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ゼロの兄貴-27 - (2007/08/21 (火) 09:39:45) の1つ前との変更点

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前回の内容:中の人が爆発して色々グダグダになった。あと、マリコヌル瀕死 「……オメーらいい加減帰れ」 少々精神的ダメージを負ったが、今日の仕事はまだ終わっていないので続けているのだが… 「あら、まだ宵の口よ?」 「………(ガオン!)」 「主人に内緒でこんな事してたんだから、この代金あんたが払いなさいよ」 プロシュートに酌をさせているキュルケ。料理をひたすら食べているタバサ。何気にゴチ宣言をするルイズがまだ居座っていた。 「あらぁ~~今日はプロシュートちゃんの退職祝いだからタダでいいわよぉ~~~」 『ミ・マドモアゼル』が妙にクネクネしながらズィィィっとプロシュートに擦り寄るが、さっきあんな事されただけに頭押さえながら立ち上がった。 「……飲む?」 タバサが例の水筒から注がれた物が入ったグラスを差し出す。 「……ああ」 いい加減、頭とか胃とか痛くなってきたので水分補給しとこうと思いそれを取り水を飲むように一気に口に入れた瞬間…動きが止まった。 タバサはその様子をジーっと見ているがプロシュートが3/4ぐらい減ったグラスから口を離し、何時もの冷静な顔でグラスを返すと店の奥の方に消えていった。 「…タバサ、それなに?」 「はしばみ茶の試作品」 あれで茶だったのかと二人が同時に突っ込むが、意外に反応の薄かったプロシュートを見て少し味が気になった。 「味見したの…?」 無言で首を横に振るタバサを見て、ヤバイ物と判断し少しだけ飲んでみようかという選択肢を瞬時に外した。 店の奥から裏口に出たプロシュートだが出た瞬間、顔から嫌な汗を思いっきり流し咳き込んでいる。 「ガッ…!ガハッ…!ゴバッ!!…ハァー…ハァー…こんなキツイのは…リゾットが…作った飯を…食った時…以来だな……」 肩で息しながら回想に入るが、あの時もこんな状態になった。 リゾットの料理の腕や味覚が壊滅的に悪いというわけではない。むしろ巧い方だったのだが… 無意識的にメタリカが働いたらしくアルミホイルや金属を奥歯で噛んだような感触や味がしてえらい目にあった。 「オカマに迫られるわ…妙なモン飲まされるわ…厄日か?クソ…ッ」 「ふふ…大丈夫ですか?水お持ちしました」 笑いながらシエスタが水を持ってきてそれを飲み干す 「そんなに酷い味だったんですか?」 「ありゃ毒の領域だな…拷問用具として売り出せれば一財産稼げる」 「…よく吐き出しませんでしたね」 「…まだここで働いてるからな」 従業員が店で吐けば確実に今後の売り上げとかが落ちる。表の仕事と暗殺稼業で鍛えたプロ根性で耐えたが限界ギリギリだった。 「……大分マシになった。助かったぜ」 「水をお持ちしただけですので…そういえば、ずいぶんと手馴れた感じの様子だったみたいですけど、ここに来る前は何をしてらしたんですか?」 さすがに、この悪意の無いストレートな問いには戸惑った。 「…まぁ上の連中の後始末をな」 「…すいません」 若干言いにくそうに言うので何か聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと思ったのか頭を下げる。 「オメーは、一々人に頭下げすぎなんだよ」 「す、すいません…!」 ペッシでもここまでやらねーと思うと、何か新しい生物を発見した気分になる。今の今までこんなのにはお目にかかったことが無いのだ。 「ったく……そこまで頭下げられると説教する気にもなれねぇ」 「すいまひゃあ!」 三回目の前にバスっと後頭部を一発叩かれる。 「…痛いですよぉ」 「一回言うごとに強くなるからな」 「さて…いい加減あいつら帰さねーとな…明日もあんだろうからあいつらと一緒に先に戻って構わねーぞ」 「明日…ですか…」 はふぅ…と溜息つき、語気が弱くなる。 「なんかあんのか?」 「いえ…」 何も無いならと扉に手を掛けるが後ろから声がかかった。 「その…プロシュートさんさえよければ…最後に頂きたいものが…ある…んですが」 「まぁ世話になったからな…くれてやれる範囲のものでなら構わねーが」 「首から下げられている…それを頂けると…」 イニシャルでもあるPの形を模した勾玉にも見えるものを指差す。 半分奇跡的な状態で糸が繋がっていて今にも取れそうなものだ。 「まぁ…こんなもんでいいなら構わねーが」 プチッっと糸を千切りそれを手渡す。 「あ、ありがとうございます!これがあれば…明日から頑張っていけそうな気がするんです」 「他になんもないんなら行くぞ」 扉の向こうにプロシュートが消え扉が閉まると笑顔から一点、目を伏せ小さく呟いた 「これが…あれば…あそこでも…頑張れますから…」 そして、席に戻ると三人がすっかり出来上がっていた。 「遅いわよぉ~~~なにやってたのぉ~~~」 「………(ガオン!)」 「ふぉら!こっひきらはいよぉ」 「マジで帰れ」 閉店時間になりハンカチを噛んで泣きながら見送る『ミ・マドモアゼル』を後にプロシュート以外の四人がシルフィードに乗り込む。 「ほりみちひはいれはえっへふんのよぉ~(寄り道しないで帰ってくんのよぉ~)」 「もう一軒行くわよぉ~~」 「学院…ケプ……zz…ケプ…zzz」 「………酔っ払いが二人と食い倒れが一人か…悪いがこいつら頼む」 「分かりました…気をつけてくださいね…」 「まぁ基礎トレーニングと思えば…な」 往復計6時間の乗馬はかなりキツイ。だが基礎体力の向上は望める。 偏在のようにグレイトフル・デッドの能力が通じない敵が存在する以上、本体のパワーアップは少しでもしておいた方が良い。 シルフィードが飛び立つ事を確認すると馬を進めるが上空が水滴が2~3滴落ちてくる。 「……ヤバイな…雨か?」 上を見上げるが有るのは二つの月と雲ひとつ無い星空とシルフィードだけだった。 「…妙だな」 まさかとは思うがシルフィードがやったのか…?と当人(当竜)にとってはかなり失礼な思考をする。 明け方帰ってきて久しぶりにルイズの部屋に入る事を「許可するッ!」をされていたのだが酔っ払っていて鍵が開かなかったので例によって使用人部屋で寝る事にした。 「帰ってきてねぇはずはないが…」 とっくにルイズは帰ってきているというのにシエスタが居ないはずはないと思ったがぶっちゃけ疲れていたため、まぁ気にはなったが寝る事にした。 「…デルフ馬に付けたままだったが…起きてからで…問題…ねぇな…」 ~翌日~ 「…ッかぁ~」 珍しく欠伸しつつ首を鳴らしながらルイズを叩き起こし、食堂へ向かう。 「…ねぇ昨日途中から記憶が無いんだけど何で?」 「あんだけ飲みゃあな…つーか記憶無くす程飲んでなんでオメーは二日酔いの片鱗すらねーんだ」 食堂でルイズと別れコーヒーでも貰うかと厨房に向かうが、妙に雰囲気が重かった。 「わりーが目が覚める何かくれ…」 「おう…ちょっと待ってくれ…」 「…らしくねーな、なんかあったのか?」 マルトーですら沈んでいる。さすがにあの親父がこうも沈んでいる事に気付く。 沈黙が数秒を続いた後、マルトーが頭下げてきた。 「すまねぇ……!シエスタはおまえさんが心配するから言わないで欲しいって言われてたんだが…    三日前にモット伯って貴族が来てシエスタを気に入ったらしく…今朝の明け方連れていっちまったんだ…!」 「…そのモット伯ってのはどういうヤツなんだ?」 「なんでも平民の女を集め手篭めにしてるってぇ話だ…」 「…チッ!」 思わず舌打ちが出る。 三日前なら少し様子が妙だと思い始っていたのだが特に気にしてはいなかった。この時ばかりはリゾットのあの洞察力の高さを羨んだ。 (あれに気付けねぇたぁ…少しここの空気に慣れすぎたな…!) 無言で立ち上がるがマルトーが口を開いた。 「あいつは…おまえさんが知れば、モット伯の所に行くと思ってるから黙っててくれって言ったんだ…」 「オレが居たとこではな、あんな目をしたヤツなんてのは居ねーんだ…殆どのヤツが最初から目が濁ってやがる…!    それでも、少しは居た…!だが、同じようにして連れていかれ結局濁った目になんだよ…!分かるか…?オレの言ってる事…」 自分が捨てたはずの過去を思い出す。 親が酒代やヤクの金を得るためだけに何も知らない娘を売り飛ばした連中を何人も見てきた。 プロシュートもどっちかというと貧民層の出だったので幼馴染の娘がそういう風に連れて行かれ、1年ぐらいしてその娘と再会した事がある。 精神的にかなりヤバかったので何とかして病院に入れたのだが、昔見たような目はもうしていなかった。 それでも、何とか話せる範囲まで回復させたのだが、それからしばらくして病院に行くと手首を斬って自殺していた・・・ その時から、このクソみたいな場所を捨て『栄光』を求めるため『パッショーネ』に入団した。 「…どうやって連れて行ったんだ?無理矢理引きずっていったわけでもねぇだろ」 「どうするかは本人が決めていいと言ってたが…選択肢なんてありゃあしねぇようなもんだった!    『断れば家族がどうなるか』とか抜かしやがって…!そんな事言われりゃあシエスタが断れるはずねぇよ!」 (組織と同じじゃねぇか…ッ!気に入らねぇ…) 二年前を思い出す。『従わざるものには死を』。それに反発し反逆したプロシュートが気に入らないのも当然だ。 「シエスタには世話になったし恩もある…そのモット伯ってヤツも気に入らねぇ…オレが動く理由はそれだけで十分だ」 それだけ言うと厨房を後にし、外の椅子に座り机に脚を乗せどうやるかと思考を張り巡らす。 1.シエスタを引っ張ってでも連れ戻す。 「ダメだな…『断れば家族がどうなるか』と言われている以上、あいつの性格じゃ付いてこねぇな」 2.モット伯を殺す 「…こいつも…無理がある。老化を使えばいけるだろうが…結構知ってるヤツが居るみたいだから調べられればバレる…    デルフ使えば魔法は吸い込めるから老化無しでやってもいいが…屋敷に乗り込んで刃物で斬り付けて証拠が残らない方が無いな」 3.脅迫 「…ダメか。ネタがありゃあいけるが…手ぇ付けるとしたら今夜ってところだろうから捜す時間がねぇ     老化させて死ぬ寸前まで追い込んでもいいが…姑息な手ぇ使うヤツが後から何もしねぇって事はないだろうしな…」 シエスタが連れて行かれる前だけなら、打つ手はいくらでもあっただろうが、人質に取られたような今となっては上に挙げた案は全て使い物にならない。 「殲滅には向くがこういうのにはトコトン向かねぇ能力だな…」 「あいつらならどうする…?」 (纏めてブチ割りゃあいいだろうがよォォォォオオ) 「死ね」 (しょお~~~がねぇ~~~なァ~~~。リトル・フィートで小さくさせ飛び降り自殺にでも見せかけりゃあ済むだろうがよぉ~) 「…オレの能力じゃ自殺に見せかけんのは無理だな」 (兄貴ィ…その…兄貴が殺らなくてもいいんじゃあないですかい?) 「この腑抜け野朗がッ!」 (行方不明にでもさせればいい。マン・イン・ザ・ミラーなら楽なもんだ) 「老化が使えねぇ…そうなると埋めるかどうにかして処理しなくちゃあならないが…足が付く可能性があんな」 (ディ・モールト!ディ・モールト良いぞッ!メイドなんてアキハバラでしか見れないじゃあないかッ!) 「ちったぁ自重しやがれ」 (そうだな…殺ったという証拠さえ残さなければいい…) 「証拠を残さず殺るか…問題は殺っただけじゃあダメだって事だな…モット伯とその周辺関係をブチ壊すような殺り方でないとな…」 2~3使い物にならなかったが、他のヤツならどうするかと脳内で考え出た答えに一々突っ込む。 「つまり、シエスタとその家族にも影響が無く、モット伯とその周辺も巻き込んだハデな殺り方で証拠も残さないようにしろ…って事か…」 (『任務は遂行する』『部下も守る』『両方』やらなくちゃあならないのが『幹部』の辛いところだな) 「ブチャラティのヤツ…えらく簡単に言ってくれたじゃあねぇかよ」 「机に脚乗せてなにブツブツ言ってるのよ」 「…オメー、モット伯ってヤツの事なんか知らねーか」 「モット伯…?会った事は無いけど…いい話は聞かないわ。平民の少女を集めて   その連れて行かれた娘たちは誰も戻らないって聞いた事がある。宮廷とも繋がってるから野放しになってるらしいんだけど」 (戻ってこないだと…?ってこたぁ飽きられたか用済みになったヤツは始末されてる可能性があるな…) 「それで、モット伯がどうしたのよ」 「気にすんな」 (なまじ貴族で顔が知られてるだけに連れて行くと証拠が残る…単独で殺るのが確実か) 決めるや否やその行動は速い。机から脚を降ろし立ち上がる。 「…あいつの気にすんなは絶対なんかあんのよね」 厨房に戻り、必要な物を手配してくれるように頼む。 すぐ揃えられるものばかりなのでそう時間は掛からないが、暗くなる前に少しは偵察ぐらいしておかねばならない。 「暗くなる前に偵察を済まし…暗くなれば即突入か…強行軍だな」 馬を走らせ街道を進んでいくとデルフリンガーが口を開いてきた。 「兄貴、勝算はあるのか?」 「殺るだけならまぁ九割九部だが…そこに『証拠を残さず』かつ『ハデに殺す』だと…4割ってとこか」 「低いな…大丈夫なのか?」 