさらすと批判された。アサンジュ氏は23日の会見で今回は多数の個人名を削除したと説明し、「いかなる個人にも危害が及ぶことはないと確信している」と述べた。  また、ウィキリークスの報道担当は7月に続き、アフガン戦争を巡る米軍の機密文書約1万5千件を近く公表する方針も明らかにした。      ◇  〈ウィキリークス〉 各国の機密や企業の秘密情報を暴露する民間ウェブサイト。元ハッカーのジュリアン・アサンジュ氏が、欧米のジャーナリストや中国反体制活動家らと2006年に創設。7月にアフガン戦争を巡る米軍などの機密文書を公開した。資金の大半は寄付。事務所を構えず、数人の常勤者と約1200人とされるボランティアで運営する。 *101007 NATO軍のパキスタン兵攻撃は「過失」 司令官が謝罪 [朝日]  【ワシントン=望月洋嗣、イスラマバード=五十嵐誠】アフガニスタンに展開する北大西洋条約機構(NATO)軍がパキスタン兵を攻撃した事件で、NATOが主体の国際治安支援部隊(ISAF)のペトレイアス司令官(駐留米軍司令官)は6日、パキスタン軍や遺族に謝罪した。パキスタン政府は事件を受け、NATOの補給路の国境を封鎖。立ち往生した輸送車への襲撃が相次いでおり、関係国は収拾を急いでいる。  NATOは6日、この事件について、NATO側の過失だったとする暫定調査結果を発表した。調査結果によると、NATO軍のヘリは9月末にパキスタン領空に数回侵入。付近での交戦を警告するために発砲した国境警備のパキスタン兵を武装勢力と誤認し、攻撃した。2人が死亡、4人が負傷したという。ペトレイアス氏は「再発防止に向けてパキスタン軍と協力を続ける」としている。  一方、パキスタン政府による国境封鎖は6日で7日目となったが、輸送車への襲撃は依然続いている。6日にはパキスタン西部クエッタ近郊で、NATO軍への補給物資を積んだ輸送車が駐車中に武装集団に燃やされ、AP通信によると、25台が炎上、運転手1人が死亡した。  AFP通信によると、反政府武装勢力「パキスタン・タリバーン運動」(TTP)が犯行を認めた。アフガン駐留米軍は無人機を使ったパキスタンへの越境攻撃を強めており、TTPは「無人機による我々への攻撃激化に伴い、輸送車への襲撃も激しくなる」と語り、襲撃が越境攻撃への報復だと主張した。 *100907 イラク駐留米軍、テロに応戦 戦闘終了宣言、はや骨抜き [朝日]  【カイロ=平田篤央】イラクの首都バグダッドで5日に起きたテロ事件で、駐留米軍がイラク軍とともに応戦していたことが分かった。オバマ米大統領が8月末に、米軍の戦闘任務終了を宣言して1週間足らず。たやすくない現実を突きつけられた形だ。  テロがあったのはバグダッドのイラク軍師団本部。AP通信によると、自動小銃や手投げ弾で武装した男たち6人が急襲し、警備の兵士と銃撃戦となった。うち4人は死亡したが2人が敷地内に入り込むと、別の男が自動車で突っ込んで自爆。生き残った2人も弾薬が尽きると自爆したという。このテロでイラク軍兵士ら計12人が死亡した。  駐留米軍のブルーム報道官によると、イラク軍兵士の訓練のため師団本部にいた米兵が、イラク軍を支援して銃撃戦に参加。さらに、イラク側は米軍にヘリコプターの出動などを要請した。米兵の死傷者はいなかったという。  米軍は8月末で戦闘任務を終えたものの、5万人規模の部隊を残し、イラク軍の訓練や復興支援を担う文民の警護などにあたる。ただ、両国間の取り決めで、イラク側の要請があれば、武装勢力との戦闘に加わることも可能だ。  今回テロがあった師団本部は、8月17日にもアルカイダ系武装組織によると見られる自爆テロがあり、約60人が死亡した。同じ軍施設が再び攻撃されたことは、イラク軍の治安能力が自立には遠いことを示した。  オバマ大統領は、11月の中間選挙もにらんで、戦争に費やしてきた財源を経済対策に振り向ける姿勢を強調。来年末に米軍を完全撤退させる考えを改めて示した。しかし、今後も駐留部隊が戦闘に巻き込まれる事態が続けば、「戦闘終了は言葉だけ」との批判が高まり、撤退日程にも影響が出かねない。 *100806 アフガンのテロ74%増、イラクは25%減 米報告書 [朝日]  【ワシントン=村山祐介】米国務省は5日、2009年のテロ年次報告書を発表した。テロ攻撃の件数は、来年末に米軍完全撤退を控えるイラクが大幅に減った一方、大規模増派を強いられたアフガニスタンで急増、パキスタンでは大規模攻撃が目立つなど、米国が抱える「二つの戦争」の治安状況の落差が裏付けられた。  国家テロ対策センターの集計では、09年の世界全体のテロ攻撃数は前年比約6%減の1万999件で、3年連続で減った。イラクでは同約25%減の2458件で、06年の4割の水準だった。  一方、アフガニスタンは2126件で前年比約74%も急増。パキスタンは1915件と同約4%の微増だったが、犠牲者数は同約3割も増え、10人以上の犠牲者が出た大規模攻撃と自爆テロの件数で、それぞれイラクを上回った。  