913 名前:えっちな18禁さん[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 01:36:46 ID:ihxi0OWh0
昨日、全裸待機してくれてた同士の方々へ。
風邪を引いていませんか?もし、よければ風邪薬の代わりにどうぞ
『アルシェリ 風邪曜日』
*******
「っ・・・くしゅんっ」
春から初夏へと移りだすこの季節は様々なことが重なって体調を崩しやすい。
例えば、進級しただとか、新しい学期になったとか、住居を変えたとか。
人によってその理由は様々だけれど、症状は大抵同じだ。
早乙女有人もその例に漏れず、体調を崩した一人だった。
「アル・・・」
「絶対、来るな・・・」
「でも・・・」
「お前が俺の側に来ないでいいように、実家に移ったんだぞ・・・」
境界線は畳の縁。
それを真ん中にして、アルトを心配そうに見守るシェリルと布団に寝たままのアルトがにらみ合っている。
すぐ近くに寄ってアルトの看病をしたいシェリルとそれを頑なに拒否するアルトのにらみ合いはもう何時間も続いていた。
正直なことをいえば、早く眠ってしまいたかったのだけれど眠ったら絶対にシェリルは縁を越えてやってくるに決まっている。
自分一人ならまだしも、シェリルにまで風邪を引かせるわけにはいかなかった。
人を呼ぼうにも、矢三郎はシェリルが看病をするのだといって張り切って散らかした自分たちの家を片付けに行っているし、他の者ではきっとシェリルの迫力に負けてしまう。
っとなると、自分が頑張るしかなかった。
「!!。そうだ。シェリル」
「何?」
「りんご。」
「えっ?」
「りんごが食べたいんだ。・・・買ってきてくれないか?」
アルトがそう言えば、すぐにシェリルの瞳が輝きだす。
まるで初めてのおつかいを頼まれた子供のように嬉しそうになった。
「いいわよ!すぐに買ってくる!あと、欲しいものある?」
「・・・桃缶」
「分かった。・・・ちゃんと寝ててね?」
「分かってる。」
りんごと桃缶を頼んだときはあんなに嬉しそうに笑ったくせに、次に自分に寝ているようにいう様はすこし偉そうで、見ていて飽きない。
くるくると変わる表情に苦笑しながら、アルトはシェリルを見送った。
障子戸が閉まり、パタパタと軽い足音が遠ざかってゆくと、途端に部屋が静かになった。
ようやく得られた安息のはずなのに、やはりどこか寂しく感じる。
ぼんやりと天井を見ながら横になっているとやはり睡魔がすぐに迫ってきた。
夢の中でまた会えるだろうなどと、本人には絶対に言えないことを考えながらアルトはその心地よい誘いに身を任せた。
*********
「あっ、起きた?」
冷やりとした感覚を気持ちよく感じた瞬間、アルトの意識が浮上する。
まだ重たいまぶたを押し上げると、目の前には先ほどまで夢の中で一緒だった彼女の笑顔があった。
「・・・しぇりる?」
「なぁに?あっ、今だけよ。後でちゃんと向こうに行くわ」
ぼんやりとしたまま名前を呼ぶとすぐに返事が返ってくる。
口を開こうとするアルトに何かを察したのか、すぐにシェリルが『今だけ』っと付け加える。
まだ納得はできなかったけれど、側にいて欲しい気持ちも確かにあったから、アルトは何も言わなかった。
病にかかると無性に人恋しくなるのはどうしてなのだろうか?
