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アラスカの小屋の中にて断片6

「お前さあ」
セイバーが僕に問いかける。
「何なん? 俺に何かしただろ」
何もしていない。
「おかしいんだよな。絶対。何がなんだかわからなくなる。脳味噌がどんどんすり替わっていくっていうか?」
僕の宝具とやらだ。僕を認識するものをおかしくする。
「今がいつなのかもわからないし、盲になったみたいに方角がわからない。妙に何もしたくない。自己評価が低くなっているのが自分自身でわかる。存在しているのが嫌になる。てめえ、俺の人格をどうにかしやがったな」
「僕は何もしていない。ただ、僕が悪かったんだ」
「気が狂いそうだ。気が狂う。気が狂う。気が、気が、お前のせいだ、殺してやる。『女忘会稽之恥邪(なんじかいけいのはじをわすれたるか)』」
セイバーがなんか宝具を使ってきた。自分の剣を自分でべろりと舐める。舌を切るぞ。
それがスイッチだったのだろう。セイバーの体が膨れ上がった。筋肉が膨張し、体積が三倍ほどになる。三メートル程の身長に達した彼は、その体躯には小さすぎる剣をこちらへ向ける。
「■■■■■■■■■■■■ー!■■■■■■ー!」
狂化している。どうやらそういう宝具らしい。クラスもアヴェンジャーに変化している。クリーチャーとなった彼の骨格は、既に人間より獣人に近づいている。
自身をアヴェンジャー化。ステータスを跳ね上げ、狂化スキルを獲得。なんとまあ、派手な宝具だ。
しかし僕の宝具は止まらない。
狂うのは、何かを大切に思っているからだ。復讐するのは、何かを大切に思っているからだ。
理性の有無など関係ない。意識ある限り、怠惰はそれを蝕む。
僕が手に力を入れると、硬い爪が伸びた。なるほど、これが無辜の怪物スキルの恩恵か。
飛びかかってきた元セイバー、今はアヴェンジャーを適当に引き裂いた。
絶望は、狂った程度では止まらない。

 真名判明
四十八番目のサーヴァント 真名 ベルフェゴール

心の死んだサーヴァントを殺すことなんて、赤子の首をひねるよりも簡単だった。
今の僕は悪魔だ。




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最終更新:2018年03月01日 06:20