報道記事 > 少子化・子育て

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国内の報道

社説:子育て支援 これが審判を左右する(毎日新聞/2009/08/02)

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090802k0000m070110000c.html
 民主党の公約の目玉は、0歳から中学卒業まで1人月2万6000円の子ども手当だ。現在の児童手当の給付総額の約5倍、年5.3兆円が必要になる。所得税の配偶者控除、扶養控除の廃止などで財源を捻出(ねんしゅつ)するといい、年収300万円の世帯で子が2人だと年51万1000円の増収、子がいないと1万9000円の減収になる。欧州各国と同様に所得制限がないのも特徴だ。
 財源があいまい、ばらまきとの批判はあるが、現在は児童手当の総給付費が対国内総生産(GDP)比で0.2%に過ぎず、欧州各国より1けた少ない。出産や保育費用などを含めた対GDP比は、イギリス、フランス、スウェーデンが3%前後、日本は0.75%だ。民主党案はようやく各国と同じテーブルで議論ができるという水準なのだ。
 現在の経済的支援は0歳から小学校卒業までを対象にした児童手当のほか、母子世帯や障害児のいる世帯への手当がある。家族だけでの養育が難しい子の支援という意味合いが強く、児童手当も貧しい子だくさん世帯への支援から始まった。何度か制度改正されたが、対象児童を広げると年齢を制限し、年齢を広げると扶養控除の加算措置を廃止して財源に回すなど、予算の枠の中でのつぎはぎに終始したとも言える。
 今回、自民党は就学前の幼児教育費を3年かけて無償化し、さらに保育サービスの集中整備、子育て期の短時間勤務の義務化などを打ち出した。公明党も幼児教育の無償化のほか、児童手当の抜本拡充などを発表しており、与野党こぞって子育て支援策をアピールする展開となった。
 「子育ては家族が行うもの」というのがわが国の伝統的な子育て政策の原則で、与党側はそこから踏み出しつつも現実的な改善策を掲げるのに対し、民主党案は「社会全体で子育てをする」という思想的な転換の意図を読み取ることができる。大家族の崩壊、共働きや母子・父子世帯の増加が背景にあるのは言うまでもない。また、年金、医療、介護などは次世代次第でどうにでも変わり得る。いわば子育ては継続的な国家運営の「土台」とも言うべきもので、政権交代をかけた選挙で民主党が重要政策のトップに位置づけた意味は大きい。
 もっとも、安心して子育てするためには、仕事と育児の両立、保育サービスの充実など総合的な対策が求められるが、こちらはあまり目新しいものがない。「子どもは国民の共有財産」「次世代への投資」という思想が政策として広く支持されるためには、現金給付だけでは足りないのではないか。

社説:少子化公約 財源と公平性に説得力を(産経新聞/2009/08/03)

http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090803/elc0908030233000-n1.htm
 深刻化する少子化に歯止めをかけられるのか。衆院選マニフェスト(政権公約)では、自民、民主両党ともに子育て支援を中心施策に掲げた。
 日本は世界で最も少子高齢化が進んだ国だ。このままでは国家の基盤が揺らぎかねない。少子化対策は短期間には政策効果が測りづらく、後回しにされがちだった。両党が子供や若者向け施策に重点を置いたことは評価したい。
 両党とも大盤振る舞いの政策が並んだ。自民党は幼児教育の無償化や高校・大学生向け給付型奨学金を打ち出した。一方、民主党は「子ども手当」の創設や出産一時金の55万円への増額、高校授業料の実質無償化も盛り込んだ。
 中でも「子ども手当」は、中学生まで一律に月額2万6000円を支給するという内容だ。子供が3人なら年額90万円を超す。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(平成17年)では、夫婦が理想の子供数を持たない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が65・9%で断トツに多い。子育て世帯にとっては魅力的に映る政策であろう。
 働き方の見直しや保育所整備などを中心に行ってきた政府の対策は効果がなかなか上がらず、「ツーリトル・ツーレイト(少なすぎ遅すぎ)」と批判されることが多かった。出生率が1・3台と極めて低い水準まで落ち込んだ現状も考え合わせると、これら現金給付政策を頭ごなしに「バラマキ」と批判するわけにはいくまい。
 だが、問題は財源だ。「子ども手当」は年に5・3兆円をも要する。高齢化で社会保障費が伸び続ける中で、永続的に捻出(ねんしゅつ)できるのかは疑問だ。民主党は予算のムダの見直しや所得税の配偶者控除の廃止などで財源を確保するとしているが、支給対象の子供がいない65歳未満の専業主婦がいる納税世帯にとっては負担増となる。
 「社会全体で子育て支援すると理解していただきたい」との説明も、所得制限なしに高所得者も手当を受け取るのでは理解は得られまい。「社会全体」というのなら消費税のほうが公平だろう。
 少子化対策は個々にニーズも違い、特効薬はない。各施策のバランスも重要だ。各党には、少子化の原因を表面的にとらえただけの弥縫(びほう)策を提示するのではなく、本格的な人口減少時代にどう対応するのか、国家像を示しての論戦を期待したい。
2009.8.3 02:33

社説:男女共同参画のスピードをあげよ(日経新聞/2009/08/03)

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20090802AS1K3000A01082009.html
 男女が性別に関係なく社会のあらゆる分野で能力を発揮できる社会をつくろうと、男女共同参画社会基本法が施行されて10年がたった。
 この間、政治や経済の分野で女性の活躍は徐々に進んできた。だが、その歩みは他の先進諸国に比べあまりに遅い。少子高齢化が進む日本で、男女が協力して社会の活力を維持する重要性はますます高まっている。共同参画のスピードをあげなければならない。

経済活性化に欠かせぬ
 政府は、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度にする目標を掲げている。だが、実情はかなり厳しい。
 民間企業の管理職(課長レベル)は10年前の3.4%から上がってはいるものの、まだ6.6%だ。国家公務員の管理職にいたっては1.1%から1.9%になったにとどまっている。
 国会議員は参院でようやく18.2%、先ごろ解散した衆院は9.2%だ。裁判官15.4%、弁護士14.4%、研究者13.0%……。唯一目標を達成しているのが国の審議会委員(32.4%)だが、これについては「人材不足でどの審議会も同じような顔ぶれ」との批判がある。
 国連開発計画が発表している「人間開発報告書」によれば、長寿、教育、所得の充足度を示す人間開発指数は一貫して上位にあり、08年は179カ国中8位だ。これに対して政治や経済活動への女性の参画状況を示すジェンダー・エンパワーメント指数は108カ国中58位と先進国の中で低く、下落傾向にある。
 なぜ進まないのか。理由はさまざまだろうが、内閣府のアンケート調査でトップを占めたのは仕事と家事・育児・介護などとの両立支援が不十分との答えだった。
 背景にあるのが「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という性別役割分担意識だ。高度経済成長期に、企業の最前線で働く夫を支える妻の役割は高く評価された。企業も社会の仕組みもそうした生き方を標準に組み立てられた。
 だが、今や労働力人口に占める女性の割合は4割を超える。女性の働きなくして経済活動は維持できない。男性1人の収入で家族を養うことも難しくなっている。共働きは1000万世帯を超え、専業主婦家庭を200万上回っている。
 にもかかわらず、両立支援は不十分だ。女性が男性と対等に働こうと思えば出産をあきらめざるをえず、子どもを抱えて働けば仕事と育児の両立に苦労する。一度職場を離れれば好条件での再就職は難しい。これでは指導的地位につける女性は限られる。
 日本では結婚・子育て期の女性がいったん仕事をやめるため、年齢階級別の労働力率がM字型カーブを描く。先進国の大半はすでに中断がない台形型に移行している。
 現代の産業社会ではアイデアや企画力が企業の競争力を左右する。社会の変化に対応するには、多様な価値観や経験を持つ有能な人材が必要とされる。性差にこだわっていると人材を逃してしまう。女性の能力活用は、差別をなくすという倫理的な要求だけでなく社会や企業の活性化に欠かせない。企業のトップはこのことに早く気づくべきだ。
 米国では管理的職業に占める女性の割合は4割を超え、英国やドイツ、オーストラリアなどでも3割以上だ。大手企業のトップとして腕をふるう女性も少なくない。
 有能な女性が退職するのは企業にとって損失だ。それに気づいた企業では、不況下でも育児休業や短時間勤務、在宅勤務、フレックスタイム制度など両立のための多様な支援策を用意したり、残業時間削減に取り組む動きは広がっている。
 女性社員を育成するためのネットワークづくりやメンター(助言者)をつける企業もある。女性が能力を発揮できる環境づくりが大切だ。

男性は家庭に進出を
 忘れてならないのが男性の家庭や地域活動への“進出”だ。働く女性は増えたが、男性は相変わらず仕事中心で家事・育児も子どもの教育も妻任せの人が多い。30、40代男性の5人に1人は週60時間以上働いており参加したくてもできないとの指摘もある。共同参画は家庭や地域でも実現されなければならない。
 内閣府は意識啓発に注力した10年を過ぎ、これから具体的な課題解決へ重点を移すという。そのためには共働き社会を支える保育サービスの充実や長時間労働の是正などは急務だ。税制や社会保障など社会のさまざまな制度や仕組みも男女共同参画社会にふさわしいものに変えていく必要がある。
 今年は国連で女子差別撤廃条約が採択されて30年の節目の年でもある。国際社会で取り残されないためにも、次の10年に向けて有効な対策を打つ必要がある。

マニフェストにみる少子化対策=日本総合研究所理事・翁百合(毎日新聞/2009/08/07)

http://mainichi.jp/select/biz/kansoku/news/20090807ddm008070083000c.html
 30日の衆議院議員選挙に向けて各党のマニフェストが出そろった。今回各党のマニフェストで目を引くのは、子育て世帯支援の取り組みである。従来の所得再分配政策は、社会保障給付については、高齢者に厚く、子どもには薄いという状況が続いてきた。税制についても、扶養控除などはあるが、税制でも一層の子育て支援が必要であることは何度となく指摘されていた。今回、多くの党が明確に、経済的また精神的に負担のかかる子育て世帯を支援する姿勢を打ち出していることは、評価されるべきことであろう。
 もう少し詳細にみていくと、各党の子育て支援政策には、一段の工夫を求めたい点がある。たとえば自民党は、幼児教育の無償化をうたっている。この対策は、子育て世帯の経済的負担を軽減するうえでメリットがあることは確かである。しかし、現在認可保育所に対する子育て世帯のニーズは極めて高く、待機児童が多数発生している。そうした中で、仮に幼稚園や認可保育所に入れる世帯だけ(しかも3~5歳のみ)を支援すると、そこに入れない世帯との格差が一層開く可能性がある。
 一方の民主党は月額2万6000円の子ども手当の創設をうたっている。対象年齢も広く、子育て世帯に広く継続的に支援する姿勢を示しているが、保育施設や保育サービスの充実といった施策にも多大な財源が必要なだけに、それらへの財源確保は大丈夫なのか、保育現場の現状をすぐに変えることにはならないのではないか、といった懸念がある。
 子育て支援の充実により少子化対策を推進させるためには、経済的負担の軽減によって不安を解消することに加えて、保育サービスの供給体制の充実を促す姿勢も求められる。

藤田正美の時事日想:もはや“ゆでガエル”現象なのか? 日本の人口問題(Business Media 誠/2009/08/17)

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0908/17/news015.html
 総選挙が告示され、8月30日の投票日に向けて、一斉に現職も新人候補者も正式に走り出す。政権交代が実現しそうだということで、何となく政治家は浮き足だっているようにも見える。残暑が厳しい中で政治家にとってはいっそう暑い夏になるに違いない。

これからの日本の姿
 いまいちばん問われるべきは、これからの日本の姿であることに反対する人はあまり多くはないと思う。中でも最大の問題は何か。それは高齢化が急速に進むと同時に、人口が減少する社会になっていることだ。
 人口が減るということがどれほどの大問題なのか、その認識がいまひとつ欠けているように思う。自民党も民主党も子育て支援という姿勢を色濃く打ち出しているが、それによって人口が増えるのを待つというのは、たとえて言えば「百年河清を待つ」ような話だ。
 人口を維持するためにはいわゆる合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)が2を若干上回らなければならないとされているが、日本は3年連続で上昇しているとはいえ、1.37(2008年)にしかすぎない。とても人口を維持することは不可能なのである。
 人口が維持できなければ何が問題か。よく生産人口が減るということが指摘されるが、それは大した問題ではないのかもしれない。たとえ生産人口が減っても、生産性を上昇させるとか、企業の定年を延長するなどによって不足する労働者を補うことはできるだろう。まして日本の場合は、女性の労働人口の割合が先進各国に比べれば少ない。
 25歳から29歳の年齢層では、ドイツや米国、スウェーデンと比べてもそう大きな差はないが、30歳代から40歳代になるとぐんと低くなる。30代前半では日本が61.4%であるのに対し、スウェーデンは83.7%にも達している。要するに出産したり子どもを育てるために、仕事から離れざるをえない女性がたくさんいるという話である(このような状況に対しては、保育所の待機児童をなくすというような対策が有効だろうと思う)。
 しかし生産だけではない。問題は需要側にあると思う。子どもの数が減るということは、それだけベビー用品からおもちゃ、ベッド、衣類などなど赤ちゃんにまつわる商品の販売が減る。毎年子どもの数が1%減れば、こうした商品の売り上げも1%自動的に減ることになる。もちろん出生数が増えればその逆になる。
 そして子どもの数が減れば、人口構成が頭でっかちになる。つまり団塊の世代が60歳を過ぎて、この世代を支える若い世代の幹が細くなるのである。周知の通り、それによって、医療費も年金も大きな影響を受ける。
 こうしたことは予測しえたのに、大きな声で警鐘を鳴らした人はほとんど見当たらない。それはなぜなのか。人口と経済成長の間にどれだけ因果関係があるのかがはっきりと論証されていなかったからだろうか。それとも、人口問題を論じれば、その議論の行き着く先は移民問題につながってきかねないからだろうか。実際、移民については、強いアレルギー反応を示す人もたくさんいる。
 しかし人口が減り、高齢化する社会は、活力を失う社会である。国の社会保障を信用していない高齢者は、自分の貯金を使おうとはしない。ましてこの金融危機で金融資産にかなり大きなダメージを被った人々はなおさら財布のひもを固く締めているだろう。

移民を受け入れること
 こういった状況を打開する唯一の手立ては、移民を受け入れることだと思う。もちろん闇雲に受け入れる必要はない。日本で働き、家族を持ち、永住する気持ちのある人々を受け入れればいい。日本の大学や企業で研究職に就くような人々なら、技術立国日本にとってなおさら好都合かもしれない。彼らが日本で働いて税金や年金を払い、医療保険にも入れば、日本という国にとっては大きな助けになることは疑いない。
 もし、移民は社会的に問題を引き起こすから嫌だというのであれば、あなたは日本という国が徐々に衰退していくことを受け入れるのか。こう問われたら、人々はどのように答えるのだろうか。移民を受け入れなくても(すなわち人口が減っても)、日本という国を成長させることは可能だと答える人が多いような気もする。ここまで来ると水掛け論になるから、結局のところ「移民」という社会的大問題、それも議論を呼ぶような大問題に取り組もうとする政治家は現れない。
 そして“ゆでガエル”の話ではないが、気が付いたときにはもう間に合わない、ということにもなりかねない。

《にっぽんの争点:子育て》新「手当」か 幼児無償化か(朝日新聞/2009/08/18)

http://www2.asahi.com/senkyo2009/special/TKY200908180086.html
 少子高齢化が進む中、各党が力を入れる子育て支援。自民党は幼児教育の無償化、民主党は「子ども手当」創設を目玉に掲げる。
 民主党の「子ども手当」は、中学校卒業まで子ども1人当たり月2万6千円(10年度は半額)を支給する。所得制限は設けない。
 一方で、小学校卒業まで支給する現行の児童手当(所得制限あり)、所得税の配偶者控除と、0~15歳の子どもがいる場合などの扶養控除は廃止する。
大和総研の是枝俊悟研究員が、共働きか専業主婦(夫)、年収300万~2500万円、大学生以下の子ども0~2人という条件を組み合わせた240ケースについて、導入された場合の家計への影響を試算した。
 中学生以下の子どもがいる世帯では年8千~58万6千円の収入増となった。メリットが最も大きかったのは、年収300万円程度の世帯と、所得制限で児童手当を受け取っていない800万~1千万円程度の世帯だ。
 例えば、中学生と小学生がいる専業主婦(夫)世帯では、年収300万円なら年50万9200円の収入増。年収が高くなるほど増加幅は縮まり、年収600万では45万2400円増、年収800万円では33万6千円増。年収900万~1千万円で39万6千円増と増加額がいったん上がった後、再び増加幅が縮まり、2500万円では16万8千円増となる。
 一方、専業主婦(夫)世帯のうち、(1)子どもがいない(2)子ども1人で高校生以上(3)子ども2人で高校生以上――の場合は、大半の世帯で負担増となり、その額は年1万9千~15万2千円。
 共働き世帯で子どもがいないか、高校生以上の場合は影響はなかった。
 直嶋正行政調会長は「社会全体で子どもの育ちを支援する。両親の収入に関係なく、子どもに直接支援するとの考えだ」と理解を求める。
 公立高校の授業料無償化も10年度から実施する。私立高校の生徒がいる世帯にも12万円、低所得世帯には24万円を助成する。
 自民党は小学校入学前と高校を中心に、低所得者対策を前面に出す。現在の児童手当は維持しつつ、3~5歳児の幼稚園・保育所の教育費を無償化する方針だ。
 厚生労働省と文部科学省によると、認可保育所の保育料は全国平均で年約32万円、幼稚園は公立が年約7万8千円、私立が約24万7千円。こうした負担を段階的に軽減し、12年度からゼロにする。
 子育て世帯の経済負担の軽減にも配慮した低所得者支援策として「給付付き税額控除」を導入し、課税世帯には税額控除、非課税世帯には現金を給付する。ただ、制度の詳細設計は示されていない。小渕少子化担当相は「自民党はバラマキではなく、必要なところに必要な予算をしっかり確保する」と説明する。
 多くの政党が打ち出しているのが、認可保育所に入れない待機児童の解消だ。
 働く女性の増加に伴って、保育ニーズは高まっている。認可保育所は都市部を中心に空きがなく、待機児童は約2万人(昨年4月)にのぼる。
 自民党は、17年までに認可保育所などの受け入れ児童数を100万人増やす新待機児童ゼロ作戦(福田政権が08年策定)に基づき、「安心こども基金」(計2500億円)を活用して保育所整備などを集中的に進めるとする。
 民主党は、保育所は厚労省、幼稚園は文科省といった縦割り行政を改め、子どもに関する施策を一本化する「子ども家庭省」の設置を検討する。
 国民新党は自宅を離れて暮らす大学生へ仕送りをする家庭に対する減税制度の創設、新党日本は乳幼児から高齢者まで毎月一定額を配る「最低生活保障」の導入を掲げる。

■少子化、欠ける具体策
 民主党の子ども手当創設には年5.3兆円が必要だ。現行の児童手当の廃止で浮く公費負担分約8千億円と、配偶者控除と扶養控除の廃止による約1兆6千億円をあてるほか、無駄遣いの根絶などで捻出(ねんしゅつ)するという。
 ただ、手当の使い道をチェックする仕組みはなく、本当に子育てのために使われるかは分からない。これは、現行の児童手当も同様だ。
 控除廃止で子どもがいない専業主婦世帯などで負担増となる。自民党からは「負担増を強いられる国民がいることをどう考えるのか」という批判が相次ぐ。
 民主党の推計では、子どもがいない65歳未満の専業主婦世帯で負担増になるのは全世帯の4%未満。ただ、高校生以上の子どもがいる世帯など、試算で負担増になると指摘された世帯の割合は示していない。
 民主党は「公立高校の授業料無償化などで増加分は相殺される」と説明するが、来年度から実施するのならば、短期間で国民的なコンセンサスを得なければいけない。
 このほか、公立高校の授業料無償化などに9千億円、出産育児一時金(10月から42万円)の55万円への引き上げに2千億円を必要とする。
 自民、公明両党が掲げる幼児教育無償化には、対象を認可保育所・幼稚園に限定しても約7900億円かかる。両党は、景気回復を前提として11年度までに消費税引き上げを含む税制の抜本改革を行い、翌12年度から完全無償化を実施するとしている。無償化の対象に、無認可保育所をどこまで含めるかは、まだ決まっていない。
 ただ、少子化対策に求められるのは、経済支援だけではない。少子化の大きな要因は、「仕事か子育てか」という二者択一の構造だからだ。仕事と子育ての両立を可能とするには、安心して子どもを預けられる保育サービスの拡充と、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現が「車の両輪」だ。
 厚労省の試算では、子どもを預けて働きたいと考えている潜在的ニーズに対応するには、保育所などの受け入れ児童数を今よりも100万人、放課後の小学生を預かる学童保育は145万人増やさないといけない。しかし、量の拡大などに関する目標値や期間、予算規模など具体的な計画を示している政党はない。
 ワーク・ライフ・バランスの実現について、長時間労働の是正、育児休業の取得促進などを掲げる政党はあるが、「代替要員の確保が難しい」という企業側の姿勢をどう変えるのかには触れていない。
 このまま少子高齢化の傾向が続けば、55年の人口は現在より4千万人少ない9千万人、65歳以上が人口に占める割合は2倍の4割になると見込まれる。
 子育て支援に詳しい恵泉女学園大学大学院の大日向雅美教授(児童福祉論)は「子育て支援は若い世代のためだけでなく、すべての日本人にとって重要な課題。保育サービスが充実すれば、出産後も働き続けられる人が増える。税や保険料を負担する層が確保でき、持続可能な社会保障制度の構築にもつながる」と話す。
2009年8月18日

社説:少子化対策 「手当」「無償化」で済むのか(読売新聞/2009/08/21)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090820-OYT1T01112.htm
 「少子化は日本が直面する最大の課題」
 「少子化の進展は“静かな有事”である」

 前者は政府の社会保障国民会議、後者は同じく安心社会実現会議の報告書の一文だ。与党はもちろん、野党もこの認識に異論はあるまい。
 合計特殊出生率は1・37とわずかに上向いたものの、低迷を続けている。子どもの数は年々減少する一方だ。衆院選で、各党が子育て支援の充実を公約の中核に据えたことは当然だろう。
 特に民主党は、中学生以下の子ども1人当たり月2万6000円を支給する「子ども手当」の創設を掲げた。大胆に経済支援を打ち出したこと自体は評価できる。
 それには財源の裏付けが不可欠だ。子ども手当は、所得に制限を設けず一律支給するため、5兆3000億円が必要になる。

 民主党は、配偶者控除を廃止するなどして財源の一部をまかなう方針だが、それでも約3兆円足りない。この分は予算の見直しなどで捻(ねん)出(しゅつ)する、という。
 また、配偶者控除を廃止することで、子どもがいないか、子育てを終えた専業主婦のいる家庭などでは負担増になる場合がある。一方で、子どもがいれば、所得の高い世帯にも手当は支給される。
 民主党は、子育ては社会全体で応援し負担を分担しよう、と訴えているが、こうした措置には異論も少なくない。
 自民党と公明党は、子ども手当に対抗するように「幼児教育の無償化」を打ち出した。
 無認可の保育所まで対象にするのかなど、具体的な検討はこれからだが、幼稚園と認可保育所に絞っても約8000億円が必要になる。これも、消費税の引き上げが実現するまで恒久財源のめどはたっていない。

 「手当」と「無償化」という、選挙での受けを狙った政策が突出することは、少子化対策として好ましいことではない。
 子育て家庭には、経済支援とともに、保育所の増設など行政サービスの充実も重要だ。
 ところが、このままではどの党が政権についても、選挙でアピール合戦をした経済支援に集中せざるを得なくなるだろう。与野党は少子化対策の全体像を示すことによって競い合うべきだ。
 有権者は、ビジョンを持って施策を拡充しようとしている政党はどこか、財源の裏付けとともに見極める必要があろう。
(2009年8月21日01時35分 読売新聞)

社説:09衆院選 暮らしの安心 希望持てる社会を築きたい(北海道新聞/2009/08/21)

http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/363.html
 住むまちで安心して医療を受けたい、生活を支える仕事に就きたい、身体機能の衰えを補う介護を受けたい-。どれも生きていく上で、当たり前の願いだろう。
 それがかなえられていない。そう実感している人が多いはずだ。
 世界的にも豊かといわれるこの国で、命や生活を脅かされるという不安が満ちているのはなぜなのか。
 「暮らしの安心」は、今の日本が抱える最優先の課題といえよう。
 安心できる社会を築くにはどうすればいいのか。問題を直視し、丁寧に取り組む政治が求められている。
 医師不足に歯止めがかからない。命を守るという国の政策の根幹が揺らいでいる。
 道北の士別市。人口2万2500人の農業のまちだ。医療の中核となる市立病院の内科外来は午前診療にもかかわらず、夕方になっても診察室の前に患者が並ぶ。
 医師は昼食を取る時間もない。かつて10人いた内科の常勤医は昨年4月、4人に減った。最近7人にまで回復したが、それでも患者の数に診察が追いつかないという。
 窮状は内科にとどまらない。5年前には産婦人科の常勤医が1人になり、分娩(ぶんべん)を中止している。
 士別が特別なのではない。全国、全道の地方病院の多くが似たような事態に陥っている。「医師の不足を放置してきた国の考えが間違っていた」と、吉川紀雄院長は話す。
 国が医師数の抑制にかじを切ったのは1980年代前半だ。大学医学部の入学定員を段階的に減らした結果、人口千人当たりの医師数は2・1人で、先進国で構成する経済協力開発機構(OECD)の平均である3・1人を大きく下回る。
 臨床研修の制度化も、地方の医師不足を加速させた。研修先を自由に選べるようにしたため、研修医が待遇のいい都会の病院に集中した。
 医師不足を長年否定してきた国は昨年、ようやく医学部入学定員の増加や研修制度見直しに着手した。だが、何年先に医師不足が解消するのか、見通しは立たない。
 国が医師数を減らしてきたのは、医療費を抑えるためだ。わが国の医療費は現在、先進国の中では下位にある。財政再建の論理だけで進められてきた政策のしわ寄せが国民医療に及んでいる。
 この政策の延長にあるのが、骨太の方針2006から始まる社会保障費の2200億円抑制だ。そのひずみが今、暮らしの随所に現れている。
 「すべり台社会」という言葉が昨年流行した。失業などでいったん階段を踏み外すと、どん底まで落ちてはい上がれない社会を指す。
 世界的な景気悪化で、昨秋から約1年間で職を失う非正規労働者は22万人に上ると推計されている。OECDも、日本の子供の7人に1人が貧困状態にあるとみる。貧困は遠い国の出来事ではなくなっている。
 生活がままならず、結婚や出産をためらう人たちも増えてきた。
 1人の女性が生涯に産む子供の数に相当する合計特殊出生率は昨年1・37だった。前年をやや上回ったとはいえ、人口を維持するために必要な2・08には遠く及ばない。
 安心して産み育てられる基盤も整っていない。昨年10月現在で、認可保育園への入所を待つ待機児童は全国で4万人を超えた。前年同期より4千人も増えている。
 不安は老後へ及ぶ。昨年始まった後期高齢者医療制度は75歳で線引きし、お年寄りだけで構成する保険である。「うば捨て山」との批判を浴び、相次ぐ見直しを迫られた。
 介護保険制度も目的達成にはほど遠い。「老老介護」など増大する家族の負担は限界に来ている。財源不足に伴うサービスの抑制がその根本にある。社会の支え合いという基本に一日も早く戻るべきだろう。
 老後を支える年金はどうか。厚労省が今年発表した試算では、約30年後の給付水準は現在より2割も下がる。年金不信で若い世代を中心に未加入や保険料未納が増えている。
 国が骨太の方針09で社会保障費の抑制策を撤回したのも、福祉や地域医療が崩壊した、と国民から強く批判されたからだ。
 各政党は衆院選のマニフェスト(政権公約)で、医療や福祉の具体的な再建策を示している。政治の目線が、私たちの生活に移ってきたということだろう。
 肝心なのは、これを掛け声で終わらせてはいけないということだ。財源を含めて問題をどう解決するか、納得できる「設計図」を選挙戦を通じて国民に見せてもらいたい。
 暮らしの安心とその将来への信頼がなければ、希望への道筋は描けない。「安心と信頼」の構築が今、政治に問われている。