「やらなけりゃあ『ゼロ』だからな」 「嬢ちゃんが聞いたら怒るぜ兄貴」 軽口をたたきながら森の入り口に馬を隠すようにして繋ぎ、木に登り邸内の様子を探る。 「門前に一組、犬持ちが3…ツーペアが2組か…巡回は庭がのみに限られてるみてーだが…どうやって館の中に入るかだな」 「老化させちまえばいいんじゃね?」 「そいつは無理だ。皆殺しにでもしねー限り、解除すれば老化したっつー事が知れる。オレだけならまぁ、それでもいいが…ルイズまで巻き込むと厄介だ」 そう言った後、思わず自嘲的な笑みが浮かぶ (ハハ…列車で乗客ごと巻き込んだオレが言えた台詞じゃあねーな) 「?どうした兄貴」 「なんでもねぇ…連中、モット伯に忠誠とか誓ってると思うか?」 「王室とかの直属部隊ならそうだろうけど、貴族の私兵とかは大体、金繋がりじゃね?」 「…ならやれなくもないな」 日が落ち辺りが闇に包まれる。 もっとも日が落ちようが巡回の数は変わらず門には依然として衛兵が二人立っているのだが。 「突っ立ってるってだけってのも暇でしょうがねぇな…」 「ああ…それなのにあの親父は今日新しく入ってきた女とお楽しみってわけだ…どっかに儲け話でも落ちてねーか」 「金がありゃあ俺達だってなぁ…だが、飽きたらあの部屋に放り込むのはな…悲鳴が聞こえる度に吐き気がすんぜ…」 「言うな…悲しくなる。まぁ立ってるだけで金が貰えるんだからよしとしようや……む…!おい!誰か来るぞ!!」 「一人か…?そこのやつ!止まれ!!」 全身を黒いローブで包んだ人影がゆっくりと近付いてくる。ローブで顔を覆っているため、その顔が見えないためそれが余計衛兵の不安を煽った。 「と、止まれ!!」 だが近付いてくるにつれ、それが妙な事に気付く。 左腕から多量の血を流し右手で左肩を押さえよろめくように近付いている。 「た…助けてェェ~~~~目もかすんでよ…よく見えない~~~ッ」 もちろん、その程度で武器を降ろすほどマヌケな衛兵ではない。 「その顔のローブを外して顔を見せろ!!」 「街道を歩いてたら襲われちまってよォォ~~~~~匿って欲しいんだよォォォ~~~」 そう言いながら顔のローブを外すが、それを見た衛兵達が警戒レベルを落とした。 「な、なんでぇ…ジジイじゃあねぇか」 「ここはモット伯の館だ!貴様のような老いぼれが近付いていい場所ではない!」 もう、くたばり損ないのジジイと判断して武器を降ろし追い払おうとするが、次の男の言葉に前言撤回する事になる。 「助けて欲しいんだよおオオ…礼はいくら…でもするからよォオオ~~~」 血を流す腕からこの男が差し出してきたのは、金貨が詰まった袋だ。 「うおぉぉ!エニュー金貨じゃねーか!」 「マジでか!?」 さっきまで儲け話はないものかと話し込んでいた衛兵達にとってはまさに天佑ともいえ、目が金貨に釘付けになる。 「まだ…金貨は別の場所にあるんだぁぁぁあああ助けてくれたらよぉぉ~~……全部やるからよぉぉぉぉ」 「おい…どうする?」 「この量の金貨だぜ?助けたってバチはあたんねーだろーが。まだ持ってるみてーだしな…    それにくたばり損ないのジジイだぜ?万が一何か狙ってきたとしても何ができるってんだ」 「モット伯はどうするんだ?」 「放っときゃあいいだろーがよ!あのドケチなエロ親父が払う給金と、この袋に詰まった金貨どっち取るよお前」 「そう…だな!やっぱそうだよなぁぁぁぁアアア!どーせそろそろよろしくやってんだし知らせるこたぁねぇよなぁーーーーッ!」 (兄貴も結構演技派だよなぁ…) 半分引きずられるようにして、自分自身を老化させたプロシュートが館の中に運ばれていく。 途中それを見た他の衛兵が見咎めるが、金貨を見せられると同じようにそれを黙認する。 「薬持って来る前に、袋を渡してもらおうか…?」 「あ…?あぁ~~~いくらでもくれてやるからァァァアア…早く助けてくれよォォォオオオ」 「この色、この音!やっぱたまんねぇよなぁぁぁ~~~」 「お、おい!俺にも見せろ!」 部屋の中に通され衛兵の一人に金貨の詰まった袋を渡すと、片方の衛兵が薬を取りにいく。 そこに、金貨の数を数え気を取られている衛兵の延髄に強烈な一発が入った 「ギャパ……!」 「…たく…ジジイのフリすんのも楽じゃねーんだぞ」 「こいつどうする?」 「始末してもいいが…血痕が残ると逆に厄介だな。縛ってしばらく寝てもらうしかねーな」 縛りながら衛兵の鎧を脱がしそれを着込みその上から全身を隠すようにローブを着る。もちろん行動に支障が出ない程度に老化はしているが。 部屋の外に出て誰も居ない事を確認すると 「さて…ハデにおっぱじめんぜ…!」 そう言いながらローブの内側に括り付けられたビンを数本取り出しビンの口に入れられた油紙に館に備え付けられたランプの火を灯し ドシュゥゥゥウウ! というような勢いで廊下の向こう側に思いっきり投げつけた。 早い話。火炎瓶である。だが、油と水が7:3で混じっており水が燃えた油を弾き炎が広がっていく。良い子は真似しないように。 そうこうしていると、外の衛兵が中に駆け込んでくる。 「て、敵襲!敵襲だ!!」 ローブをすっぽりと被った男が杖を構え廊下の曲がり角を曲がる。それを衛兵達が追うが廊下の先からも火の手が上がった。 「メ…メイジか!?」 実際はただの木の枝なのだが、メイジ>>平民である以上心理的恐怖を煽るには十分だ。 「我々では相手ができん…!モット伯と護衛のメイジを呼べ!!」 時間を数刻程バイツァダスト 「伯爵が寝室でお待ちです…お急ぎを」 「は…はい…」 重い足取りで湯から上がり用意された服に着替える。 最後にあのP首飾りを付ける。これさえあれば頑張れると言ったもののやはり、恐かった。 「大丈夫…大丈夫だか…ら…」 再びキング・クリムゾン 「地下か…?まぁ火と馬鹿は高いところに行きたがるもんだから、地下にはいないとは思うが」 一応調べるべく階段を降り扉を開きしばらく歩くが、その先にある物を見て一瞬言葉を失う 「……おいおいおいおいおい!兄貴こいつぁ随分とヤベー趣味してんな」 「……こいつは…おったまげたな…全部拷問器具かよ」 その中の一つ、体の内側に張りを無数に生やした人形―アイアンメイデンを開くと、血臭が流れる。 針先を触るが完全に乾いているので、使われたのは大分前だという事が判る。 「急いだ方がいいぜ兄貴」 「……みてーだな」 (ソルベとジェラードもこんなゲロ以下の臭いがする部屋で殺されたってのか…!?クソッ!!) 「は…入ります…」 「随分と遅かったじゃないか」 モット伯が本を本棚に戻すと、シエスタの後ろに回り肩に手を当てる 「私はお前をただの雑用として雇ったわけではない…分かっているんだろうなぁ?」 「は…はい……」 「ふふ…そう緊張しなくともいい…別に痛い事をするわけではないのだから……今はな」 『今は』という言葉に、いずれされるという事に思わず泣きそうになるが必死になってこらえる。 「…くッ!…ン!」 「服の上では分からなかったが…いいものを持っているではないかね」 必死に耐えていたが、他人に触られた事のない場所を触られて遂に涙が零れた。 (父様…母様…マルトーさん…ヴァリエール様…ツェルプストー様…タバサ様…オスマン院長…!プロシュートさん…!ごめんなさい…) 父と母そして、今まで学院で会った人の顔が走馬灯のように頭に浮かんだ。 そこにドアを激しく叩く音が聞こえ、扉の向こうから叫ぶような声が聞こえてきた。 「申し訳ありませんモット伯!て、敵襲です!」 シエスタの胸から手を離しイラついたようかのように叫ぶ。 「えぇい…何のために貴様達に金を払っていると思っておるのだ!」 「で、ですが、敵は…メイジ…!恐らく火のメイジかと…!」 「役立たずが…ッ!!ヤツにも働いてもらわねばならん…メイジにはメイジで対応させろ!私は忙しいのだ!捕縛する必要は無い!殺せ!!」 「りょ、了解いたしました!」 「まったく…平民というものは無粋なものだ…さぁ続きをしようか」 泣いている姿を見て、嗜虐心をそそられたのかさっきよりもアレな笑みでゆっくりと近付く。 だが、またしても部屋のドアが叩かれた。 「敵メイジの攻撃で延焼が広がっております…!このままで屋敷が…!」 さっきとは別の年季の入ったような声が聞こえてくる 「何だと…ッ!?忌々しいヤツめ…!」 このまま火が屋敷全体に廻っては元も子もない。そう判断し杖を手に取り扉を開ける。 「火はどこだ!?」 「こちらです」 場所に案内するために衛兵がモット伯の手を取り部屋の外に出る。 「えぇい…!平民風情が私に触れずともよい!」 振りほどこうとするが、その手はガッシリと掴んだまま離そうとしない。 「…雇った部下の顔ぐらい把握しとけ…『幹部失格』だな」 「な…なにをおおおおおおおおおおおおお…きぃぃぃさまぁぁぁぁ…」 モット伯の悲鳴が聞こえ、代わりに衛兵の姿の歳を取った男が入ってくるが、体格、髪型などはシエスタに見覚えがあるものだった。 「遅くなったな」 「…プロシュートさん…ですか?」 「おう、正真正銘の兄貴だぜ、これで」 デルフリンガーの声を聞いて一瞬安堵したかのようだが、すぐに顔を青くして叫ぶ 「に、逃げてください!…このままじゃプロシュートさんやミス・ヴァリエールにも…!」 「いや…何の問題も無い。オレの仲間の言葉を借りるなら…『こいつはもう、出来上がっている』からな」 「こっちだ…!ローブを被ったヤツが居たぞ!!」 ローブを被った男が必死になって逃げるが足取りが弱弱しい。 (な、なんでこんな事に…!) その男の前にメイジが現れ杖を構えている。 「貴様…盗賊か何か知らぬがモット伯の館に侵入し火を付けて命あって帰れると思うなよ」 「きさ…まら!な…にを…言って…いる!わた…しが…モット伯…だッ!!」 「お前がモット伯だと?呆けた事を…!」 「わ…たしの…顔を…見て…も…まだ分からんの…か…!」 ローブの男が頭からそれを外しモット伯だという事を証明しようとしている。 だが、帰ってきた返事は希望の一片も残されていなかった。 「ハッ!貴様みたいな年寄りがモット伯なわけがあるまい!…命令だ、捕縛する必要は無い『殺せ』というな…」 「なん…だと…?」 壁に掛かった鏡を見るが、そこに写っているのは若さを失っている己の姿。 それを視界に納めた瞬間、胸に熱いものを感じそこに目をやると、氷の棘が突き刺さっていた。 「賊は始末した。モット伯に報告し…私も…クク…余り物の相手をせねばな…」 邪悪な笑みを浮かべ死体から目を離すが、後から追いかけてきた衛兵が驚くべき事を叫ぶ。 「モ、モット伯が…!…モット伯が殺された!!」 その声と共に衛兵が逃げ出す。それに反応して死体に目を向けるが…己の主が自分が放った氷に胸を貫かれ息絶えていた。 「…なッ!い、いったい…どういう…事…だ…?」 そのメイジは茫然自失で杖を落とし、その場に座り込み衝撃で意識を失った。 「命令に忠実すぎる部下ってのも…中々に大変なもんだな」 「兄貴、何やったんだ?」 「完全に死ぬ前に老化を解除しだだけだ。これでオレが止めを刺した事にはならず、かつ老化した事も残らねぇ。後は逃げるだけだ」 「結構えげつない手使うな兄貴も」 「こいつも、色々やってたみたいだからな…因果応報ってやつだろ…ま、人の事言えたもんじゃねぇがな」 「あの、娘っ子はどうすんだ?連れていかねーのか?」 「置いていく。今、連れ帰ったらバレんだろーが…!   自分が雇ったメイジに殺されたんだからな。ま、これで捜査が入って地下のあのクソみてーな部屋も見付かんだろうよ」 その言葉と共に歩き出し、館を出る。衛兵達は全員逃げ出していたので隠れて移動する必要は無かった。 翌日昼頃 「…ねぇ昨日モット伯が護衛のメイジに殺されたらしいんだけど…あんた何かやったんじゃないでしょうね」 「殺ったのは護衛のメイジなんだろ?オレの知ったこっちゃあねーよ。ほれ…オメーが持ってろ」 「…なにこれ?」 投げ渡された袋を開けるとそこには『クックベリーパイ』が入っていた 「……毒?」 「いらねーなら返せ」 「いや…急にこんなもの渡されるから…」 「オレに隠してスーツの立替しようなんざ10年早えーよ。テメーのケツぐらい自分で吹く」 「な、なによ!ご主人様が使い魔の事を思ってやってあげたんじゃない!」 「ハ…!まだまだマンモーニのくせしてよ…まぁそいつは秘薬ってヤツの代わりにはならねーだろうが…礼は言っておく」 「わ、分かればいいのよ!分かれば!」 「ところで、前のヤツにウェールズから預かった風のルビーを入れてたはずだが…あるんだろうな?」 「………そういう事はもっと早くいいなさいよこの馬鹿ハムーーーーーーーーー!!」 スデにゴミと一緒に集められ焼却処分寸前になるところに 焦りに焦ったルイズとどうでもいいようなプロシュートがそれを回収していたのを微笑ましい目で出番の全く無いフレイムがそれを見ていた。 モット伯 ― 護衛のメイジに胸を貫かれ死亡。捜査の段階で地下の拷問部屋も発見され身分剥奪。 護衛のメイジ ― モット伯殺害犯として連行され取調べの後、処刑。ひたすら自分はやっていないと言い張っていた。 シエスタ ― 数日取調べを受けるが、部屋に篭り何も見ていないと言い釈放。学院に戻ってくる事になる。 ゼロのルイズ ― 好物を貰い、少しだけデレに傾きかけるが風のルビーの事を知らされていなかったため戻る。
前回の内容:中の人が爆発して色々グダグダになった。あと、マリコヌル瀕死 「……オメーらいい加減帰れ」 少々精神的ダメージを負ったが、今日の仕事はまだ終わっていないので続けているのだが… 「あら、まだ宵の口よ?」 「………(ガオン!)」 「主人に内緒でこんな事してたんだから、この代金あんたが払いなさいよ」 プロシュートに酌をさせているキュルケ。料理をひたすら食べているタバサ。何気にゴチ宣言をするルイズがまだ居座っていた。 「あらぁ~~今日はプロシュートちゃんの退職祝いだからタダでいいわよぉ~~~」 『ミ・マドモアゼル』が妙にクネクネしながらズィィィっとプロシュートに擦り寄るが、さっきあんな事されただけに頭押さえながら立ち上がった。 「……飲む?」 タバサが例の水筒から注がれた物が入ったグラスを差し出す。 「……ああ」 いい加減、頭とか胃とか痛くなってきたので水分補給しとこうと思いそれを取り水を飲むように一気に口に入れた瞬間…動きが止まった。 タバサはその様子をジーっと見ているがプロシュートが3/4ぐらい減ったグラスから口を離し、何時もの冷静な顔でグラスを返すと店の奥の方に消えていった。 「…タバサ、それなに?」 「はしばみ茶の試作品」 あれで茶だったのかと二人が同時に突っ込むが、意外に反応の薄かったプロシュートを見て少し味が気になった。 「味見したの…?」 無言で首を横に振るタバサを見て、ヤバイ物と判断し少しだけ飲んでみようかという選択肢を瞬時に外した。 店の奥から裏口に出たプロシュートだが出た瞬間、顔から嫌な汗を思いっきり流し咳き込んでいる。 「ガッ…!ガハッ…!ゴバッ!!…ハァー…ハァー…こんなキツイのは…リゾットが…作った飯を…食った時…以来だな……」 肩で息しながら回想に入るが、あの時もこんな状態になった。 リゾットの料理の腕や味覚が壊滅的に悪いというわけではない。むしろ巧い方だったのだが… 無意識的にメタリカが働いたらしくアルミホイルや金属を奥歯で噛んだような感触や味がしてえらい目にあった。 「オカマに迫られるわ…妙なモン飲まされるわ…厄日か?クソ…ッ」 「ふふ…大丈夫ですか?水お持ちしました」 笑いながらシエスタが水を持ってきてそれを飲み干す 「そんなに酷い味だったんですか?」 「ありゃ毒の領域だな…拷問用具として売り出せれば一財産稼げる」 「…よく吐き出しませんでしたね」 「…まだここで働いてるからな」 従業員が店で吐けば確実に今後の売り上げとかが落ちる。表の仕事と暗殺稼業で鍛えたプロ根性で耐えたが限界ギリギリだった。 「……大分マシになった。助かったぜ」 「水をお持ちしただけですので…そういえば、ずいぶんと手馴れた感じの様子だったみたいですけど、ここに来る前は何をしてらしたんですか?」 さすがに、この悪意の無いストレートな問いには戸惑った。 「…まぁ上の連中の後始末をな」 「…すいません」 若干言いにくそうに言うので何か聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと思ったのか頭を下げる。 「オメーは、一々人に頭下げすぎなんだよ」 「す、すいません…!」 ペッシでもここまでやらねーと思うと、何か新しい生物を発見した気分になる。今の今までこんなのにはお目にかかったことが無いのだ。 「ったく……そこまで頭下げられると説教する気にもなれねぇ」 「すいまひゃあ!」 三回目の前にバスっと後頭部を一発叩かれる。 「…痛いですよぉ」 「一回言うごとに強くなるからな」 「さて…いい加減あいつら帰さねーとな…明日もあんだろうからあいつらと一緒に先に戻って構わねーぞ」 「明日…ですか…」 はふぅ…と溜息つき、語気が弱くなる。 「なんかあんのか?」 「いえ…」 何も無いならと扉に手を掛けるが後ろから声がかかった。 「その…プロシュートさんさえよければ…最後に頂きたいものが…ある…んですが」 「まぁ世話になったからな…くれてやれる範囲のものでなら構わねーが」 「首から下げられている…それを頂けると…」 イニシャルでもあるPの形を模した勾玉にも見えるものを指差す。 半分奇跡的な状態で糸が繋がっていて今にも取れそうなものだ。 「まぁ…こんなもんでいいなら構わねーが」 プチッっと糸を千切りそれを手渡す。 「あ、ありがとうございます!これがあれば…明日から頑張っていけそうな気がするんです」 「他になんもないんなら行くぞ」 扉の向こうにプロシュートが消え扉が閉まると笑顔から一点、目を伏せ小さく呟いた 「これが…あれば…あそこでも…頑張れますから…」 そして、席に戻ると三人がすっかり出来上がっていた。 「遅いわよぉ~~~なにやってたのぉ~~~」 「………(ガオン!)」 「ふぉら!こっひきらはいよぉ」 「マジで帰れ」 閉店時間になりハンカチを噛んで泣きながら見送る『ミ・マドモアゼル』を後にプロシュート以外の四人がシルフィードに乗り込む。 「ほりみちひはいれはえっへふんのよぉ~(寄り道しないで帰ってくんのよぉ~)」 「もう一軒行くわよぉ~~」 「学院…ケプ……zz…ケプ…zzz」 「………酔っ払いが二人と食い倒れが一人か…悪いがこいつら頼む」 「分かりました…気をつけてくださいね…」 「まぁ基礎トレーニングと思えば…な」 往復計6時間の乗馬はかなりキツイ。だが基礎体力の向上は望める。 偏在のようにグレイトフル・デッドの能力が通じない敵が存在する以上、本体のパワーアップは少しでもしておいた方が良い。 シルフィードが飛び立つ事を確認すると馬を進めるが上空が水滴が2~3滴落ちてくる。 「……ヤバイな…雨か?」 上を見上げるが有るのは二つの月と雲ひとつ無い星空とシルフィードだけだった。 「…妙だな」 まさかとは思うがシルフィードがやったのか…?と当人(当竜)にとってはかなり失礼な思考をする。 明け方帰ってきて久しぶりにルイズの部屋に入る事を「許可するッ!」をされていたのだが酔っ払っていて鍵が開かなかったので例によって使用人部屋で寝る事にした。 「帰ってきてねぇはずはないが…」 とっくにルイズは帰ってきているというのにシエスタが居ないはずはないと思ったがぶっちゃけ疲れていたため、まぁ気にはなったが寝る事にした。 「…デルフ馬に付けたままだったが…起きてからで…問題…ねぇな…」 ~翌日~ 「…ッかぁ~」 珍しく欠伸しつつ首を鳴らしながらルイズを叩き起こし、食堂へ向かう。 「…ねぇ昨日途中から記憶が無いんだけど何で?」 「あんだけ飲みゃあな…つーか記憶無くす程飲んでなんでオメーは二日酔いの片鱗すらねーんだ」 食堂でルイズと別れコーヒーでも貰うかと厨房に向かうが、妙に雰囲気が重かった。 「わりーが目が覚める何かくれ…」 「おう…ちょっと待ってくれ…」 「…らしくねーな、なんかあったのか?」 マルトーですら沈んでいる。さすがにあの親父がこうも沈んでいる事に気付く。 沈黙が数秒を続いた後、マルトーが頭下げてきた。 「すまねぇ……!シエスタはおまえさんが心配するから言わないで欲しいって言われてたんだが…    三日前にモット伯って貴族が来てシエスタを気に入ったらしく…今朝の明け方連れていっちまったんだ…!」 「…そのモット伯ってのはどういうヤツなんだ?」 「なんでも平民の女を集め手篭めにしてるってぇ話だ…」 「…チッ!」 思わず舌打ちが出る。 三日前なら少し様子が妙だと思い始っていたのだが特に気にしてはいなかった。この時ばかりはリゾットのあの洞察力の高さを羨んだ。 (あれに気付けねぇたぁ…少しここの空気に慣れすぎたな…!) 無言で立ち上がるがマルトーが口を開いた。 「あいつは…おまえさんが知れば、モット伯の所に行くと思ってるから黙っててくれって言ったんだ…」 「オレが居たとこではな、あんな目をしたヤツなんてのは居ねーんだ…殆どのヤツが最初から目が濁ってやがる…!    それでも、少しは居た…!だが、同じようにして連れていかれ結局濁った目になんだよ…!分かるか…?オレの言ってる事…」 自分が捨てたはずの過去を思い出す。 親が酒代やヤクの金を得るためだけに何も知らない娘を売り飛ばした連中を何人も見てきた。 プロシュートもどっちかというと貧民層の出だったので幼馴染の娘がそういう風に連れて行かれ、1年ぐらいしてその娘と再会した事がある。 精神的にかなりヤバかったので何とかして病院に入れたのだが、昔見たような目はもうしていなかった。 それでも、何とか話せる範囲まで回復させたのだが、それからしばらくして病院に行くと手首を斬って自殺していた・・・ その時から、このクソみたいな場所を捨て『栄光』を求めるため『パッショーネ』に入団した。 「…どうやって連れて行ったんだ?無理矢理引きずっていったわけでもねぇだろ」 「どうするかは本人が決めていいと言ってたが…選択肢なんてありゃあしねぇようなもんだった!    『断れば家族がどうなるか』とか抜かしやがって…!そんな事言われりゃあシエスタが断れるはずねぇよ!」 (組織と同じじゃねぇか…ッ!気に入らねぇ…) 二年前を思い出す。『従わざるものには死を』。それに反発し反逆したプロシュートが気に入らないのも当然だ。 「シエスタには世話になったし恩もある…そのモット伯ってヤツも気に入らねぇ…オレが動く理由はそれだけで十分だ」 それだけ言うと厨房を後にし、外の椅子に座り机に脚を乗せどうやるかと思考を張り巡らす。 1.シエスタを引っ張ってでも連れ戻す。 「ダメだな…『断れば家族がどうなるか』と言われている以上、あいつの性格じゃ付いてこねぇな」 2.モット伯を殺す 「…こいつも…無理がある。老化を使えばいけるだろうが…結構知ってるヤツが居るみたいだから調べられればバレる…    デルフ使えば魔法は吸い込めるから老化無しでやってもいいが…屋敷に乗り込んで刃物で斬り付けて証拠が残らない方が無いな」 3.脅迫 「…ダメか。ネタがありゃあいけるが…手ぇ付けるとしたら今夜ってところだろうから捜す時間がねぇ     老化させて死ぬ寸前まで追い込んでもいいが…姑息な手ぇ使うヤツが後から何もしねぇって事はないだろうしな…」 シエスタが連れて行かれる前だけなら、打つ手はいくらでもあっただろうが、人質に取られたような今となっては上に挙げた案は全て使い物にならない。 「殲滅には向くがこういうのにはトコトン向かねぇ能力だな…」 「あいつらならどうする…?」 (纏めてブチ割りゃあいいだろうがよォォォォオオ) 「死ね」 (しょお~~~がねぇ~~~なァ~~~。リトル・フィートで小さくさせ飛び降り自殺にでも見せかけりゃあ済むだろうがよぉ~) 「…オレの能力じゃ自殺に見せかけんのは無理だな」 (兄貴ィ…その…兄貴が殺らなくてもいいんじゃあないですかい?) 「この腑抜け野朗がッ!」 (行方不明にでもさせればいい。マン・イン・ザ・ミラーなら楽なもんだ) 「老化が使えねぇ…そうなると埋めるかどうにかして処理しなくちゃあならないが…足が付く可能性があんな」 (ディ・モールト!ディ・モールト良いぞッ!メイドなんてアキハバラでしか見れないじゃあないかッ!) 「ちったぁ自重しやがれ」 (そうだな…殺ったという証拠さえ残さなければいい…) 「証拠を残さず殺るか…問題は殺っただけじゃあダメだって事だな…モット伯とその周辺関係をブチ壊すような殺り方でないとな…」 2~3使い物にならなかったが、他のヤツならどうするかと脳内で考え出た答えに一々突っ込む。 「つまり、シエスタとその家族にも影響が無く、モット伯とその周辺も巻き込んだハデな殺り方で証拠も残さないようにしろ…って事か…」 (『任務は遂行する』『部下も守る』『両方』やらなくちゃあならないのが『幹部』の辛いところだな) 「ブチャラティのヤツ…えらく簡単に言ってくれたじゃあねぇかよ」 「机に脚乗せてなにブツブツ言ってるのよ」 「…オメー、モット伯ってヤツの事なんか知らねーか」 「モット伯…?会った事は無いけど…いい話は聞かないわ。平民の少女を集めて   その連れて行かれた娘たちは誰も戻らないって聞いた事がある。宮廷とも繋がってるから野放しになってるらしいんだけど」 (戻ってこないだと…?ってこたぁ飽きられたか用済みになったヤツは始末されてる可能性があるな…) 「それで、モット伯がどうしたのよ」 「気にすんな」 (なまじ貴族で顔が知られてるだけに連れて行くと証拠が残る…単独で殺るのが確実か) 決めるや否やその行動は速い。机から脚を降ろし立ち上がる。 「…あいつの気にすんなは絶対なんかあんのよね」 厨房に戻り、必要な物を手配してくれるように頼む。 すぐ揃えられるものばかりなのでそう時間は掛からないが、暗くなる前に少しは偵察ぐらいしておかねばならない。 「暗くなる前に偵察を済まし…暗くなれば即突入か…強行軍だな」 馬を走らせ街道を進んでいくとデルフリンガーが口を開いてきた。 「兄貴、勝算はあるのか?」 「殺るだけならまぁ九割九部だが…そこに『証拠を残さず』かつ『ハデに殺す』だと…4割ってとこか」 「低いな…大丈夫なのか?」 「やらなけりゃあ『ゼロ』だからな」 「嬢ちゃんが聞いたら怒るぜ兄貴」 軽口をたたきながら森の入り口に馬を隠すようにして繋ぎ、木に登り邸内の様子を探る。 「門前に一組、犬持ちが3…ツーペアが2組か…巡回は庭がのみに限られてるみてーだが…どうやって館の中に入るかだな」 「老化させちまえばいいんじゃね?」 