報告書は、パキスタンに潜伏する国際テロ組織アルカイダの中枢を「依然、米本土を狙う最も恐るべきテロ組織」と位置づけ、米国攻撃計画への活発な関与を指摘。米上空で昨年末に起きた旅客機爆破テロ未遂事件で犯行声明を出したイエメンの「アラビア半島のアルカイダ」や、ソマリア南部を支配するイスラム武装勢力「シャバブ」など関連組織の活動が活発化し、「より脅威は拡散している」と分析した。  テロ支援国家としては、昨年に続きイラン、シリア、キューバ、スーダンを指定した。08年に指定が解除された北朝鮮は、米国のテロ対策に「非協力的な国」との認定を例年通り更新。ベンジャミン同省テロ対策調整官は会見で、北朝鮮による中東への武器密輸疑惑などを「調査している」とし、事実と確認できれば再指定を検討する考えを示した。 *100528 「軍事より外交的解決を優先」 米、新安保戦略を発表 [朝日]  【ワシントン=望月洋嗣】米オバマ政権は27日、軍事、外交政策の指針となる文書、国家安全保障戦略を政権発足後初めて発表した。軍事力を安全保障上の礎石としつつも、国際協調主義と外交的関与による解決を優先する方針を明確にし、ブッシュ前政権の単独行動主義や先制攻撃論などと一線を画す姿勢を示した。  同戦略の本文は52ページ。オバマ大統領は前文で、米国が「広く影響力のある暴力のネットワークと、10年近く戦争状態にある」とし、国際テロ組織アルカイダとその関連組織が米国の敵だと位置づけた。さらに、米国は破綻(はたん)国家や敵対的な国家からの複数の脅威にさらされているとし、米国の軍事力の優越性を保つ意向を確認した。  また、「米国の強さと影響力の基盤を再生する戦略を追求すべきだ」とし、「経済成長と財政赤字削減」の戦略上の重要性を強調した。  核開発問題で国際社会と対立する北朝鮮やイランに対しては、対話を基軸とする米国の関与を受け入れるか、深い孤立を選ぶかの選択を迫った。両国が外交的解決の道を無視した場合は「米国は両国の孤立に向けた複数の手段を追求し、国際的な不拡散体制を順守させる」としている。  国際的な課題の解決に向けた原則として、多国間主義の重要性を強調。「国際機関の強化や集団的な行動の活性化」によって、過激主義の撲滅、核拡散の防止、安定した経済成長、気候変動などに取り組む。中国、インド、ロシアなどの新興国との協力を強める方針を示している。  以前からの同盟・友好国との関係を再強化する方針も示し、日本と韓国について「地域と世界の課題に対処するうえで指導力の重要性が増している」と言及。「21世紀の安全保障の課題に対処するため、両国との関係を近代化していく」とうたった。  テロ対策では、イスラム勢力全般を敵視するような政策を否定し、「我々はアルカイダとその関連組織との戦争にある」と強調。軍事的手段だけでなく、民生、米国の価値観、多国間協力などを総動員する「持続的かつ総合的な作戦」で撲滅を目指すとした。また、アルカイダの拠点があるとされるアフガニスタン、パキスタン、イエメン、ソマリアで、統治の改善や汚職対策、教育、保健分野の支援に取り組む方針を示した。  国家安全保障戦略は、政権ごとに議会への提出が義務づけられている。ブッシュ前政権は2002年と06年に発表。02年には大量破壊兵器を持つ敵への先制単独攻撃を辞さないとする「ブッシュ・ドクトリン」を提唱した。 *0218 イラク戦争に「英国式けじめ」 独立調査委、首相を喚問 1月29日のイラク戦争独立調査委員会で、ブレア前英首相(手前の後ろ姿)の証言を聞く委員たち=ロイター  【ロンドン=橋本聡】英国で、イラク戦争を検証する独立調査委員会の取り組みが続いている。参戦を決断したブレア前首相を1月末に喚問し、3月初めには、ブレア政権ナンバー2だったブラウン首相(当時財務相)も呼ぶ。総選挙を控えて政治的な思惑もからむが、世論を二分する問題に一つの区切りを与える、英国伝統の知恵でもある。  ブレア氏が喚問されたのは1月29日。6時間にわたって自分の決断の正しさを主張した。チルコット委員長が「兵士遺族も傍聴している。参戦に後悔はありませんか?」と問うと、ブレア氏は「サダム・フセイン(イラク大統領)を除去したことを後悔していない。彼は怪物で世界への脅威だった」と言い切った。  その翌週には開戦当時の女性閣僚ショート氏が証言。「大事な情報は私たちに伝えられず、ペテンにかけられた」とブレア氏の側近政治を真っ向から批判した。  米英が開戦の「大義」とした大量破壊兵器はイラクになく、調査委の焦点は、ブレア氏ら政権中枢が内閣や議会を「ミスリード(誤導)したか」に絞られている。  英国は昨夏まで軍部隊をイラクに駐留させ、179人が犠牲になった。イラク戦争はまだ過去のものではなく、テレビ中継される調査委の喚問を国民は注視する。調査委はネットのホームページでも喚問記録を公開している。  