相手を巻き込みたくはないと危惧するくせに、いてもらえるとほっとする。
身体はまだずっしりと重く、動くのも億劫だったから、手の届く範囲にシェリルがいてくれることが嬉しかった。
「りんご買ってきたの。食べられそう?」
「・・・あぁ。少しもらう」
「そう。よかった」
アルトの返事にシェリルがにっこりと笑い、側に置いていた器を手に取る。
小さなティースプーンで中身を掬うと、ゆっくりとアルトの口元へ運ばれた。
器の中のりんごは、アルトが飲み込みやすいように摩り下ろされ、パウダー状になった氷の粒が入っている。
ほのかに甘いりんごの果汁と冷たい口当たりが、火照った身体に心地よい。
アルトが軽く咀嚼して飲み込むとシェリルが新たに一口分を掬ってくれた。
「・・・悪いな。」
「んー?でも、アルトが動けないのってなんだか新鮮だわ。いつも私がしてもらってるし、たまにはいいじゃない?」
1/4個分ほどを食べ終えたアルトがそういうとシェリルが嬉しそうに答えた。
優しい手がアルトの頭を何度も撫ぜる。
幼い頃を思い出させるその感覚にアルトが笑えば、シェリルも小さく微笑む。
何気ないことのはずなのに、それが異様に嬉しくて、でも、それをシェリルにあまり悟られたくなくて、アルトは顔が隠れるくらいまで布団を引っ張り上げた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
アルトが隠れてしまったがために、二人の間には沈黙が下りる。
どんな顔で出て行けばいいのかも分からなかったから、そのままもう一度眠ってしまおうとしたアルトの額にコツンと何かがぶつかった。
おそるおそる布団をずらせば自分の顔のすぐ横にシェリルの顔があった。
「・・・・っ・・・」
反射的に叫びだしそうになった自身を必死の努力で押し込めると、アルトはドキドキしながらそっとその様子を眺めた。
アルトの好きな空色の瞳は閉じられ、何かを感じ取ろうとするかのようにシェリルはじっとしている。
髪と同じストロベリーブロンドの長い睫毛が時々ぱさぱさと音を立てた。
肌理の細かい白い頬。
すっと通った鼻。
ふっくらとした唇。
眺めれば眺めるほど愛おしくてたまらなくなる。
言ったらキスをしてくれるだろうかと一瞬考えたけれど、アルトはすぐにその考えを霧散させた。
「・・・・分からないわね。」
瞳を開いたシェリルが少し困ったように呟く。
何がだ?っと問えばシェリルが苦笑しながら『体温』と答えた。
意味が分からず、さらに問えば、矢三郎にそうするものだと教わったという。
違うの?っと首を傾げて訊くシェリルに一瞬どう答えたものかと考えたが、ある意味間違ってはいないので結局そのままにしておいた。
「だいぶ楽になったから、大丈夫だ。」
「ならよかった。明日には全部下がってるといいわね。」
「下がらなきゃちょっと困るな。」
「どうして?」
「軍も学校もできるだけ休みたくないからな。」
「そうなの。」
「まあな。」
アルトの答えにシェリルが少し考えるようなそぶりを見せる。
もう少しだけ寝るよっと言えば、シェリルがオヤスミっと言って、額に口付けてくれた。
********
唇に口付けて、その瞳を見つめれば少しはにかむ。
それを見つめた後で唇を割ると、甘い吐息と舌が絡む。
髪に手を差し入れて何度も何度も梳きながら、深く深く口付ける。
そして、お互いの熱が高まっていくのを肌で感じる。
首筋を辿って、胸元へ下り、乳房の先を愛撫する。
ピクン、と返ってくる反応を嬉しく思いながら下へ、下へと降りてゆく。
