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想い届けるまで

667 名前:想い届けるまで[sage] 投稿日:2011/05/11(水) 20:36:22.61

食堂で流れるTVからシェリルの声が聞こえて、つい目がいく。
(TVを通して見ると全然違うな)
銀河の妖精然とする華やかで美しいシェリルのプロの仕事に感心しつつ、
プライベートの彼女を思い出すと、アルトは少しの焦燥とあふれる温かさを感じた。
(グレイスがついてるとはいえ、あいつ、ちゃんと無理せずに、ちゃんと休んでるだろうか?)
あの左耳にあったものは、今はこの御守りの中にある。
アルトは愛おしさ抑えられず、そっと胸元にあるその存在を確かめた。

**********

ステージで倒れてからここ数日、調子の悪かったシェリルだが、今日は少し調子が良いようだ。
心配されるのを嫌がるシェリルを、アルトは労わり、嬉々として世話を焼いていた。
(心配する人間がいることをせいぜい実感したらいいさ)
芸狂いなのもいいが、体調管理も仕事のうちだ。

外での仕事を減らされているシェリルは、自室でボイストレーニング、ダンストレーニングをこなし
ぶつぶつと譜面に向かったり、おもむろにピアノを弾いたりしている。
シェリルは不本意そうだが、近くにいられる時間が長くなったアルトはまんざらでもない気持ちだ。

世話を焼くことに楽しんでいて、辛い思いをしているシェリルに少し申し訳ない。
(こんだけ集中してると、後でどっと疲れるんだろうなぁ…)
ぐったりと伸びるシェリルを想像し、アルトは苦笑した。
グレイスにカロリー摂取の確認をして、甘味を準備してやろう。
先日買ってきたようかんがまだ残っているはずだ。

***********

アルトの淹れた煎茶とようかんで一息をついたシェリルは
横になっていたソファーでいつの間にか眠ってしまっていた。
アルトは、眠り姫に毛布をかけてやり、ソファーの下に腰かけ寝顔を眺めると、
最近張りつめた様子のシェリルの緊張を解いたことに満足した。
顔色はそう悪くはない。
食事の時も薬を飲んでいた。
しかし、この程度の活動で眠るほどに疲れてしまうということは、やはり、あまり調子がよくないのだろう。

熱を計ろうとアルトは白い額に手を伸ばした。
すやすやと眠るシェリルの顔は人形のようで、造作の繊細さがよく分る。
特に熱はないようだが、滑らか触り心地を感じたくて、アルトはそのまま頬に触れた。
くすぐったいのか、シェリルがにへらと笑い、アルトもつられて微笑んだ。
(俺の心配も知らないで、能天気に寝やがって)
悔しくなるほどに、シェリルのことで一喜一憂する自分がいる。
まだ出会って数カ月程なのに、どうしようもなく、心の中にシェリルが居座ってしまっている。
シェリルは憎からず思ってくれているようだが、
まだ、胸の内は晒してくれず、シェリルが時折見せるよそよそしさに歯がゆい思いをしている。
そのことを言ってしてしまいたくなる時もあるが、焦りは禁物だ。
アルト自身は、シェリルと一緒に何か大きなことに巻き込まれることは覚悟ができているが
シェリルは、まだ巻き込む勇気がないのだろう。
まだ、たったの数か月しかたっていないのだから、アルトがシェリルを想うほどには、
シェリルがアルトを信頼していないのも無理はない。
(一人ぼっちじゃない、か…。ホントにわかったのかよ?全然、分かってないだろ)

アルトは、思いが伝わればいいのにと、シェリルの耳にかかる「想いを伝える石」に触れた。
すると、シェリルの長いまつげがフルフルと震え、ゆっくりと瞼が開かれた。
「ア、ルト…?」
起こしてしまった、とアルトは手を引いたが、シェリルは完全に起きてしまったようだ。
眠そうに体をもぞもぞとしている。
「起こしちまったな」
ちょっと怒ってくれることを期待したアルトの背に夕日に染まった空をぼんやりと眺めてシェリルがふわりと笑った。
「ううん。もう、夕方だもの。今日も、もうすぐ終わるわ」
入ってくる光は強さを弱めているというのに、眩しそうに目を細めるシェリルは
美しく儚げで、アルトの胸が切なく疼いた。