ブレア氏喚問後の英紙インディペンデントの世論調査によると「ブレア氏は戦犯として裁判にかけられるべきだ」に賛成が37%、反対57%。6割が「ブラウン首相にも共同責任がある」と答えた。  英国では5月にも総選挙がある見通しだ。ブラウン首相の喚問は、影響を避けるため総選挙後の予定だった。ところが1月、首相自身が「総選挙前に」と申し出た。野党から「喚問がこわいのか」とあげつらわれ、逃げ腰のレッテルを張られるのを嫌ったためだ。この問題に早く区切りをつけ、風向きを変えたいとの思惑もありそうだ。      ◇  英国の独立調査委員会方式の歴史は、20世紀初めにさかのぼる。英議会は強い調査権限を持つが、二大政党制のもとで手順などをめぐって対立が起き、暗礁に乗り上げてしまうことが多かった。  オックスフォード・ブルックス大のダイアナ・ウッドハウス教授(法学)は「政治的に中立で一般の人びとから尊敬される議会外の『賢人』に調査を委ねる方式が生まれた」という。  これまでに設置されたのは約80件。1982年のフォークランド紛争後にはサッチャー政権の責任が問われ、「政府に落ち度なし」との結論が出された。近年では、牛海綿状脳症(BSE)や北アイルランドの流血事件をめぐる調査もあった。  イラク戦争の調査委員は戦史研究家のオックスフォード大教授ら男性4人、女性1人。委員長のチルコット氏は元官僚。  調査は長期におよぶため、政府にとってはその間、論争を棚上げして時間稼ぎができるという面もある。調査がうわべだけのガス抜きに利用されている、との指摘もある。  しかしタイムズ紙のコラムニスト、ベン・マッキンタイア氏は「どんな結論であれ、そこに至る過程そのものに大切な意味がある」と言う。ウッドハウス教授も「調査委の結論に満足しない人もいるだろうが、国民的議論に終止符が打たれ、歴史のひとこまになっていく。イラク戦争調査が公開の場で歴史に刻まれていく意義は大きい」と話す。      ◇  〈英国のイラク戦争調査〉 イラク戦争や占領政策に疑問をもつ世論や野党の突き上げで、ブラウン首相が昨年7月、歴史学者や元外交官ら5人から成る独立調査委員会を設けた。政府の機密書類を精査し、11月から政治家、外交官、軍幹部、情報機関トップら約80人を喚問した。結論が出るのは早くても今年末。 *0113 「イラク戦争は国際法違反」オランダ政府調査委が報告 [朝日] 2010年1月13日21時51分  【ブリュッセル=井田香奈子】オランダ政府の独立調査委員会は12日、米、英の主導で03年3月に始まったイラク戦争が、国際法違反だったとする報告書を公表した。米英が攻撃の根拠とした国連決議について「さらなる決議なしに、個別の国々のイラクへの侵攻を認めるものではなかった」とし、攻撃を支持したオランダ政府も決議の解釈を誤っていたとしている。  オランダがイラク攻撃を支持した際、政府内でも適法性に疑問が出ていたことが議会などで問題になり、バルケネンデ首相が昨年、元最高裁長官を座長とする委員会に調査を委嘱していた。  報告書によると、オランダ政府は02年9月に攻撃支持の立場を決定したが、調査委は本来のオランダの政策や国内世論には沿っていなかったと判断。政府が、イラクの大量破壊兵器をめぐる情報機関の一部の情報に追従していたと指摘した。  米英のイラク攻撃をめぐる欧州各国の対応は分かれ、フランス、ドイツが強く批判した一方、オランダは「フセイン大統領が国連決議に従うことを拒否した」として米英への支持を表明していた。オランダは米英による攻撃後の03年から05年にかけて、イラクでの国連の治安維持活動に約1100人を派兵した。 *0108 米大統領がテロ対策改革表明 米機爆破未遂受け [CNN] ワシントン(CNN) オバマ米大統領は7日、米機爆破テロ未遂事件に関連した情報機関など政府側のミスについて説明し、事件を受けたテロ監視体制の改革を表明した。 大統領は、政権スタッフや政府機関、その要員が最高レベルで職責を果たしていなかったとしたうえで、最終的な責任は自分にあると明言。米政府がテロ未遂事件を防げなかった問題点として(1)情報機関がイエメンにある国際テロ組織アルカイダ系武装組織の対米攻撃計画を把握していたものの、積極的に取り組まず情報を優先的に扱わなかった(2)情報機関間で把握されていた情報が分析、統合されていなかった(3)こうした情報機関のミスで、事件の容疑者を航空機への搭乗拒否リストに載せられなかった──の3点を挙げた。 大統領はそのうえで、改革策として(1)具体的で優先度が高い脅威に関する手がかりを徹底追跡する責任者を任命する(2)情報機関の報告をより広範囲かつ速やかに配布する(3)ブレア米国家情報長官による現行の情報分析の全面的見直し(4)搭乗拒否リストを中心にテロ容疑者監視リストへの掲載基準を強化──の4点を指示したことを明らかにした。 ただし大統領は、今回の事件で使われたような爆発物を探知するため必要な技術を、国内外の空港が備えていないと指摘。米国土安全保障省に対し、各国と連携して旅客便の安全対策を改善し、空港保安検査の強化を図るよう指示したと述べた。大統領はまた、エネルギー省が保安検査の改善に向けた技術開発に取り組むと語った。
