「千年錠?」
「そ。千年錠ってのは
千年アイテムって呼ばれる宝物の中の1つで、人の心の
中へ入ったりすることができるモノなの。簡単に言えば、その宝物1つで
奇跡を起こせるって感じかな。」
美夏の言った意味がいまいち理解できず、首をかしげる啓輔。
「啓輔君が理解できないのも無理はないよ。私たちでさえ、初めて聞いた時は
何のこと言ってるのか訳分かんなかったし、信じろってのが無茶だからね。」
「でもさ、美夏。私や亜姫は千年アイテムについてのことは聞いたことあったけど、
まさかソレがどこにあるかなんて聞いたことないけど・・・・?」
「まぁ、千年アイテムに関することは私たちの間でも古株しか知らないし、
友里香や亜姫はまだ覚醒して間もないから教えられてなかっただけだよ。
千年アイテムは今のところ、千年秤と千年錠だけが
Atumに回収されてるわ。
そして、今回はその中の千年錠を使って、茜ちゃんの心に入り込む。」
美夏が悠一郎の方に振り向くと、悠一郎は一度頷いた後、1歩前に出た。
「千年アイテムは、Atum日本第1支部の地下に安置されている。
セキュリティとかを考えるとそうそう簡単に入り込めるとは思えないけど、
うまく誤魔化せば何とかいける・・・・・はずだ。」
「何とかって・・・・・。こいつに任せても大丈夫なのか・・・?」
「ま、悠一郎はこう見えても私たちのリーダーだからね。結構頼りになるよ。」
美夏が悠一郎の肩をポンポンと叩きながら、ハッハッハと笑う。
ソレを見て、悠一郎はガックリと肩を落としながら溜め息をついた。
「・・・・とにかくだ。千年錠を使って茜ちゃんの心に入り込むんだったら、
早くした方がいい。俺としてはあまり気乗りしないけど、何らかのカタチで
茜ちゃんを助けてあげることができれば、その分目覚めも早くなる。」
「Atum専属のジェット機を使えば、第1支部までは1時間ほどで行けるわ。」
「でも、第1支部の人間ってお堅い人が多いから苦手なんだよなー・・・・。」
友里香がトホホと半泣きになりながら、肩を落とす。
「でも、今はウダウダ言ってる時間はないんだろ?」
「その通り。すぐに出発するから、各自用意しておいて。悠一郎はジェット機の手配を、
友里香と亜姫は第1支部へジェット機受け入れの要請連絡を入れて。」
「アイアイサー!」
美夏の指示を受け、友里香と亜姫が部屋を出ていく。
それを見た悠一郎も、続くように部屋を出ていった。
「美夏さん・・・だっけ?」
「ん? 美夏でいいよ?」
「俺・・・・最近、訳分かんねぇことばっかり起きてて、どうすればいいのか
分からないんだ・・・。茜もこんなことになっちまったし・・・・。」
「混乱する気持ちは分かるよ。私だって・・・ううん、悠一郎や奈央、亜姫や
友里香も最初はみんなそんな感じだった。でもね、混乱するのは自分の内に
眠ってる記憶が目覚めてないから。覚醒者として目覚めてしまえば、嫌でも
気持ちに整理がついちゃうの。だから、心配しなくても大丈夫よ。」
そう言って、美夏はニッコリと啓輔に微笑みかける。
美夏の笑顔を見てもまだ啓輔は半信半疑だったが、この人たちの側にいれば
何となく安心できる、悪い人たちじゃないんだということは実感できた。
「・・・そう言ってもらえると、なんだか気が楽になった感じがするよ。」
「今、私たちにできることは茜ちゃんの心に入って、彼女を助けてあげる。
それだけでも今は十分なのよ。啓輔君だけが抱え込む問題じゃないわ。
だから、そんなに重く考えないでね。」
ポンポンと、美夏が啓輔の肩を叩く。
重く受け止めてる気はなかった啓輔だったが、美夏の言葉で
啓輔は少し気持ちが楽になったような気がした。
「美夏、啓輔君。あとちょっとで準備が整うから、発着場に来てくれ。」
「らじゃー。じゃ、いこっか。」
「おう。」
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茜が意識を失い、啓輔と共に悠一郎たちに保護されていた時。
別の場所で、とある人物も「運命」に巻き込まれていた。
黒いローブを纏う男たち3人の前には、何人かの不良が倒れていた。
そして、ローブの人物に向かい合うように立っていたのは、かつて茜と一戦交えた
神崎財閥の御曹司、神崎 竜牙だった。
『・・・・貴様ら、何者だ?』
「我々は世界を救う者なり。お前も、その計画の一員となるのだ。」
『世界を救うだと? ハッ。世界を救うと言えば聞こえはいいが、そんなことを
しようとしてる奴らが力ずくで俺を連れていこうとしてるのを見れば、誰が
はいそうですかと納得する? 理解に苦しむな。』
「何とでも言うがいい。貴様は覚醒者の1人でありつつ、我々と同じ力を持っている。
おとなしく来ないのならば、貴様の言うように力ずくで連れていくとしよう。」
そう言って、ローブの人物は左手を構える。
すると、ローブの中からデュエルディスクが出現、展開される。
『デュエルで勝負をつけるってのか。フッ、おもしろい。
貴様が俺に勝てたら、素直に言うことを聞いてやるぜ。』
決闘(デュエル)!!!!
- 神崎 竜牙:ライフ8000 手札5枚
- ローブの男:ライフ8000 手札5枚
『俺からいくぜ! 先攻ドロー! 俺はカードを2枚セット!
そして、手札を1枚ゲームから除外する事で深淵の魔竜を特殊召喚!!』
《
モンスターカード》
深淵の魔竜
効果モンスター
★★★★★★
闇属性 /
ドラゴン族 / ATK 2300 / DEF 1800
手札を1枚ゲームから除外する事で、このカードを手札から特殊召喚できる。
このカードが相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、破壊した相手の
モンスターを装備カードとしてこのカードに装備する。
このカードは装備したモンスターの攻撃力分、攻撃力がアップする。
(この効果は1ターンに1度しか使用できず、同時に装備できるカードは1枚のみ。)
1ターンに1度、自分フィールドの魔法・罠カードを1枚破壊する事ができる。
『ターン終了だ!』
- 神崎 竜牙:ライフ8000 手札2枚 モンスター1体 魔法・罠2枚
- ローブの男:ライフ8000 手札5枚
「私のターン、ドロー! 私はライフを1000ポイント支払い、手札から
王への服従を発動!!」
《魔法カード》
王への服従
通常魔法
ライフを1000ポイント支払って発動する。
相手フィールド上に存在するモンスターを2体まで選択する。
エンドフェイズ時まで、選択したモンスターのコントロールを得る。
「このカードの効果により、私はお前のフィールドに存在する深淵の魔竜の
コントロールを得る! そして、私は深淵の魔竜をリリースし・・・・」
『この瞬間、リバースカードを発動!』
「何!?」
『リバースカード、オープン! 罠カード、封魔の儀式!!』
《罠カード》
封魔の儀式
カウンター罠
相手がモンスターのリリース宣言をした時に発動可能。
そのリリースを無効にし、リリース対象となったモンスターを破壊する。
相手プレイヤーは破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。
『封魔の儀式の効果により、お前が俺から奪った深淵の魔竜は破壊される!
そして、貴様には深淵の魔竜の攻撃力分2300ポイントのダメージを受けてもらう!』
深淵の魔竜に六芒星が描かれた瞬間、深淵の魔竜が轟音と共に爆発、消滅する。
「クッ・・・・!」
『どうした? 自分からデュエルを仕掛けたくせに、大したことないな?』
「・・・・私は岩石の騎士を守備表示で召喚、そしてカードを2枚セットし、
ターンを終了する。」
《モンスターカード》
岩石の騎士(ロックストーン・ナイト)
効果モンスター
★★★★
地属性 / 岩石族 / ATK 1200 / DEF 2800
このカードがフィールド上に存在する限り、相手プレイヤーの
メインフェイズ毎に相手プレイヤーに800ポイントのダメージを与える。
「岩石の騎士が存在する限り、お前のライフは毎ターン800ポイントずつ削られる。」
『・・・・チッ、厄介な壁モンスターが出てきたな。』
- 神崎 竜牙:ライフ8000 手札2枚 魔法・罠1枚
- ローブの男:ライフ4700 手札2枚 モンスター1体 魔法・罠2枚
『俺のターンだ! ドロー!』
「お前のメインフェイズに移行した際、岩石の騎士の効果発動!
800ポイントのダメージを、お前のライフに与える!!
岩石の騎士の効果、ロックストーン・レイン!!!」
岩石の騎士が地面に剣を突き刺し、それを勢いよく引き抜く。
剣が引き抜かれたことで大小様々な岩石が空中に舞い上がり、竜牙を襲う。
『ぐはぁ!!!』
『・・・こんなダメージ、貴様に与えたダメージを思えば軽いもんだ。
だが、俺のライフを減らした代償は高くつくぞ!! 俺はこのターン、
邪龍 ウロボロスを特殊召喚する!!』
《モンスターカード》
邪龍 ウロボロス
効果モンスター
★★★★★
闇属性 / ドラゴン族 / ATK 2000 / DEF 1100
このカードがゲームから除外された場合、次の自分ターンのメインフェイズ1に
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
自分のデッキから闇属性モンスターを1体ゲームから除外する事で、
このカードの攻撃力は400ポイントアップする。
竜牙の背後の空間が捻じれ、その中からウロボロスが姿を現し、雄叫びを上げる。
「馬鹿な!? なぜそんなモンスターを特殊召喚できるんだ!?」
『ウロボロスはゲームから除外された場合、次の自分のターンのメインフェイズ時、
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。俺は最初のターンで深淵の魔竜を
特殊召喚する際、こいつをゲームから除外していたのさ。』
「クッ・・・!」
『さらに俺はこのターン、ウロボロスの効果を発動! デッキから闇属性の
モンスターを除外する事で、1枚につきウロボロスは攻撃力が400ポイント
アップする! 俺はデッキから2枚のウロボロスを除外する。これで、次の
俺のターンにはまた2体のウロボロスが特殊召喚されるのさ。だが、お前に
次のターンは来ないかもしれないな。』
「何だと?」
竜牙がニヤリと、不敵な笑みを浮かべる。
『俺はこのターンのドローで、必殺カードを引いた。このカードで、一気に
終わらせてやるぜ。いくぞ!! 俺は邪龍 ウロボロスをリリース!!
手札より、魔王 ディアボロスを召喚!!!』
《モンスターカード》
魔王 ディアボロス
効果モンスター
★★★★★★
闇属性 / 悪魔族 / ATK 0 / DEF 0
このカードの攻撃力は、このカードのアドバンス召喚時にリリースした
モンスター1体の攻撃力を倍にした数値となる。
このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃しなければならない。
このカードは罠カードの効果を受けない。
竜牙がデュエルディスクにカードをセットすると、黒い電撃が宙を走り、
竜牙の頭上に集約、ソレは闇の塊となって巨大化し、次第に姿を変えていく。
現れたのはアヌビスと同じ「魔王シリーズ」の1枚、魔王 ディアボロスだった。
「魔王 ディアボロス・・・。まさかこいつが、こんなカードを持つとは・・・。」
『ディアボロスの攻撃力は、ディアボロスを召喚する際にリリースした
モンスター1体の攻撃力の倍の数値。リリースしたウロボロスの攻撃力は
2800ポイント。つまり、ディアボロスの攻撃力は5600ポイントとなる!』
魔王 ディアボロス
攻撃力0から攻撃力5600にアップ(ディアボロスの効果適用)
「攻撃力5600・・・・。」
『このターン、ディアボロスの攻撃で貴様のライフは0になる。もう少し
楽しませてくれるかと思ったが、残念で仕方ないな。いくぞ!!