いつもみたいに憎まれ口で場の空気を換えようと思った。
美しいものには触らずにそのままにしておこうかとも思った。

しかし、アルトの思考を破って、シェリルに触れたいという衝動がアルトを突き動かした。
「アルト?」
窓を見ていたシェリルがきょとんと唇を重ねようと身を屈めるアルトに視線を合わせた。
「ダメ」
シェリルがとっさに顔をそむけた。

「なんで?」
アルトが問うと、一瞬だけシェリルが悲しげに眉をひそめたが、不敵な笑みで答えた。
「なんで、って。理由なんてないわよ」

シェリルの表情からシェリルが独りで何か抱えようとしているのを読み取ったアルトは
どうこう言っても喧嘩になるだけだと有無も言わせずに嘘を紡ぐ唇を自分の唇でふさいだ。

「お前、ウソをつくならもっとうまく騙してくれよ」
恥ずかしさと悲しさと嬉しさを混ぜたような複雑な表情をしているシェリルがおかしくて
アルトはつい笑ってしまった。
素のシェリルは表情が豊かで、正直だ。
「別に、ウソなんてついてないわよ」
真っ赤になって駄々をこねるシェリルを見れる人間はそういないだろう、と
アルトは喜びすら覚えてしまう。

「早く、調子戻せよな。お前に触れられないだろ?」
優位に立ったアルトは、それを楽しんで、きっとシェリルも同じ気持ちだろう、と
誘惑するように、シェリルの唇を親指でなぞった。
本当は、柔らかな唇をもっともっと深くむさぼって、もっと深く重なりたい。
それを我慢してるんだぞ?

きっと真っ赤になって反論するだろうとアルトは期待したのだが、
シェリルは傷ついた様子で呆然としたのだった。

***********

最後の艦、マクロス・フロンティアの地を踏んだ時には、心は決まっていた。
たとえターゲットが見つかっても、歌に殉じようと、そう思っていた。
歌は私の全て。
歌えない未来なんていらない。

カウントダウンが始まっていた。
進行は予想していたよりも早く、グレイスにも予期できないほどで
不覚にも仕事に大穴を空けてしまった。
プロとして失格だ。
始まる前は、このワンステージならどうにかなると思っていたのに、
自分で思っているよりも、体の状態が悪いのかもしれない。

体はキツイが、意識は割としっかりしてきた。
酷いのどの痛みが、病気の進行を感じさせ、絶望的な気分になった。
私はもう、歌えないのだろうか?
いいや、私は生きている限り最期まで歌う。
そのために、ここまで来たのだから。

「シェリル。そろそろ、ケータイ渡しておくわね。
パイロットさんが心配してるわよ」

見てみると、アルトからの着信が3回。
私が倒れたのを知って心配してくれたのだろうか。
アルトが自分を気にかけてくれている事が凄く嬉しかったが
何と言っていいかわからず、コールバックも出来なかった。
まだ「元気よ」なんてとても言える状態ではなく、
ついた嘘などすぐに見破られて、よけいに心配をかけてしまうだろう。
そうこう戸惑っている間にアルトからの着信があった。
嬉しいのに、電話に出ることができない。
『よう、大丈夫か?さすがのお前もハードワークがたたったな。
ええと、明日は、俺が行くから、大人しく休んでろよ』

アルトの心配そうな声。
少し照れたぶっきらぼうな声。
愛おしくて愛おしくて涙が出そうになった。

好き。大好き。

あの天女の男の子に最後に一目逢えたらいいと思っていた。
生きるために歌っていた私に、歌うために生きるという道を開いてくれた恩人だ。
歌舞伎をやめて、全然違う世界で生きていたアルトは、
本物の空に焦がれて、でも、戦いの空を飛ぶとても心優しい男の子だった。
アルトとの時間はとても心地よく、物心ついた時から歌うことが全てだった私にも
舞台の上でない生があるのだと実感させてくれた。
彼を通して世界が愛おしく思えるようになった。