締まった腹部に頬を寄せて、下腹部を撫ぜ、もっと下へと下る。
秘部に口付ければ、恥ずかしそうに膝小僧を擦り合わせ、ぎゅっとシーツを握り締める。
そして、自分はソコを侵すのだ。
指をナカへと差し入れてクニクニと動かしたり、射しぬきを繰り返せば、甘い声が漏れる。
逸る心を精一杯押しとどめながら自分はその声を聞く。
指と舌に絡む愛液をナカへ塗りたぐりながら、奥へ奥へと入っていく。
しばらくそうしていると、やがて耐え切れなくなったシェリルがアルトを呼ぶ。
『おね・・が、い』と。
『いれて』と。
じんわりと涙が浮かぶ瞳に見つめられ、そう言われれば、アルトは優しくその頭を撫でる。
それが答えだ。
手と手を繋ぎ、ゆっくりとゆっくりと埋めていく。
離さぬようにと絡みつく内壁。
動くたびに震える身体。
途切れ途切れになりながら、何度も呼ばれる自分の名前。
全てがアルトを高めていく。
夢中でアルトもシェリルを掻きまわした。
けれど、何かがいつもと違う。
これ以上どうにもならないほどに熱は高まり、後ははじけるだけだというのに、何故か上り詰めることができない。
熱い感覚も絡む感覚もいつもと同じなのに最後の坂を駆け上がることができない。
もどかしくてたまらなくなり、ついつい手を伸ばす。
『ん?』
手に触れたのは、いつもと違う感触だった。
っと急に、心地よかった感覚が引いていく。
急いで後を追ってももう戻ってきてはくれない。
欲張りすぎて全てを失ったのだと実感したら、全身から一気に力が抜けた。
「・・・あぁ、夢か・・。ったく、なんてリアル・・な・」
目を開けた瞬間、映ったものは見慣れた天井だった。
残念そうな、少し切なそうな声でそう呟くとアルトは額に手を当てる。
先ほどの夢のせいかそれとも熱のせいかは分からなかったけれど、額には汗が滲んでいた。
「・・・はぁ・・」
思わず零れそうになった疑問。
風邪でダウンする前はほとんど毎日のようにシェリルとベットで戯れていたというのにこんな夢を見てしまうほどに自分は欲求不満なのだろうか?
限界を知らない自分の欲求が少し怖くなる。
シェリルが気付いて怯えたりしなければいいなとアルトはぼんやりと思った。
「・・・・ん?」
「ッタ・・・」
ごろりと寝返りを打とうとした自分の下半身が何かを蹴る。
慌てて布団の足のほうを見ると、こんもりと膨らんでいた。
「!!シェリル?!」
「・・・いたい・・」
一瞬真っ白になった頭を必死に動かし、とりあえず布団をめくるとソコには小さく身体を曲げたシェリルがいた。
っということは先ほど自分が足蹴にしたものは、必然的に彼女ということになる。
よく見ればしきりに頭を撫でていた。
「お前、何してんだっ?!・・・ってか、なんで肌蹴て・・・えっ?!」
自分の足元に蹲っていたシェリル。
そして肌蹴た自分の浴衣。
それから、気付かれたくない先ほどの夢。
いろいろなことがアルトの頭を一杯にしていく。
呆然としながらシェリルを見ると、涙を浮かべたその空色の瞳と目が合った。
一瞬の沈黙の後、ボンッと軽い爆発が起きたようにシェリルの顔が赤く染まり、視線が下へと反らされる。
それでもストロベリーブロンドからちょこっとだけ覗く耳たぶは同じくらい真っ赤になっていた。
それを眺めていたアルトが噴出しそうになる。
とりあえず、身体を丸めたままシェリルを上から被さるようにして抱きしめてみた。
途端にシェリルがジタバタと暴れだす。
その様子に笑いながらアルトはもう少しだけ力を込める。
布越しに感じる体温。
甘い髪の香り。
丸く、柔らかい肌の感触。
全てが愛おしい。
