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 第四話(14) 鬼気!偏在の男 その① 「ウェールズ皇太子、僕とルイズの婚姻の媒酌をお願いしたいんだが…」 アンリエッタからの手紙を渡してもらったあと、ワルドがウェールズに頼んだ。 因みに今回の手紙奪還のご一行は、ワルドを除いてウェールズとほとんど話していない。 ルイズもタバサもマリコルヌも、自分のことでいっぱいいっぱいで頭が回っていない。 また、FFも肉体のほうの事情であまり積極的に話すことができない。 唯一、ワルドだけは媒酌を取ってもらうために、とても親身になって話を度々していた。 しかも会話の中の絶妙なタイミングでこれを頼む。 断られる確立は0%だ。 「わかった。私がこれからの未来ある二人の媒酌を引き受けよう。」 ウェールズの返答に、ワルドはにやりとして感謝の意を伝える。 その後、ウェールズと暫し談笑したあと、結婚のことをルイズに伝えに行った。 「け、結婚…」 ルイズが頬を赤らめて俯く。 「結婚するのは昔から決まっていたことじゃないか。そしてあの夜に二人は身も心も一つになった。これはいい機会だとは思わないかい?」 「…も、もちろん、喜んでおうけしますわ…。」 ルイズは赤い顔を更に真っ赤にして答えた。 モジモジしていて二の句がでないルイズに、ワルドが声をかける。 「じゃあ、明日の朝にまた会おう。いくら愛し合っているといっても、ルイズも心の準備が必要だと思うからね。おやすみ。」 「…おやすみ。」 二人は自らの部屋に向かっていった。  第四話(14) 鬼気!偏在の男 その② 「どうした、マリコルヌ?」 FFが元気のないマリコルヌに声をかける。 「ルイズが、ルイズが、ルイズが…」 「落ち着けマリコルヌ。一体何があった?」 「ルイズが初めてをあの子爵にィィィ。」 マリコルヌが泣き出した。もう彼は限界だったのだろう。 「僕が、ラ・ロシェールで同じ部屋になるのをとめておけばよかったんだ。やさぐれてなんかいなければ…。」 「落ち着けマリコルヌ。何を言っているのかわからない…。二人は寝ていただけだ。」 「あぁ、二人は寝ていただろうさ。全裸で、ベッドで、寄り添ってぇぇぇ。」 「いや、だから何を言っているのかわからない…。二人はただ寝ていただけだ。」 二人の会話は噛み合っていない。二人はとても息のあったダイアログにはなっていない。 まるで片道キャッチボールだ。 「そんなことはない!二人ともしたって言っていたよ。」 「恐らく二人の勘違いだ。二人は睡眠薬でぐっすりと眠っていたはずだし。」 「へ???」 意外!それは睡眠薬。  第四話(14) 鬼気!偏在の男 その③ 時は遡ってラ・ロシェールの晩。 いちゃつくルイズ・ワルド、やさぐれてぶつぶつ言っているマリコルヌに、FFはいたたまれなくなり、何とかしようとした。 そこでFFは思いだした。ギーシュ・モンモランシーのバカップルのことを。 そして思いついた。モンモランシーが色々な秘薬を持っていることに。 結論はと言うと、全員睡眠薬で夢の中!である。 会話が通じないバカップルにイライラしながらも、何とか睡眠薬をわけてもらったFF。 そして全員の食事に混入する。 摂取している量は各々差があるため、眠りに至るには個人差があった。 マリコルヌはその場でリタイア。FFが運んでいった。 ワルドは部屋に戻ってルイズに抱きついたときにリタイア。 そのままルイズに体重がかかり、押し倒すかたちに。 最後にルイズがリタイア。 ワルドの体重でベッドに押さえつけられ、一線を越えるんだろうな、と想像していたときに意識は途絶えた。 更に勘違いを深める原因となったのが、FFのいらないおせっかいである。 FFはワルドとルイズが床で寝ていたりしていたら大変だろうと言うことで、二人の部屋に侵入。 