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735 :fusianasan [↓] :2014/02/11(火) 20:56:36.39

スイミングキャップに波打つ長い髪が纏められ、
普段はあまり見せる事のない白く滑らかなうなじから背中へと流れる華奢なラインが日の光りを浴びている。
アルトは一度目に止めると、暫く目を離す事が出来なかった。
密着するスクール水着で露になった華奢で女らしいが鍛えられた美しいプロポーション。
黒い色に映える白い肌。
全てがアルトの目の毒だった。

「はあ~シェリル、やっぱ凄いな~」
そこここからシェリルの水着姿への感想が聞こえてくる。
当の彼女は注目される事に慣れているためか、気にする様子もなく、無防備にすら見えて、アルトにイライラとする気持ちが生まれる。

同じクラスを受ける時なら大抵座る場所は決まっていて、彼女は自分を認めれば近くに座ってくるのに、
この水泳の授業では、始まってもう15分は経つというのに、近寄ってくる様子もない。
アルトは更にイライラする。


イライラする理由にうっすらと気付いていて、気持ちの行き場がない。
気にするまい。
そう心に決めて、自分の順番が来るまで、先に泳いでいる生徒達を眺める。
すると当のシェリルの順番が来ている。
確か、マヤン島の海では普通に泳いでいたから、得意なのだろうと眺めていると、
美しいフォームで課題を泳ぎ切る。
さすがだな、とイライラしつつも感心してると、
プールサイドに上がろうとするシェリルに、眼鏡の友人(今は水泳中のため外している)が手を差し伸べる。
当然のように手を出す男と、クスリと笑って手を取る彼女を見て、さっき以上にイライラしてくる。


何かとさりげなく彼女に触れる友人にはアルトは常にイライラさせられている。
学校の壁を越えたりとかマヤン島の崖を上ったりとか、
なにかとやんちゃな彼女をエスコートをするために握った経験はあったが
最近はそういった仕事もなく、日常的にさりげなく触れるミシェルを見ていると
自分だけが彼女に触れられる事を許された訳でない落胆や
自然に彼女に触れられる男に嫉妬を覚えていた。

アルトはその気持ちを自覚する事はなく、もやもやとした気持ちだけを抱えるばかりで
何かと自分の心乱す彼女の近くに行くのを少し恐れてさえいたのだが
彼女が近寄ってくれば、浮かれた気持ちを隠しながら辛口に応じてしまうのが常だった。

課題が終わり、自由時間になっても、アルトがもやもやとした気持ちでプールを眺めていると、
いつの間にか、周りにはシェリル以外のいつものメンバーが集っていた。
本日不在の駆け出しアイドルの友人の話をしていると、
彼女がプールサイドに戻って来たのが視界の端に映った。
まぶしかったうなじは長い髪に隠されて、少し残念のような、ほっとしたような気持ちでアルトは目線をプールに戻した。
学校では髪を纏めている事が多いので、波打って輝く金髪を見るのも久しぶりのような気がする。
そして、本日ようやく、彼女の視界に入り、言葉を交わした。
「ふ~ん、あんた誕生日なの?」
遠くから眺めている分には良かったが、こう近くに来られると目のやり場に困る。
豊かな膨らみのラインにどうしても目が行きそうになるのを気付かれたくない。
避難壕に入った時に倒れて来て、一瞬ふわふわの生を触ってしまったアレだ。
目の前で見て、それは魅惑的で全く目を離す事が出来なかった。
あの記憶は忘れられない。
そう、何度も夢に見るほどに強烈な思い出になってしまったのだった。


水泳を終えてシャワーを浴びて次の授業までの間を屋上で過ごそうとアルトが座り込んでいると、
シェリルから電話がかかって来た。
「ハァイ、アルト?」
「なんだよ」
「今、どこにいるの?」
「屋上」
「みんなは?」
「ミシェルは帰った。ルカは授業だよ」
「そう、ありがとう」
そう言って電話が切られると、アルトはどうして良いのか分からず、そわそわしてしまう。
彼女はどうするのか、待っていれば良いのか。
幸い、他の生徒は見当たらない。
光に弱い彼女が隣に来ても困らないように日陰を探して移動した。