[[●米国「対テロ戦争」09Ⅱ]] から #contents *110910 「米国は強くなった」大統領、9・11テロ10年で演説 [朝日]  米同時多発テロから11日で10年になる。オバマ米大統領は10日、週末恒例のビデオ演説でこの10年を振り返り、「米国はより強くなり、国際テロ組織アルカイダは敗北への途上にある」と語った。一方でテロへの警戒を改めて強調した。  大統領は「我々はアルカイダにかつてない戦いを仕掛けた」とし、最高指導者のオサマ・ビンラディン容疑者を含む多くの幹部を殺害した成果を強調。一方で「彼らは攻撃を続けるだろう」と述べ、今後もテロ対策に万全を尽くす必要性を訴えた。  そのうえで、アルカイダとの戦いは続けつつも、イラクとアフガニスタンでの戦争は終結させていく考えを確認。戦争で疲弊した米社会を念頭に「今は母国で国づくりをする時だ」とした。また、「我々は自由や多様性といった価値に忠実な時に最も強く安全だ」と述べ、イスラム教徒らへの差別的な風潮を牽制(けんせい)した。 *110715 アフガン民間人犠牲最悪ペース 11年上半期1462人 [朝日]  アフガニスタンの政府当局者は14日、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)が南東部コスト州で夜襲を行った際に、民間人6人を殺害した、と語った。AP通信などが報じた。同州では市民ら約1千人が抗議デモを行った。  また、南部カンダハル州のモスクで同日、何者かが自爆し、内務省によると、5人が死亡、15人が負傷した。モスクでは12日に殺害されたカルザイ大統領の弟アフマド・ワリ・カルザイ氏の追悼式が行われており、同省は式を狙ったテロと見ている。  国連は14日、アフガンで今年上半期に戦闘などに巻き込まれて死亡した民間人が1462人に上り、2001年以降最悪だった昨年の同期に比べ15%増加したとの報告書を発表した。(カブール=五十嵐誠) *110502 ビンラディン容疑者を殺害 米大統領「最大の成果」 [朝日]  オバマ米大統領は1日夜(日本時間2日)、ホワイトハウスで演説し、2001年の米同時多発テロを首謀したとされる国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者を米軍などがパキスタン国内で殺害し、遺体を確保したと発表した。同容疑者の死亡によって、約10年に及ぶ米国のテロとの戦いは大きな節目を迎えた。  オバマ大統領は演説の冒頭で、ビンラディン容疑者が「数千人の無実の男女や子どもを殺害した責任を負う」とし、「米国の作戦によって死亡したと、米国民と世界に報告する」と語った。ビンラディン容疑者を拘束または殺害することが就任以来の最優先課題だったとし、「アルカイダ打倒の戦いの中で、最も大きな成果」と強調した。  米政府高官によると、米中央情報局(CIA)が昨夏、ビンラディン容疑者がパキスタンに潜伏しているとの情報を入手。その後、同国北部アボタバードの潜伏先を特定した。オバマ大統領は4月29日、身柄を確保するための作戦を許可した。  作戦は現地時間の2日未明に実施され、小規模の実行部隊がヘリコプターを使って潜伏先を襲撃。ビンラディン容疑者は銃撃戦の末に死亡し、遺体は米側が確保した。この際、同容疑者の側近2人や息子らも死亡した。  米メディアによると、実行部隊は米海軍特殊部隊(SEALS)とCIAの軍事部門。ビンラディン容疑者は襲撃に抵抗し、頭部に銃弾を受けた。米当局は身元の確認のため、遺体のDNA型鑑定を実施しているという。  一方、AP通信などによると、同容疑者の遺体はすでに水葬された。イスラム教の慣習で死後すみやかに埋葬すべきだとされることや、遺体の受け入れ国を探すのが困難なことが理由という。また、イスラム教の慣習に従って土葬すると、同容疑者の支持者らがその場所を「聖地」とみなしたり、遺体を奪還しようと攻撃を仕掛けたりする可能性も懸念したとみられる。  米政府高官は、ビンラディン容疑者の死亡について「アルカイダや関連武装勢力に壊滅的な打撃となる」と指摘。一方、指導者を失ったアルカイダ側が「米国を攻撃する努力を加速させかねない」とし、米政府が世界各地の大使館に「報復テロ」への警戒を呼びかけたことを明らかにした。  オバマ大統領も「我々は国内外で警戒心を保たねばならない」と述べたが、イスラム世界への配慮から「米国はイスラム世界と戦争しているわけではない」とも強調した。  オバマ政権は今年7月、アフガンに駐留する米軍約10万人の部分撤退を始める。