ベッドの端で寝ている二人を見て、寝づらいだろうと思い、ベッドの上のほうまで移動させる。 その間に、ルイズの普段寝ている格好を思い出し、ルイズの服を脱がす。ついでにワルドも脱がす。 そして移動させた際に、FFの腕についていた、血のような色をしていたソースが、ベッドとルイズの股間付近に付着する。 それに加えてルイズとワルドのお互いが、いかにも覚えているという風に話していたので、相乗効果で思い込みを深めることとなったのである。  第四話(14) 鬼気!偏在の男 その④ もちろんFFはソースの付着やその他諸々については知らないので、睡眠薬と部屋に侵入云々をマリコルヌに話した。 「ルイズはまだやっていないんだね!」 マリコルヌはパァーッと明るい笑顔になった。 「まだ僕にも可能性があるってことだ。」 マリコルヌは駆けていった。 「やれやれ。」 FFは軽く微笑んだ。 でもマリコルヌの不運は終わらない。 偶然マリコルヌはルイズに出くわした。 「おーい、僕のルイズ。聞いてほしいことがあるんだ。」 「そうなの…。私も、聞いてほしいことがあるの。」 「なんだい?先に言っていいよ、僕のルイズ。」 「私ね、明日結婚するの…。」 ザ・ワールド!!! ―――時は止まる。 「客席に誰もいないのもなんだから、みんなを集めてほしくって…。」 「わ、わかったよルイズ。僕に任せて…。」 その場でルイズは無理やり話題をつくった。この雰囲気が辛かったからである。 「…ごめんね、マリコルヌ。私のことなんか忘れて、早くいい人を見つけてね…。応援してるから。」 ルイズはマリコルヌに出くわすまでは、嬉しさと照れで、ぽけぇーっとしていた。 だが、マリコルヌを出くわすと、何故か罪悪感が浮かんできて、面と向かって話すことができない。 そしてそのままルイズは走り去ってしまった。  第四話(14) 鬼気!偏在の男 その⑤ そのころタバサは食事を取りに部屋から出ていた。 すると見知らぬ男が話しかけてきた。 「隣、いいかい?」 タバサは無言で頷いた。男は椅子に腰掛けるとハシバミ草のサラダをタバサに手渡す。 「無償の愛というものを知っているかね?」 「知ってる。」 男は突然話しかけてきた。しかしタバサはそんなことは気にしない。 「では、どういう者に対して与えられるかのは知っているかい?」 「愛する者。」 タバサは相も変わらず無愛想に答える。そんなことに男は気にもしていないようだった。 「いいや、それは違う。無償の愛とは死に逝く者に与えられるのだよ。例え愛する者に無償の愛を与えているつもりでも、結局は自分が愛されたいが為だからだ。」 「何が言いたいの?」 「私の名前はエンリコ・プッチ。シャルロット・エレーヌ・オルレアン、父の仇と母の治療、手伝ってあげようじゃあないか。 そのかわり私が天国に到達する手伝いを、君に有償で手伝ってもらいたい。治療のための秘薬は手に入れたし君が仇を始末する準備もできている。 あとは君が返事をするだけだ。」 タバサは自分の本名が出てきて驚いた。当然聞いた瞬間強張って杖を構えかけた。 しかし急なことで信用できるかもわからないが、私の果たさねばならない二つの目的に協力しようと言っている。 私はこれらを達成するためには悪魔にだって魂を売り払う覚悟だってある。 もし利用するだけ利用しようというやつならば、あとで成敗してやればいい。 だからこの場は協力を申し出よう。タバサは結論を出した。 「わかった。それでどうするの?」 「三日後の昼の十二時、私はトリステインにある魅惑の妖精亭で待っている。そのときに詳しい話はしよう。」 そう言うとその男、プッチは去っていった。  第四話(14) 鬼気!偏在の男 その⑥ その後タバサはマリコルヌからルイズの結婚のことを聞いた。そして翌日、結婚式の最中。 (どうしてあんなに喜んでいられるんだろう。キュルケは殺されてしまったと言うのに…) タバサはルイズのことを見ながらそう思う。 (私はキュルケのことを思って、貴女を心配しているいるのに…。貴女はキュルケを忘れて笑っている。) ルイズとワルドはウェールズのもとまで歩いていく。 「これから式を始める。新郎、子爵ジャンピン・ジャック・フラッシュ・ド・ワルド。」 「ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ。」 式でウェールズが素で間違えた。FFのみが苦笑している。 「失礼、新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか?」 「誓います。」 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫とする事を誓いますか?」 「…誓います。」 ルイズは真っ赤になって答える。 「では、誓いの口づけを…。」 そして二人の唇が重なり、熱い口づけが交わされた。 ズキュゥゥゥゥゥゥゥン!!!!! 「いいぞルイズゥゥ!」 FFだけが拍手を送っている。しかもコメントも間違えている。 ここは『やった!さすがワルド。俺たちにできないことを平然とやってのける!そこにシビれる憧れるゥ!』である。 マリコルヌは総てが終わったと固まっている。 「じゃあルイズ、妻である君に本当のことを明かすよ。」 「…なぁに、ワルド?」 「僕はレコン・キスタの一員なんだ。そしてウェールズ皇太子を始末するように言われている。 勿論手伝ってくれるよね、ルイズ。初の共同作業だよ。」 ワルドはウェールズを前にしながら、気にする様子もなく、いつものようなやさしい微笑でルイズに話しかけた。  第四話(14) 鬼気!偏在の男 その⑦ ウェールズが杖を取り出すがワルドが素早くはじく。 「ルイズ、君の爆発は恐らく虚無だ。君は僕の睨んだ限りじゃあ虚無の系統なんだ。 折角の王族なんだから、虚無の魔法が最後に相応しいだろう。ルイズ、さあやってごらん。」 ワルドがルイズに視線を移した。 「いやっ、私はそんなの嫌よ!ウェールズ皇太子殿下にそんなことできないし、レコン・キスタだなんてならず者の仲間に加わるのなんてイヤっ! お願いワルド、考え直して!レコン・キスタなんか抜けて二人で楽しく故郷で暮らしましょう。 じゃなきゃああなたと結婚なんてできないわ!」 ルイズは拒絶の意を示した。 「何を言っているんだいルイズ。結婚はもうすんでいるじゃあないか。そんなこといって、あの太っちょとでも重婚する気かい? それにもし重婚なんてする気だったら、私からアンリエッタ姫殿下に君の重婚を伝えなくてはならない。 姫殿下は君より僕の味方だ。僕は君に刑がくだるのを見たくないんだ。さあ、早く!」 ワルドが鬼気迫る表情でルイズに近づく。 「やめたまえ!」 ここでマリコルヌが登場する。ワルドが敵ならば気にする必要はない。 「ふん、君か。僕とルイズは契りまで交わしたんだぞ。ルイズの貴族の純潔は僕がもらったんだ。 君の出る幕じゃあない。」 そこでルイズが俯く。 (そういえば私、取り返しのつかないことをしてしまったんだわ。) ルイズはワルドについていくしかないと、ウェールズに杖を向ける。 「やめるんだ僕のルイズ!君はまだ初めてを失っていない!理由はあとで話す、だから杖をおろして!」 ルイズは驚いたが、杖をその場に落とした。そして涙をぼろぼろと零す。 「重婚だったら姫殿下がきっと何とかしてくれるはずさ、だって君の親友なんだろう、僕のルイズ。 そしてそれよりもワルド子爵!よくも僕のルイズを泣かせたな!貴方は越えてはならない一線を越えた! 覚悟したまえ!」 「フハハハハハ!たかが肥満が大口を叩いてくれるな、このワルドに対して! いいだろう、相手になってやるよ。豚肉のミンチにしてやるッ!」 to be continued… ----
