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ガンダムTOP/ストーリー/ヴァトラスの剣 - (2011/02/05 (土) 12:40:34) の編集履歴(バックアップ)



ストーリーモードに書かれているストーリーをまとめたページです。

ネタバレ含みますので、純粋に攻略を愉しみたい人は見ないほうがいいです。


円卓の騎士編
ヴァトラスの剣 流星の騎士団



ヴァトラスの剣

ザビロニア帝国の武力により
陥落したブリティス王国。
ザビロニア帝国の圧政に
苦しむ人々は、ブリティス王国の
再建とキングガンダムの復活を
待ち望んでいた……。





プロローグ

今ではない時代…スダ・ドアカワールドの、
これはもうひとつの物語。
彼の地・ブリティス王国では、
平和を愛する偉大な王・キングガンダムの下、
人とMS(モビルスーツ)が平和に暮らしていた。

しかし、悠久とも思われた平和は、
前触れもなく終焉を迎える。
ザビロニア帝国の侵攻である。
圧倒的な軍事力の前に、
キングガンダムが治めるブリティス王国は陥落。
キングガンダムはその消息を絶ち、
幼い皇子もまた戦乱に消えた。
ザビロニア帝国が誇る黒の軍勢は
侵攻の手をゆるめることなく、
かつてのブリティス王国を隅々まで蹂躙した。


ザビロニア帝国の圧政の下、平和を愛する民は嘆き……
かつての偉大な王を想った。
王は生きている。
今は雌伏して、いずれきたる再起の時を待っているのだ。
噂はかつてのブリティス王国領内に
隅々まで浸透していった。
噂を追うように、
ザビロニアの戦士団は捜索の手を大陸中に伸ばした。
「皇子はどこだ!差し出した者には褒美をとらせるぞ」
ザビロニアのモンスターや戦士に、
そうやって追求されたという者が、
ひとり、またひとりと増えていった。

皇子は生きている!

ただの噂は憶測になり、人々の確かな希望になった。


ザビロニアの捜索の手が王国全土に及んだ結果、
全ての民が希望を見出したことは
帝国にとって皮肉だった。
正義の志を胸に秘めた若者が、かつての騎士が、
皇子を捜し求めて旅立った。
それは小さな小さな、しかし……確かな兆し。

ザビロニアを憎む全ての者にとっての希望、皇子の行方はようとして知れない。

そしてついに、
ザビロニア帝国の捜索の手は旧ブリティス王国領、
辺境の地ラナールに及ぶ。




1人目 ゲゼマタンゴ

その夜、ラナール地方ベルファスト村は炎に包まれた。
「ゲゼマタンゴども! 白い鎧のガンダムだ、草の根を分けてでも探し出せ」
モンスターの群れを指揮するのは、邪騎士ザクエス。まずは火をかけ、混乱に乗じて一気に村長の家を占領してしまう。
手馴れたやり方に、ベルファスト村はあっさりと陥落した。

「我らは七年をかけて、かつてのブリティス王国を隅々まで調べた!もはや、残るはこのラナール地方を残すのみ」
「この村にガンダム賊の者はひとりもおりませぬ。どうか、おゆるしを」
言い逃れようとする村長スミスに向けられたのは邪騎士ザクエスの冷たい一暼だった。
「その言葉がまことならば、このような辺境の村に用はない。村を焼き払うとしよう」
邪騎士ザクエスの号令で、一糸乱れぬ動きを見せるゲゼマタンゴ。
その頭からは奉仕が飛んで、ポコポコと膨らむと新しいゲゼマタンゴの形を成した。
「増殖している……そんな、モンスターでこの村を埋め尽くす気なのか」
村長スミスが慟哭する。モンスター達は次々に家を破壊して……やがて、いたるところから火が上がった。
かつてのブリティス王国領内において、幾度も繰り返されてきた破壊だ。

「おのれ……僕達の村を、それがザビロニアのやり方か!」
焼け出された者達が目を伏せる中、不意の絶叫が炎を震わせる。
見事な銀色の鎧に剣を携えた、ガンダム族の若者がそこに立っていた。
「皇子!」
とっさに叫んでしまった村長スミスが、邪騎士ザクエスに見据えられて縮み上がった。
「この我をたばかろうとは、小癪なクズ共め。やれ!ゲゼマタンゴ。皇子は捕らえ、村は消し炭に変えてやるのだ」
「そんな酷いことはさせるものか!村長を放せ!!」
ゲゼマタンゴの群れに飛び掛かるガンダム族の若者。
その手の中で、剣が強い輝きを帯び始める。