「また、兄さんに何か言われたのか?」
「・・・・っ・・・なんで、起きてるのよ。」
「眠っただけだからな。そりゃ覚めれば起きる。」
「だって・・・薬飲んでたじゃない・・・。」
「あれも調整してあるんだよ。・・・で、今度は何を言われたんだ?」
悔しいのか恥ずかしいのか、どっちなのかは分からないけれど、シェリルが下を向いたままもごもごと言いよどむ。
自分とシェリルのこととなるとアルトさんのために!と妙な使命感を燃やし、どこか間違った方向へ暴走しがちな義兄の考えることなど、今更シェリルに問わずともある程度は予想がつく。
それでもすこし騒ぐイタズラ心のままにアルトはシェリルをいじめてみる。
シェリルがすぐに答えられるはずもなく、また少しの沈黙が下りた。
「・・・アルト・・・と・・・」
「俺と?」
「~~~~~~っ」
「何?」
「・・・エッチ、したら、熱下がるってっ!!や、矢三郎さんが・・・」
「・・・・」
しどろもどろになりだしたシェリルが最後はやけっぱちのように早口でそう言った。
あらかじめ予想はしていたが、やはり間違いないことが分かると少しだけ複雑だ。
アルトは静かに天を仰ぐと、そんなことをシェリルに堂々と宣った矢三郎の脳内を半分本気で見てみたいと思った。
そして、そんなことにこんなにも簡単に引っかかるシェリルの頭の中も。
ミシェル。
俺は、流石にココまで世間知らずじゃないぞ。
俺よりひどいヤツがココにいる。
ばたばたと暴れるシェリルを抱きしめながら、心の中でアルトはそう呟いた。
「離しなさいよっ!風邪移るって言ってたじゃない!!」
「・・・・・・そうだな。」
抱きしめたまま離さずにいるアルトに向けてシェリルから非難の声が上がる。
必死にもがくシェリルの指摘にそれもそうだとアルトは我に返った。
力を緩め、敷いた身体の上から退いて床に座る。
するとすぐにシェリルがアルトをにらみつけてきた。
少しの時間とはいえアルトに羽交い絞めにされ、それを解こうと懸命に暴れたせいで、その瞳は潤み、頬はバラ色に淡く染まっている。
迫力など皆無だ。
思わずアルトが笑うと、シェリルが悔しそうに顔を背けた。
「・・・・離れるんじゃなかったのか?」
「言われなくてもそうするわよっ!!」
アルトがそう言うと反射的にシェリルがそう言い立ち上がる。
すたすたと歩く様子に少し寂しさを感じたけれど、シェリルは縁の先まで歩くとその場に正座した。
律儀にアルトの言うことを守りながら、あの場所で看病を続けるらしい。
未だに顔を顰めながらも自分が面倒をみるのだっといわんばかりのその態度に、嬉しさと笑いとが一気にアルトの胸にこみ上げてくる。
一瞬本気で息ができなくなった。
「ぐっ・・・げほっ・・ゴホッ・・」
思わず噴出しそうになったけれど、そんなところをシェリルに見られでもしたら今度こそ怒って部屋を出て行ってしまうに違いない。
アルトは慌てて笑いを噛み殺すけれど、間に合わず、それは盛大な咳がとなって部屋へと落ちる。
震える身体を見られるまいと、アルトはいそいそと布団に潜り込んだ。
「ねぇ、大丈夫?」
「・・・・・・・」
「・・・・アルト?」
急に潜ってしまったアルトにシェリルから心配そうな声がかかるけれど、答えは返ってこない。
当人は咳や熱に苦しむわけでもなく、笑いを抑えるのに必死なわけだから答えられるはずもないのだけれど、それをシェリルが知るはずもない。
自分が先ほど無理をさせたのだろうかと一瞬青ざめたシェリルは急いで席を立つと、矢三郎の元へと走った。
「・・・・っ・・・あれっ、シェリル・・・・?」