でも、私はもうすぐ死んでしまう。
それは、あなたにもどうしようもないこと。
だから、傷つかないで。
ただ、悲しんでくれたらいい。
悲しませてごめんなさい。
アルトがランカと慰安旅行の約束をした時、私は羨ましく思ったと同時に、少し安堵していた。
アルトはきっと大丈夫だ。
アルトの優しい腕が誰かを抱きしめる時が来るのが、確かに寂しくて、冷たいものが心を這う。
けれど、私のいなくなった世界で、誰かに慰めてもらって、幸せに未来を生きてくれると思うと、
私がアルトと深く関わったことも許される気がするのだ。

アルトは私を守りたいと言ってくれたけれど、それだけで十分だ。
私は、アルトを出来るだけ傷つかないように離れていこうと、決心した。
今更虫のいい話なのは分かっているけれど、出来るだけのことをしよう。

勘のいいアルトに心配かけないようにと、アルトの護衛を減らしてくれと申し出たが
グレイスは私が無理しないようにアルトに監視してもらう、と護衛の回数は相変わらずだった。

アルトに触れられて思いが溢れるのをおびえる私の態度から察したのか、
倒れてからアルトが私の体に触れてくることはなかった。
それがせめてもの救いだった。
でも、とてもとても寂しかった。

しかし、アルトは甲斐甲斐しく世話だけは焼いてくれた。
体が辛いのもあって突き放して接する私に、よけいに優しくしてくれるのが
嬉しくて悲しくて悔しかった。
あなたが好き、死ぬのが怖い、と全てぶちまけて縋ってしまいたくなる気持ちを私は全て歌に込めた。
歌がなければ、正気を保てなかったかもしれない。


私の心を乱す男から目を逸らして、歌作りに没頭した私は、彼の隣でいつの間にか眠ってしまっていた。
夢から覚めた私には、アルトと過ごしたフロンティアでの日々がつかの間の甘い夢のように思えた。
これから現実の痛みが待っているというのに。
「今日ももうすぐ終わるわ」
このまま夢見ていられたらいいのに。

美しい夕空を写す天蓋を眺めて夢うつつの私に、アルトはキスをしてくれようとして、
私はとっさに顔をそむけた。
私は、もう、あなたと甘い戯れはしないと決めているのだ。
「なんで?」
眉をひそめたアルトが意外にも率直に聞いてきて、
嫌いになったなんて、とっさにウソも言えず、私は苦し紛れに答えた。
「なんで、って、理由なんかないわよ」

私の答えなどまるで聞かなかったように、私の拒絶などものともせずに、アルトが私に唇を重ねた。
アルトは、唇を名残惜しげに食んで顔を離し、間近で少し悲しさの混ざった苦笑いをした。
女性のように端正なのに、男らしい表情で、私の中の女が疼いた。
「お前、ウソをつくならもっとうまく騙してくれよ」
心を見透かされた私は、ムキになって抗議したが、もはや逆効果だろう。
アルトは余裕そうに笑っている。
アルトには勝てない。
情けないことに、私は拗ねるしかなかった。
「別にっ、嘘なんか、ついてないわよ」
アルトは嬉しそうに、にやついている。
なんで、そんなに余裕なのよ!
軽々と私の心の中に入り込むアルトが憎らしい程愛しかった。

「早く、調子戻せよな。お前に触れられないだろ?」
冷や水を浴びたように、我に返った。
調子は戻らない。
これ以上の回復は見込めない。
元気になりたいのに。

私は、あなたの手を離さなくてはならない。

***********

シェリルも病気で辛くて不安で悔しいはずなのに、
俺は自分のことばかり考えていた事を恥じた。
どうして、抱きしめてやらなかったんだろう。
俺がついてるよ、って言ってやらなかったんだろう。
こいつは、全部自分の中に抱えてたんだ。