2人目 チキンゾック

最後のゲゼマタンゴが切り伏せられると、邪騎士ザクエスの顔に焦りの色が浮かんだ。
「その力、間違いない。ついに見つけたぞ!キングガンダムの血を継ぎし者よ」
「キングガンダム?貴様、いったい何を……」
「ラナールの領主ガルマ……ザビロニア本国にも報告を急ぐぞ!皇子をついに発見した」
邪騎士ザクエスは馬に飛び乗り、単騎、脇目もふらずに逃げていった。

「ひゃっひゃっ、見事じゃ皇(クラウン)よ!」
賢者アントニオ。
育ての親とも言うべき男の大笑に、若者は狼狽気味に振り返る。
「時はきた。どれ、ワシの役目を果たすとするかの……ほりゃ!」
賢者アントニオが印を切ると、若者が手にしていた剣が光り輝き、その輪郭を変える。
代々のブリティス王家に受け継がれし、猛将ヴァトラスの剣だ。
「その輝きこそが王の資質……この世界に今、ともった希望の光じゃ」
「そうだったのか……この剣の封印とともに、僕の記憶も解き放たれたよ」
呟くと、皇子……皇騎士ガンダムは静かに目を閉じる。
若者の胸には今、城を焼かれ、辛くも落ち延びた屈辱の日の記憶がありありと蘇っていた。
「僕は父の意思を継ぎ、平和な国を取り戻す……そのためにはどうすればいい?」
「まずは、このラナールの地を解放するが上策!さすれば、働き場を求める正義の志がこぞって馳せ参じるじゃろう」

賢者アントニオの助言は、皇騎士ガンダムを森に向かわせた
ラナール領主ガルマの館への最短を行くためだ。

祖国解放に向けて一歩を踏み出した、皇騎士ガンダム。
その行く手をモンスターが阻む。
「コッコッコッ!コッコッコッ!!」
チキンゾックの大群だ。皇騎士ガンダムが、剣の柄に手をかけた。
「そこのお前、引っ込んでな!」
勇ましい大声は、皇騎士ガンダムの頭上からだった。
枝葉がざわめき、ひとりの検視が華麗に降り立つ。
「おいらはセンチネルの勇剣士プラス!ザビロニアのモンスターは、おいらの獲物だ」




3人目 ハンターゾゴック

勇剣士プラスと皇騎士ガンダム、二人の実力を知ったチキンゾック達は我先に逃げ出した。
「あんた、たいした腕だな。それにその剣」
「僕は、皇騎士ガンダム。我が父キングガンダムの志を継ぎ、ザビロニア帝国と戦う者だ」
「キングガンダムの志……マジかよ、やった! やっと会えたぜ」
飛び上がって喜んだ勇剣士プラスが、慌てたようにその場に膝をつく。
「一緒に連れていってくれ!センチネルはヤツらに落とされた……おいら、みんなの仇を討ちたいんだ、ですっ」
「あぁ! 力を合わせて平和な世界を取り戻そう」
心強い仲間を得て、皇騎士ガンダムの旅は続く。

森を抜けて一昼夜ほども歩くと道は変わり、坂になった岩道は、歩くにつれて急速に気温が下がり、山頂に差し掛かる頃には全くの氷山と化していた。
「標本みたいじゃないか? マンモスにMS、なんでも氷浸けになってるぜ」
不気味な眺めだ。先を急ごうとした皇騎士ガンダムは、腰に佩いたヴァトラスの剣が発光していることに気付く。
「剣が哭いている……勇剣士プラス、待ってくれ。この辺りに何かあるのかもしれない」
「何かって……げ、待った、隠れろ!」
制止の声。
勇剣士プラスが、皇騎士ガンダムの肩をぐいと引く。

「あん? 今、声がしなかったか」
前方からも声がして、氷山の群れに紛れていた大小の背中が足を止める。
ザビロニア帝国の戦士マラサイと、モンスターのハンターゾゴックだ。
「こんな場所に生息している動物がいるとは思わんが……ハンターゾゴック、戻って見てこい」
「フシューッ!」
真紅の魔物が、皇騎士ガンダムと勇剣士プラスが隠れる氷山に近づいてくる。
「しめた、ヤツら二手に別れたぜ。先にあの赤い方をやっちまおう」
先ほどに続く場をわきまえない大声に、呆れながらも皇騎士ガンダムは剣を抜いた。