 第四話(14) 鬼気!偏在の男 「ウェールズ皇太子、僕とルイズの婚姻の媒酌をお願いしたいんだが…」 アンリエッタからの手紙を渡してもらったあと、ワルドがウェールズに頼んだ。 因みに今回の手紙奪還のご一行は、ワルドを除いてウェールズとほとんど話していない。 ルイズもタバサもマリコルヌも、自分のことでいっぱいいっぱいで頭が回っていないからだ。 また、FFも肉体のほうの事情であまり積極的に話すことができない。 唯一、ワルドだけは媒酌を取ってもらうために、とても親身になって話を度々していた。 しかも会話の中の絶妙なタイミングでこれを頼む。 断られる確立は0%だ。 「わかった。私がこれからの未来ある二人の媒酌を引き受けよう。」 ウェールズの返答に、ワルドはにやりとして感謝の意を伝える。 その後、ウェールズと暫し談笑したあと、結婚のことをルイズに伝えに行った。 「け、結婚…」 ルイズが頬を赤らめて俯く。 「結婚するのは昔から決まっていたことじゃないか。そしてあの夜に二人は身も心も一つになった。これはいい機会だとは思わないかい?」 「…も、もちろん、喜んでおうけしますわ…。」 ルイズは赤い顔を更に真っ赤にして答えた。 モジモジしていて二の句がでないルイズに、ワルドが優しく声をかける。 「じゃあ、明日の朝にまた会おう。いくら愛し合っているといっても、ルイズも心の準備が必要だと思うからね。おやすみ。」 「…おやすみ。」 二人は自らの部屋に向かっていった。 「どうした、マリコルヌ?」 FFが元気のないマリコルヌに声をかける。 「ルイズが、ルイズが、ルイズが…」 「落ち着けマリコルヌ。一体何があった?」 「ルイズが初めてをあの子爵にィィィ。」 マリコルヌが泣き出した。もう彼は限界だったのだろう。 「僕が、ラ・ロシェールで同じ部屋になるのをとめておけばよかったんだ。やさぐれてなんかいなければ…。」 「落ち着けマリコルヌ。何を言っているのかわからない…。二人は寝ていただけだ。」 「あぁ、二人は寝ていただろうさ。全裸で、ベッドで、寄り添ってぇぇぇ。」 「いや、だから何を言っているのかわからない…。二人はただ寝ていただけだ。」 二人の会話は噛み合っていない。二人はとても息のあったダイアログにはなっていない。 まるで片道キャッチボールだ。 「そんなことはない!二人ともしたって言っていたよ。」 「恐らく二人の勘違いだ。二人は睡眠薬でぐっすりと眠っていたはずだし。」 「へ???」 意外!それは睡眠薬。 時は遡ってラ・ロシェールの晩。 いちゃつくルイズ・ワルド、やさぐれてぶつぶつ言っているマリコルヌに、FFはいたたまれなくなり、何とかしようとした。 そこでFFは思いだしたのだ。ギーシュ・モンモランシーのバカップルのことを。 そして思いついた。モンモランシーが色々な秘薬を持っていることに。 結論はと言うと、全員睡眠薬で夢の中!である。 会話が通じないバカップルにイライラしながらも、何とか睡眠薬をわけてもらったFF。 そして全員の食事に混入する。 摂取している量は各々差があるため、眠りに至るには個人差があった。 マリコルヌはその場でリタイア。FFが運んでいった。 ワルドは部屋に戻ってルイズに抱きついたときにリタイア。 そのままルイズに体重がかかり、押し倒すかたちに…。 最後にルイズがリタイア。 ワルドの体重でベッドに押さえつけられ、一線を越えるんだろうな、と想像していたときに意識は途絶えた。 更に勘違いを深める原因となったのが、FFのいらないおせっかいである。 FFはワルドとルイズが床で寝ていたりしていたら大変だろうと言うことで、二人の部屋に侵入。 ベッドの端で寝ている二人を見て、寝づらいだろうと思い、ベッドの上のほうまで移動させる。 その間に、ルイズの普段寝ている格好を思い出し、ルイズの服を脱がす。ついでにワルドも脱がす。 