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アラスカの小屋の外にて断片9

守ってくれるサーヴァントがいなくなったのにカルデアのマスターは動じない。僕が潰したサーヴァントの搾りかすを捨てた。暫く時が流れる。
「私を殺さないの」
その言葉を聞いた瞬間、返事をしないようにしようと決めていた。しかしカルデアのマスターは言葉を続ける。まるで自分が殺されないことをわかっているかのように。
「令呪だよね」
声を聞いた。年相応の若い声だった。
「君は戦う気がなかったんだよね。君のマスターを止めないといけない。私に危害を加えないで、案内してほしい」
僕は黙っていた。少しも動かなかった。伸ばした爪の収めどころを見失っていた。
そのうち、徐々に明るくなる。夜が明けたのだ。地平線は見えないが、微かに白み始めたのがわかる。
「駄目?」
僕は背を向け、残った左手でプレハブのドアノブに手をかけ、ゆっくりと引く。内側からだと開かなかったドアも今は軽い。カルデアのマスターが手を振ると部屋の中が照らされる。
真っ赤な部屋だ。そこにいたのはバーサーカーと、バーサーカーを直視し狂い死にしたマスターだった。

九相観だ。バーサーカーの宝具は彼女の身体。芸術審美スキルが役に立った。
脹相、壊相、血塗相、膿爛相、青瘀相、噉相、散相、骨相、焼相、人体が腐りゆく過程を九つの段階に分けて描いた絵画がある。煩悩を焼くための、修行僧の道具だ。
彼女の存在自体が、腐りゆく宝具。人間には耐えられぬ九重の精神攻撃。宝具「帷子辻不浄観」
カルデアのマスターは平然とバーサーカーとマスターに寄り、死を確認する。
「特異点の元は絶てたみたい」
バーサーカーを見ても大丈夫なのか。僕のような「心のないもの」として造られたものならまだしも、人間には影響が大きいはずだ。
「守ってくれているから。可愛い後輩がね」





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最終更新:2018年01月22日 02:33