本日の天気は雨天曇天21℃。若干肌寒い天候だ。
けど、私たちの職場は電気代のかからない暖房さんがいるので暖かい。……たまにこんな使い方していいのかなぁ、とも思うけど。
今日の仕事は待機。緊急要請などに備えて支部で待機し、要請があれば真っ先に駆けつける仕事。
一応待っている間は何をしていてもいいのだが、多くのエージェントは積りに積もった書類整理を行っている。戦いが主な仕事の私たちに、無機物の破壊は付き物だ。仕事の後はそれらの後処理に常に追われている。
一応それらを処理する部署はあるんだけれど、ぶっちゃけ人手不足というわけだ。人の命と天秤にかけると、どうしても遅くなる。
……ウチの支部でソレらに手をつけず、本当に待機している人ってあの人くらいじゃないかなぁ。
カタカタと音がする。音のほうを見てみると支部長がまた噂の人形をいじっていた。……その姿は、小さな子が人形遊びしているようにも見えるし、支配下に置いた人間を玩んでいるようにも見える。
……ウチの支部長は、怖い。遠くから、正面以外から見ればただの背伸びした女の子に見えなくもないし、高いところにある資料を申し訳なさそうに「ちょっと、とってもらえる?」とか言っている姿はキュン死しそうになるときもあるけど。
ここに赴任して、初めて会った時。一つ一つの挙動と視線が、私を逃げ場のない淵に追い込んでいくような感覚。あの眼で睨まれると、蛇に睨まれた蛙ってこんな雰囲気なんだろうな、という感覚を覚える。
しかも、それは彼女が上機嫌な時だった。TPOによって態度を大きく使い分ける(曰く、最大の武器だとか)彼女は、時には優しい母のような感じにもなるし、背中を預けられる戦友にも感じられる。残虐な独裁者に感じられるときもある。
けどそれはすべて偽りの仮面。本当の彼女の性格というものが掴めない。
ただ、言えることは彼女がいわゆる良い人でないことと――
「……なぁ、また支部長が人形いじってるよ」
あ、ばかっ
「アレ絶対何か企んでる眼だ、げびゃっ!?」
「し、篠原くーん!? どうしてそう言わなくていいこと言っちゃうのー!!」
また余計なこと言って仕事が滞る! 篠原君はなんでこう学習ってことをしないのかな!
ぶつくさ思いながらぶっ倒れた篠原君の周りを片づける。おそらく30分は目覚めないだろう。
自己本位で実力主義で、自分が嫌だと思えばすぐ手を出す、一緒の職場にいたくない人!
……あ、ワーディングの気配。どうやら待機組の仕事が来たらしい。応援要請を見る……それほど大きな規模ではないようだ。
「応援要請ですね。私、行ってきましょうか?」
「私が行くわ。事務仕事に疲れてきたところよ。……それと、新人! あなた、まだ実戦経験乏しかったわね? 楽しい新人研修と行きましょうか」
しかし、面倒見は悪くなく、部下を大事に思っている場面は多々見られる人。
……ホント、ウチの支部長は頼れるけど、恐ろしい人だ。
もうちょっと接しやすい人がいいんだけどなぁ。はふぅ。
最終更新:2010年10月22日 23:39