「そいつは無理だ。皆殺しにでもしねー限り、解除すれば老化したっつー事が知れる。オレだけならまぁ、それでもいいが…ルイズまで巻き込むと厄介だ」 そう言った後、思わず自嘲的な笑みが浮かぶ (ハハ…列車で乗客ごと巻き込んだオレが言えた台詞じゃあねーな) 「?どうした兄貴」 「なんでもねぇ…連中、モット伯に忠誠とか誓ってると思うか?」 「王室とかの直属部隊ならそうだろうけど、貴族の私兵とかは大体、金繋がりじゃね?」 「…ならやれなくもないな」 日が落ち辺りが闇に包まれる。 もっとも日が落ちようが巡回の数は変わらず門には依然として衛兵が二人立っているのだが。 「突っ立ってるってだけってのも暇でしょうがねぇな…」 「ああ…それなのにあの親父は今日新しく入ってきた女とお楽しみってわけだ…どっかに儲け話でも落ちてねーか」 「金がありゃあ俺達だってなぁ…だが、飽きたらあの部屋に放り込むのはな…悲鳴が聞こえる度に吐き気がすんぜ…」 「言うな…悲しくなる。まぁ立ってるだけで金が貰えるんだからよしとしようや……む…!おい!誰か来るぞ!!」 「一人か…?そこのやつ!止まれ!!」 全身を黒いローブで包んだ人影がゆっくりと近付いてくる。ローブで顔を覆っているため、その顔が見えないためそれが余計衛兵の不安を煽った。 「と、止まれ!!」 だが近付いてくるにつれ、それが妙な事に気付く。 左腕から多量の血を流し右手で左肩を押さえよろめくように近付いている。 「た…助けてェェ~~~~目もかすんでよ…よく見えない~~~ッ」 もちろん、その程度で武器を降ろすほどマヌケな衛兵ではない。 「その顔のローブを外して顔を見せろ!!」 「街道を歩いてたら襲われちまってよォォ~~~~~匿って欲しいんだよォォォ~~~」 そう言いながら顔のローブを外すが、それを見た衛兵達が警戒レベルを落とした。 「な、なんでぇ…ジジイじゃあねぇか」 「ここはモット伯の館だ!貴様のような老いぼれが近付いていい場所ではない!」 もう、くたばり損ないのジジイと判断して武器を降ろし追い払おうとするが、次の男の言葉に前言撤回する事になる。 「助けて欲しいんだよおオオ…礼はいくら…でもするからよォオオ~~~」 血を流す腕からこの男が差し出してきたのは、金貨が詰まった袋だ。 「うおぉぉ!エニュー金貨じゃねーか!」 「マジでか!?」 さっきまで儲け話はないものかと話し込んでいた衛兵達にとってはまさに天佑ともいえ、目が金貨に釘付けになる。 「まだ…金貨は別の場所にあるんだぁぁぁあああ助けてくれたらよぉぉ~~……全部やるからよぉぉぉぉ」 「おい…どうする?」 「この量の金貨だぜ?助けたってバチはあたんねーだろーが。まだ持ってるみてーだしな…    それにくたばり損ないのジジイだぜ?万が一何か狙ってきたとしても何ができるってんだ」 「モット伯はどうするんだ?」 「放っときゃあいいだろーがよ!あのドケチなエロ親父が払う給金と、この袋に詰まった金貨どっち取るよお前」 「そう…だな!やっぱそうだよなぁぁぁぁアアア!どーせそろそろよろしくやってんだし知らせるこたぁねぇよなぁーーーーッ!」 (兄貴も結構演技派だよなぁ…) 半分引きずられるようにして、自分自身を老化させたプロシュートが館の中に運ばれていく。 途中それを見た他の衛兵が見咎めるが、金貨を見せられると同じようにそれを黙認する。 「薬持って来る前に、袋を渡してもらおうか…?」 「あ…?あぁ~~~いくらでもくれてやるからァァァアア…早く助けてくれよォォォオオオ」 「この色、この音!やっぱたまんねぇよなぁぁぁ~~~」 「お、おい!俺にも見せろ!」 部屋の中に通され衛兵の一人に金貨の詰まった袋を渡すと、片方の衛兵が薬を取りにいく。 そこに、金貨の数を数え気を取られている衛兵の延髄に強烈な一発が入った 「ギャパ……!」 「…たく…ジジイのフリすんのも楽じゃねーんだぞ」 「こいつどうする?」 「始末してもいいが…血痕が残ると逆に厄介だな。縛ってしばらく寝てもらうしかねーな」 縛りながら衛兵の鎧を脱がしそれを着込みその上から全身を隠すようにローブを着る。もちろん行動に支障が出ない程度に老化はしているが。 部屋の外に出て誰も居ない事を確認すると 「さて…ハデにおっぱじめんぜ…!」 そう言いながらローブの内側に括り付けられたビンを数本取り出しビンの口に入れられた油紙に館に備え付けられたランプの火を灯し ドシュゥゥゥウウ! というような勢いで廊下の向こう側に思いっきり投げつけた。 早い話。火炎瓶である。だが、油と水が7:3で混じっており水が燃えた油を弾き炎が広がっていく。良い子は真似しないように。 そうこうしていると、外の衛兵が中に駆け込んでくる。 「て、敵襲!敵襲だ!!」 ローブをすっぽりと被った男が杖を構え廊下の曲がり角を曲がる。それを衛兵達が追うが廊下の先からも火の手が上がった。 「メ…メイジか!?」 実際はただの木の枝なのだが、メイジ>>平民である以上心理的恐怖を煽るには十分だ。 「我々では相手ができん…!モット伯と護衛のメイジを呼べ!!」 時間を数刻程バイツァダスト 「伯爵が寝室でお待ちです…お急ぎを」 「は…はい…」 重い足取りで湯から上がり用意された服に着替える。 最後にあのP首飾りを付ける。これさえあれば頑張れると言ったもののやはり、恐かった。 「大丈夫…大丈夫だか…ら…」 再びキング・クリムゾン 「地下か…?まぁ火と馬鹿は高いところに行きたがるもんだから、地下にはいないとは思うが」 一応調べるべく階段を降り扉を開きしばらく歩くが、その先にある物を見て一瞬言葉を失う 「……おいおいおいおいおい!兄貴こいつぁ随分とヤベー趣味してんな」 「……こいつは…おったまげたな…全部拷問器具かよ」 その中の一つ、体の内側に張りを無数に生やした人形―アイアンメイデンを開くと、血臭が流れる。 針先を触るが完全に乾いているので、使われたのは大分前だという事が判る。 「急いだ方がいいぜ兄貴」 「……みてーだな」 (ソルベとジェラードもこんなゲロ以下の臭いがする部屋で殺されたってのか…!?クソッ!!) 「は…入ります…」 「随分と遅かったじゃないか」 モット伯が本を本棚に戻すと、シエスタの後ろに回り肩に手を当てる 「私はお前をただの雑用として雇ったわけではない…分かっているんだろうなぁ?」 「は…はい……」 「ふふ…そう緊張しなくともいい…別に痛い事をするわけではないのだから……今はな」 『今は』という言葉に、いずれされるという事に思わず泣きそうになるが必死になってこらえる。 「…くッ!…ン!」 