子育て・教育 各党は <自民>教育費の軽減に特化 <民主>収入増で生活下支え(東京新聞/2009/08/22)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009082202000095.html
 子育て支援に対する各党の主張の違いは、子供の教育費軽減に特化するか、教育も含む生活費全般の下支えに力を入れるかに端的に表れている。
 幼児教育無償化を掲げる自民、公明両党は前者。「子ども手当」創設を目玉政策にしている民主党は後者になる。
 幼児教育無償化について、自民党は二〇一〇年度から段階的に教育費を軽減し、一二年度に完全実施すると記述。無償化に必要な予算は八千億円程度と見込んでいる。
 教育費の無償化は、公立に通う高校生や、低所得世帯の高校生の授業料について、民主、共産、社民、国民新の各党も同様に記載している。自民、公明両党は、さらに公立・私立の幼稚園・保育所に通う幼児まで拡大。すでに無償化している公立校の小中学生を含め、子供の教育には親の負担が極力かからないようになる。
 ただ、自民党のマニフェストに基づいて文部科学省で検討されている無償化の姿は、幼稚園・保育所、公立・私立でそれぞれ別々に割り出した親の実質負担の平均額を補助する仕組み。自民、公明両党は制度の詳細を明らかにしていないが、平均額よりも授業料が高い名門私立に通っても、全額が免除されるとは限らないかもしれない。
 親の負担は、幼稚園よりも保育所に通わせる方が大きい。無償化で、幼稚園・保育所のどちらでも負担がゼロに近くなれば、配偶者が働いて保育所に子供を入れた方が世帯の収入は増える。親の心理を考えると、保育所への入所希望がより増えるのは間違いない。待機児童問題が一段と深刻になる懸念も生まれるだろう。
 待機児童問題の対応策は、自民党が「保育サービスの集中整備」をうたっているが、具体性に乏しい。公明党は、現状では全国三百五十八カ所にとどまっている幼保一元化の「認定子ども園」を二千カ所まで増設することを明記。民主党は小中学校の空き教室、廃校を利用した保育所分園の増設を提案する。

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 民主党の子ども手当は、子供一人当たり一律月二万六千円を中学三年まで支給する制度。幼児教育無償化が子育て世帯の「支出を減らす」政策なのに対し、子ども手当は「収入を増やす」政策である点が根本的に違う。
 子ども手当は、親が自由に使えるのが大きな特徴。学校以外に進学塾の授業料にも使えるし、教育費に限らず衣食などの生活費の足しにも使える。
 現金給付は現行でも児童手当がある。二人目まで月五千円(三歳未満は一万円)、三人目以降は一万円が小学六年まで支給される。子ども手当よりも額が少なく、給付対象期間も短い上に、所得制限もある。子ども手当の導入で、これまで児童手当が支給されていなかった高所得世帯は、かなりの収入増につながる。
 導入に必要な予算は五兆三千億円と膨大。〇九年度の防衛予算四兆七千億円をしのぐ規模だ。財源が確保できるかどうか不安は残るが、子育て世帯にとっては児童手当よりもはるかに魅力的であることは確かだ。
 だが、現金に色が付いていないがために、手当を子供のために使うかどうかは親の判断次第になる。自民党は「親がパチンコに使ったら意味がない」と批判を強めている。
 子ども手当の財源の一部は、配偶者控除と一般扶養控除を廃止することで賄う。配偶者が無職で子供がいない夫婦や、高校生以上の子供がいる世帯では、控除がなくなって所得税が増える分、負担増を強いられる。

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 現金給付の拡充については、公明、共産、社民の各党も現行の児童手当の額を倍増することを明記。支給期間は公明党が中学三年まで、共産、社民両党は十八歳まで延長し、控除は廃止しない。みんなの党は月二万~三万円の「子育て手当」を中学三年まで支給することをうたった。
2009年8月22日 朝刊

【09衆院選】「選択の焦点」少子化対策 課題山積・批判続々 子育て社会の全体像は?(産経新聞/2009/08/23)

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090823/stt0908230003000-n1.htm
 「もう1人欲しいと思うけど、お金のことを考えると…」。3年前に男児を出産した横浜市の女性会社員(31)は、2人目に踏み切れない胸中を明かす。政府の調査によると夫婦の理想的な子供数は2・48人。だが、平成20年の出生率は1・37と極めて低い水準にとどまった。
 保育所不足、育児休暇を取りづらい職場環境、家の狭さ…。出産をめぐる国民の理想と現実のギャップは簡単には埋まらない。このまま少子化に歯止めがかからなければ、国家の基盤が根底から揺らぐ。
 各党のマニフェスト(政権公約)は「無料」や「無償化」といった景気のいい言葉のオンパレードとなった。少子化対策がこれほどクローズアップされた国政選挙はかつてない。

 最も話題を呼んでいるのが民主党の大看板政策「子ども手当」だ。所得制限なしに、中学生まで月2万6000円(初年度は半額)支給する。子供3人なら年間90万円超の収入である。野村証券の調査(19年)によると、高校卒業までにかかる費用は平均月7万2000円。その3割強が支援される計算だ。
 平成17年の出生動向基本調査では、夫婦が理想の子供数を持たないのは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が65・9%と群を抜く。「子ども手当」はこうした声に応えるものだ。

 だが、課題も少なくない。第一に5兆3000億円の財源を毎年捻出できるかという点だ。民主党は児童手当廃止や予算のムダの排除に加え、所得税の配偶者控除と扶養控除廃止で確保するというが、「予算のムダ」が何を指すのかは詳細な説明はない。

 民主党の岡田克也幹事長は「子供がいる全世帯で収入が増える」と胸を張るが、2つの控除廃止の影響で収入が減る人もいる。
 民主党の試算では、全世帯の4%にあたる「子供のいない65歳未満の専業主婦世帯」は、年収300万円なら年1万9000円、年収500~600万円なら年3万8000円の減収になる。
 加えて、高校生以上の子供がいる世帯も「子供なし」と見なされ負担増となる。民主党は高校生について「高校授業料無償化で負担軽減される」と説明するが、全員が高校に進学するわけではない。
 「子ども手当」が家計に与える影響を試算した大和総研の是枝俊悟研究員は「年収640万円前後の標準的な子育て世帯よりも800~1000万円の高所得層が収入増の割合が大きい」とも指摘する。高所得層は、現行の児童手当(月額5000~1万円)の対象外だが、「子ども手当」には所得制限がないためだ。これでは「低所得者重視」とは言い難い。

 鳩山由紀夫代表は「少子化問題は大変脅威。社会で子供をはぐくんでいただきたいという発想だ」と理解を求めるが、不公平感は否めない。専門家の間には「一律支給では少子化対策効果は限定される。同じ予算を使うなら、出生力の高い若い世代に集中投入すべき」(天野馨南子ニッセイ基礎研究所副主任研究員)との声もある。
 自民党は3~5歳の幼稚園・保育所の教育費を段階的に軽減し、24年度に完全無償化する。高校、大学生には給付型奨学金を創設する。「こども未来財団」の調査(18年)では、4~5歳の幼稚園児の教育費用は年約93万円で、1~3歳の約23万円を大きく上回る。この負担がなくなれば家計は楽になるだろう。
 現金給付と違って子育て目的以外に使われる可能性がなく「財源のムダがない」(天野氏)と評価の声もある。だが、民主党と程度の差こそあれ、“バラマキ”の側面は否めない。
 また、認可外施設などに通う子供が対象となるかは不明だ。マニフェストのとりまとめ役だった園田博之政調会長代理には待機児童を持つ親から「保育所に入れない子どもはどうなるのか」など苦情や問い合わせの電話が相次いだという。
 幼児教育無償化に必要な7900億円の財源確保策にも言及がない。民主党の岡田幹事長は「4年前のマニフェストにも書いてあったが、結局やらなかった。どうしてこれからできるのか」と批判する。
 少子化対策は、これらの経済支援策だけでは解決しない。若者の雇用の安定や、「仕事か子育てか」という二者択一の社会構造からの脱却が急がれる。自民、民主両党とも「待機児童解消」などさまざまな個別施策を掲げたが、どのような子育て社会を目指すのか、その全体像はなおはっきりしない。(田中靖人)
2009.8.23 00:01