俺は、その華奢な体を強く抱きよせた。

「何でも一人で抱え込むの、いい加減やめろよな」
グレイスたちのことだってそうだ。
隙を見せられなくて、気を張り続けてきただろう。
でも、俺にはもうそんなことしなくていい。
大切なイヤリングをくれた。
素顔を見せてくれた。
初めて肌を合わせた。
頼りないだろうけど、お前が選んだ俺を信じてくれ。

「だって、あんたお小言いうばっかりで何にもできないじゃない」
「そうだけど!誰かが側にいるだけで違うだろ!?」
シェリルの肩をしっかり掴んで、青い瞳をしっかりと覗きこんで、気持ちが通じるようにと願った。
「俺は、お前にもらったイヤリング、ここにしまってある。
飛ぶときは必ず、コックピットに飾ってる。それだけで気持ちが全然違う」
シェリルの手を握り、制服の上から、胸のお守りの上に手を重ねた。
シェリルの手に俺の手の温度、胸の鼓動、そして固いイヤリングの感触が伝わるだろう。
そして、俺の思いも伝わってほしい。

好きだ。愛してる。痛みも悲しみもすべて分け与えてくれと言えばシェリルは
心を許して委ねてくれるだろうか。
否。
頭を冷やせと、突き放されるだろう。

シェリルの心が溶けるまで、待つしかない。
お互い隠し切れないぎりぎりの恋情を抱えながら、冷静だと言い張ってる今が苦しい。
一緒にいられるなら、その苦しさすら喜びに思えるのが、少し怖い。

「アルト…」
しばらく手を重ねて見つめあっていたが、シェリルがふとため息をついた。
「あんた、とりあえず落ち着きなさいよ」
「な、お前」
我に返ると、暴露した恥ずかしさがこみ上げてきた。
「あんたがそんなんだから、私も落ち着かないんじゃないの」
「わ、悪かった。だから、遠慮なく頼ってくれ」
もう開き直るしかない。
「ふ、ふふ」
「ははは」
二人笑い合ってるうちに、シェリルが重ねていた手を抜き取り、ふわりとしたストロベリーブロンドの隙間から自分の耳のイヤリングに触れた。
「そのイヤリング、きっとあなたを守ってくれるわ」
「ああ」
確かに、バジュラとの戦いで守ってくれたような気がする。
「だから、持ってなさい」
「ああ」
女王にもらった愛の勲章を誇るように笑みがこぼれた。

シェリルにも自分をいつも身近に感じてほしいと考えた俺は、ふと妙案を思いついた。
「あ、そうだ」
俺は髪を解き、いつも身に着けていた母の形見の赤い組み紐をシェリルに差し出した。
「シェリル、これ。母親からもらって…」
シェリルは驚いた様子だったが、くすりと笑って手を退けた。
「貰えないわ。…そんな…目立つもの身に着けたりできないもの」
「そうだよな」
シェリルは常に人目に晒される仕事で、しかも、衣装を選ぶ。
見た目の全てが売り物なのだ。
落胆を隠せずに髪をまとめなおしていると、シェリルが軽く唇を重ねてきた。
ふわりとした甘やかな感触の全身に広がった。
「ありがとう」
眉をやや下げ気味に瞳を潤ませ、顔を真っ赤にしている。
受け取ってもらえなかった事には正直落胆したが、
シェリルの可愛さで胸がいっぱいになった俺は、
突き放し気味だったシェリルの心に少しは響いた事をした、と誇らしく思った。

離れていても、組紐を見て、俺のこと思い出して欲しいと願ったのだが、
思い出してもらえないのなら、忘れられない記憶を重ねよう。
お前の笑顔が俺の瞼に刻まれているように、お前の涙が俺の心臓に刻まれているように
いつでも俺を感じるように、お前にも俺を刻みたい。
俺が飛ぶ時、お前と飛んでいるように
お前が歌う時は俺を想ってくれるように。
例え離れた場所にいても、一時も離れられないように心が雁字搦めに繋がったらいい。

