「使い魔は静かに暮らしたい-21」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

使い魔は静かに暮らしたい-21 - (2007/07/20 (金) 18:19:02) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「では授業を始める。知ってのとおり、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」 少なくとも私は知らないけどな。 授業を見学しながらそう思う。別に毎日見学しているわけではない。たまに魔法のことを知りたいから来るくらいだ。 だから教師は初めてみる顔だった。 長い黒髪に漆黒のマントを纏っている。 いや?初めてではないか。フーケ事件の際宝物庫で怒鳴っていたな。 五月蠅かったので少し憶えている。 「最強の系統は知っているかね?ミス・ツェルプストー」 ギトーがキュルケに質問する。 「『虚無』じゃないんですか?」 「伝説の話しをしているわけではない。現実的な答えを聞いてるんだ」 何だか他人を煽るような言い方をする男だ。これじゃ生徒に人気はなさそうだな。 「『火』に決まってますわ。ミスタ・ギトー」 キュルケが言う。自分が火系統だからだろうな。 「ほほう。どうしてそう思うかね?」 「すべてを燃やしつくせるのは、炎と情熱。そうじゃございませんこと?」 「残念ながらそうではない」 ギトーが腰に差してあった杖を引き抜く。 「試しに、この私に君の得意な魔法をぶつけてきたまえ」 へぇ、実演するのか。中々興味深いな。 さらにギトーが挑発するようにキュルケを促す。 そしてキュルケが直径1mほどの炎の玉をギトーに放つ。 生徒たちは我先にと机の下に隠れる。私も少し身を潜める。 ギトーは目の前に迫る炎の玉に杖をなぎ払うように振るう。 烈風が舞い上がり一瞬のうちに炎の玉をかき消す。さらにはその向こうにいたキュルケをも吹き飛ばした。 この結果からすると『風』最強ということか。キュルケも実験台になって可哀想に…… 「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』はすべてを薙ぎ払う。『火』も、『水』も、『土』も、『風』の前では立つことすらできない。 残念ながら試したことはないが、『虚無』さえ吹き飛ばすだろう。それが『風』だ」 なるほど。確かに『風』は便利な魔法だな。しかし最強だとは思えないな。いくら強かろうと策に負けたりはするだろう。 ようは使い方なのだ。何かが最強という考えは使い方の幅を狭めることになる。 ギトーはさらに言葉を続ける。なにやらもう一つの最強の所以を見せてくれるそうだ。 ギトーが杖を立てる。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 しかしギトーの呪文を遮り教室の扉が開かれる。そして教室にコルベールが入ってくる。なにやら緊張した顔だ。 しかしそれが気にならないほど私はある一点を集中してみていた。 コルベールの頭だ。彼の頭には馬鹿でかいロールした金髪のカツラをのせている。付けているのではなくのせている。大きな違いだ。 頭から目を離し他の場所も見てみる。 ローブの胸にはレースや刺繍で飾られている。めかしているといった感じだ。 ……滑稽だった ---- [[22へ>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/?page=%E4%BD%BF%E3%81%84%E9%AD%94%E3%81%AF%E9%9D%99%E3%81%8B%E3%81%AB%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84-22]] ----
「では授業を始める。知ってのとおり、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」 少なくとも私は知らないけどな。 授業を見学しながらそう思う。別に毎日見学しているわけではない。たまに魔法のことを知りたいから来るくらいだ。 だから教師は初めてみる顔だった。 長い黒髪に漆黒のマントを纏っている。 いや?初めてではないか。フーケ事件の際宝物庫で怒鳴っていたな。 五月蠅かったので少し憶えている。 「最強の系統は知っているかね?ミス・ツェルプストー」 ギトーがキュルケに質問する。 「『虚無』じゃないんですか?」 「伝説の話しをしているわけではない。現実的な答えを聞いてるんだ」 何だか他人を煽るような言い方をする男だ。これじゃ生徒に人気はなさそうだな。 「『火』に決まってますわ。ミスタ・ギトー」 キュルケが言う。自分が火系統だからだろうな。 「ほほう。どうしてそう思うかね?」 「すべてを燃やしつくせるのは、炎と情熱。そうじゃございませんこと?」 「残念ながらそうではない」 ギトーが腰に差してあった杖を引き抜く。 「試しに、この私に君の得意な魔法をぶつけてきたまえ」 へぇ、実演するのか。中々興味深いな。 さらにギトーが挑発するようにキュルケを促す。 そしてキュルケが直径1mほどの炎の玉をギトーに放つ。 生徒たちは我先にと机の下に隠れる。私も少し身を潜める。 ギトーは目の前に迫る炎の玉に杖をなぎ払うように振るう。 烈風が舞い上がり一瞬のうちに炎の玉をかき消す。さらにはその向こうにいたキュルケをも吹き飛ばした。 この結果からすると『風』最強ということか。キュルケも実験台になって可哀想に…… 「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』はすべてを薙ぎ払う。『火』も、『水』も、『土』も、『風』の前では立つことすらできない。 残念ながら試したことはないが、『虚無』さえ吹き飛ばすだろう。それが『風』だ」 なるほど。確かに『風』は便利な魔法だな。しかし最強だとは思えないな。いくら強かろうと策に負けたりはするだろう。 ようは使い方なのだ。何かが最強という考えは使い方の幅を狭めることになる。 ギトーはさらに言葉を続ける。なにやらもう一つの最強の所以を見せてくれるそうだ。 ギトーが杖を立てる。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 しかしギトーの呪文を遮り教室の扉が開かれる。そして教室にコルベールが入ってくる。なにやら緊張した顔だ。 しかしそれが気にならないほど私はある一点を集中してみていた。 コルベールの頭だ。彼の頭には馬鹿でかいロールした金髪のカツラをのせている。付けているのではなくのせている。大きな違いだ。 頭から目を離し他の場所も見てみる。 ローブの胸にはレースや刺繍で飾られている。めかしているといった感じだ。 ……滑稽だった ---- [[22へ>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/241.html]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー