「佐渡島……あの日本の新潟県にある島?」
「はい、そうですね」
なにやら緊急事態らしい。
新たなる亜種特異点を『また』観測したらしい。
「それにしても佐渡島……桃鉄でしか知らないな」
「はい、私も金山があることしか……」
一般的な佐渡の知識としては十分である。
「しかし、聖杯って一体、何個あるんだろうか……」
「それは言ってはいけないよ、藤丸君!」
「そうですよ、先輩……」
「フォウ……」
藤丸立花。
一応のところは人類最後のマスターの少女である。
七つの特異点。多くの亜種特異点。
そして、色々なサーヴァントと縁を交したマスターである。
「まあ、行くんだけどもね!」
「先輩、やる気はあるんですね」
「そりゃね!」
「……ゴホン、まあそれは置いといて、早速行ってもらうとしよう」
「その前に準備させて! 何人か連れてくるから!」
「わかった、40分で支度するんだ!」
「了解!」
そして、きっちり40分後。
「準備できたよ。ダ・ヴィンチちゃん!」
「オーケイ! で、誰が来るんだい?」
「沖田さん! 巴さん!」
「はい!」
「こちらに!」
一人、新選組の羽織を着た一番隊隊長・沖田総司。
もう一人、武者甲冑を身に纏った女武者・巴御前。
「先輩、何故その二人何ですか?」
「そこの廊下を歩いてたから……」
「さっき私は土方さんに厨房からエミヤさんが漬けた沢庵をもらってこいって言われて、
その帰りに伝えられましたね、あっ、ちゃんと土方さんに沢庵漬けは届けたんで大丈夫です」
「……あの巴は部屋でぽけもんG〇をしてたんですか、ちょっと部屋だと電波が悪くて……
……巴の部屋だとあの小鳥の奴しか出てこなくて……それで廊下を歩いていたら、マスターに緊急事態だと聞かされたもので……」
と、そんな理由で二人が来ることになった。
「日本由来だしこの二人で行けるだろう」
「ところでノッブさんは? 戦国時代の日本ですからてっきり来るものだと……(それに暇そうですし……)」
「さっき連絡取ったら『ワシにも色々あるんじゃよ……』ってとても悲しい返答が来た……」
「そうですか……」
「まあ、ノッブがいなくても私がいるんで平気へっちゃらです!
ええ、ノッブがいなくとも、この私が……ゴフッ!?」
「マスター、出発前に沖田さんが血を吐きましたよ!?」
「……問題ないよ、うん」
(この三人で本当に大丈夫なんでしょうか?)
だが、戦闘になれば真面目になるだろう。
やるときはやる人達であることをマシュはそこらへんは理解している。
「まあ、藤丸君が選んだ二人だし! 行けるさ!」
「フォウ!」
「じゃあ、行ってきます!」
「先輩、無事に戻って来て下さいよ……」
「わかってるさ……バックアップは頼むよ」
「はい!」
オーダーは聖杯の回収。
そして、彼女達は1589年の佐渡にレイシフトしたのであった……。
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……………………
…………
⇒「カルデアと連絡付かねぇ!!!!!!!!!!!!!!!!」
詰んだ。
レイシフトは出来たものの……。
ここが本当に目的地なのか、どうかもわからない。
「どうするんですか!?」
「マスター、その……通信機の故障ですか?」
「いや、恐らくは電波障害かな? 原因は……『アレ』かな?」
「はい、巴もそう思います」
彼女たちがいる浜辺からは『ソレ』は聳え立っていた。
その時代の佐渡島には似つかわしくない『ソレ』。
まさに文字通りの『鉄の城』。
「城と言うよりも要塞だよね」
「きっと一番上のところにラスボスがいますね」
「巴さん、その考えはゲームのやり過ぎですよ」
「いや、馬鹿と煙はなんとやらだよ」
「確かに!」
冷静に考えるとそうは考えられない。
しかし、だ。
ここは特異点だ。
何が起こってもおかしくない。
だから、全ての可能性を考える。
そして一先ず、選択肢を増やすために彼女たちは近くを散策するのであった。
最終更新:2017年10月29日 22:05