******

アルトの胸元にはイヤリングがあった。

旅がもうすぐ終わることを予感していた私は、
心と命の恩人のアルトにそのまま預けておこう、とその時はただそう思っただけだった。

しかし、真面目なアルトは私が思っていたよりもとても重く受け止めてくれているようだった。
大切にしている、と告白してくれて、正直、驚いてしまった。
確かに、母の形見ではあるが、私が死んでしまったら次に受け取ってくれる人もいない、その程度のものだ。

イヤリングは、偶然にもアルトの元に落ち、アルトは懸命に届けてくれた。
あの時のアルトは今も私の心の奥にとどまったままだ。
それだけで、イヤリングは役目を果たしたと言っても良いくらいだった。
私の元で役目を終えたイヤリングに、新たな役目を託そうと、そんな気持ちだったのかもしれない。
それなのに、イヤリングはアルトに私の卑しい望みを伝え、
アルトは、私を包み慰めてくれた。

そして、アルトも、アルトのお母様の形見を私にと、差し出してくれた。
アルトのお母様とアルトの大切な記憶と思いが込められた、組紐だ。
この世にたった一つしかない、大切なものだ。
アルトの真心を感じ、感激のあまり、涙が出そうになってしまった。
アルトに悲しみを与えてもうすぐ去る身としては、とても受け取れない。

いざ、差し出された組紐を目の前にして初めて、私が無自覚に自分の好意を見せてアルトの気を引くようなことをし、
形見を差し出すほどに無意識にアルトに引かれていた事に気づいた。

私の手元を去っても尚、イヤリングは私をアルトと繋いでいたくれていたのだ。

私はアルトから手が離せないでいる。

*********

シェリルへの思いを込めてアルトはもう一度唇を重ねた。
どうか、思いを伝えてくれるように、とシェリルの耳に下がるイヤリングをいじりながら
今度は舌を割り込ませ、深く交わるように口付けた。
シェリルは一心に受け止め、官能に酔ってくれている。

体をよせ、服を挟んで肌がこすれるだけでアルトはその感触に全身が火照りだした。
くちゅくちゅと舌を絡ませると、その水音だけでアルトは切なさでどうにかなってしまいそうだった。
アルトはシェリルの豊かな乳房に手を伸ばし、服の上から優しくさすった。
その刺激に反応して、シェリルが体を離した。
「調子戻せって言ったじゃない」
恥ずかしそうにシェリルがつぶやいた。

「組紐、もらってくれなかったじゃないか」
お前がかわいくて我慢できなかったなんて、格好悪いことも言えないアルトは、苦し紛れに本心の少しを漏らした。
本当は、あの紐をつけて全銀河に見せつけてほしいくらいなのに。
「え?」
「だって、お預けでがっかりするほど俺に抱かれたかったんだろ?」
アルトはいつもシェリルをからかう時に見せる笑顔でにやりと笑った。
「なわけないでしょ!」
赤くなって抗議するシェリルの頬を撫でてアルトがおねだりするように諭した。
「優しくするから、いいだろ?」
シェリルの返事を聞く前にアルトはシェリルの口をふさぎ、
くちゅくちゅと舌を絡ませて、シェリルのシャツに手をかけた。
シャツををめくり、香りに誘われてシェリルの柔らかな乳房に顔を埋めると、久しぶりの甘い痺れが脳幹を走った。
ブラジャーをめくり、桃色の突起を迷わず口に含むとシェリルの滑らかな背中を撫でた。
シェリルは甘い吐息をこぼしながら愛おしげに髪をすいてくれている。
シェリルの引き締まった背中は滑らかだ。
さもついでのように、撫でる背中のブラジャーのホックをはずし、上にたくし上げると
日も陰ってきた夕闇にシェリルの白い裸体が浮かび上がった。