「服の上では分からなかったが…いいものを持っているではないかね」 必死に耐えていたが、他人に触られた事のない場所を触られて遂に涙が零れた。 (父様…母様…マルトーさん…ヴァリエール様…ツェルプストー様…タバサ様…オスマン院長…!プロシュートさん…!ごめんなさい…) 父と母そして、今まで学院で会った人の顔が走馬灯のように頭に浮かんだ。 そこにドアを激しく叩く音が聞こえ、扉の向こうから叫ぶような声が聞こえてきた。 「申し訳ありませんモット伯!て、敵襲です!」 シエスタの胸から手を離しイラついたようかのように叫ぶ。 「えぇい…何のために貴様達に金を払っていると思っておるのだ!」 「で、ですが、敵は…メイジ…!恐らく火のメイジかと…!」 「役立たずが…ッ!!ヤツにも働いてもらわねばならん…メイジにはメイジで対応させろ!私は忙しいのだ!捕縛する必要は無い!殺せ!!」 「りょ、了解いたしました!」 「まったく…平民というものは無粋なものだ…さぁ続きをしようか」 泣いている姿を見て、嗜虐心をそそられたのかさっきよりもアレな笑みでゆっくりと近付く。 だが、またしても部屋のドアが叩かれた。 「敵メイジの攻撃で延焼が広がっております…!このままで屋敷が…!」 さっきとは別の年季の入ったような声が聞こえてくる 「何だと…ッ!?忌々しいヤツめ…!」 このまま火が屋敷全体に廻っては元も子もない。そう判断し杖を手に取り扉を開ける。 「火はどこだ!?」 「こちらです」 場所に案内するために衛兵がモット伯の手を取り部屋の外に出る。 「えぇい…!平民風情が私に触れずともよい!」 振りほどこうとするが、その手はガッシリと掴んだまま離そうとしない。 「…雇った部下の顔ぐらい把握しとけ…『幹部失格』だな」 「な…なにをおおおおおおおおおおおおお…きぃぃぃさまぁぁぁぁ…」 モット伯の悲鳴が聞こえ、代わりに衛兵の姿の歳を取った男が入ってくるが、体格、髪型などはシエスタに見覚えがあるものだった。 「遅くなったな」 「…プロシュートさん…ですか?」 「おう、正真正銘の兄貴だぜ、これで」 デルフリンガーの声を聞いて一瞬安堵したかのようだが、すぐに顔を青くして叫ぶ 「に、逃げてください!…このままじゃプロシュートさんやミス・ヴァリエールにも…!」 「いや…何の問題も無い。オレの仲間の言葉を借りるなら…『こいつはもう、出来上がっている』からな」 「こっちだ…!ローブを被ったヤツが居たぞ!!」 ローブを被った男が必死になって逃げるが足取りが弱弱しい。 (な、なんでこんな事に…!) その男の前にメイジが現れ杖を構えている。 「貴様…盗賊か何か知らぬがモット伯の館に侵入し火を付けて命あって帰れると思うなよ」 「きさ…まら!な…にを…言って…いる!わた…しが…モット伯…だッ!!」 「お前がモット伯だと?呆けた事を…!」 「わ…たしの…顔を…見て…も…まだ分からんの…か…!」 ローブの男が頭からそれを外しモット伯だという事を証明しようとしている。 だが、帰ってきた返事は希望の一片も残されていなかった。 「ハッ!貴様みたいな年寄りがモット伯なわけがあるまい!…命令だ、捕縛する必要は無い『殺せ』というな…」 「なん…だと…?」 壁に掛かった鏡を見るが、そこに写っているのは若さを失っている己の姿。 それを視界に納めた瞬間、胸に熱いものを感じそこに目をやると、氷の棘が突き刺さっていた。 「賊は始末した。モット伯に報告し…私も…クク…余り物の相手をせねばな…」 邪悪な笑みを浮かべ死体から目を離すが、後から追いかけてきた衛兵が驚くべき事を叫ぶ。 「モ、モット伯が…!…モット伯が殺された!!」 その声と共に衛兵が逃げ出す。それに反応して死体に目を向けるが…己の主が自分が放った氷に胸を貫かれ息絶えていた。 「…なッ!い、いったい…どういう…事…だ…?」 そのメイジは茫然自失で杖を落とし、その場に座り込み衝撃で意識を失った。 「命令に忠実すぎる部下ってのも…中々に大変なもんだな」 「兄貴、何やったんだ?」 「完全に死ぬ前に老化を解除しだだけだ。これでオレが止めを刺した事にはならず、かつ老化した事も残らねぇ。後は逃げるだけだ」 「結構えげつない手使うな兄貴も」 「こいつも、色々やってたみたいだからな…因果応報ってやつだろ…ま、人の事言えたもんじゃねぇがな」 「あの、娘っ子はどうすんだ?連れていかねーのか?」 「置いていく。今、連れ帰ったらバレんだろーが…!   自分が雇ったメイジに殺されたんだからな。ま、これで捜査が入って地下のあのクソみてーな部屋も見付かんだろうよ」 その言葉と共に歩き出し、館を出る。衛兵達は全員逃げ出していたので隠れて移動する必要は無かった。 翌日昼頃 「…ねぇ昨日モット伯が護衛のメイジに殺されたらしいんだけど…あんた何かやったんじゃないでしょうね」 「殺ったのは護衛のメイジなんだろ?オレの知ったこっちゃあねーよ。ほれ…オメーが持ってろ」 「…なにこれ?」 投げ渡された袋を開けるとそこには『クックベリーパイ』が入っていた 「……毒?」 「いらねーなら返せ」 「いや…急にこんなもの渡されるから…」 「オレに隠してスーツの立替しようなんざ10年早えーよ。テメーのケツぐらい自分で吹く」 「な、なによ!ご主人様が使い魔の事を思ってやってあげたんじゃない!」 「ハ…!まだまだマンモーニのくせしてよ…まぁそいつは秘薬ってヤツの代わりにはならねーだろうが…礼は言っておく」 「わ、分かればいいのよ!分かれば!」 「ところで、前のヤツにウェールズから預かった風のルビーを入れてたはずだが…あるんだろうな?」 「………そういう事はもっと早くいいなさいよこの馬鹿ハムーーーーーーーーー!!」 スデにゴミと一緒に集められ焼却処分寸前になるところに 焦りに焦ったルイズとどうでもいいようなプロシュートがそれを回収していたのを微笑ましい目で出番の全く無いフレイムがそれを見ていた。 モット伯 ― 護衛のメイジに胸を貫かれ死亡。捜査の段階で地下の拷問部屋も発見され身分剥奪。 護衛のメイジ ― モット伯殺害犯として連行され取調べの後、処刑。ひたすら自分はやっていないと言い張っていた。 シエスタ ― 数日取調べを受けるが、部屋に篭り何も見ていないと言い釈放。学院に戻ってくる事になる。 ゼロのルイズ ― 好物を貰い、少しだけデレに傾きかけるが風のルビーの事を知らされていなかったため戻る。 ----#center(){[[戻る<>ゼロの兄貴-26]]         [[目次>ゼロの兄貴]]         [[>続く>ゼロの兄貴-28]]} //第五部,プロシュート

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