働く女性に聞いた「少子化対策で、一番必要だと思うこと」ランキング(exciteニュース/2009/08/24)

http://excite.co.jp/News/column/20090824/Escala_20090824_02497.html
これまで順調に増え続けていた日本の人口も、最近になり死亡数が出生数を上回って、いよいよ人口減少社会になってきました。
政府は少子化を食い止めるためいろいろと策を講じていますが、
いまいち効果が出ません。そこで、働く20代女性に「少子化対策で、一番必要だと思うこと」についてアンケートをとってみました。
 ●第1位/子育てからの復帰がしやすい雇用状況を整える……23.8%
 ○第2位/出産費の援助・無料化……13.8%
 ●第3位/育児休暇をとりやすい職場環境を整える……12.8%
 ○第4位/会社に託児所を完備する……12.8%
 ●第5位/保育園・学童保育の整備を整える……9.0%
 ○第6位/仕事の残業時間を減らす……8.2%
 ●第7位/景気が回復する……7.4%
 ○第8位/託児所・ベビーシッター費用の援助……5.2%
 ●第9位/男性の育児休暇制度の導入と普及……5.0%
 ○第10位/不妊治療費の援助・医療保険適用……2.0%
第1位は23.8%で「子育てからの復帰がしやすい雇用状況を整える」でした。子育て後に仕事復帰しにくのは、結婚や出産をためらわせる大きな要因の一つと考える女性は多いようです。
第2位は13.8%で「出産費の援助・無料化」でした。何かとお金がかかる出産。助成金は出るものの、それだけでは全然足りません。その後の子育てのことも考えると、そう簡単には産めません。
第3位には12.8%で「育児休暇をとりやすい職場環境を整える」と「会社に託児所を完備する」がランクイン。働きながら子育てをするというのは、とても大変なことですよね。少しでも負担が軽くなれば、
産みやすくなるはずです。
このように、「現在の日本では出産しにくい」と考えている女性は数多くいます。責任を持った子育てができるよう、もう少し社会の制度が助けてくれると、少子化を食い止めることができるかもしれませんね。

自治体2割が中学まで医療費助成 少子化対策に地域格差(北海道新聞/2009/08/28)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/185232.html
 地方自治体による子どもの医療費助成で、入院、通院ともに中学生が助成を受けられる市区町村が8月下旬の時点で、全体の約2割に当たる360市区町村に上ることが28日、共同通信社による都道府県への取材で分かった。
 乳幼児から中学生までを助成対象とするのは355市区町村で、宮城県大衡村や長野県長和町など5市町村は高校生まで対象を拡大。昨年4月時点の237市区町村から約1・5倍に急増した。
 少子化対策で対象年齢の拡大が目立つ一方で、724市町村は入通院ともに小学校入学前か7歳未満に対象を限定していることも判明。医療面で子育て環境の地域格差が広がりつつある実態が浮かび上がった。
 子どもの医療費助成は、都道府県と市区町村の共同事業。全国1798市区町村は、都道府県が定める基準と地域事情を踏まえ、入院と通院それぞれの対象年齢、所得制限を設けるかどうか、全額助成か一部助成にとどめるのかなどの支給条件を独自に設定している。
 東京都は全市区町村が中学生までの助成を既に実施。群馬県は10月、県の基準を引き上げ、全市町村が中学生までの全額助成を実現する。さいたま市も10月から、政令市で初めて全額助成の対象を中学生まで拡大する。
 調査の方法 8月末の時点で(1)入院、通院ともに中学生を対象に医療費を助成している市区町村の数(2)高校生に助成している市区町村の数(3)対象を7歳未満や就学前などに限定し小学生以上が助成を受けられない市区町村の数―を、各都道府県を通じ調べた。

新政権下で明暗 恩恵受ける子育て世帯 企業成長や財政再建に課題(産経新聞/2009/08/31)

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090831/fnc0908312318026-n1.htm
 民主党が衆院選で大勝し、政権交代することで、経済政策も刷新される見通しとなった。民主党は、子供1人あたり年間31万2000円を支給する「子ども手当」などの大盤振る舞いの家計支援に乗り出す。小泉純一郎首相が「改革の本丸」と位置付けた郵政民営化のあり方も見直される可能性が強い。民主党による経済運営が暮らしや景気にどのような影響を与えるかを探った。

 【暮らし】
 民主党は子育て世帯の負担軽減を目指し、中学卒業まで子供1人当たり月2万6千円(平成22年度は半額)を支給する「子ども手当」を創設する。また、公立高校の授業料相当額を保護者に助成して授業料を実質無償化する方針だ。今年4月に廃止された生活保護の母子加算(都市部で子供1人当たり月約2万3千円)の復活も目指す。
 子育て世帯には恩恵だが、財源となる配偶者控除や扶養控除の廃止で子供がいない専業主婦世帯には増税となる。また、控除廃止でも財源が足りないため、「きちんと継続して支給されるのか」という不安もあり、どこまで消費を刺激するかは未知数だ。
 一方、22年度から交通量の少ない地方の高速道路を手始めに路線ごとに利用実態を見極めながら、順次、無料化する構えだ。実現すれば自動車旅行などの負担は減りそうだ。ただ、高速道路会社の料金収入は、旧道路4公団から引き継いだ債務返済に充てており、料金収入がなくなれば、債務返済が課題になる。
 民主党では雇用不安に対応し、非正規雇用も含めた全労働者に雇用保険を原則適用する考えだ。派遣労働者ら約1000万人が新たに失業手当の受給対象になる見込み。
 現行は週20時間以上40時間未満の派遣労働者らは「6カ月以上の雇用見込み」が受給条件だが、これを短縮し、失業しても実際に6カ月以上働いていればそれまでの賃金の45~80%の失業手当を支給する。ただ、事業主の保険料負担も増すため、中小企業の反発は必至だ。

 【税制】
 税制については、ガソリン税など暫定税率を22年度に廃止する方針で、2兆円を超える大減税になる。ガソリンは1リットル当たり約25円値下げされる計算になる。しかし、地方における道路など投資効果が低い事業は大幅に抑制されるのが確実であり、地元の道路整備を求める首長からは反対する声が強まりそうだ。
 政府・自民党は21年度税制改正で、年間所得800万円以下の中小企業の法人税率を22%から18%に引き下げたばかりだが、民主党ではさらに11%まで引き下げる方針だ。ただ、国際競争にさらされている大手輸出企業などの減税には触れておらず、今後の成長戦略に課題を残している。
 消費税の税率引き上げは4年間封印する構え。家計支援などで多額の歳出増を予定する民主党だが、財政再建に向けた基本姿勢はみえないままだ。

 【郵政見直し】
 小泉内閣で進めた郵政民営化をめぐり、民主党は日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式売却を凍結する法案を提出する見通し。日本郵政グループは現在、持ち株会社の日本郵政が全額出資子会社として郵便局会社、郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4社を傘下に抱えているが、自公政権による郵政民営化法は、29年9月末までに日本郵政への政府の出資比率を100%から3分の1超に引き下げるほか、金融2社の全株を売却して完全民営化を目指している。
 民主、社民、国民新党の3党は「郵政民営化の抜本見直し」では合意しているが、「一体サービス」を可能にする経営形態には温度差がある。郵便事業会社と郵便局会社の統合案や金融2社も抱えた持ち株会社方式の維持案など、経営形態は不透明であり、国民サービスにも影響を与える可能性が指摘されている。

【日本の議論】危機に直面する「出産」「子育て」 民主党政権で何が変わる? 本当に必要なのは…(産経新聞/2009/09/13)

http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/090913/sty0909131801004-n1.htm
 「子供2人だと毎月5万円以上か」「うちは1人だから2万6千円だね」-。民主党の圧勝に終わった総選挙から2週間。子供を持つ同僚から、しばしばこんな会話が聞こえてくるようになってきた。どうやら今回の選挙で民主党が看板政策の1つとしてきた「子ども手当」の皮算用らしい。子育て世代にとっては、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げてきた子育て政策は確かに魅力的に見えるようだ。だが、民主党の政策は、喫緊の課題である少子化問題や子育て問題を本当に解消してくれるのだろうか。日本の実態を調べていくと、実際には一筋縄ではいかないさまざまな事情がかいま見える。(豊吉広英)