そして移動させた際に、FFの腕についていた、血のような色をしていたソースが、ベッドとルイズの股間付近に付着する。 それに加えてルイズとワルドのお互いが、いかにも覚えているという風に話していたので、相乗効果で思い込みを深めることとなったのである。 もちろんFFはソースの付着やその他諸々については知らないので、睡眠薬と部屋に侵入云々をマリコルヌに話した。 「ルイズはまだやっていないんだね!」 マリコルヌは急にパァーッと明るい笑顔になる。 「まだ僕にも可能性があるってことだ。」 そしてあまりの嬉しさからか駆けていってしまった。 「やれやれ。」 FFは軽く微笑んだ。 だがしかしマリコルヌの不運は終わらない。偶然マリコルヌはルイズに出くわしたのだ。 「おーい、僕のルイズ。聞いてほしいことがあるんだ。」 「そうなの…。私も、聞いてほしいことがあるの。」 ルイズのほうからいいたいことがあるなんて一体何のことだろうな、とドキドキしてしまうマリコルヌ。 「なんだい?先に言っていいよ、僕のルイズ。」 「私ね、明日結婚するの…。」 ザ・ワールド!!! ―――時は止まる。 「客席に誰もいないのもなんだから、みんなには出席してほしくって…。」 「わ、わかったよルイズ。僕に任せて…。」 その場でルイズは無理やり話題をつくった。この雰囲気が辛かったからである。 「…ごめんね、マリコルヌ。私のことなんか忘れて、早くいい人を見つけてね…。応援してるから。」 ルイズはマリコルヌに出くわすまでは、嬉しさと照れで、ぽけぇーっとしていた。 だが、マリコルヌを出くわすと、何故か罪悪感が浮かんできて、面と向かって話すことができないのだ。 そしてそのままルイズは走り去ってしまった。 そのころタバサは食事を取りに部屋から出ていたのだが、そこに見知らぬ男が話しかけてきた。 「隣、いいかい?」 タバサは無言で頷いた。男は椅子に腰掛けるとハシバミ草のサラダをタバサに手渡す。 「無償の愛というものを知っているかね?」 「知ってる。」 男は突然話しかけてきたが、タバサはそんなことは気にしない。 「では、どういう者に対して与えられるかのは知っているかい?」 「愛する者。」 タバサは相も変わらず無愛想に答える。そんなことに男は気にもしていないようだった。 「いいや、それは違う。無償の愛とは死に逝く者に与えられるのだよ。例え愛する者に無償の愛を与えているつもりでも、結局は自分が愛されたいが為だからだ。」 「何が言いたいの?」 「私の名前はエンリコ・プッチ。シャルロット・エレーヌ・オルレアン、父の仇と母の治療、手伝ってあげようじゃあないか。 そのかわり私が天国に到達する手伝いを、君に有償で手伝ってもらいたい。治療のための秘薬は手に入れたし君が仇を始末する準備もできている。 あとは君が返事をするだけだ。」 タバサは自分の本名が出てきて驚いた。当然聞いた瞬間強張って杖を構えかけた。 しかし急なことで信用できるかもわからないが、タバサは結論を出した。 私の果たさねばならない二つの目的に協力しようと言っている人がいる。 加えて私はこれらを達成するためには悪魔にだって魂を売り払う覚悟だってある。 もし利用するだけ利用しようというやつならば、あとで成敗してやればいい。 だからこの場は協力を申し出よう、と。 「わかった。それでどうするの?」 「三日後の正午、私はトリステインにある魅惑の妖精亭で待っている。そのときに詳しい話はしよう。」 そう言うとその男、プッチは去っていった。 その後タバサはマリコルヌからルイズの結婚のことを聞いた。そして翌日、結婚式の最中。 (どうしてあんなに喜んでいられるんだろう。キュルケは殺されてしまったと言うのに…) タバサはルイズのことを見ながらそう思っていた。 (私はキュルケのことを思って、貴女を心配しているいるのに…。貴女はキュルケを忘れて笑っている。) ルイズとワルドはウェールズのもとまで歩いていく。 