ようやく笑いを押し込めてのろのろと布団から這い出たアルトは先ほどまでいた場所にシェリルの姿がないことに驚き慌てて身を起こした。
布団から起き上がり、開いたままの障子戸の隙間から廊下の先を窺ってみても、耳を済ませても足音一つ聞こえない。
しんっと静まり返った部屋の様子に軽く息を吐くとアルトは身体から力を抜き、パタンッと布団へ倒れこむ。
自分の熱に温まった布団は火照った身体に少しだけ不快だった。
瞳を閉じて腕を伸ばし、布団の先をまさぐる。
どれだけ手を伸ばしても手に触れるのはシーツばかりだ。
頭では分かっているはずなのに、"誰"にも触れられないことがもどかしかった。
"彼女"をこの手に抱きしめられないことがとても不満だった。
「アルト?」
自分を呼ぶ声にうっすらと目を開けると、開けっ放しの障子戸に手をかけるような形でシェリルが立っている。
慌てて身体をそちらに向けると、シェリルが目を丸くし、ほっと息を吐いたように見えた。
そして、そのまま障子戸を閉めるとゆっくりとアルトのほうへ歩いてくる。
傍に来てくれるのだろうと思ったアルトは急く気持ちを必死に抑えながらそれを待った。
アルトの枕もとに正座すると、シェリルはそっとアルトの額へと手を伸ばす。
触れたシェリルの手はヒヤリとしていて、氷のように冷たかった。
よく見ると、もう片方の手で小さい氷嚢を持っている。
「熱、上がったわけじゃないのね?」
「・・・なんで、そう思うんだ?」
「さっき、いきなり咳き込んで布団に潜ったまま返事をしなかったのは誰?」
「・・・・・・・・」
子供を嗜めるような口調にアルトが少しつまらなそうな顔をする。
無言のままこちらに来いという仕草をされ、シェリルがそっと顔を寄せると腕を一気に引き寄せられた。
咄嗟のことにシェリルがバランスを崩し、アルトの上へと倒れこむ。
シェリルが軽いためか、間に布団があるせいかあまり衝撃は伝わらなかった。
「・・った・・・もう、アル・・・」
背中に回された腕が強く、強くシェリルを抱きしめる。
引き倒されたことに文句を言いそうになったシェリルの口がゆっくりと閉じられ、小さく笑った。
「・・・なぁに?今度は甘えるわけ?」
「・・・・・」
シェリルの少し得意そうな問いかけにアルトは答えない。
アルトがシェリルを抱きしめたまま離す気がないことを悟ると、シェリルはゆるゆると肢体から力を抜いた。
抱きしめる力強い腕の感触に、シェリルがそっと目を閉じる。
やがて、シェリルの背中に回っていた片方の腕が離れ、その手が愛しむようにシェリルの頭を何度も、何度も撫でた。
一度撫でられる度に、温かな気持ちが胸に込み上げて来て、嬉しくてたまらなくなる。
抱きしめてくれる相手が愛おしくて、愛おしくてたまらなくて、少し胸が苦しくなった。
それを押し込めるように、シェリルは小さく足をバタつかせながらそっとアルトの胸があるあたりに顔を寄せる。
規則正しく布団が上下する。
アルトの体温が布団を通して伝わる。
頭を撫でる優しい手が、何度も何度もシェリルの心を一杯にしていく。
ずっと、ずっとこうしていたいと思った。
「・・・・シェリル?」
優しく名前が呼ばれる。
ゆっくりと顔を上げるとアルトがシェリルを見つめていた。
「何?」
問うシェリルに答える声はない。
けれど、アルトの言葉を伝えるように優しく右手がシェリルの横髪を撫ぜた。
一瞬の沈黙の後、シェリルがそっとアルトに近づく。
そして、静かにその唇が重なる。
触れるだけのキス。
気持ちを伝えるように。
言葉を伝えるように。
