「それではカメちゃんと呼びましょう! ええ、それがいいです!!」
「カメちゃんですか……何かよくわかりませんが、そう呼ばれるのは初めてですね……」
「おう、よろしく頼むぜ、カメ公!」
『カ、カメ公って……金時さんだったら普通に『カメ』と呼ぶかと思いました……』
「あー……いや、オレっちがその愛称で呼ぶと……なあ、大将?」
⇒「うむ」
「別の物語になるからね」
『? まあ、先輩がそう言うなら……』
一先ず、ランサー―――『カメハメハ』を落ち着かせた。、
かの有名な「南の国の大王」が女性……。
藤丸にしてみれば七つの特異点を巡る『聖杯探索』で何度かあった。
ので、最初は驚いたが2タップくらいでいつもの調子に戻った。
近くにその代表的なのが1人いたので、まあそういうことなんだと、納得した。
「それでその……日欧連合軍って?」
「はい、まずこのハワイで行われていた『聖杯戦争』について話しましょう」
「ハワイの聖杯……?」
⇒「また聖杯戦争か」
『藤丸君! どんな形であれど聖杯を求めて戦うならそれは立派な聖杯戦争だよ』
確かにそうだ。
あの時のアーチャー対ルーラーを藤丸は思い出した。
「万能の願望機の聖杯ですが、この島々では他にも手にした者が参加した島々の全ての王になります。
そこで、親父殿……いえ、『この世界のカメハメハ大王』は『自分自身を触媒にして英霊になった自分を呼び出そう』としました。
しかし、呼び出されたのは「アタシ」でした……まあ、それでも他のサーヴァントには一歩も引けを取りませんけどね」
「なるほど、カメちゃんはハワイでの知名度補正でステータスを上げていたのですね」
「ダ・ヴィンチちゃん、サーヴァントの召喚って平行世界とかの自分を召喚するってことって可能なの?」
『うーん、理論上は不可能じゃないとは思うけど実際にはやってみないと分からないね』
「まあ、それくらいの確固たる絶対的な自信を持ってる人でしたね……
ですが、此間の連合軍との戦いで『この世界のカメハメハ大王』は討たれました。
……………………………………アタシは見ての通りのこの通りです」
戦いで命からがらで生き残った様子ではない。
でなければすぐに金時とはあのように戦えないだろう。
「……ランサーなのに単独行動のスキルを持っているの?」
「いえ……『カメハメハ』の由来は『孤独の人』です。
それがアタシのスキルにもなっているのでマスターが居なくても現界は可能です」
「なるほど」
「ただ……宝具の使用は厳しいですね」
「……で、カメちゃん、その悪の宇宙連合軍ってのは?」
「Xさん、正しくは日欧連合軍です。
武者のセイバーと軍服のキャスターが組んでいるのが日欧連合軍ですね。
配下にまだ見ぬサーヴァントがいる可能性も無きにしも非ずでしたから……しかし、実態はまだ掴めていません。
それと恐らくですが、連合の目的はこの島にいるアサシンだと思います」
⇒「この島のアサシンって?」
「そのアサシンってどういうアサシンなの?」
「アタシも親父殿から齧るほどしか聞いてなかったのですが……
恐らくこの聖杯戦争で『最大の障害』になると予見されていました。
アサシン自体の正体はわかりませんが、ここがハワイ島の本島です。
ここが一番大きい島ですし、地の利を生かした戦いをするのだと思います」
⇒「ここがカメちゃんの本拠地じゃないの?」
「そういうの得意なのってアサシンというよりもキャスターなんじゃないのかな?」
「そりゃ、アタシは『征服』する側ですからね」
きっと、このランサーの属性は『中立・善』だ。
それとこのランサーの征服者として一面も垣間見えた。
そう、藤丸は感じ取った。
「それでこれからどうするの?」
「アタシはこの島のアサシンを探します……。
それで一時休戦及び連合軍の撃破の要請をします」
「呉越同舟という奴か」
⇒「その交渉が上手くいかなかったら?」
「…………………その時はその時ですね」
「藤丸君、どうしますか? 私としてはカメちゃんの敵である悪のセイバーを倒すべきだと思いますが?」
ヒロインXの言い分はさておき。
この特異点は不明点があまりにも多すぎる。
情報収集は大事だ。
「私たちもそのアサシンを探しに行こう!」
「本当ですか、フジマル?」
「Xさんも金時もそれでいいよね?」
「問題ないぜ」
「……藤丸君がそう言うのなら……」
こうして、一先ずの一行の目的は決まった。
何はともあれここの捜索が始まったのであった。
「ところで、キントキさん?」
「どした、カメ公?」
出発する直前、カメハメハが金時に話しかけた。
「キントキさんの知り合いで『鬼嫌い』な男性はいましたか?」
「ああ、いたぜ」
「………………そう、ですか」
「それがどうしたんだ?」
「いえ、何でもないです……」
「? そうかい」
最終更新:2017年05月18日 21:25