「さっちゃんの宝具は君の心理、理念、理想、理屈、倫理を完全掌握して成り代わる! いや、成り上がる宝具! つまりさっちゃんは今この瞬間から、あの人理焼却から世界を救ったマスターに成り得る! さあいくよ、さっちゃんのお友達サーヴァント十三騎! 世界を救ったこの采配で、りっちゃんたちをぶち殺そう!」
全知全能之君之脳
「へへん、まずはオイラが一番乗り!『風のようなセイバー』名を『窮奇』。何もないところから、刃を発生させるのがオイラの宝具、それは、体内だろうと関係ない! 有効範囲に入れば最後、内と外から八つ裂きを重ねて六十四つ裂きじゃあ!」
真名判明
風のようなセイバー 真名 窮奇
斬々舞々鎌射太刀
「あらあらかわいらしい、震えちゃって、怯えてるのね? それとも凍えているの? 『冷たいアーチャー』こと『雪女』よ。それにしても、ああ本当にかわいらしい、このまま凍らせて、眺めていたいわ……我慢できない! 私の宝具で身も心も、永遠に愛でてあげる。」
真名判明
冷たいアーチャー 真名 雪女
大氷雪・綺羅城
「『上半身だけのランサー』、『わいら』。無駄は嫌いだ、省く。我が脚は決して見えず、故に、貴様がそこに見出したものとなる。畏れよ、未知を。」
真名判明
上半身だけのランサー 真名 わいら
不可視の万足
「どーも、『海の底から来るライダー』こと『船幽霊』。ってなんで俺がこんなところに呼ばれなきゃいけないのか。水場で活躍する俺がこんな塔の中で出来ることなんて、せいぜいマスター一人溺れ殺すのが精一杯。一船分にもなりゃしないなんて、船幽霊の名が泣くぜ。」
真名判明
海の底から来るライダー 真名 船幽霊
柄杓一杯・海の元
「『毛深きアサシン』、真名『毛倡妓』。出自を辿ればわた、私は元々、どこかの暗殺集団の出来損ないだった、それで行き着く先は妖、恋もできない惨めなもの、嗚呼憎い、嗚呼憎い、嗚呼憎い。あな、あなたたちのせいで、せっかく、おおお男を好き勝手出来ていたのにぃ、許さないわ、許さないわ、許さないわ。私の宝具は全身の毛を操り、捻り殺す、絞め殺す、千切り殺す! せいぜい髪に祈りなさい!」
真名判明
毛深きアサシン 真名 毛倡妓
毛想尖鋭
「久しぶりね、あなたは『あべこべのバーサーカー』、偽りの名前は『天逆海』、何を噤んでも真実。わたしをなんとなく生かしたいと考えてない。何を噤んでいるのか理解しきってるって後頭部ね。気にしてちょうだい、どうせ昨日には会うのだから。あなたの自慢するほどでもない技は不幸を幸福に、海を天に、死体を生物に、変えないわ、かわいいでしょう?」
真名判明
あべこべのバーサーカー 真名 天逆海
逆説矛盾乖離之牙
「『数々のセイバー』、我々は『古戦場火』。戦に死した無数の兵の集合体、その火、燃える戦そのもの。我々はあらゆる戦術を、剣閃を、死を、走馬灯として追想し、その身に焼き付ける。文字通りの一騎当千。常勝の貴様が、敗北を知り尽くした我々に敵うかな?」
真名判明
数々のセイバー 真名 古戦場火
走馬灯総集編・戦語
「『天から降り注ぐアーチャー』、『天狗礫』だ。おいと勘違いしないでほしいが俺はあんな目立ちたがり屋の天狗ではない、何処からともなく音もなく、意思なき石つぶて、それが俺。貴様らの頭上から放たれる石の雨は当たれば必ず災いを起こす。病気、怪我、不運の連続。教えてやろう、石は道端で躓くよりも、当たるほうが怖ろしいってことを。」
真名判明
天から降り注ぐアーチャー 真名 天狗礫
天候变化・怪雨小石
「ちょいと、失礼するよ。『意識の隙を突くランサー』、真名は『ぬらりひょん』じゃ。なあんてこの言葉も届いていない、いや、聞こえているが理解できないと思うが。どっこいしょ……っと、儂の宝具は突然死そのもの、脳卒中を引き起こす。のらりくらりぬらりと死はいつだって人を穿つ、若いお前さんも例外なく、な。」
真名判明
意識の隙を突くランサー 真名 ぬらりひょん
死突
「『馬に乗るライダー』、糞ダセェ、バレてて助かったぜ。俺様は『鞍野郎』。そもそも馬に乗ってるのは俺様だろ、鞍だろ、それが人間如きがあの獣を操ってるかのように嘯きやがる、だから嫌いなんだ。まあ、今まで尻に敷かれていた分、存分に馬鹿にしてやる。俺様は騎乗した相手を乗っ取る、これ以上にないくらい、ライダーな宝具さ。」
