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613:誕生日はいちゃいちゃしたようです[sage] 投稿日:2011/11/23(水) 22:00:44.07


官能の汗をまとって寄り添って眠るシェリルの頭を撫でながら、アルトがつぶやいた。

「お前、俺の芸見てくれてたんだな。『私の歌で銀河を震わせて見せるから』って…。覚えてたよ」
「うそ」
目をつぶったままシェリルがくすりとつぶやいた。

「起きてたのか。覚えてたって!お前だってわからなかっただけで」
「ふうん。私はすぐにあんただってわかったのに。…所詮は一ファンだものね。仕方ないわ」
仕方ないと言いながらも、不満なシェリルは唇を尖らせた。

「まさか、銀河の妖精が、とか普通なかなか思わないだろうが。お前が銀河を震わせる歌い手になってくれて嬉しいよ」
「何よ、偉そうに」
「元芸人としては、素晴らしい芸人が育つのは嬉しいもんだよ。うらやましくもある」
アルトはシェリルの汗で頬に張り付いた髪をよけてやった。

「あら、殊勝ね」
「俺が立ち続けられなかった舞台だからな」
いたずらな瞳でシェリルがアルトを覗きこむ。
「未練がある?」
「眩しくはあるけど、後悔はないよ」

すっきりしとした笑顔で答えるアルトに、シェリルはふわりとほほ笑んだ。
「残念。あんたの芸は、私の人生を変えるくらいに、美しかったわ」
「初耳だな。そんなに傾倒してくれてたのか」
「あらやだ。…そうよ。あんたの舞を目標にずっと歌ってきたの。言ったでしょ。銀河を震わせてみせるって。」
シェリルがまっかになりながら、アルトの胸に顔を見られまいとうずめた。
「お前…」
なんという爆弾発言だ。
幼いころから自分の事を心にずっと留めていてくれたなんて。
そんなシェリルが愛しくて、アルトはぎゅっとそのまま抱きしめる。
身も心も全部俺のものって思っちまっていいのか?


緩む顔を引き締めながらも、ふと、シェリルの憧れを消し去ったことに思い至った。
「悪かったな。歌舞伎やめちまって…。でも…」
「いいの!」
きゅっとシェリルが顔を上げた。
「あなたにはあなたの舞台で舞ってほしいの。…バジュラへの舞は素晴らしかったわ」
「お前たちの歌も」
命を歌と舞に懸けたあの輝いた瞬間を二人は思う。

先ほどまで、埋めあっていた体を、ぎゅうっと抱きしめあって再び存在を確かめあう。
「でも、もうどこかに行ったりしないで」
「お前だって」
鼻先をくっつけるように瞳を覗き合う二人。

いつ何があって二人が離れ離れになるかわからない。
この離れ難い気持ちを何というのか。
「シェリル…愛してる」
あの空での別れを思いだし、シェリルの涙がこぼれた。
「バカァ」
整った顔が涙でくしゃりと歪むが、そんな顔が見れることが嬉しくてアルトはほほ笑む。
「愛してる。ずっと一緒にいてくれ」
「うん…」
誓い合う心を唇に込めて二人は重ね合った。
異なる星の元で生まれた二人の運命が再び重なりあい、これからも歩んでいく道に、祝福を。






おわり
ありきたり、つまりみんなが思ってることってことで!
おめでとう、シェリル!
最終更新:2011年12月10日 01:39