◆ポポヨラ。どこだろう。
なんだか可愛い響きだ。森の小人みたいで。
でも、名前と実情とがアンバランスだ。もっと名前に見合った気候になってくれないものかしら。
「ここは住みにくいね。あの枯れた森に自分もいたけど、生物もいない、実りもない。本来なら詰みだよね?」
◆本来もなにも、ないのではないか。
近隣の生気のない森も含め、この不毛な土地でどうやって街を興すというのだ。
死ぬしかないのでは?
「いや、確かにそうかもしれないけど、ここはポポヨラだよ? きみはなにも聞いていないのかい?」
◆ライダーからは話を聞ける雰囲気ではなかった。
そう答えると、彼は困ったように眉をひそめる。
「んー、そっか。それならそれで構わないのかな?」
◆何かを知っているのなら、是非とも教えてほしいところなんだけれど。
「まあいいじゃない? 違う人たちから聞けるかもしれないしね? 今重要なのは、ラスボスの話じゃないかな?」
◆なるほど、確かに。
関係ないならいいじゃないか。いやよくないけれど。
無理に聞き出しても意味はないだろう。いや知りたいけれど。
もしかすると彼は話を進める天才か。――何にせよ、ひとまず貰える情報はしっかりもらっておこう。
「話はそれたけど、ここはポポヨラ。ならばここに女主人がいるのは至極当然の帰結じゃないかい?」
◆そう言われましても。ポポヨラとはなんなのだ。
「ごめんごめん。これは自分の悪い癖だよね?
それはいずれ改めるとして――今回のラスボスの名前を紹介しようか?」
◆彼は爪弾いていた手を休める。どこか心地よい安心感が身体から抜けていく。
されどみなぎる活力は依然そのまま。しかして身体は万全だ。
おのずと溢れ出る情熱はラスボスとやらに向く。今度は誰を退ければいい。
「この特異点未満の“島”・ポポヨラの女主人、ロウヒが今回のラスボスとなる。きっとね?」
◆知らない名前だ。それでも知らないならばこれから知っていけばいい。
例えばそう、目の前の彼と同じように。
「そうだね。きみの前向きさは好ましい。改めて自己紹介をさせてくれるかな? 自分の名前はオルフェウス。
きみの導き役として、そして、ラスボスを倒す布石として配役された吟遊詩人といったところかな?」
◆その言葉を聞き届けると、頭の中、脳、いや、魂と呼べる何かが引っ張られる。
なんというべきか、釣り上げられた魚のような心地だった。
◇material・竪琴のキャスターを入手
真名『オルフェウス』
宝具《薄明へ至る黄昏の竪琴(リュテー・ピスティ》
スキル1《治癒の竪琴》
スキル2《音楽魔術》
◇material・魔女のキャスターを入手
真名『ロウヒ』
宝具《???》
スキル1《???》
最終更新:2018年03月27日 22:41