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い、今起こったことをありのまま話すぜ! 私を召喚したルイズが石を錬金しらた爆発が起きた…な、何を言ってるか分からないと思うが私にも何が起こったのかわからなかった。 錬金なんてちゃちなもんじゃねーもっと戦闘向きな魔法を味わったぜ! 出したままのスタンドで私は周囲の惨状を見る。 爆発で壊れた教室の備品! 砕けた石の破片が食い込んだ壁! マジシャンズレッドがスタンドでなかったらと思うとゾッとするぜ… ルイズが使い魔は外と言うんでおとなしくマジシャンズレッドで授業を盗み見してたんだが、私が生身なら同席を希望して爆発の影響下にいたはずだ。 ジョルノが見つけてくれるまで、無駄なストレスとダメージは回避すべきだからな。ラッキーだったぜ。 ルイズが魔法を使うときは離れておくのがベストだな。 周りの連中が言っていることを盗み聞きした感じでは、絶対に失敗して爆発を起こすらしい。 顔を合わせる度にじゃれあってるキュルケとかが言っているから間違いないんだろう。 なんだかんだ言って、ルイズと一番仲がいいのは彼女だからな。 騒ぎを聞きつけてきた教師もそこの所を理解しているらしく、ルイズにくれぐれも魔法を使わずに片付けろと罰を命じている。 しかし…失敗すると確実に爆発するなんてことがありえんのか? テファの魔法の話やマチルダお姉さんの魔法を直に見た私は、なんか頭の隅っこのほうで引っかかるものがあった。 「まぁ気のせいか」 私はそう結論付けると、マジシャンズレッドに亀を持ち上げさせる。 所詮私は魔法に関しては殆ど知識が無いからな。専門家どもが言ってるならそーなんだろう。 外で待っているふりをしてるのも暇なんでな。 私は他の生徒が出て行くのを見届けてから教室に入った。 広い教室は擂鉢状に近い形をしている。 魔法で全部作られてるってのがまた凄いな。 外から見ているだけだった私は改めて中に入って感慨に耽った。 だがそれも視線を中央に向けるまでの話だ。 後ろの席ほど高い位置にあり、どこの席についても教師の姿が見えるようになっているんだが…その教師が立つ壇上で一人で片づけをしてるってのは、見栄えがよくなかった。 不機嫌そうなルイズは、同時に傷ついているように見えちまうじゃねぇか。 今まで見たどの表情よりルイズの表情は暗く沈んでいて泣いているようにさえ私の眼には映った。 亀を抱えたマジシャンズレッドは、ルイズへとゆっくり近づいていく。 「何しにきたのよ?外で待ってるように言ったでしょ。あんたに片づけができるわけないんだから、おとなしくしてなさい!」 私が入ってきた事に気付いたルイズはちょっとばかしヒステリックな調子でそう言った。 こちらを見ようともしないが、背を向けたまま顔を拭くような仕草をしたのには、流石の私も気付いていた。 確かにルイズの言うとおりではある。私はできれば話し相手とかだけにしときたいんだ。 こんな小娘の世話なんて面倒臭いからな。 だが、ここでルイズ一人に片付けさせるのは時間がかかる。 そうするとコイツ、飯食いっぱぐれたり次の授業に遅れちまうかもしれない。 そう考えた私はマジシャンズレッドを動かして教室を片付け始める。 べ、別に一人でやらせるのはかわいそうだとかそんなことはこれっぽっちも思ってねぇぜ! 私がマジシャンズレッドを使い片づけを創めるとルイズは驚き、私が能力を隠していたことを責めてきたが、ピンチの時に使った方が守るのに有利だと考えていたと嘘をついておいた。 自分の使い魔の思っても見ない能力にルイズは喜んだようだが、同時に使い魔のほうがまともに魔法が使えることにショックを受けたようだった。 魔法じゃなくてスタンドなんだが、誤解を解くのも面倒だから放っておく。 ルイズがどう思おうがマジシャンズレッドは名前の通り私の傍らに立ち、私を助ける。 重要なのはそこなんだからな。 だが、落ち込んだのを放っておくのは天国の奴になんか言われちまうかもしれん。 私は肩を竦めた。 仕方がないなっ! 私はこんな柄じゃあないんだが…こんな時誰より頼りになる承太郎ならなんと言って慰めるだろうか? 常にクールで頼りになった戦友はあれで時に優しさを見せる野郎だった。 アイツなら、一体どう言って慰めるだろうな? 私はそれを思い浮かべながらちょっと考えた。 勿論手を動かしながらだったが、私は言葉を選びながらルイズに語りかけた。 「ルイズ、貴族ってのは威張るだけの能無しばっかだ「なんですって!」」 落ち込んでいたルイズの顔は赤く染まり、興奮しているのが丸分かりだった。 一瞬落ち込んでいた方がいいんじゃーねぇのーっと思ったが、言い出したからには遣り通すべきだろう。 しかし、何か、違うな…おかしい。奴は簡単にやってたもんだが… 怒りを増したルイズに多少慌てながらも、私は一つ咳払いをして方向修正を図る。 落ち着け。落ち着くんだポルナレフ…まだ、修正可能なはず。 「魔法も威張る為にしか使ってねー。ご主人様、そんな貴族の中でアンタの魔法は何より容赦がねぇ…戦闘以外で人に向けて使うんじゃねーぜ?」 「つ、つつ使い魔如きにまで!馬鹿にされるいわれはないわよ!ああ、アンタ、お昼抜きだからね!」 癇癪を起こしたルイズは言い捨てて何処かに行っちまった。 