アルトはもう随分と着慣れてしまったギャラクシーの制服の上着を脱ぎ捨てた。
アルトはシェリルを膝の上に乗せ、もう一度唇を重ねた。
目の前の豊かな乳房を揉みしだいたり、突起をこねたりと思うままに弄びながら
唾液を交換するように深く口付けあった。
シェリルの腕が、アルトの首を優しく撫でてくれ、
その心地よさがアルトの理性をとろけさせていった。

シェリルの唇を存分に味わったアルトは、シェリルをソファーにねかせ、体を下にずらした。
両手でシェリルの胸の質量と柔らかさをやわやわと感じながら、
唾液で濡らたさくらんぼのような突起をころころと弄ぶと
突起が立ちあがり、アルトの頭上からシェリルの抑えきれない吐息がこぼれてきた。
アルトの肩を撫でてくれているシェリルの手が
時折、官能のためにぴたりと止まるのが快感だ。

アルトは顔を更に胸元からへそへとおろしていき、唇で線を引いた。
そのまま、シェリルの白い肌とは対照的な黒いショートパンツを咥え、中の下着ともども
ニーソックスを履く、足元へと、ずり下げていく。
上衣はめくり上げられ、下肢はニーソックスを履いただけの妖精が
もじもじと身をよじらせてソファーに横たわる様を見下ろして、
アルトも興奮に喉を鳴らした。
膝を閉じるシェリルの恥骨にちゅっと口付け、舌をへそまで這わせていくと
シェリルの背中がしなった。
「ああ」
シェリルの肌が敏感になってきている。
脇腹を撫でて、そのまま太ももへと降りてくるだけで、シェリルが感じているのが分かる。
きつくなったズボンをくつろぐと、アルト興奮が膨張してその存在を誇示していた。
それを収める鞘を整えるべく、アルトはシェリルのひざを割って顔を埋めた。
淫水で濡れつつあるピンク色の割れ目に舌を這わせて、上につく蕾をつまむと
「あっ」と高い声が漏れる。
そのまま、泉を溢れさせようと、舌をねじ込んだり、舐めあげたり、指で探ったりしながら、
路を少しずつ広げていった。

刺激とともにシェリルの腰が絶えず揺れている。
「ん、ん」シェリルの甘い声が、アルトの耳を犯す。
指2本を飲み込ませて、中の出っ張りをねっとりとこねると、
指がさらにぐっぐっと締め付けられる。
もうすぐ、この中に自分を埋め込ませると思うと、興奮が抑えきれない。
膨張して皮からこぼれている、蕾を唇で弄んで、淫泉の豊かな水を確認すると、
アルトはスキンを取るべく、夕闇の中を脱ぎ捨てた制服をあさった。

絶えず与えられた刺激から、しばしの休憩を得たシェリルは息も絶え絶えでの様子である。
下着をずらしスキンをつけ終わったところで、シェリルが身を起こしてきた。
そりあがったアルトをみて、シェリルは目を見開いた。
「は…入るの?」
「入ってるだろ、いつも」
「うそ」
「別に、ウソなんてついてどうする」
シェリルを転がすと、足の間に陣取り、入り口に熱いものをあてがった。
「いれるぞ」
シェリルがうなづくのを確認して、入り口でぬるぬると逡巡していたアルトは角度を調節してシェリルの中にゆっくりと入っていく。
(優しく、って約束したからな)
ある程度まで入れて中が広がるように留まったアルトは
今度はゆっくりと腰をひき、引き絞るシェリルを感じる。
そして、また、ゆっくりと押し広げる。
少しずつ奥へ奥へと馴らしていく、じれったい快感がアルトの理性をじりじりと焼いていく。
口付けながらシェリルの様子をうかがい、徐々に挿入スピードを早めていくが、
シェリルも苦しいのか気持ちいいのかよく分らない乱れようだ。