ディアボロスのこうげ・・・・・・な!?』
竜牙が攻撃宣言をする一刹那、竜牙は自分の目を疑った。
自分が召喚したはずのディアボロスがもう1体、ローブの男のフィールドに
出現していたからだ。
『な、なんでディアボロスが!?』
「フフフ、お前がディアボロスを召喚すると同時に、俺は罠カードを発動したのさ。
ドッペルゲンガーの罠カードをな。」
《罠カード》
ドッペルゲンガー
通常罠
相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時、発動できる。
「ドッペルゲンガートークン」(悪魔族・闇属性・攻 / 守 0)を
自分フィールド上に1体、攻撃表示で特殊召喚する。
このターン、相手が召喚・特殊召喚したモンスターは、このカードの
効果によって特殊召喚された「ドッペルゲンガートークン」と戦闘を行う。
この戦闘によって発生する戦闘ダメージはすべて相手が受ける。
「ドッペルゲンガートークン」は、戦闘によっては破壊されない。
「このカードの効果で、俺の場にはディアボロスと同じ姿をしたドッペルゲンガーが
特殊召喚された。攻撃力と守備力は0だがな。しかし、このターン、お前の
ディアボロスはドッペルゲンガーの罠カードの効果で、俺の場のディアボロスと
戦闘を行わなければならない。」
『クッ!?』
竜牙は、ドッペルゲンガーの効果を把握していた。
ドッペルゲンガーの効果によって生まれたトークンと戦闘を行う場合、
戦闘ダメージはすべて自分が受けることになる。
それはつまり、ディアボロスの攻撃力5600ポイントの数値が丸ごと自分の
ライフにダメージとして与えられてしまうということ。
「おっと、ディアボロスは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃しなければならない
効果を持っていたな。ということは、このターンで確かにデュエルは終わる。
お前の敗北というカタチでな。」
まさかこんなカタチで、ディアボロスの効果が仇になるとは思いもしなかった。
ディアボロスがトークンに2回攻撃すれば、総ダメージは11200。
ライフが1度も減らされていない状態だったとしても、確実にオーバーキル。
だからといって、竜牙には戦闘ダメージを無効にするカードや、戦闘を回避できる
カードは持ち合わせていなかった。
「さぁ、ディアボロスよ! 我がトークンに攻撃するがいい!」
男が声を張り上げると、トークンの胸元に竜牙の姿が現れる。
『アレは!?』
「お前のディアボロスが攻撃するのは、お前自身ということだ。
フフフフフ・・・・。フハハハハハーッ!!!」
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「約束だ。我々と共に来てもらおうか。」
『・・・・貴様らは、なぜそうまでして俺を連れていこうとする?』
「今はソレを知るべき時ではない。まぁ、安心しろ。知りたくなくても
知らなければいけない時が来る。」
ローブの男がパチンと指を鳴らすと、他のローブの男が
デュエルディスクで竜牙の首元を軽く殴った。
その一撃で竜牙は意識を失い、その場に倒れ込む。
「フフフ・・・。これで、最後の覚醒者が奴らの手に渡ることはなくなった。
あとはコイツが覚醒者として目覚めれば、利用価値も上がる。ロア様、
そして我々が世界を手にする日は近い。」
to be continued・・・・・・
- 竜牙のデュエルで1ターン目に4枚のカード伏せてるような感じになってるんですが、私の見間違いでしょうか? -- (要亜希) 2009-03-14 17:33:41
- 要 亜希さんへ …… ごめんなさい、おもいっきり私が間違えてますwww 2枚伏せてるつもりが、4枚伏せてるカタチになってましたww 教えて下さってありがとうございます >< -- (管理人エレンディア) 2009-03-15 02:39:58
最終更新:2009年03月15日 02:42