真名判明
馬に乗るライダー 真名 鞍野郎
俺様騎乗位最上位
「『百聞を一見で済ませるアサシン』、『百々目鬼』よ。そんなに目を見開いて、見つめ合うなんて、視線独り占めってかんじね、ああ、私の目が多いだけか。私は元々盗みを犯し過ぎて妖怪と成った、その技術は変わらず、すべての目を盗むの。言葉の意味通りにも、文字通りにもね。」
真名判明
百聞を一見で済ませるアサシン 真名 百々目鬼
視界蛇繰
「『井の中のアヴェンジャー』、我が名は『狂骨』。死して棄てられし無念そのもの。すでに死した我は殺せない、それだけだ。」
真名判明
井の中のアヴェンジャー 真名 狂骨
死は復讐を断ち切る刃に成り得ない
「通り名は『亡骸を喰らうバーサーカー』、んでもって真名は『魍魎』。僕は味覚だけ特化して狂った存在、けど、それだけだと腹は膨れない、消化できないから、そのための宝具。喰ったものを取り込んで血肉、力に変える。最後に忠告だけど、殺したんなら、食べ尽くさなきゃダメだよ? あのごはん、火車だっけ?」
真名判明
亡骸を喰らうバーサーカー 真名 魍魎
喰物怨嗟
轟々業火死屍送々
一糸まとわぬ少女、鎌を持った少年、白い着物の美女、腰布で脚を隠した戦士、柄杓を持った船男、毛に覆われた女郎、男か女か判別付かない気狂い、燃え盛る鎧武者、壊れた傘を持つ男、鞭を持つ騎士、目に覆われた女、浮かぶ骨、微笑む一般人。
令が、風が、雪が、足が、海が、毛が、逆が、刀が、石が、躾が、手が、怨が、炎が。
僕を襲う。
「させないよ。」
『語られるライダー』が──ガンド、間に合わない──僕と鳥山石燕の前に立ち──令呪と宝具、防ぎきれない──そして。
そして、すべては、忽然と、消え去った。
「──え?」
『語られるライダー』が僕達の視界を防いだ次の瞬間、一糸まとわぬ少女も、鎌を持った少年も、白い着物の美女も、腰布で脚を隠した戦士も、柄杓を持った船男も、毛に覆われた女郎も、男か女か判別付かない気狂いも、燃え盛る鎧武者も、壊れた傘を持つ男も、鞭を持つ騎士も、目に覆われた女も、浮かぶ骨も、微笑む一般人も、令すら、風すら、雪すら、足すら、海すら、毛すら、逆すら、刀すら、石すら、躾すら、手すら、怨すら、炎すら──消えた。
「おいおい、もしかしてこれが君の宝具ってことかい? どこ行ったんだあいつらは、私ですら判断できない、分からないまま、消えた?」
鳥山石燕も困惑している、いや、興奮している?
ともかく、見て記すことに特化している彼女ですら、分からないというのだから、僕にも勿論というべきか、頓珍漢な答えしか湧いてこない。
「いや、宝具というべきか、スキルというべきか、運が良かったと言うべきか──私も説明できないから、勘弁して。」
なんてことはないように、そして事実彼女自身なんでもないように、鋏を地面に突き刺し休んでいる。
謎だ、謎だ、謎だ、彼女はあまりにも。
「とりあえず、今のがきちんと効いたか、このまま確認するから休憩ね。主、なんか食べる? コカ・コーラにマクドナルド・ハンバーガーならあるけど。」
と、コートの中から、カルデアですら手に入らない、冷たいコカ・コーラに出来たてのマクドナルド・ハンバーガーを取り出した。
謎だ。
────
しばらくすると、燃え上がる少女、融解した少年、床と一体化した美女、氷漬けの戦士、半身を失った船男、千切れた女郎、何だったのか判別付かない気狂い、風化した鎧武者、傘を持つ壊れた男、鞭状になった騎士、裏返った女、狂った骨、肉片の一般人が、現れた。
「ほとんど死亡ね。」
「あ■あ、あ■■あああああ■あ、『語ら■るラ■■ー』、貴様は■んて怖ろ■いものを、死を超■る恐怖■ど、それは■■妖怪のも■だ! あああ■■嫌だ■■塗替え■■■■変■■しょう■■■■■! ■■■■■■■■■……」
「うるさい。」
『語られるライダー』が狂骨を鋏で砕き、それを合図にしたかの如く、覚の連れた幻霊百鬼夜行計十四騎は光の粒子となり、消えた。
「それじゃあ、先へ進みましょう。それとも、激戦の後だから休む?」
僕と鳥山石燕は顔を見合わせると。ひとまず互いの顔についたケチャップを指摘した。
二日目、了。
残騎八十五。
最終更新:2018年03月14日 00:44