「これから式を始める。新郎、子爵ジャンピン・ジャック・フラッシュ・ド・ワルド。」 「ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ。」 式でウェールズが素で間違えた。FFのみが苦笑している。 「失礼、新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか?」 「誓います。」 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫とする事を誓いますか?」 「…誓います。」 ルイズは真っ赤になって答える。 「では、誓いの口づけを…。」 そして二人の唇が重なり、熱い口づけが交わされた。 ズキュゥゥゥゥゥゥゥン!!!!! 「いいぞルイズゥゥ!」 FFだけが拍手を送っている。しかもコメントも間違えている。 ここは『やった!さすがワルド。俺たちにできないことを平然とやってのける!そこにシビれる憧れるゥ!』に決まっている。 逆にマリコルヌは総てが終わったと固まっていた。 「じゃあルイズ、妻である君に本当のことを明かすよ。」 「…なぁに、ワルド?」 「僕はレコン・キスタの一員なんだ。そしてウェールズ皇太子を始末するように言われている。 勿論手伝ってくれるよね、ルイズ。初の共同作業だよ。」 ワルドはウェールズを前にしながら、気にする様子もなく、いつものようなやさしい微笑でルイズに話しかけた。 突然の告白にルイズは先程のマリコルヌのように固まってしまう。 レコンキスタという単語に反応してウェールズが杖を取り出すが、ワルドが素早くはじく。 「ルイズ、君の爆発は恐らく虚無だ。君は僕の睨んだ限りじゃあ虚無の系統なんだ。 折角の王族なんだから、虚無の魔法が最後に相応しいだろう。ルイズ、さあやってごらん。」 ワルドがルイズにゆっくりと視線を移した。 「いやっ、私はそんなの嫌よ!ウェールズ皇太子殿下にそんなことできないし、レコン・キスタだなんてならず者の仲間に加わるのなんてイヤっ! お願いワルド、考え直して!レコン・キスタなんか抜けて二人で楽しく故郷で暮らしましょう。じゃなきゃああなたと結婚なんてできないわ!」 ルイズは拒絶の意を明確に示した。 「何を言っているんだいルイズ。結婚はもうすんでいるじゃあないか。そんなこといって、あの太っちょとでも重婚する気かい? それにもし重婚なんてする気だったら、私からアンリエッタ姫殿下に君の重婚を伝えなくてはならない。 姫殿下は君より僕の味方だ。僕は君に刑がくだるのを見たくない。さあ、早く!」 ワルドが鬼気迫る表情でルイズに近づく。 「やめたまえ!」 ここでマリコルヌが登場する。ワルドが敵ならば気にする必要はない。 「ふん、君か。僕とルイズは契りまで交わしたんだぞ。ルイズの貴族の純潔は僕がもらったんだ。君の出る幕じゃあない。」 その言葉にルイズが俯く。 (そういえば私、取り返しのつかないことをしてしまったんだわ。) ルイズはワルドについていくしかないと、あきらめてウェールズに杖を向ける。 「やめるんだ僕のルイズ!君はまだ初めてを失っていない!理由はあとで話す、だから杖をおろして!」 ルイズは驚いて、杖をその場に落とした。そして涙をぼろぼろと零す。 「重婚だったら姫殿下がきっと何とかしてくれるはずさ、だって君の親友なんだろう、僕のルイズ。 そしてそれよりもワルド子爵!よくも僕のルイズを泣かせたな!貴方は越えてはならない一線を越えた!覚悟したまえ!」 「フハハハハハ!たかが肥満が大口を叩いてくれるな、このワルドに対して! いいだろう、相手になってやるよ。豚肉のミンチにしてやるッ!」 to be continued… ----

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