アルカイダとの戦いで「最も偉大な勝利」(米政府高官)を受けて、約10年に及ぶ泥沼の戦いからの出口がようやく見え始めたとも言える。  ビンラディン容疑者は、1957年、サウジアラビアで建設業で財をなした富豪を父に生まれた。旧ソ連がアフガンに侵攻した79年以降にイスラム・ゲリラに参加。91年の湾岸戦争でサウジが米軍駐留を認めたことへの反発から反米闘争を始めた。(ワシントン=望月洋嗣) *101225 パキスタン 自爆テロの犠牲者、最悪更新 無差別化進む [朝日]  【イスラマバード=五十嵐誠】パキスタンで自爆攻撃による死者数が今年、過去最悪を更新した。地元紙ニューズが24日に報じた。一方で、自爆攻撃の件数自体は昨年より3割以上減っており、民間人を狙ったり、巻き込んだりする無差別テロ化が進んでいることがうかがえる。  同紙がパキスタン内務省のデータを基に報じたところによると、今年1月から今月23日までの間、自爆攻撃で犠牲になったのは1224人で昨年を7人上回った。このうち民間人は85%の1041人。宗派別では少数派のイスラム教シーア派信者が151人、アフマディーア教団信者などが103人だった。  件数は52件。昨年は80件だった。平均すると今年は1件の攻撃で23.5人が死亡した計算になる。 *101120 ウイルス、イラン核施設標的説に現実味 米社明らかに [朝日]  【ワシントン=勝田敏彦】産業制御システムを乗っ取るウイルス「スタクスネット」が、ウラン濃縮などに使われる遠心分離器を誤動作させるのに最適な設計になっていることがわかった。スタクスネットの感染は、イランに集中しており、同国内の核施設が標的との説が現実味を帯びることになる。  米セキュリティーソフト大手シマンテックの公式ブログで明らかにした。同社によると、スタクスネットは、非常に高い回転数モーターの回転数を制御するシステムを乗っ取って回転数を急に変動させ、誤動作させる設計になっていた。  この種の制御システムの用途は、核燃料や核兵器の製造のためのウラン濃縮装置などに限られる。また、スタクスネットは、フィンランドまたはイラン・テヘランに本社があるメーカー2社の製品だけに影響することもわかった。  スタクスネットの感染はイランなどに集中しており、プログラムにはイランへの警告とも受け取れる旧約聖書の登場人物を暗示する単語が書き込まれていることも判明。イランの核開発を恐れるイスラエルの関与を疑う見方があるが、19日付米紙ニューヨーク・タイムズによると、イスラエル当局者は最近、関与などについて尋ねられると、笑顔を見せているという。 *101023 イラク戦争、市民の死者は6万人超 機密暴露サイト公表 [朝日]  【ロンドン=伊東和貴】民間ウェブサイト「ウィキリークス」が22日、イラク戦争を巡る米軍などの機密文書約40万件を公表した。事前に情報提供を受けていた米英メディアは電子版で、市民の死者数は民間団体の集計より1万5千人多く、米軍がイラク当局による拷問を黙認していたと報じた。  ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジュ氏は23日、ロンドンで記者会見し、「民主国家は戦争を始める際に常にウソをつく。イラクでもそうだった。そのウソを暴いていく」と述べ、さらなる米軍の機密公開に踏み切る考えを示した。  公表されたのは2004~09年の文書39万1832件。この間のイラク戦争の死者は約10万9千人で、約6万6千人が民間人だとしている。イラク戦争の民間人死者数を数えているNGO「イラク・ボディー・カウント」は「これまでの記録より約1万5千人多い」と指摘した。  また、英ガーディアン紙の電子版は文書が「米軍がイラク警察と軍による何百件もの虐待、拷問、強姦(ごうかん)、殺人の報告を調査しなかった」ことを詳述していると説明。手足を縛られ、殴打やムチ打ち、電気ショックを受けるなどして6人の囚人が死亡した▽12人のイラク兵が囚人を通りに連れ出して射殺するビデオが米軍に渡されていた――などの事例を紹介した。  一方、やはり情報提供を受けていた米ニューヨーク・タイムズ紙は電子版で、米兵が拷問を止めようとした事例も紹介。「人命を危険にさらす文書は改訂するか公開を控えた」とし、米政権に配慮をみせた。このほか、仏ルモンド紙、独シュピーゲル誌も事前に情報提供を受けた。  ウィキリークスは7月にアフガニスタン戦争を巡る米軍などの機密情報を公表した際、個人名の公開が人命を危険にさらすと批判された。アサンジュ氏は23日の会見で今回は多数の個人名を削除したと説明し、「いかなる個人にも危害が及ぶことはないと確信している」と述べた。  また、ウィキリークスの報道担当は7月に続き、アフガン戦争を巡る米軍の機密文書約1万5千件を近く公表する方針も明らかにした。      ◇  〈ウィキリークス〉 各国の機密や企業の秘密情報を暴露する民間ウェブサイト。