答えるように。
また、一つキスをする。
そっと触れ合うだけのキスをそうやって何度も何度も繰り返した。
「あっ・・・」
「?・・・んんっ――――!」
アルトの声に一瞬不思議そうに目を見張ったシェリルが、今度は少し苦しそうな表情になる。
いつの間にか髪に触れているだけだったアルトの手がシェリルの頭をがっちりと固定し、ほぼ無理やりのような形で唇を割られたのだ。
驚きに一瞬シェリルの身体がビクッと震えるけれど、口内を蹂躙する舌は絶え間なくシェリルを煽り続ける。
一度は拒むように突っ張った手からいつの間にか力が抜け落ち、されるがままになるシェリルの瞳がじんわりと潤んでいく。
アルトはそれをぼんやりと見つめた後で瞳を閉じ、手探りでシェリルの手を見つけ出す。
引き寄せ、繋いだ。
「っ・・・・・」
一度火のついた欲望は止まらない。
触れたいと思う気持ちが加速していく。
柔らかい髪
甘い匂い
潤む瞳
もっと、もっと見たくて、
もっと、もっと感じたくて、
もっと、もっとシたくなる。
一応抗ってはみたものの、うまくはいかなかった。
「ちょ・・・・と、アルトっ・・・」
「悪い・・・」
唇を離すとちゅっという軽いリップ音が立つ。
途切れる息を必死に整えながらなんとか声を発するシェリルをアルトがぎゅっと抱きしめるとシェリルが押し黙った。
「・・・シェリル」
「・っ・・・・・・ずるいんだから・・」
耳元で紡がれる切ない声に、ぞくりとする感覚が走る。
きっとこの先の行為に自分たちが溺れていくしかないのだということだけは分かっていた。
アルトがシェリルを布団の中へと引き込み、組み敷く。
一瞬の間をおいてもう一度キスをする。
先ほどまではそのことで頭の中が一杯になるほど緊張して、焦っていたというのに実際にこうやって向き合ってしまえば、不思議と心は安らぐのだ。
見つめた先の空色の瞳が小さく笑み、アルトもそれにつられる。
身体を繋げる行為がただ互いの欲望だけを満たすことでないのだと、毎回毎回教えてもらえる。
自分もシェリルに与えることができ、そして、シェリルも自分に与えてくれるのだ。
自分一人では得られない感情。
本当に愛する者としか分かつことのできない感覚。
ゆっくりと満たされていくその感覚は、何モノにも変えることができない。
愛しくて、
愛しくて、
ただ、愛おしくて。
その気持ちだけで一杯になる。
目を開ければ、少し恥ずかしそうにしながらも笑うシェリルにアルトの心がきゅっと縮む。
たまらないと思った。
止まれないっと思った。
「シェリル」
名前を呼んだ。
それから、布団に両手を付きその間に閉じ込めるようにしたシェリルの唇と額に軽くキスをした。
くすぐったそうに、でも嬉しそうに目を閉じて笑うシェリルにまた、アルトの心臓が軽く跳ねる。
首筋に頬を寄せて、ゆっくり、ゆっくり下へと降りていった。
シェリルのお気に入りの桜色のワンピースは胸元の切れ込みが少し深いから、軽く胸の谷間が見える。
外をシェリルと歩くたび、男共の視線が集まるような気がしてあんまり好きだとは思わなかったけれど、こうして自分だけの前ならやっぱり可愛いと思った。
つくづく若い男の独占欲なんて、子供の持つ独占欲の延長線上にあるものなのだと実感する。
自分だけに笑って欲しい。
自分だけを側において欲しい。
自分だけに、全てを預けてほしい。
きっと言葉にしたら笑われてしまうだろうから、絶対に口にはできないし、見せたくもない。
けれど、それでもやっぱりそういう感情は心にあるのだ。
こういう感情はいつか消えるものなのだろうか?