射精一歩手前のところで、シェリルを横にひっくり返し、再び挿入する。
「んんん~~」
シェリルの体の負担を考えると、さっさと射精してしまった方が良かったのかもしれないが
しばらく禁欲していたせいでいつもよりもやや早いのもあり、
つい、反射的に射精を遅らせてしまった。
「ごめん。もう少し」
シェリルの奥にぐっと入ると、腰を振りながら、滑らかな肩や背中を味わった。
「あ、あると、あ」
アルトは、奥歯を噛み締めて吐精感を耐え、シェリルはアルトの動きにあわせて喘ぐしかできない。
「シェリル」
アルトはシェリルを膝に乗せ、鼻を摺り寄せた。
外はもう暗いが、僅かな光の中でもシェリルと目を合わせたい。
アルトの首にシェリルが腕を巻きつかせて唇を寄せた。
ちゅっちゅと唇を重ねながらも、性器をこすりあわせ、熱を孕んだ互いの吐息を飲み込みあった。
快感と切なさで窒息してしまいそうになりながら、アルトは懸命に腰を突き上げた。
あふれさせた淫水がアルトの茂みを濡らしていく。

気持ちよくて上体を支えられなくなったシェリルがアルトに縋りついてきたので、
アルトはシェリルを横たえ、片足を高く抱えると、一気に突き下ろした。
「やあああん」
ぐしゅぐしゅと淫猥な音を立てながら抜き差しすると、
シェリルは乳房が揺れるたびに激しく啼く。
アルトも、そろそろ限界が近いのを感じて、再びシェリルの上に覆いかぶさった。
「シェリル?」
「うん…」
見つめあった二人の間には愛しい気持ちだけがあった。
「大丈夫か?」
「うん」
境界を失った二人は繋がったところから駆け上がる快楽に身をゆだねて、果てた。

******


ふたりはしっとりと火照った身を寄せ合い、息を整えた。
「げっ」
ふと我に返ったアルトが、ソファーとシェリルを急いで拭うために明かりをつけようとするが、
シェリルが恥ずかしがったので、とりあえず薄明かりの中でシェリルを拭ってやり、
自分も服を整えて、恐る恐る明かりをつけた。
ソファーのシミに頭を抱えるアルトを横目に、シェリルがなんとかするわよと笑った。
シェリルが倒れてからというもの、少し開いていた二人の距離が、もっと近づいたように感じて
アルトは満たされた喜びに浸った。

シェリルもそのうち元気になるだろう。
きっと、俺に心をゆだねてくれる。
シェリルを守ってやれるようにならなくては。

幸せに浮かれたアルトは、そんな楽観的な希望を込めてお守りとイヤリングを首に下げなおした。
しかし、運命は希望を踏みにじり、絶望するアルトは想いを伝える石を放棄しようとさえした。
それでも、アルトが捨てきれなかった想いが、人とバジュラを繋ぎ、
二人を幾度も繋ぎ合わせる。

*******


一目、愛しい人の顔が見たい。声が聴きたい。

生きてまた会えたことだけでも奇跡だというのに、溢れるように想いが湧いてきた。

それでも、時がゆったりと流れる女王バジュラのフォールド空間の中で、
想いを伝える石が願いをかなえてくれた。
俺は届きもしない手を差し伸べた。
「シェリル」
はっと、顔を上げたシェリルは別れを悟っているのか悲しみに満ちていた。

二人のイヤリングが共鳴しているのを感じる。
俺たちは同じ気持ちなんだと、伝えている。
俺は、お前の歌からずっと感じてた。
俺は歌うことはできないから、言葉で伝えようと思う。

「少し遅いかもしれないけど」
もう、触れ合うこともできない俺たちを繋げる言葉はきっとこれしかない。
「俺はお前のこと」
離れた場所にいて、俺たちの伸ばしあった腕は触れ合うことが出来ないけれど、
また抱きしめあえる時まで、言霊よ、想いを伝える石よ、どうか俺たちを繋いでくれ。
「愛してるからな」


どうか、二人また離れても、もう一度。





おわり

「これは私とあなただけの秘密」じゃねええええ!と一人突っ込み。
もっとこう、ツンデレっぷるにしたかったのですが
セックスしてる以上、アルシェリは親密にならざるをえませんでした。
最終更新:2011年12月11日 00:24