4人目 戦士マラサイ

ギイイィィィィィィィィィン!
空間が軋むような音と共に、皇騎士ガンダムの膝からは急速に力が抜けていく。
「お、おい、皇騎士ガンダム! どうしたっ」
ハンターゾゴックを切り伏せた勇剣士プラスが、皇騎士ガンダムの異変にうろたえた声を上げる。
ヴァトラスの剣が発光しながら、振動を強める。
「なんだっ、氷山がせりあがって……げ!? 見ろ、皇騎士ガンダム。氷の中に」
勇剣士プラスの声は、氷が砕け散る澄んだ音に遮られた。

ヴァトラスの剣の振動に呼応するように、氷が剥がれ落ちていく。
ついには中を見通せるほどに薄くなった小さな氷山を前に、皇騎士ガンダムは息を呑む。
「鎧騎士ガンダムF90だ! 何故、お前が」
鎧騎士ガンダムF90。
かつては皇騎士ガンダムの剣の師を務めた、ブリティス王国最強の騎士だ。
王都陥落時は身を呈して幼い皇騎士ガンダムを逃がすために戦い、散った……そう思い込んでいた。
二度と会えないと諦めかけていたその彼が、何故ここに?
「…………皇子」
生きている。歓喜する皇騎士ガンダムの背後に、ひと筋の影が差し込む。
「くそっ、ここで止めなきゃ帰れねぇ!」
「ち、テメェを忘れてたぜ」
間一髪だ。
素早く反応した勇剣士プラスが、皇騎士ガンダムの背中を狙った剣を受ける。

「見事だ、若き剣士よ。よくぞ今日の日まで皇子の背を守ってくれた」
氷が内から砕け、雪のような白い結晶を散らした。
「ぐ………っ! こ、この、もう動けるなんて反則だぜ」
「はてさて、動けるかどうか。王子の背中を狙う不埒な輩を相手に試してみるとしよう」
「なんか、すげぇのが出てきたな」
最強の騎士の完全復活に、ヴァトラスの剣が満足げに振動した。




5人目 魔術士ザクキャノン

「すげぇ、これが本物の騎士の戦いかよ」
勇剣士プラスが感嘆の声を上げる。
歴戦の戦士マラサイをしてなお、二人の技量には大人と子供ほどの差があった。
「ザビロニア本国に戻って伝えるがいい、円卓の騎士が若き王の下に集う日は近いとな」
折れた剣を捨てて、くやしそうに戦士マラサイは走り去る。

「生きて今日の日を迎えることができるとは。皇子……立派になられて」
「鎧騎士ガンダムF90、僕を”皇子”とは呼ばないで欲しい」
「御意、皇騎士ガンダム様」
復活した鎧騎士ガンダムF90を新たな仲間に加えて、皇騎士ガンダムの旅はひとつの山場を迎えようとしていた。

目指す領主ガルマの館は、肉眼で確認できる距離に近づいていた。
うっそうと茂る森の奥に建てられた館は、湖に囲まれ、正面の立派な石造りの橋だけが門へと続く道だった。
「ここが領主ガルマの館……むっ!? 皇騎士ガンダム様、あれを」
鎧騎士ガンダムF90が指さした彼方、橋の向こう側に、ホタルのように朧な光が灯る。

魔術士ザクキャノンの一師団だ。
杖に灯った魔力の光は禍々しい炎になり、橋の向こうから一斉に放たれた。
身構えた皇騎士ガンダム達だったが、炎は皇騎士ガンダム達を逸れて、石造りの橋を撃つ。
「まずいぜ、あいつら足止めして橋を落とす気だ!」
「この橋を落とされれば、狙い撃ちにされます!駆け抜けられよ皇騎士ガンダム様!!」
ヴァトラスの剣が輝く。鎧騎士ガンダムF90や勇剣士プラスの援護を受けて、皇騎士ガンダムは一直線に橋を駆け抜けた。
予想だにしなかった突撃に驚き慌てて、隊列を乱す魔術士ザクキャノン。
「すまないが、ここは通してもらう!」
苦し紛れの反撃は苦もなくかわして、皇騎士ガンダムが魔術士ザクキャノンに肉薄する。




6人目 呪術士ダーティギャン

一度、距離を詰められた魔術士達に挽回の術はなかった。
鎧騎士ガンダムF90と勇剣士プラスも加勢して、魔術士ザクキャノンを一人残らず切り伏せる。>
「今の突撃は凄かったな、皇騎士ガンダム! おいらより疾かったぜ」
「ヴァトラスの剣を軽く感じるようになってきた」
皇騎士ガンダムの手で、ヴァトラスの剣は光を揺らめかせる。
「皇騎士ガンダム様を認め、真の力を解放しようとしているのですよ」
鎧騎士ガンダムF90が誇らしげに、戸惑う皇騎士ガンダムの肩に手を置いた。
「先を急ぎましょう。不利を知れば、領主ガルマが逃げ出すかもしれません」