それは分からなかったけれど、でも、それはそれで少し寂しい気もした。
「アルト・・・?」
「ん?」
「今、どっかに飛んでなかった?」
シェリルがアルトの名前を呼び、問いかける。
飛んだとしても一瞬のはずなのに、どうしてか分かってしまうのか、少し不思議だった。
視線でそれを訊くと軽く鼻先を摘まれる。
そして、『アルトもそうゆうときあるでしょ?』といわれた。
答える代わりに顔を肌へ寄せると、甘い匂いがする。
柔らかな膨らみの上部を啄ばみ、鼻先を使って服の内側へと押し入っていく。
小さい子犬みたいだとシェリルが笑った。
その首筋に軽く歯を立て、甘噛みする。
今度はその痕を優しく舐めると、シェリルが身をよじった。
左ひじを突き、シェリルの頬に触れながら、アルトは右手を使って服を引き下ろす。
まだ、下着に収まったままの右胸が覗いたとき、シェリルがアルトの手を止めた。
恥ずかしそうに視線を外しながら、服がダメになると小さく呟くシェリルにそれもそうだと思ったアルトが少しだけ身体を起こすと、シェリルもゆっくりと起き上がる。
裾に手をかけ、おずおずとワンピースから身体を抜いた。
淡い色をした上下の下着がほんの一瞬だけ垣間見えたのだけれど、すぐに着ていたワンピースをその胸元に押し付けるようにして隠してしまった。
今更だろ?っというアルトに、シェリルが慣れないのっと小さく反論する。
頬を真っ赤に染めたその様子がなんだか可愛くて、アルトはそのままシェリルを押し倒す。
ふわりとした浮遊感に、シェリルから小さな悲鳴が上がった。
鎖骨、右胸、わき腹、腰、そして、太もも。
なだらかなその流線を覚えるように手を這わせ、同じように胸元に唇を滑らせる。
触れるシェリルの身体はどこも柔らかく、そして、熱い。
まだ触れているだけなのに、ときどき『んっ』と息を詰める。
もっと、もっと聞きたくて、アルトは唇を下のほうへと滑らせていく。
少しだけ、シェリルに体を浮かせてもらって、背中のホックを外した。
下着を押し上げ、その柔らかさを堪能する。
先端を口に含んで転がせば、ぷっくりと立ち上がる。
シェリルの身体が震える。
感じてくれていることが嬉しかった。
だから、何度も、何度も、触れた。
「・・・シェリル。舐めて」
シェリルの口元に指を差し出すと、一瞬迷うように視線が揺らいだ。
それでも口を開き、先を少しだけ口に含ませる。
少しだけ覗いた真珠色の歯が反抗的にアルトの指先をカリッと齧った。
惑いながら窺うも、アルトの表情は変わらない。
やがて罪悪感が勝ったのか詫びるように丁寧にその痕を舐め始めた。
その様子はたまらなく艶やかだった。
「もっと。」
そう言って、もう少し指を押し込む。
自身しゃぶるソレが何に使われるかを感じ取ったシェリルは、少し複雑そうな表情を見せたけれど、もう抵抗しなかった。
ペロリ、ペロリと丁寧に舌が指を這う。
それを感じながら、アルトは再びシェリルを愛撫する。
胸を撫で上げて、揉んで、舌でくすぐる。
指を銜えさせられているせいで、閉じることのできない唇からしどけない声が上がる。
それがひどく耳に心地いい。
頃合を見計らって指を引き抜くと透明な液体が伝った。
それを乾かさぬまま、下肢を覆う下着の中へと入れると自分の指先に絡むものとは違う濡れた感触がする。
すぐに中に入れずに表面を撫で上げるとシェリルの身体が一際大きく震えた。
シェリルをそっと窺うと、羞恥に顔を真っ赤にして必死に目をつぶっていた。
そんな様子を見てしまうと、どういうわけかイタズラ心が刺激される。
アルトは静かに息を飲むと早く重なってしまいたいという欲望を必死に押し込めた。
「や・・やだっ、アルトっ・・・ぁっ・・・ンッ・・・」
指を上下に動かし、時々強く擦り上げると甘い声が漏れてくる。