1人の女性から1・37人しか子供が産まれない… 日本人がいなくなる恐怖
 「社会保障の議論といえば、年金、医療、介護…ときて、最後に“付け足し”のように取り上げられてきたのが少子化や子育てだった」
 国立社会保障・人口問題研究所前所長で早稲田大学人間科学学術院の阿藤誠特任教授(人口学)は、これまでの社会保障の議論の中で、少子化や子育て問題が“軽視”されがちだったことを憂いてきた1人だ。
 「それが、今回は選挙の争点の目玉。内容の善し悪しはともかく、クローズアップされたことは大変喜ばしい」
 実際、現代日本の少子化や子育て環境の整備問題は、極めて厳しい状況にあると言わざるを得ない。
 1人の女性が生涯に産む子供の数の推計値である合計特殊出生率は平成17年に1・26にまで低下。20年は1・37まで上昇したが、依然として人口減をもたらす危機的状況にあることは間違いない。
 経済協力開発機構(OECD)は加盟国の2006年国内総生産(GDP)に占める教育費の公財政支出割合について、比較が可能な28カ国中、日本は下から2番目の3・3%だったとする調査結果を発表。日本の政府は子供の教育に金をかけてこなかったことが明らかになった。
 そうした状況の中、今回の総選挙で民主党がマニフェストで大きく訴えたのが「子育て・教育」の分野だった。これまで大上段に論じる機会は少なかったものの、実はみんなが抱えている極めて身近なテーマ性に、国民の目が集まったのは、ある意味当然の結果なのかもしれない。

子供1人で年間30万円オーバー 専業主婦は増税も…
 民主党の少子化・子育てに関連する政策をあらためて確認してみよう。
 まずは最も注目を浴びている「子ども手当」。
 現行の児童手当は、月額で3歳未満が1万円、3歳以上は第1子、第2子が5千円、第3子以降は1万円で、小学校を卒業するまで支給される。支給を受けるに当たっては、所得制限もついている。
 一方、民主党の打ち出す「子ども手当」は、所得に関係なく、中学校卒業まで子供1人当たり月額2万6千円、年間31万2千円を支給するというものだ。
 現行38万円(10月以降は42万円)の出産一時金については、55万円に増額。さらに、公立高校生の授業料を実質無料化し、私立高校生には年12~24万円を助成する-などとしている。
 開始時期については、出産一時金と公立高の無料化については来年度から実施し、子ども手当は来年度に予定の半額を、23年度からは全額を支給するという。
 一方で、妻がパートタイムで働く家族にとって打撃となるのが所得税の「配偶者控除」と「扶養控除」の廃止だ。民主党は2つの控除を廃止することで、「子ども手当」の財源に回すとしている。
 その結果、「子ども手当」により、中学校卒業までの子供のいる約1100万世帯のすべてで手取り収入が増え、子供のいない65歳未満の専業主婦世帯では、平均的収入(年収437万円)世帯で年間1万9千円の増税になるという。一方、単身世帯や子供のいない共働き世帯には影響はないと民主党は主張している。

生活援助?少子化対策?成長戦略? 民主党の狙いはどこに
 こうした政策はどのような観点から作られたのだろうか。
 「『子ども手当』については、構想の段階で3つの点を念頭に作られた」
 マニフェスト制作に携わってきた民主党の大塚耕平参院議員は、こう説明する。
 「1つは、欧米に比べ、直接給付型の子育て支援が少ないため、それを拡充しようという国際比較の観点。2つ目は少子化が社会的な問題となる中、『子供を社会全体で育てていこう』という理念を実現しようという点。そして、3つ目は、今の若者はお年寄りに比べ、年金制度など社会保障の面で手厚い対応は期待できない。ゆえに世代間不公平を是正する必要があるという点。『子ども手当』は、これらを考え合わせ、社会政策として掲げたものだ」
 もっとも、最近は「子ども手当」の効果について、民主党は生活支援や経済対策的側面を強調しているような気もするが…。
 「確かに、消費拡大のカンフル剤として有効であることは間違いない」と大塚議員。しかし「成長戦略を意識して作ったわけではないのも事実。たまたま、社会政策面と成長戦略のパズルのピースがぴったりとはまった」とも話す。
 一方、大塚議員は配偶者控除について「『奥さんは専業主婦で家庭を守ってほしい』という考え方のもとにできた政策。女性の社会進出を阻むハードルにもなっていた」と強調する。
 子供がいる世帯に直接手当を支給することで生活を援助し、消費を拡大する一方、税制面で専業主婦のメリットを取り払う=ハードルをはずすことで、女性が労働力として社会に出ていくきっかけを作る-。
 これが民主党の「子育て政策」のポイントのようだ。

子供は「産んでる」既婚女性 それでも際だつ「少子化」の原因は…
 では、この政策が日本の少子化や子育ての問題を解消してくれるのだろうか。
 「子育てに対する手厚い経済支援は、あっていい」。
 阿藤教授は、民主党がマニフェストで掲げた政策を評価する一方で、こう指摘する。
 「結婚し、出産した女性が社会に出ていくためには、子育てと仕事を両立できる環境づくりをすることが大切だ。民主党の政策は、この点があいまいでぼやけている」
 さらには、子供を「産む」という側面では、民主党の政策は大きな効果を与えないとする声もある。
 明治大学の安蔵(あんぞう)伸治教授(人口学)は、「子育ての経済的負担を軽減」することで「安心して出産し、子供が育てられる社会を作る」(マニフェストより)とする民主党の主張に懐疑的な見方を示している。
 それは「なぜ日本で少子化が進んでいるか」という問題につながるという。
 「そもそも、結婚した女性は、以前と変わらず子供を産んでいる」と安蔵教授。日本の特殊合計出生率は1・37にとどまっているが、これは、未婚・既婚を問わない出産可能な年齢の女性が、生涯で何人の子供を産むか、という数値だ。安蔵教授は「1950年代末ごろに『子供の数は1家庭に2人』という『2子規範』ができて以降現在にいたるまで、結婚している女性に限れば、出生率はそれほど大きな変化は見せていない」と指摘する。

少子化・子育て議論の本質は「国家」や「社会」の在り方議論
 実は「結婚さえしてしまえば、高度経済成長期とほぼ変わらない出生率が保たれている」という現状。このことは、いくら「子育て」の援助をしたところで、少子化を食い止めることはできないことを意味する一方、少子化・子育て問題の“本丸”は、「未婚者に、どうやって結婚してもらうか」にあることも示している。
 では、なぜ現代社会では、未婚化・晩婚化が進んでいるのか。
 「背景にあるのは、現代の女性の考え方や生き方」と安蔵教授はいう。
 女性の高学歴化に伴う社会進出や経済的自立、結婚後の就業継続希望…。こうした価値観や行動を受け入れ、それに適応した社会システムや家族の在り方を容認するのか、伝統的な価値観に重きを置き、これまでの女性の生き方にこそ幸福があると考えるのか。
 安蔵教授は「少子化や子育てを考えるということは、国家や社会の在り方を考えていくことに他ならない」と強調する。
 現状はどうか。
 「結婚や出産でキャリアを断たなければならないのならば、結婚や出産を延期したり、あきらめることを選択肢とする女性が増えるのも自然の流れなのではないか」と安蔵教授はいう。

子供を育てるのは社会?家庭? 振り切れない日本社会の難しさ
 では結婚・出産後も自分のキャリアを捨てず、フルタイムで働きたいという女性はどうしたらいいのか。
 夫婦で仕事をしている間は保育園を利用することが多くなるが、待機児童が多い状況下、特に都市部では子供を預けるのも一苦労だ。職場に復帰しても、男性と同じ立場に戻れるとはかぎらない。男性同様一生懸命仕事をしようと思えば、保育園が終わる時間には帰れなくなってしまう。
 頼る先として浮かんでくるのは、夫もしくは妻の両親となってくるが、核家族化が進んだ社会で、親の世代が孫の面倒をみることが可能な世帯はどれぐらいいるだろうか。そもそも、夫婦ともどもフルタイムで働こうとする夫婦が、かつてのような3世代がともに暮らす「大家族」で暮らすことを望むのだろうか。
 そう考えていくと、民主党が掲げるように「社会で子供を育てる」ためには、まず国家や社会の在り方を考えていくことが必要であることが分かってくる。
 北欧諸国では、女性が1人でも子供を育てることができるだけの手厚い社会保障制度がある。まさに“国が子供を育てる”社会だ。
 一方で、日本は「子供は家族で育てる」という伝統的な価値観も根強い。
 「自分が教えている男子学生の多くも『家に帰ったら電気がついていて、みそ汁の香りがする家庭がいい』という」と話す阿藤教授はこう続けた。
 「現在の日本では、どちらの社会に振り切ることも難しいだろう。多様化する社会ゆえ、政権政党も、いろいろな層に受け入れられようと思えば思うほど、方向性はあいまいにならざるを得ない」
 さて、あなたは、どのような「社会」の在り方を望みますか-。

ロングインタビュー

少子化PT:小渕大臣に聞く(毎日新聞/2009/07/07)