一刻の猶予もない状況だ、扉の錠は剣で壊した。
迎え撃ってくるか、それとも鎧騎士ガンダムF90が言うように逃げ出すのか。
領主ガルマの対応が見えない中、緊張の度合いが高まっていく。
「カビ臭い屋敷だな。明かりもなしかよ……いつ敵が飛び出してくるかわからないぞ、注意しろ皇騎士ガンダム」
「はっはははは! そうだろ、おいらは忠義の塊だからな」
「王国復興の暁には、是非とも騎士を名乗られよ。私も口添え致そう」
「おいらが騎士かよ!」
歓声を上げる勇剣士プラス。

「我が魔術士団は討たれたか、よくもあがく」
水を差された格好だ。
ちっと舌を鳴らして、勇剣士プラスが剣を抜き放つ。
「反逆者よ、我が魔力で塵となれ……」
呪術士ダーティギャン。
滲み出る魔力からも、これまでの敵とは桁が違う実力を感じた。
「反逆者だと! 平和なブリティス王国を侵略して、たくさんの民の平和を踏みにじったお前達が言うことか」
「力こそ正義。我等が正義の前に屈せし汝らは、害虫にも等しい……」
皇騎士ガンダムの怒りを静かに受け流して、呪術士ダーティギャンが杖をふるう。




最終決戦 ! 魔剣士ザクロード

皇騎士ガンダムの怒りの剣は、呪術士ダーティギャンを守る魔力障壁をひび割れさせた。
「グハッ! まさか……我が絶対の魔力障壁が」
崩れ落ちる呪術士ダーティギャン。
難敵を討って尚、皇騎士ガンダムの表情は冴えない。
「かの敵の言葉もまた真実。正義とは清き心と正しき力……力なき正義とは脆いものなのです」
二人の胸には、忌まわしい記憶がありありと蘇っていた。
怒りと悲しみを共有しているからこそ、鎧騎士ガンダムF90は皇騎士ガンダムの無謀な攻めをいさめなかったのだ。
「祖国再興の時は間もなくだ。行こう、鎧騎士ガンダムF90.勇剣士プラス」

闇に占められた通路を駆け抜け、ひと際立派な扉を蹴破る皇騎士ガンダム一行。
「そこに隠れているんだよ、イセリナ。戦いはすぐに終わる」
「ガルマ様、決してご無理をなさらないで」
果たして、床に伸びた赤い絨毯の先には領主ガルマの姿があった。
領主ガルマと絡め合っていた指をほどき、金髪碧眼の女性は部屋の奥へと駆け出す。
抜け道があるのだろう。
女性の姿は、闇に溶けるように消えた。

「ハハハッ! すまないね、亡国の皇子。お待たせしたかな」
「ぼくを皇子と呼ぶな! ぼくは皇騎士ガンダム、父の志を継ぐ者だ」
「ふん、キングガンダムの小僧がよくも吠える」
声はガルマのものではない。
領主ガルマの背後から、小山とも錯覚する巨体が現れた。
ズシン、ズシン。
剣士の一歩で床はひび割れ、振動する。
「この魔剣士ザクロードは、ザビロニア帝国ラナール地方軍最強の剣士。お前達が束になったところで敵う相手ではない」
勝ち誇って身を翻す領主ガルマ。
「待て、逃げるのか!」
追おうとする皇騎士ガンダム達の前に、魔剣士ザクロードが立ちはだかる。




エピローグ (1周目)


皇騎士ガンダムの渾身の一撃が、
魔剣士ザクロードの銅を薙ぎ払う。
崩れ落ちた魔剣士ザクロードの重さで、
床には蜘蛛の巣のような亀裂が走った。
それきり、魔剣士ザクロードはびくりとも動かない。
「領主ガルマを追いましょう!
あの者を逃がしては、ラナール地方における
ザビロニア帝国の支配は続きます」
鎧騎士ガンダムF90が、
領主ガルマが消えた抜け道へと皇騎士ガンダムを促す。
正論だった。
物言わぬ魔剣士ザクロードの亡骸を
何度も振り返りながらも、
やがて皇騎士ガンダムは駆け出す。


