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萌えのイツワリ直後SSのアルトverというか独白というか、書き散らかしただけのおまけ
ちょっとネタ被りしちゃったのでお蔵入りにするつもりだったのですが、せっかくなのでこそっと投下します、すみません…;
箸休め的な感じでスルーっとしてもらえれば|д゚)ノエイッ<投下





眠れない。

二段ベッドの天井を見つめ、アルトは大きく息を吐いた。

シェリルの滞在するホテルから戻り、オズマに今日一日の活動報告をしたのは数時間前。
乾ききっていない髪に訝しげな視線を投げ掛けられたが、気付かぬ振りをした。
目まぐるしい一日に疲れ果て、寮の自室に戻るなり己のベッドにダイブしたアルトだが、まるで寝付けず先程からごろごろと寝返りを繰り返している。

人の気配に聡いルームメイトの『空とベッドの撃墜王』は、その名の通り自身が撃墜され、今日一日は検査入院で不在だ。

狭い小部屋で一人きり。
ダラダラと寝転びながら、手慰みにしていた守り袋から二つ目のお守りとなったイヤリングを取り出した。
そっと掲げ、薄灯りの部屋でもキラリと光る石を見つめる。

『…アルト、あたしね………』
あいつはあの時、何を言おうとしていたのだろう。
彼女のマネージャーが戻ってこなければ、あの言葉の続きを聞けたのだろうか。
考えたところで答えは見つからず、溜め息をついて寝返りを打つ。

昨晩の戦闘の影響か、身体は真綿のような倦怠感に包まれ、張り詰めた緊張感は奇妙な高揚感へと擦り変わった。
昂った精神は落ち着きを見せず、寝不足のまま向かった彼女の滞在先。
あぁそうだ。眠れないのは、あいつと一緒になって、変な時間に眠ってしまったからだ。
イヤリングを見つめたまま、アルトは眉を顰める。
そうだ、熱を出して寝込んでいたくせに、目を覚ましてすぐにシャワーを浴びるだなんて。下がりかけの熱が振り返したらどうするつもりだったのだ。
そして彼女の姿を探して慌てて駆け込んだバスルーム。うっかり見てしまった全裸の彼女の姿を思い出し赤面する。
不可抗力だ仕方がないと言い聞かせ、アルトは誤魔化すようにひとり、咳払いをした。



眠れない。
忘れたい。

『明日…待ってるわ』
部屋を出る直前、はにかむような表情を浮かべた彼女を思う。
ちゃんと髪を乾かして、暖かくして眠っただろうか。
また夢で泣いていないだろうか。俺の名を、呼んでいないだろうか。
彼女のことを思うたび、鮮明に甦るその姿。
涙に濡れた寝顔。唇を尖らせて拗ねる子供のような表情。頬を染め、俯いた首筋の細さ。潤んで光る空色の瞳。

『………SMSはあたしをスパイだと疑って…』
傷ついたように言葉を詰まらせ、俯いてしまった彼女の姿。
バスローブに包まれた細い肩を抱きしめてしまいたかった。
俺の前では、あいつはただの女の子だった。
投げ出された草原で、覆いかぶさる体勢になってしまった俺に、怯えた瞳をして男を怖がる仕種を見せた。
爆撃に晒された己より、バジュラの囮になるべく逃げるランカを助けるように必死に叫んでいた。
そんな彼女がスパイだなんて。
『銀河の妖精』がギャラクシーのスパイかどうかを見極めるため、俺はあいつの側にいるのか。
ギャラクシーの意図も、フロンティア政府の思惑も分からない。
ただ、あいつを信じると言った俺を、あいつが裏切ることなどないのだと、掲げたイヤリングを握り締めた。



眠れない。眠りたくない。
忘れたい。忘れられない。

そしてまた、昨晩の戦禍が閉ざした瞼の裏側でちらつく。身体の内を焦がすような言い知れぬ熱が甦る。興奮状態にある精神が、身体をも昂らせた。
それとはまた別の、先程から身体の中でじわじわと燻り続ける熱が引かない。

その熱の差異に気付けぬまま、冷静になれと警告を発する頭とは裏腹に、身体は熱の吐き出し口を求め暴走する。
アルトの雄は緩く頭を擡げていた。

「………」
アルトは一際大きな溜め息を吐くと、手にしたイヤリングをそっと枕元に置いた。
そして、ぞんざいなしぐさでボトムの前を寛げ、徐に己の雄を取り出した。
右手で熱を包み込むと、目を閉じて、ゆっくりとその手を上下させる。
見る間に硬さと質量を増していく劣情。
「……っふ」
背筋を這い上がる感覚に、アルトは短く息を詰める。
男の生理機能を煩わしく思う自分は、どこかおかしいのだろうか。
この行為自体好んでする気はなかったが、身体の機能的に仕方なく、限度を超えたら必要に迫られ処理をする。
そう、処理なのだ。思考など要らぬ。感情など要らぬ。
何も考えぬよう、機械的に手を動かしさえすればいい。溜まった欲の放出だけが目的なのだ。

それなのに。

『ある、と…』
まるでスライドショーのように、脳裏に浮かんでは消える彼女の残像。

淡い茂みの奥、朱鷺色のスリット。
肉芽を嬲り、ゆっくりと下の唇に舌を這わせる。
滴る蜜を指に絡め、ぬめる内部を開かせる。
ひくつくそこに、己の雄を擦り付ければ、甘い息を漏らす唇。
薄く開いた唇が、己の名を呼ぶ。
『アルト……』
くちゅりと水音を立てて、熱く狭いそこに劣情を突き入れれば、絡み付いてくる内壁。
律動に合わせ揺れる、白く、柔らかでいて張りのある乳房。
豊満な乳房の、つんと尖った桜色の頂を口に含んでしゃぶりつけば、もっともっとと強請る潤んだ眼差し。
触れ合わせればしっとりと吸い付くような、肌理細やかな熱く上気した肌。
汗ばむ首筋に鼻先を埋め、吸い込んだ甘い花のような彼女の香り。

その声が、眼差しが、体温が、匂いが。

その、想いが。

「…っ、シェリルッ…」
脳内で乱れる彼女の名を呼び、果てた。

閉ざしたはずの意識は、無意識に彼女の全てを呼び集めていた。

「…俺は………」
荒い息と共に、手の平に吐き出した白濁をぼんやりと見つめる。
のろのろとティッシュで汚した手の白濁を拭い取る。萎えた自身の始末をしながら、枕の傍らで光るイヤリングを見つめた。

自分の欲望の昇華に、あの子を、糧にしたのか?
今まで感じたことがないほどの射精の悦楽。背筋を這い上がる衝動にゾクリと身震いした。
男たちから向けられる、欲望に塗れたまとわりつくような視線にあんなにも嫌悪を感じ、歌舞伎の世界から飛び出した自分が。
メディアに向ける『銀河の妖精』の姿ではない。自分にだけ向けられた本当の彼女の笑顔を。
「………なんで、だ…」
渦巻く感情に翻弄される。
アルトは己の前髪をぐしゃりと掻き乱すと、その手で目を覆った。

眠れない。眠りたくない。
忘れたい。忘れられない。
…忘れたくない。

「……シェリル」
ぽつりとその名を呟いて、アルトは自分と彼女を繋ぐ、想いを伝える石に触れた。
名前を付けることが出来ない、この感情の意味を教えてくれと願いながら。


END
最終更新:2011年08月10日 11:25