くちゅくちゅと卑猥な水音が響くたびに声を殺すような音が聞こえてくる。
けれど、数秒後には堪えられなくなってまた零れだす。
あふれ出した愛液にアルトはそっと唇を寄せた。
舌でくすぐり、そっと吸うと口内に蜜の味が広がる。
指を這わせたり、舌で舐め上げるとシェリルの白く細い腕がシーツの上を滑り、シュッという音を立てた。
「ある・・・と・・あっ・・も、・・」
「まだ。」
「・・っ・・・」
途切れ途切れになりながら、先を願うシェリルに、アルトはそっけない態度で返す。
自分自身の押さえももうそれほど利かないことは分かっていたけれど、アルトは素知らぬ振りをした。
もっと、声を上げさせたい。
もっと、求められたい。
もっと、辱めたい。
膨らむ欲はその終わりを知らない。
ツプッと小さな音を立てて指を押入れかき回すと、シェリルの腰が揺れる。
アルトが教え込んできたから、アルトと繋がってきたから"そう"なるのだ。
くわえ込んだまま離さぬ様子を覚えながらアルトはナカを擦り上げる。
声になりきらない悲鳴の数々がねこの鳴き声のようにも聞こえた。
「・・・・ちょ・・だい?・・・あ・・・のっ・・・」
ギリギリの声にアルトが苦く笑う。
これ以上自分ももう我慢ができなかった。
下着を完全に取り払い、自分も下着を引き下ろす。
着ていたのは浴衣だったから思いのほか早く解くことができた。
太ももを抱え込み、自らの先走りに濡れたモノをその入り口へと押し当てるとソレを感じ取ったらしく軽く引きつく。
宛がわれたものを早く飲み込みたくてたまらなかったらしく、シェリルがもどかしそうにピクピクと反応する。
ほんの一瞬だけもっといじめたいとも思ったけれど、本当に泣かれてしまいそうだったから止めた。
代わりに勢いよく埋めてやる。
「や・・・あ、あっ・・・・・ん」
上がる甘い吐息と音にアルトの中の何かが沸き立つ。
ゾクッとする感覚が背筋を這い上がると共にアルトを達させようとうごめく内壁に思わず息を呑んだ。
熱い。
頭に浮かんだのはソレだけだった。
身体が熱くて、
触れているシェリルの身体が熱くて、
互いを繋ぐ部分が熱くて、どうにかなってしまいそうだ。
トロトロに溶かされてしまいそうな思考を必死に掻き集めながらアルトは必死にナカを穿った。
狭い中を奥へ奥へと押し分けて進み、より深い場所へと潜り込む。
きゅうきゅうと締め付けられるたびに強くなる吐精感を必死に押さえ込んだ。
「くっ・・・・あっ・・・」
「ン、ぁ・・・はぁ、・・・ぁ・・」
揺さぶられ、声が掠れる。
否応なしに寄せる官能の波に全てを持っていかれそうになる。
それは何度経験しても同じものはないから、次にどうなってしまうか分からないという不安は消えない。
律動の速さはだんだんと増していき、次第に何も考えられなくなる。
うっすらと開いた瞳に映ったアルトの姿だけがシェリルを少し安心させてくれた。
「ぁあっ・・・・っ」
安心した途端、箍が外れた。
押し寄せる波はその限界で飛沫となり、シェリルを押し流してゆく。
自身を取り巻くふわふわとした心地よさを感じると共に、アルトの熱が自らの内で弾けたのを感じた。
とくとくと注がれる感覚に意識が再び霧散しようとする。
それに必死で抗ってみたけれど、その攻防も長くは続かなかった。
優しい腕が自分を包み込んでくれるのをぼんやりと感じながらシェリルはそっと夢の中へ落ちてゆく。
柔らかく波打つストロベリーブロンドに埋もれながら眠るシェリルの頬にアルトが大切そうに触れ、影を落としていた横髪を軽く撫でてやる。
露になった顔に満足げに微笑むアルトにもゆるゆると眠りの誘いが下りてきた。
少し前の季節に咲き誇った花と同じ色と甘い香りに包まれながら二人は安らかにまどろむ。
END
09/05/24
加筆完了です。長い文にも関らず、読んでいただいてありがとうございました。