 少子化問題に取り組む「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム(PT)」(主宰・小渕優子少子化対策担当相)は6月23日、「“みんなの”少子化対策」を小渕担当相に提言した。今年1月にスタートしたPTは計10回の会合を開き、恋愛、雇用、一人親などのテーマで専門家らを招き、現状や課題、提案などについて話し合った。PTを終え、少子化問題の課題やPTの成果などを小渕担当相に聞いた。【志摩和生、浜田和子】

──PTの成果について実感は。

 これまで全然話し合われてこなかった恋愛・結婚からスタートして、子育て世代のさまざまな具体的な問題について一つひとつ議論ができた。併せて、今若者が置かれている環境についてしっかりとらえ、整理できた。もう一つ、少子化政策には財源が必要だということをはっきり言い、「消費税の1%分」と提言に含めたことは大きな成果だったと思っている。

 それが今回の骨太方針2009にも反映され、少子化問題や若者支援が入ったことはこのPTの成果ではないかと思っている。安定的な財源を確保し少子化対策を拡充すべきという方向性も盛り込まれたのも大きな前進だと思う。

──財源のこと以外は具体的な数字がなかった。数字が入ればもっとわかりやすかった。

 例えばPTで話し合った不妊治療の補助について、今回の補正予算では、1回当たり10万円から15万円にとアップし、PTの話し合いが生かされている。PTでやって結論を生かすというより、PTは政策立案と同時進行でやってきた。

──課題の積み残しについては。

 人工妊娠中絶や事実婚、里親制度など家族のあり方がある。ただ、PTメンバーは政府の委員会とか審議会に入っている方が多いので、そういうところで今後もいろんな意見を言っていただけたらと思う。

──10本の提言の中で優先順位を付けるとしたら。

 そうですね。順位はなかなか難しくて、結局少子化対策は総合的にやっていくことが大事。ただ、8番の「社会全体で子どもを支える」のような意識の改革の問題がこの国の最重要課題だという認識をみんなが持ち、社会全体で子どもを育てていくんだという思いをみんなが持つことがまずは先決と思う。それとお金の面が並行していくこと。

──提言にある「消費税の1%分を子どもに」というのは、現状の消費税に入れるのか。

 消費税のトータル的な議論によるので一概には言えない。「1%を子どもたちに」と最初から言い続けたのは、子どもの存在を忘れないでほしいという強いメッセージ。本当は1%でなくても、2%でも3%でもいい。

──麻生太郎首相、与謝野馨財務相はどのように受け止めている?

 子どもや若者にはぜったいに予算を集めて投資をしないといけないという話は総理にも理解をしていただいている。与謝野さんはもともと前向きに検討をと背中を押してくださる。

──PTはどういう存在?

 私は大臣であると同時に一人の母親でもある。これまで政府がやってきた審議会は、一般の母親からすると距離を感じているところがあったが、PTは国の政策と一般の子育て世代との距離を縮めたのではないかと思う。メンバーは子育て経験者で若い人が多かった。一人ひとりがそれぞれの立場で発信力が強く、外に向けてのアピールができたのではないかなと思う。

──夫婦で子育てをしている小渕さんが、支えてもらいたいサービスは。

 子ども(1歳8カ月)はふだん保育所に預けているが、きょうは病気で家にいる。たまたま夫の仕事が大丈夫だったのでみてもらっているが、やっぱり病児保育のサービスは今後充実させなければいけない。ベビーシッターや保育ママは日本では進んでいないが、保育所の機能拡充だけではたぶんまかないきれない。わたしたち母親のニーズは保育所だけでは十分ではなく、それを支えられるようなシッターさんや保育ママのサービスは必要になってくると思う。

──ベビーシッターや病児保育は利用したことがある?

 病児保育は使ったことがない。閣議は朝7時半からという時もある。保育所が開いていないので、その朝だけは送ってもらうシッターさんを見つけた。病児保育は、みんなぶつかってる壁。そのあたりのサービスを充実させないと女性は安心して働けない。

──本当は「女性も男性も安心して働けない」と言いたいところ。

 そこまでいかない。もう切実な話なのだが。

──家事は大丈夫か。記者(共働き、子ども1人)の家はぐちゃぐちゃだが。

 いや、うちもぐちゃぐちゃ。だけど、家事はやらなくても死ぬわけではない。掃除も毎日しなくても平気でしょう。洗濯だけは、眠気をこらえながらも、やらないと洋服がなくなるので洗濯だけはやる。食事も、自分一人のためだったらあんまりたいして作らないし。もちろん家事を助けてくれるならそれに越したことないけど、家事は二の次かなって感じ。

──たぶんみんなそうではないか。

 よかった~。ものすごいきちょうめんなお母さんの話とか聞く。子どもがいるのに、なぜ。逆に、お母さんが苦しんでるのではないかと思う。

──そんなには無理。

 そうそう。無理。遊び道具なんてうち出しっぱなし。でも、毎日片づける家もある。使うとき出して、夜しまって。

──お金の給付でほしいものは。各党、給付金の話が出ているが。

 国としては、いろんなかたちで直接給付したらいいのではないかと思うが、本当は、税額控除のようなものがあるといいという話を前からしている。子どもに関して使ったお金を税額控除されるというシステムができればいいのでは。

──申請ではなく、パスのようなものを見せるとそのまま安くなるというシステムだと楽だ。申請する時間、手間がないから。

 自治体によってはそのようなことをやっているところがある。妊婦の間はパスを見せると安くなるとか。お金を配るのも大事だけど、全体的なレベルアップのような意味での控除がいいなと思う。

 あとは例えば子育て世代ではなくても、おじいちゃんおばあちゃんが孫とかに洋服を買いましたというのも、ある程度控除されるとみんなが使える。みんなが子どもとかかわり合いができるという前向きなものが取り入れられるといいなあと思う。ただ、どこまでを子ども用品とするかなど、線引きは難しそうだ。

 今、エコポイントをやっているが、子どもバージョンができないかと思う。子ども用商品を買うとポイントがたまり、そのポイントでまた子ども用商品を買う。スーパーでミルクを買って、そのスーパーのポイントがたまるのではなく、子どもポイントがたまる。そういうのも本当はPTでも話したかった。税をどうするかなどの問題も含めて。

──5月に厚労省の肝いりで「にっぽん子育て応援団」ができたが、活用できないか。

 いろんなところでいろんなものが立ち上がることはウエルカム。あとはどううまく連携するか。厚労省とか内閣府というとちょっと敷居が高くなるから、一般の人につながるような橋渡しの存在ができてくればいいと思う。

──若い人に発信するとしたらもう少し工夫をしてもいいのでは。

 私は逆にPTがそういう役割を果たせる第一歩だと思っている。確かにPTのメンバーはある程度経済的にしっかりしていて、両立ができている人だから言えるんだというご意見もいただいたが、これまで政府の審議会は50歳60歳の人が集まっていた。私たちのPTの方がよっぽど身近だった。マスコミにもオープンにして、ホームページでも状況を伝えていたし、今の子育て世代と一緒に歩けるようなもので、かつ政府とも結びつける存在がPTだったと思っている。

──子ども省についてどのように考える?

 先日も厚労省分割の話題があったが、「私の立場としてはこういうものをつくってほしい」と強く申し上げたが、やはり役所の壁もけっこう高くて厚労省も文科省もなかなか動かなかった。

──例えば「子どもポイント案」にしても、あっちの役所に行ってこっちの役所に行ってということをしなくてはならない。

 そう。予算と人員がないのはやっぱり大きい。少子化担当にも権限はある。ただ現実的には厚労省も強いし文科省も強い。人とお金が集まった「子ども省」というのがあると、もっと早く物事が早く進んでいくのではないかという気がする。総論では賛同があるが、各論で、厚労省や文科省のどこが必要なのかということになると難しい。

──若い人にどうやって訴えていくのか。

 永田町にいると私は自分が若い人の代弁者でもあるということを忘れてしまうところがある。大学での集会でも分かったが、若い人は発信したがっているし聞きたがっている。自分が若者のそばにいく努力をやっていなかったと思った。政治家になって10年。最初26歳だったが、その時は逆に若い人たちに距離を持っていた。いまになってやっと若い人と一緒に歩いていこうという意識が高まってきた。そのきっかけにこのPTがなった。

──若い人たちにメッセージを。

 私は政治家の家で育ち、いま自分も政治家をやっている。その私が言うのはおかしい話かもしれないが、一般の若い人には政治は遠いところのような気がするのではないかと思う。でも私たちの仕事は本当に生活に密着した話であり、日本で政治の存在を無視して歩んでいくことは無理だろうと思う。

 私たちの先輩や親がこの国を築いて発展させてきた。でもいずれそういった方々はいなくなってしまう。そのとき、気がついたら自分の世代、若者が声を発信してこなかった、気がついたら日本がどういう状況なのか分からなかった、政治がどういうふうにまわっているのか分からなかったというのではやはり遅すぎると思う。政治の場からもみなさんに発信していくし、みなさん方の声も十分に聞いていきたいので、ぜひ興味を持っていただき、いろんな発信をしていただきたい。

