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早朝、朝靄が立ちこめる中私とルイズは馬に鞍をつけていた。 ルイズが乗馬用のブーツを身につけているのでそれなりに長い間馬に乗るのかもしれない。 正直馬に乗るのは慣れてないから長い間はごめんだな。 準備を進めているとギーシュがやってきた。顔が大きく腫れており紫色になっている。 薄く開いた口からは折れた歯が見えている。もしかしたら口が閉じれないのかもしれない。 多分気絶した後何もしなかったから腫れが酷くなったのか。冷やしたりしていれば腫れも収まっただろうに…… 「ふぉ願いがありゅんだが……」 ギーシュが聞き取りづらい声で喋りかけてくる。 「どうした?」 そう聞き返すとギーシュはあからさまにこちらを無視する。 「ルイじゅ、ふぉ願いがありゅんだが……」 「なにッ……!!??」 ルイズは振り返ってギーシュに答えようとしたようだがギーシュの顔を見て言葉を失ったようだ。 「どうしたの、その顔!?」 ルイズは気を取り直しギーシュに聞く。 「どうふぃたのって、君にちゅかい魔にやられたんりゃないかぁあああああ!」 ギーシュは昨日のことを忘れていたであろうルイズに怒鳴る。 「君のちゅかい魔ににゃぐられて歯までおれたんりゃぞぉおおおおお!ふぃかも朝起きてみたりゃきょんなに腫れてるしぃいいい!」 ギーシュは涙とその他諸々を出しながら喚きたてる。もう怒鳴っているのか泣き叫んでいるのかよくわからないな。 「朝ふぁやくから出発しゅるっていうきゃらしぇん生に『治癒』の呪文もかけてもりゃうじきゃんもない! 鏡の前で1時きゃんも立ちちゅくした僕の気持ちがわきゃるきゃ!?」 「え~と……」 もはや何を言っているのかよくわからなかったがギーシュが惨めだということは嫌でも伝わってきた。 ルイズもかける言葉が見つからない様だ。 「そ、そうだ、ギーシュ!あんた何かお願いがあったんでしょ?」 ルイズは方向転換して最初に戻ることに決めたようだ。さすがにこの雰囲気には付き合うことは出来ないと判断したみたいだ。まぁ原因は私なんだが。 「しょ、しょうだ!ぼくのちゅかい魔を連れて行きたいんだ」 ギーシュは質問されることによって多少冷静さを取り戻したようだ。 「連れてくればいいじゃない。どこにいるのよ」 「きょきょ」 ギーシュはルイズの質問に対して地面を指差す。 そこには何も居ない。 「いないじゃないの」 ルイズも同じことを思ったようだ。するとギーシュは顔を引き攣らせ(笑ったんだと思う)足で地面を叩いた。 すると地面が盛り上がり茶色く大きな何かが出てきた。ギーシュは素早く膝をつくと地面から出てきたそれを抱きしめる。 「ヴェルダンデ!ああ!ぼくのきゃわいいヴェルダンデ!」 「あんたの使い魔ってジャイアントモールだったの?」 「しょうだ」 ルイズは地面から出てきたそれ見てそう言った。 ジャイアントモール?大きなモグラ?それをよく見るとなるほど、それはまさしくジャイアントモールの名の通り大きなモグラだった。 大きさは小さな熊ほどもある。 「ああ、ヴェルダンデ、きみはいちゅ見てもきゃわいいね。困ってしまうね。どばどばミミじゅはいっぱい食べてきたきゃい?」 ギーシュはモグラにまるで恋人のように話しかける。 モグラは鼻をヒクヒクと動かしている。 「しょうか!しょりゃよかった!」 ギーシュはそう言うとモグラに頬ずりをはじめる。 ……会話が成立してたのか。しかしあれだな。モグラに話しかける顔が直視に耐えられない少年。 何だか凄く可哀想な気がしてきた。今なら心のそこから謝れるだろ。殴ってすまなかったと。 そう思いながらルイズと私はギーシュとモグラのスキンシップを見詰めていた…… ----

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