元ハッカーのジュリアン・アサンジュ氏が、欧米のジャーナリストや中国反体制活動家らと2006年に創設。7月にアフガン戦争を巡る米軍などの機密文書を公開した。資金の大半は寄付。事務所を構えず、数人の常勤者と約1200人とされるボランティアで運営する。 *101007 NATO軍のパキスタン兵攻撃は「過失」 司令官が謝罪 [朝日]  【ワシントン=望月洋嗣、イスラマバード=五十嵐誠】アフガニスタンに展開する北大西洋条約機構(NATO)軍がパキスタン兵を攻撃した事件で、NATOが主体の国際治安支援部隊(ISAF)のペトレイアス司令官(駐留米軍司令官)は6日、パキスタン軍や遺族に謝罪した。パキスタン政府は事件を受け、NATOの補給路の国境を封鎖。立ち往生した輸送車への襲撃が相次いでおり、関係国は収拾を急いでいる。  NATOは6日、この事件について、NATO側の過失だったとする暫定調査結果を発表した。調査結果によると、NATO軍のヘリは9月末にパキスタン領空に数回侵入。付近での交戦を警告するために発砲した国境警備のパキスタン兵を武装勢力と誤認し、攻撃した。2人が死亡、4人が負傷したという。ペトレイアス氏は「再発防止に向けてパキスタン軍と協力を続ける」としている。  一方、パキスタン政府による国境封鎖は6日で7日目となったが、輸送車への襲撃は依然続いている。6日にはパキスタン西部クエッタ近郊で、NATO軍への補給物資を積んだ輸送車が駐車中に武装集団に燃やされ、AP通信によると、25台が炎上、運転手1人が死亡した。  AFP通信によると、反政府武装勢力「パキスタン・タリバーン運動」(TTP)が犯行を認めた。アフガン駐留米軍は無人機を使ったパキスタンへの越境攻撃を強めており、TTPは「無人機による我々への攻撃激化に伴い、輸送車への襲撃も激しくなる」と語り、襲撃が越境攻撃への報復だと主張した。 *100907 イラク駐留米軍、テロに応戦 戦闘終了宣言、はや骨抜き [朝日]  【カイロ=平田篤央】イラクの首都バグダッドで5日に起きたテロ事件で、駐留米軍がイラク軍とともに応戦していたことが分かった。オバマ米大統領が8月末に、米軍の戦闘任務終了を宣言して1週間足らず。たやすくない現実を突きつけられた形だ。  テロがあったのはバグダッドのイラク軍師団本部。AP通信によると、自動小銃や手投げ弾で武装した男たち6人が急襲し、警備の兵士と銃撃戦となった。うち4人は死亡したが2人が敷地内に入り込むと、別の男が自動車で突っ込んで自爆。生き残った2人も弾薬が尽きると自爆したという。このテロでイラク軍兵士ら計12人が死亡した。  駐留米軍のブルーム報道官によると、イラク軍兵士の訓練のため師団本部にいた米兵が、イラク軍を支援して銃撃戦に参加。さらに、イラク側は米軍にヘリコプターの出動などを要請した。米兵の死傷者はいなかったという。  米軍は8月末で戦闘任務を終えたものの、5万人規模の部隊を残し、イラク軍の訓練や復興支援を担う文民の警護などにあたる。ただ、両国間の取り決めで、イラク側の要請があれば、武装勢力との戦闘に加わることも可能だ。  今回テロがあった師団本部は、8月17日にもアルカイダ系武装組織によると見られる自爆テロがあり、約60人が死亡した。同じ軍施設が再び攻撃されたことは、イラク軍の治安能力が自立には遠いことを示した。  オバマ大統領は、11月の中間選挙もにらんで、戦争に費やしてきた財源を経済対策に振り向ける姿勢を強調。来年末に米軍を完全撤退させる考えを改めて示した。しかし、今後も駐留部隊が戦闘に巻き込まれる事態が続けば、「戦闘終了は言葉だけ」との批判が高まり、撤退日程にも影響が出かねない。 *100806 アフガンのテロ74%増、イラクは25%減 米報告書 [朝日]  【ワシントン=村山祐介】米国務省は5日、2009年のテロ年次報告書を発表した。テロ攻撃の件数は、来年末に米軍完全撤退を控えるイラクが大幅に減った一方、大規模増派を強いられたアフガニスタンで急増、パキスタンでは大規模攻撃が目立つなど、米国が抱える「二つの戦争」の治安状況の落差が裏付けられた。  国家テロ対策センターの集計では、09年の世界全体のテロ攻撃数は前年比約6%減の1万999件で、3年連続で減った。イラクでは同約25%減の2458件で、06年の4割の水準だった。  一方、アフガニスタンは2126件で前年比約74%も急増。パキスタンは1915件と同約4%の微増だったが、犠牲者数は同約3割も増え、10人以上の犠牲者が出た大規模攻撃と自爆テロの件数で、それぞれイラクを上回った。  報告書は、パキスタンに潜伏する国際テロ組織アルカイダの中枢を「依然、米本土を狙う最も恐るべきテロ組織」と位置づけ、米国攻撃計画への活発な関与を指摘。米上空で昨年末に起きた旅客機爆破テロ未遂事件で犯行声明を出したイエメンの「アラビア半島のアルカイダ」や、ソマリア南部を支配するイスラム武装勢力「シャバブ」など関連組織の活動が活発化し、「より脅威は拡散している」と分析した。  