扉の開く音がする。
彼女が来たのか?とアルトはドキドキしてしてしまう。
敢えて扉の方は見ない。
何もないかのようにアルトが座っていると、すぐ近くまで人がやってくる。
アルトが見上げると、シャワーを浴びたてのような、少し濡れた様子の彼女が座るアルトを見下ろしている。

さっきのプールサイドでは折角近くでもプールの匂いにかき消されていた彼女の香りが
いつもよりも強く香っていた。
人目に触れる所ではなるべく帽子を被っているシェリルが、帽子を脱いでさらりと髪を解くと、
ふわりと甘い香りがアルトの鼻腔をくすぐり、
抱き寄せて顔を寄せてもっと嗅ぎたいという欲求にかられる。
「アルト見つけた」
隣に座ってはにかむ彼女はまさに妖精のように可憐だ。
「別に逃げも隠れもしてない」
「物陰に隠れてるじゃない」
「日よけだろ」

甘い香りで脳みそがふわふわする。
拗ねるような表情が可愛くて、じっと見つめてしまう。
「アルト?どうかしたの?」

「暫く、学校、来れないんだってな」
「そっぽ向いてるから、どうかと思ってたけど、ちゃんと聞いてるんじゃない」
ぷるりと柔らかそうな唇がほころぶ。
アルトはじっと目を離せないままだが、ついいつものように悪態をついてしまう。
「あんな大きな声で話されたら嫌でも聞こえる」

「アルト、どうしたのよ」
「別に」
いつもはむしろ照れて目をそらしがちのアルトだが、
溜まったイライラ(というか欲求不満)を発散すべく
見たいだけ彼女を見続けると、シェリルの方もさすがにソレに気付いて狼狽し始めた。
ふわふわの頬に触れてみたい。
そっと腕をのばすと、予想以上に柔らかな頬が手に触れてどきりとする。
「あ…」
ひるんだシェリルがまるで吐息のような声を出すと、アルトは溜まらなくなる。
あのふわふわの唇にもう一度触れたい。
キスなんて大した事ない、のだ、シェリルにとって。
彼女の細い腕を引くと、腕の中に倒れ込んで来た彼女の細い顎を上に向かせた。
「ある…」
混乱した様子の彼女が声を発する前に、唇を重ねる。


あの海の夕暮れで感じたのと同じ甘い感触。
痺れるような柔らかな感覚。
近くに香る心地よい彼女の香りを目一杯吸っているので、アルトの吐息は彼女を犯していることだろう。
驚いた彼女が我に返って身をよじると、甘やかな重なりが解かれる。
半分涙目になって、少し怒った様子のシェリルが手を勢い良く振り上げアルトへと振り下ろしたが
敢えなくアルトに絡めとられてしまった。
「大した事ないんだろ?」
ぐっとシェリルを抱き込んだアルトが至近距離でその瞳を覗き込みながら言うと
驚いたシェリル目を見開いた。
アルトは構わず、唇を寄せる。
キスをされると思ってシェリルがぐっと首をすくませてまぶたを下ろす。
が、唇に何も触れる様子がない。
シェリルがおそるおそる目を開けた所で、アルトはシェリルの顎に手をかけ、
軽く下あごを開かせると、唇を重ねて、そのまま舌を差し入れた。
「むぐ!?」
驚いたシェリルから声が漏れそうになるが、そのままアルトへの飲み込まれる。
海辺で交わしたよりも、深いキスを、アルトはむさぼる。
文字通り、シェリルを味わっていた。
後頭部に差し入れた指に感じる柔らかな髪も、胸板に感じるふくよかな膨らみも
強く香る彼女の匂いも、どうしようもなくアルトを煽ってくる。
観念したのか、シェリルから力が抜け、アルトの舌の動きに応じるように舌を動かし始めた。
受け入れられる喜びを噛みしめたアルトは天にも昇る気持ちだ。
シェリルがアルトの背中に腕をまわし、きゅっとシャツを握ってきて、尚更愛おしく思った。
ぬるぬると舌を絡めると二人の吐息には色が帯び始める。
色情と恋情をぶつけるように、アルトは激しく口を吸い続けた。
二人は混ざり合った唾液を飲み込み合いながら舌を絡め合っていたが、
飲み込み損ねた唾液がシェリルの顎を伝うと、シェリルが顔を離して顎を拭った。


しかし、その介なく、シェリルの首筋がすぐさまアルトの唾液に濡らされる事になる。
プールサイドで目を盗んでは見つめていた白い首筋にアルトは顔を埋めると、唇でその感触を確かめるように触れる。
「あ…」
シェリルがアルトを押しのけようとするが、アルトの力は強く、敵わない。
「アルト、やだ…」
おかまいなしに、アルトは、ちょろりと出した舌で感触を楽しむ。
シェリルが座ったまま後退しようとするが、アルトがシェリルの方へと近づくばかりで二人は密着したまま。
ぴくりぴくりと震えて感じているシェリルの形のいい耳たぶを食むと、びくりと大きく跳ねる。
自分を抱え込むアルトをシェリルは押し戻そうとするが、
構う事なく、アルトはずっと見せつけられていたシェリルの感触と香りを楽しんだ。
アルトが顔を離して、シェリルの様子をうかがうと、
シェリルはうろたえて眉をハの字にしているが、アルトを感じて少しとろりとした様子だ。
しおらしくて可愛い時もあるんだよな、などと言えば、
照れたシェリルに行為が中断されそうなので、本気で拒まれないうちは、アルトはしたい事をする事にした。


次は柔らかな胸の膨らみだ。
シェリルはぺたりと座り込んだシェリルに膝立ちの状態でのしかかっていたので
アルトは向かい合ったまま、シェリルの膝の間にお尻を付いて、アルトはシェリルを膝で抱え込むように腰を下ろした。
恥じらうようにうつむいているシェリルの背中を左手で支えると、右手をそっと制服の上着の裾に潜り込ませて、上へと進む。
ふにゅりと手に伝わる感触に喜びがこみ上げる。
一晩だけ使っていいと言われた時に、倒れ込んで来た一瞬だけ触った事のある悩ましい感触だ。
何度夢に見た事か。
ふにゅふにゅと揉み始める。
「だめっ」
シェリルが再度平手を食らわせようと手を振り上げる。
アルトは手の感触に夢中で、その平手を避ける間もなかった。

ばちっ!


アルトが目を覚ますと、そこは青空のまぶしい屋上だった。
どうやら、眠っていたらしい。
時間を見ると、次の授業までまだ1時間近くある。
何か、夢を見ていたな、と思い出そうとしていると、電話が鳴った。
「ハァイ、アルト?」
「なんだよ」
「今、どこにいるの?」
「屋上」
「みんなは?」
「ミシェルは帰った。ルカは授業だよ」
「そう、ありがとう」

軽いデジャヴュを感じながら、周りを見渡すと、生徒達がちらほらと談笑をしていた。
シェリルの好む日陰が空いている事を認めて、
アルトは水泳後でいつもと違った疲れを感じている体をほぐすように伸びをして、移動した。


移動はしたものの、シェリルは来るとも来ないとも言ってなかったなと
待ちぼうけを噛みしめているうちに、他の生徒達が消えていった。

扉の開く音がする。
その姿を見なくても、足音が彼女だと伝えてきていた。

そして、現実にもアルトは甘い香りと姿に悩まされるが、
それを実際に味わうまでには、あと数ヶ月の時間と様々な出来事が待っているのだった。


おわり
最終更新:2014年06月15日 00:46