レッツゴー、三人組

「…………暇だ」

 自部屋での待機を命じられて一週間くらいは経過したか。
 身体の疲労等は完全に回復し、万全な状態だ。
 緊急事態が起こってもいつだって出れる状態だ。
 しかし…………。

「暇だ」

 このままじゃ、身体が訛ってしまう。
 それに二の腕とかこう……心なしかたぷんたぷんになったような。

「よう、マスター、暇ならジム行こうぜ。ジム!」

 ⇒「おうよっ!」
 「何、金時さん、また酒吞と頼光さんから逃走中?」

「おっ、いい返事だ!」

 そんなときに彼女に声をかけるサーヴァントが一体。
 金髪にグラサン、そして、ゴールデンな肉体を持った男。
 坂田金時がマスターである彼女――藤丸立花の部屋を訪ねてきた。
 なお、現在はバーサーカーの状態でここにいる。

「ベアー号は今改修中だっけ?」
「おう、あの金髪のセイバーの聖剣みたく超Coolになるようにってな!」

 「あの金髪のセイバーって?」
 ⇒「それってアーサーのこと?」

「おう! こう……クラクションのとこ押すと、光って声が出るようにな。
 あのライオンヘッドが結構ノリがよくってよ」

 それがカッコいいかどうかおいといて藤丸と金時はこっそりと部屋を抜け出した。

「まぁ、こっそり行けば、こっそり戻ってくればバレねぇって」

 自室待機を命じられてる身だ。
 部屋の中で筋トレは出来るが、やはり、効率的にトレーニングするならばジムに行く。
 トレーニング機材も十分に揃っている。
 毎週何曜日だったかにはレオニダスさんが「レオニダス・ブートキャンプ」なるものも開いている。
 幸いにも今日はそれが開かれていないようなので、ジムには人が少なめ。
 端っこの方でこっそり筋トレでもしてれば、バレないだろう。
 そんな浅はかな考えでジムに向かった。

 幸いに今の藤丸の服装はジャージと、運動には適した服装であった。
 そんな感じでいた時であった。

「おや、藤丸君。こんなところで会うなんて奇遇ですね」

 ⇒「!?」
 「ゲェーッ! 与太話パートにしか出てこないサーヴァント!?」

 青いジャージの少女が同じ区画にいた。
 これはまた嫌な予感しかしなかった。
 彼女が関わると物語は大抵おかしなことになる。
 そのサーヴァント……謎のヒロインX。

「セ……Xさんはなんでここに?」
「ええ、全てのセイバーを倒すためには日々のトレーニングが重要ですからね」
「おっ、あんたはナイト・オブ・ゴールデン!」
「違います、私はセイバー・オブ・ザ・セイバーです!」

 出会ってしまった。
 この時、静かに部屋で待機していればと、心の底から思った。

『先輩! 今どこにいるんですか!?』

 そんな時にマシュの声が聞こえた。

 ⇒「自室だよ」
「ちょっと、所用でジムに……」

「(反応はジムからなんですが……自室待機命令が出ているはずなのに……) 
 いえ、それよりも早くブリーティングルームに来てください! 緊急事態です!」


 ◇


「新しい亜種特異点……ですか?」
「ああ、そうさ!」
「フォーウ!」

 呼び出されて来たブリーティングルーム。
 そこには自身の後輩、マシュ・キリエライト
 自身を呼び出した主、レオナルド・ダ・ヴィンチちゃん。
 そして、フォウさん。

「場所は……1810年のハワイ王国さ!」

⇒「ハワイ王国ですか?」
「ワイハーですか?」

「はい、確か1810年のハワイといえば『初代カメハメハ大王が全ハワイ諸国を統一した年』ですね」
「今回の特異点は『ハワイ統一』……?」

 ハワイ王国の統一。
 ハワイは今でこそアメリカの州の一つである。

「その通りさ!」
「なるほど、つまり、今のハワイがハワイでなくなる……? そんなことになったら……」
「正月や夏休みに何よりもGW(ゴールデンウィーク)にハワイでバカンスが出来なくなるってことじゃん?」
「それはたしかに人類史にとって重要なことですね」
「で、キミたちはなんでここにいるのかな?」
「ふっ、話は聞かせてもらったぜ」
「やはりハワイにレイシフトですか、それでいつ出発しますか?」

⇒「……ヒロ院X」
「……ゴールデ院」

「いや、なんでキミたち二人は藤丸君について行く感じになってるのかな?」
「まぁ、アレだ、オレはその場のノリだ、それに頼もしい仲間が必要な時、大体オレじゃん?」
「私も同様の理由ですね、それに新たなセイバーの気配を感じたので……いえ、勿論マスターである藤丸君の安全優先ですよ」
「フォーウ? フォウフォフォ フォウゥ~?」

 ダ・ヴィンチちゃんのその質問に藤丸は答えない。
 緊急事態号令がかかる前に無断の自室待機を破った。
 そのことを咎められたら、金時がどんな目に合うかわからない(主に頼光と酒吞から)
 金時としては……自分から誘った身として引くに引けない状態。
 ヒロインXは……藤丸から口止め的なことをされている。

「というわけでダ・ヴィンチちゃん三人分レイシフト出来る?」
「…………少し時間は掛かるけどね、理由は今は聞かないでおこう、緊急事態だからね」
「あっ、はい」
「私も全力バックアップさせていただきます」

「それにしても南の島か」
⇒「Xさん、水鉄砲は持ったか!」

「何を言っているんですか、藤丸君? 真のセイバーたるもの使うのは己の剣のみ!」

「そんじゃあ、行くぜ、ハワイッ!」

 そして、藤丸、金時、ヒロインXの3人は1810年のハワイにレイシフトした。




亜種特異点
人理定礎値:??


A.D..1810自由大国異伝"布哇"



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最終更新:2017年05月14日 02:46