テロ支援国家としては、昨年に続きイラン、シリア、キューバ、スーダンを指定した。08年に指定が解除された北朝鮮は、米国のテロ対策に「非協力的な国」との認定を例年通り更新。ベンジャミン同省テロ対策調整官は会見で、北朝鮮による中東への武器密輸疑惑などを「調査している」とし、事実と確認できれば再指定を検討する考えを示した。 *100528 「軍事より外交的解決を優先」 米、新安保戦略を発表 [朝日]  【ワシントン=望月洋嗣】米オバマ政権は27日、軍事、外交政策の指針となる文書、国家安全保障戦略を政権発足後初めて発表した。軍事力を安全保障上の礎石としつつも、国際協調主義と外交的関与による解決を優先する方針を明確にし、ブッシュ前政権の単独行動主義や先制攻撃論などと一線を画す姿勢を示した。  同戦略の本文は52ページ。オバマ大統領は前文で、米国が「広く影響力のある暴力のネットワークと、10年近く戦争状態にある」とし、国際テロ組織アルカイダとその関連組織が米国の敵だと位置づけた。さらに、米国は破綻(はたん)国家や敵対的な国家からの複数の脅威にさらされているとし、米国の軍事力の優越性を保つ意向を確認した。  また、「米国の強さと影響力の基盤を再生する戦略を追求すべきだ」とし、「経済成長と財政赤字削減」の戦略上の重要性を強調した。  核開発問題で国際社会と対立する北朝鮮やイランに対しては、対話を基軸とする米国の関与を受け入れるか、深い孤立を選ぶかの選択を迫った。両国が外交的解決の道を無視した場合は「米国は両国の孤立に向けた複数の手段を追求し、国際的な不拡散体制を順守させる」としている。  国際的な課題の解決に向けた原則として、多国間主義の重要性を強調。「国際機関の強化や集団的な行動の活性化」によって、過激主義の撲滅、核拡散の防止、安定した経済成長、気候変動などに取り組む。中国、インド、ロシアなどの新興国との協力を強める方針を示している。  以前からの同盟・友好国との関係を再強化する方針も示し、日本と韓国について「地域と世界の課題に対処するうえで指導力の重要性が増している」と言及。「21世紀の安全保障の課題に対処するため、両国との関係を近代化していく」とうたった。  テロ対策では、イスラム勢力全般を敵視するような政策を否定し、「我々はアルカイダとその関連組織との戦争にある」と強調。軍事的手段だけでなく、民生、米国の価値観、多国間協力などを総動員する「持続的かつ総合的な作戦」で撲滅を目指すとした。また、アルカイダの拠点があるとされるアフガニスタン、パキスタン、イエメン、ソマリアで、統治の改善や汚職対策、教育、保健分野の支援に取り組む方針を示した。  国家安全保障戦略は、政権ごとに議会への提出が義務づけられている。ブッシュ前政権は2002年と06年に発表。02年には大量破壊兵器を持つ敵への先制単独攻撃を辞さないとする「ブッシュ・ドクトリン」を提唱した。 *0218 イラク戦争に「英国式けじめ」 独立調査委、首相を喚問 1月29日のイラク戦争独立調査委員会で、ブレア前英首相(手前の後ろ姿)の証言を聞く委員たち=ロイター  【ロンドン=橋本聡】英国で、イラク戦争を検証する独立調査委員会の取り組みが続いている。参戦を決断したブレア前首相を1月末に喚問し、3月初めには、ブレア政権ナンバー2だったブラウン首相(当時財務相)も呼ぶ。総選挙を控えて政治的な思惑もからむが、世論を二分する問題に一つの区切りを与える、英国伝統の知恵でもある。  ブレア氏が喚問されたのは1月29日。6時間にわたって自分の決断の正しさを主張した。チルコット委員長が「兵士遺族も傍聴している。参戦に後悔はありませんか?」と問うと、ブレア氏は「サダム・フセイン(イラク大統領)を除去したことを後悔していない。彼は怪物で世界への脅威だった」と言い切った。  その翌週には開戦当時の女性閣僚ショート氏が証言。「大事な情報は私たちに伝えられず、ペテンにかけられた」とブレア氏の側近政治を真っ向から批判した。  米英が開戦の「大義」とした大量破壊兵器はイラクになく、調査委の焦点は、ブレア氏ら政権中枢が内閣や議会を「ミスリード(誤導)したか」に絞られている。  英国は昨夏まで軍部隊をイラクに駐留させ、179人が犠牲になった。イラク戦争はまだ過去のものではなく、テレビ中継される調査委の喚問を国民は注視する。調査委はネットのホームページでも喚問記録を公開している。  ブレア氏喚問後の英紙インディペンデントの世論調査によると「ブレア氏は戦犯として裁判にかけられるべきだ」に賛成が37%、反対57%。6割が「ブラウン首相にも共同責任がある」と答えた。  英国では5月にも総選挙がある見通しだ。ブラウン首相の喚問は、影響を避けるため総選挙後の予定だった。ところが1月、首相自身が「総選挙前に」と申し出た。