領主ガルマが使った抜け道は長く、
石を敷き詰めた床を皇騎士ガンダム達の靴の蹴る音が、
何重にも反響した。
「ここまできて、逃がしたんじゃシャレにもならねぇぞ!
今までの戦いはなんだったんだ」
勇剣士プラスが疲労しきった顔で呟く。
走り続ける皇騎士ガンダム一行。
ついに領主ガルマに追いつくことは出来ないまま、
皇騎士ガンダム達の行く先から不意の歓声が届いた。
「敵の増援かもしれません、ご警戒を……皇騎士ガンダム様」
頷き合って、騎士達は剣を抜く。
そうして警戒しながら外に出た皇騎士ガンダム達は、
意外な光景に驚きの声を上げた。


「謀ったな、皇騎士ガンダム……」
妻のイセリナと共に縛り上げられた領主ガルマが、
皇騎士ガンダムの姿に苦々しく呟く。
謀った? 言葉の理由はすぐ明らかになった。
領主ガルマを取り囲んで歓声を上げているのは、
ベルファスト村の自警団・兵士ジムライト達だ。
「助けに来たわ、皇騎士ガンダム!」
村長スミスの娘、ミハルが手を振ってくる。
「助けにだって……危険もかえりみずに。ありがとう、みんな」
「俺は領主の宝に興味があっただけさ」
ひねくれ者の盗賊カイが、そう言ってうそぶく。
兵士ジムライト達やミハルが笑うとそっぽを向いてしまった。
朝日が昇る。
その光が疲れきった箭子達を優しく包んだ。


「さぁ、私達の村に帰りましょう」
ミハルが皇騎士ガンダムの腕を抱く。
困った皇騎士ガンダムは
鎧騎士ガンダムF90を振り返る。
「よろしいのではないでしょうか?
いかなる偉大な英雄にも休息は必要です」
「そうそう、村のみんなも
英雄達の凱旋を楽しみに待っているのよ!」
ラナールはザビロニア帝国の支配から解放された。
王国再興に向けた戦いは続く。
疲れ、傷ついた身体を休めるため、
皇騎士ガンダムは
第二の故郷ベルファスト村へと帰るのだった。

流星の騎士団へと続く・・・


最終決戦 ! ザクトパス

皇騎士ガンダムの渾身の一撃が、魔剣士ザクロードの胴を薙ぎ払う。
崩れ落ちた魔剣士ザクロードの重さで、床には蜘蛛の巣のような亀裂が走る。
「とんでもない化け物だったな、勝った気がしねぇ」
「待ってくれ、みんな。魔剣士ザクロードの様子が……うわ!?」
その瞬間、倒れた魔剣士ザクロードから黒い霧が立ちのぼる。

「フシュルルルルルルルルルル!」
作られた闇の中、不気味な唸り声と共に……ずるり、と床を何かが這う音が響く。
やがて黒い霧が薄れるにつれて露わになったのは、魔剣士ザクロードの鎧を内から砕いて伸びたピンク色の触手だ。
モンスターザクトパス。
タコの化身とも言うべき異形に、皇騎士ガンダムは言葉を失う。
「この、圧倒的な力は……皇騎士ガンダム! 一度、身を引いて態勢を整えましょう」
「僕は引かない! 一度引けば、逃げることに躊躇いを抱けなくなる」
対峙しているだけで膝が震える。
桁外れの力を前に、皇騎士ガンダムはヴァトラスの剣の切っ先をザクトパスに向けた。
皇騎士ガンダムの意志に共鳴するように、ヴァトラスの剣が目も眩む光を放った。
「輝け、正義の剣!」
正義の力の高まりにザクトパスが警戒の唸り声を向けた、その時だった。

領主の館の天窓が砕け、ガラス片と共に金色の光が流れる。
「礼を言うぞヴァトラスの剣よ。よくぞ私を皇子の元に導いてくれた」
「白金卿!」
鎧騎士ガンダムF90が、かつての友の名を呼ぶ。
「久しいな! そして……あの幼かった皇子がこれほどご立派になられて」
「すげぇな。何者だあいつは」
「白金卿。ぼくの父キングガンダムに仕えた、ブリティス王国騎士団のひとりだ。無事でいてくれたのか」
「無論! 一日千秋の思いで今日の日を待ち望んでおりました」
略式の臣下の礼。
ザクトパスを挟んだ対角線に位置どった白金卿が、剣を構える。
「王国再興の日はきた! ブリティス王国の騎士、白金卿……参る!!」




エピローグ (2周目)


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○○編へ続く・・・




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