周囲のスケルトンが海獣の棘と大盾で悉く薙ぎ払われる。
獲物のいなくなった棘が後輩たるマシュ・キリエライトに狙いを定め。
「――――ああ?」
ギョインッ!!!
かろうじて止めたところで、海獣は人間となった。
「なんだ手前ら・・・残骸じゃあねえのか。」
ガキじゃねえか、と舌打ちをしそうな渋面でその人間は戦意を解く。
「手前ら、なんでこんなところにいやがる。ここはカタギがいるような場所じゃねえぞ。」
「遭難でもしたのか?だったら・・・」
【助かりました、ありがとうございますクー・フーリンさん】
「――――」
彼の虚を突かれた顔は、なかなか希少なのではないだろうか?
名前を呼ばれた時のその顔は、可愛いと思わせるに十分なものであったとは言っておこう。
「カタギではねえ、のか。この姿の俺を初見でハッキリ俺だと見分けるとはな。」
「顔見知りでもそうはいかねえ――――何か、呪い師か?」
右斜め前にロマニ・アーキマンのヴィジョンが浮かび上がり、マシュが□□□の前に出てくる。
この場はひとまず収まったようだ。彼らがあいさつと情報交換をすれば何とか状況の整理が――――
『□□□』
そう思っていると眼鏡をかけた美女(美しい女性の姿をした人型と言う意味。空を飛ばないものを指す)からメッセージが入る。
『そこのスケルトンの一部を拾っておいてくれないか?』
『どうにもおかしい。あの異常な強さ、何かからくりがあるに違いない。可能な限り解析を進めておきたいんだ。』
【わかった、頼りにしているよ】
目の前の情報交換を尻目にスケルトンの欠片をいくつかポケットの中に。
さあ、これから忙しくなりそうだ――――
最終更新:2018年03月18日 22:39