野党から「喚問がこわいのか」とあげつらわれ、逃げ腰のレッテルを張られるのを嫌ったためだ。この問題に早く区切りをつけ、風向きを変えたいとの思惑もありそうだ。      ◇  英国の独立調査委員会方式の歴史は、20世紀初めにさかのぼる。英議会は強い調査権限を持つが、二大政党制のもとで手順などをめぐって対立が起き、暗礁に乗り上げてしまうことが多かった。  オックスフォード・ブルックス大のダイアナ・ウッドハウス教授(法学)は「政治的に中立で一般の人びとから尊敬される議会外の『賢人』に調査を委ねる方式が生まれた」という。  これまでに設置されたのは約80件。1982年のフォークランド紛争後にはサッチャー政権の責任が問われ、「政府に落ち度なし」との結論が出された。近年では、牛海綿状脳症(BSE)や北アイルランドの流血事件をめぐる調査もあった。  イラク戦争の調査委員は戦史研究家のオックスフォード大教授ら男性4人、女性1人。委員長のチルコット氏は元官僚。  調査は長期におよぶため、政府にとってはその間、論争を棚上げして時間稼ぎができるという面もある。調査がうわべだけのガス抜きに利用されている、との指摘もある。  しかしタイムズ紙のコラムニスト、ベン・マッキンタイア氏は「どんな結論であれ、そこに至る過程そのものに大切な意味がある」と言う。ウッドハウス教授も「調査委の結論に満足しない人もいるだろうが、国民的議論に終止符が打たれ、歴史のひとこまになっていく。イラク戦争調査が公開の場で歴史に刻まれていく意義は大きい」と話す。      ◇  〈英国のイラク戦争調査〉 イラク戦争や占領政策に疑問をもつ世論や野党の突き上げで、ブラウン首相が昨年7月、歴史学者や元外交官ら5人から成る独立調査委員会を設けた。政府の機密書類を精査し、11月から政治家、外交官、軍幹部、情報機関トップら約80人を喚問した。結論が出るのは早くても今年末。 *0113 「イラク戦争は国際法違反」オランダ政府調査委が報告 [朝日] 2010年1月13日21時51分  【ブリュッセル=井田香奈子】オランダ政府の独立調査委員会は12日、米、英の主導で03年3月に始まったイラク戦争が、国際法違反だったとする報告書を公表した。米英が攻撃の根拠とした国連決議について「さらなる決議なしに、個別の国々のイラクへの侵攻を認めるものではなかった」とし、攻撃を支持したオランダ政府も決議の解釈を誤っていたとしている。  オランダがイラク攻撃を支持した際、政府内でも適法性に疑問が出ていたことが議会などで問題になり、バルケネンデ首相が昨年、元最高裁長官を座長とする委員会に調査を委嘱していた。  報告書によると、オランダ政府は02年9月に攻撃支持の立場を決定したが、調査委は本来のオランダの政策や国内世論には沿っていなかったと判断。政府が、イラクの大量破壊兵器をめぐる情報機関の一部の情報に追従していたと指摘した。  米英のイラク攻撃をめぐる欧州各国の対応は分かれ、フランス、ドイツが強く批判した一方、オランダは「フセイン大統領が国連決議に従うことを拒否した」として米英への支持を表明していた。オランダは米英による攻撃後の03年から05年にかけて、イラクでの国連の治安維持活動に約1100人を派兵した。 *0108 米大統領がテロ対策改革表明 米機爆破未遂受け [CNN] ワシントン(CNN) オバマ米大統領は7日、米機爆破テロ未遂事件に関連した情報機関など政府側のミスについて説明し、事件を受けたテロ監視体制の改革を表明した。 大統領は、政権スタッフや政府機関、その要員が最高レベルで職責を果たしていなかったとしたうえで、最終的な責任は自分にあると明言。米政府がテロ未遂事件を防げなかった問題点として(1)情報機関がイエメンにある国際テロ組織アルカイダ系武装組織の対米攻撃計画を把握していたものの、積極的に取り組まず情報を優先的に扱わなかった(2)情報機関間で把握されていた情報が分析、統合されていなかった(3)こうした情報機関のミスで、事件の容疑者を航空機への搭乗拒否リストに載せられなかった──の3点を挙げた。 大統領はそのうえで、改革策として(1)具体的で優先度が高い脅威に関する手がかりを徹底追跡する責任者を任命する(2)情報機関の報告をより広範囲かつ速やかに配布する(3)ブレア米国家情報長官による現行の情報分析の全面的見直し(4)搭乗拒否リストを中心にテロ容疑者監視リストへの掲載基準を強化──の4点を指示したことを明らかにした。 ただし大統領は、今回の事件で使われたような爆発物を探知するため必要な技術を、国内外の空港が備えていないと指摘。米国土安全保障省に対し、各国と連携して旅客便の安全対策を改善し、空港保安検査の強化を図るよう指示したと述べた。大統領はまた、エネルギー省が保安検査の改善に向けた技術開発に取り組むと語った。

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