外国人向けの報道・海外の報道

移民と在日伯人の教育比較=日伯で共同研究開始=外国人子弟教育改善にも=資料提供を呼びかけ(ニッケイ新聞/2009/08/12)

http://www.nikkeyshimbun.com.br/090812-71colonia.html
 国際交流基金の知的交流会議助成プログラムの研究プロジェクト「子供の移動と教育―戦前・戦中期ブラジル日系移民子弟教育と在日ブラジル人子弟教育の状況比較研究」の発表記者会見が七日午後、基金サンパウロセンターで行われた。研究代表者の根川幸男・ブラジリア大学助教授は、「今まで両者は別個のテーマとして研究されるのみだった。画期的な研究になるのでは」と意気込みを語った。
 二〇〇六年から戦前・戦中期における日系教育史を研究している根川氏。昨年は基金を通して訪日し、インタビューや資料を基に日系教育史を公の形で残すことを目的に研究を進めてきた。
 今研究では、早稲田大学移民・エスニック研究所(森本豊富所長)とパートナーシップを組み、経済危機後にようやく深刻に取り沙汰されるようになったデカセギ子弟教育をテーマに組み込む。
 「デカセギ子弟が直面している問題が、すでに先行的に現れていて、解決策が模索されていたのでは。両者の共通点や相違点をみることで、解決策の模索、異文化適応、複数文化体験を通じての教育の可能性について議論することができる」と根川氏。
 加えて、「あの大正小学校でさえ記念誌が一冊も残っていない。ハワイや北米、カナダの日系移民教育史に比べると、ブラジルのそれは貧弱。研究蓄積を今しなくては」と訴える。
 記者会見には、来伯中の共同研究者である森本所長、ミックメーヒル・カイラン大東文化大学教授・NPO法人多言語教育研究所理事長、中野紀和・大東文化大学准教授、随行の同NPO広報係の斎藤敦さんが同席した。
 この三氏を含め、それぞれ専門を持つ十一氏が日伯で一年間にわたり共同研究を進める。一〇年度の国際会議開催を予定しているほか、日本移民学会大会や二カ国語以上による報告書などで結果が発表される予定だ。
 根川氏は、「この研究を通して、在日外国人子弟教育を取り巻く環境を整えることができれば。法的レベルで政策、法整備に持っていけるような成果を出したい」と意気込みを表した。
 最後に一行は、コロニアへ協力を呼びかけ、歴史的文献があれば研究資料収集のために提供して欲しいと話している。
 連絡は根川氏(電話=61・3307・1137、メール=sachion02@yahoo.co.jp)まで。

【社説】下がる出生率、安く良質な保育施設増やすべき(朝鮮日報/2009/08/21)

http://news.livedoor.com/article/detail/4308753/
 昨年生まれた新生児は46万5892人で、一昨年より2万7297人少ないことが集計で分かった。このため、一人の女性が一生の間に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」も昨年は1.19で、一昨年の1.25に比べ大幅に低下した。結婚や出産をすると幸運といわれる、いわゆる「双春年(2006年)」と「黄金のブタ年(07年)」にわずかに上昇した出生率だが、2年ぶりに再び後退したということだ。しかも、今年は5月までに生まれた新生児数が昨年同期に比べ約1万人も少なく、「このままでは今年の合計特殊出生率は1.12まで落ち込む」という暗い見通しもささやかれている。

 出生率の低下は、高齢化問題とも重なり、韓国の未来を暗くする。中核的な労働年齢層(25?49歳)は07年の2100万人をピークに減少に転じているが、2020年には1807万人まで減るものとみられている。今は労働年齢層(15?64歳)7人が高齢者一人を支えているが、2036年には一人が高齢者一人を支えなければならないということになる。労働人口が減り、高齢者を支える負担が増えれば、貯蓄減少・投資萎縮で国の潜在的な成長率も低下する。

 出生率を高めるには、韓国社会全体の構造や文化を「出産・子育てに優しい」方向へと修正していかなければならない。塾や習い事などにかかる「私教育費」を含めた養育費の負担を減らし、育児という大仕事を女性だけに押し付ける風潮をなくし、女性が職場で差別されないような環境を整えるべきだ。こうした努力が効果を挙げるには、かなりの時間・投資・国民意識の変化が必要となる。まずは、現実的な対策として、安心して子供を預けられる手ごろで質のいい保育施設を整えることだ。経済協力開発機構(OECD)も05年、韓国の少子化対策報告書で、「保育施設を拡充するだけで(合計特殊)出生率を0.4ポイント増やせる」と分析している。

 現在、国公立の保育施設は1823カ所に過ぎないが、政府は多大な予算を組む手立てがなく、保育施設を増やすことなど思いも寄らない状況だ。20日に国会で開かれた「少子化克服討論会」では、年金基金の福祉事業費を5年間にわたり年間3000億ウォン(約225億円)ずつ投資し、国公立保育施設を2倍に増やそうという提案があった。年金保険料を支払う人が減っている国民年金としても、保育施設の拡充で合計特殊出生率が0.4ポイント上がれば、20年後には14兆ウォン(約1兆520億円)、50年後には1291兆ウォン(約97兆円)に収入が増え、立派な投資になるという計算だ。国民年金の加入者に対する福祉サービスがほとんどないという現状で、国民年金制度の信頼性を高められる方法でもある。
 ヨーロッパでも出生率が高い国として知られるスウェーデンは、1?3歳児の80%以上の保育を、地方自治体が運営する施設で引き受けている。4歳からは義務教育の対象になり、国が子供を育てる。保育費は政府と親が分担するが、月に18万ウォン(約1万4000円)を上回ることはなく、親にとっては大きな負担ではない。従来の枠を超えた発想と対策がなければ、亡国的な少子化傾向を改善することはできない。

【社説】少子化問題、「国家興亡」次元で取り扱うべき(朝鮮日報/2009/08/31)

http://www.chosunonline.com/news/20090831000005
 28日に行われた政府と与党ハンナラ党との協議で、同党側は少子化対策を推進するために、現在保健福祉家族部内に設置されている少子化対策担当の機関を大統領直属へと格上げするよう要求した。同党の安商守(アン・サンス)院内代表は、「一歩間違えば国が衰退するだけでなく、消滅の危機にひんするようになることも考えられる。このような危機感を持って問題の解決に当たらなければならない」と述べた。大韓民国は昨年の合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の数)が1.19人を記録し、香港(0.96人)を除き「世界で最も子供が産まれない国」となっている。保健福祉家族部は「2011年には合計特殊出産率が0.96人にまで落ち込む」と予想している。
 韓国政府は2005年、合計特殊出生率が1.08にまで落ち込んだことを契機に、少子高齢社会委員会を発足させた。この委員会では大統領が委員長となり、12部処(省庁)の長官が委員を務めていた。当時事務局となっていた保健福祉家族部の少子高齢社会政策本部は、三つの局で構成されていた。その後出生率は06年に1.12人、07年には1.25人といったんはやや上向いた。しかし李明博(イ・ミョンバク)政権発足と同時に、大統領直属のこの委員会は廃止となり、代わりに保健福祉家族部長官が委員長を務め、10部処の長官が委員を兼任する少子高齢社会委員会が発足した。この委員会は従来の大統領直属から、保健福祉家族部の少子高齢化政策局が担当するものへと格下げされた。そのような流れを反映してか、2年連続して上昇していた出生率は昨年から再び下落し、最新の資料では1.19人にまで落ち込んでいるという。06年から07年の出生率の上昇は、06年が双春年(立春が2回ある年)、07年は黄金亥年(旧暦でこの年に生まれた赤ちゃんは財運を持つといわれる。十干十二支に陰陽五行を考慮して600年に1回訪れる)だったことが大きく影響している。いずれにしても、「現政権は少子化問題に関心がなくなったのでは」との非難は避けられないだろう。
 出生率を引き上げるのは非常に困難なことだが、努力すればしただけの成果も現れる。柳韓キンバリー(株)は2カ月の産前休暇、3カ月の出産休暇、1年の育児休暇など、子育てしやすい社内環境の整備に努めたところ、2005年には1.0人だった社内での出生率が、08年には1.6人へと上昇した。フランスでは破格の出産奨励関連の補助金政策により、国内総生産(GDP)の4.7%に当たる883億ユーロ(約11兆8000億円)を1年に投じている。フランスの合計特殊出生率は1990年代に一時1.66人にまで落ち込んだが、昨年は2.02人にまで回復した。
 どの政権も「5年後の大統領選挙に影響のある仕事」や「5年以内に成果が出る事業」にばかり関心を傾けてきた。その影響もあってか、ここ数年で大韓民国は「世界で最も子供が生まれない国」に転落した。一人当たり国民所得が2万ドル(約187万円)に到達する前から、労働力不足、内需の縮小、社会支出の増大などの経済におけるが早老化現象が表面化すれば、今後も先進国となる道はさらに険しくなるだろう。大統領から先頭に立って、また政府全体も必死の努力を傾け、少子化対策には正面から取組まなければならない。各政党もこの問題を国家的な課題としてさらに重要視する必要がある。放送局なども国の未来がかかったこの種の問題については、より大きな関心をもって仕事に臨んでほしいものだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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