おいおい、まだ教室片付いてねぇぜ? 周りを見渡し、残っているゴミや薄汚れちまってる教壇などを見て私はため息を付いた。 条太郎教えてくれ…俺はどこで間違えたんだ? 『てめぇの間違いはたった一つ。シンプルな答えだ…てめぇはルイズを怒らせた』 そんな幻聴が聞こえた気がするが、私はため息を一つ零しただけで片づけを再開する。 都市を食って私も落ち着いたって事だな。 あの旅の頃の私なら、絶対にこんな片付けはしないぜ。 ため息を吐いた数だけ教室は片付けられていった。 ジョルノ。さっさとてめーも来てくれ。 俺には10代の学生のテンションに付いていくのはつらいものがあるぜ。 逆に考えると私が年老いているか10代の学生も付いていけないほど大人気ないのか、だが…それは考えない事にした。 …ポルナレフさんがそんな事になっている頃。 当然だがそんなことなど知る由も無い僕はまだガリアにいた。 知っていたら何かしたのかというと…それはまた別の話ですけどね。 少し、組織の状況について話しましょう。 アルビオンはレコンキスタを中心にあっさりと独占できた。 碌でもない人達が多かったが…それだけでもない。 王族への反感も高まっている中で麻薬に逃げる者もいれば、数で負け、連戦連敗しても戦わなければならない自分を鼓舞する為に精神高揚剤として必要とする悲しい人もいた。 どう使われようがそれらは黒い金ですが…アルビオンで独占しようと他の国の市場ってものがあるし、アルビオンは戦争状態に入ってしまったのではっきり言うと不味い市場だ。 戦争状態は、色々と裏事を進めるのは楽な時もあるが、平時より更に平民の事は省みられないし簡単にインフレ状態に陥ったりするからな。 僕にとっては、麻薬に頼りきりな組織を作っても仕方が無いからと準備を始めていた他の事業を開始するにはいいきっかけになったのが皮肉でしたが… 組織は既にゲルマニアには展開を始めている。 少し落ち着いたんで今度はこちらで市場調査ってわけです。 故郷に比べ、こちらはまだ全てにおいて幼い。 パッショーネは色々な場所で競争に打ち勝つ為に洗練してきた…その手法や向こうで既に使い古されたやり方などを少し変えればつまらない程に形になる事がある。そのお陰で急速に拡大する事が出来ているが、壁もいくつかある。 一番厄介なのは、どこに行ってもある程度の規模になると貴族が出てくる点だ。 間抜けな者が多いとはいえ、利権を握っている上法と慣習で守られているのはとても厄介だ。 だがそんな彼らの幾人か、麻薬を買った貴族達から遠回りしてコネは手に入れている。 二つ目の問題は人手だ。犯罪者や商人、農民、善良に生きているが更に下の人達…彼らの中から才能を拾い上げ、人を育てなければならないって言うのが酷く難しい。 平民の中、貴族の中にも志が高いものが多いとしても、だ。 ゲルマニアはそうして拾い上げた彼らとその下に既にいた人達に任せてある。 妙なプライドを持った奴も多かったが、パッショーネ流に調教したので問題ないでしょう。 長くなりましたが、要するに順調ってことです。 お陰で今はちょっとした旅行気分。観光や買い物も思ったよりできてテファも喜んでいる。 この国のガーゴイルも出来れば商品に加えたい所だ。 色々と考えながら僕は目的の大体8割程度は達成し、最後の調査場所での調査と売り込みを行っていた…んですが、そこで思わぬアクシデントに見舞われた。 夜半になり屋敷の主人の部屋で騒動が起きた。 まだ眠りに付かず、今日決まった商談を加えた絵を考えている時だった。 一瞬テファの事が気になったが、観客になるまではうまく行きました。 腕の良いメイジを見る機会は余り無かったのですが、とても参考になりました。 今度スクエアも見たいな。 僕に直接関係する話ではなかったのですが、知っている女の子がその中心にいたので僕は少し首を突っ込んでみました… 危険なら少し手を貸すつもりでしたが、彼女は僕が思っているよりも優秀なメイジだったので、その必要もありませんでしたが。 そうして、見物を終えて程なく朝を迎えた僕は、テファと朝食を取りながら騒動の主役となったアイテムを可能なら記念に手に入れることを決めました。 簡単に手に入るとも思えませんが、とても得難い物に見えましたからね。 どうやって手に入れるか考えながら、僕はテファと別れて彼女を常に視界に納められ、また人目に付かぬパーティ会場の隅でこの園遊会で出会った貴族達の何名かと話していました。 「…では帽子が届くのは少し先になりますか?」 「ええ。特殊な作り方をしておりますから」 テファの被る帽子を物欲しそうにみる貴族に答えながらジョルノはダンスを眺め、ステップを記憶していく。 幾つか覚えてきたが、また少し違うのが興味深い…それに水を差すようにその貴族は囁いてくる。 「来月に間に合わせたかったのですが…どうにもならないものですか?」 「フ~ム………何か理由がおありのようですね。聞かせていただけますか?」 テファの長い耳を隠す為に、僕は彼女にドレスなどと共に帽子を用意した。 貴族達が着飾って集まる会場で咎められないよう華やかななものにしてみたが…もう少しフェミニンな装いにした方がこの園遊会の雰囲気に合っていたかもしれない。 今着ているのも悪くは無いが、余り強く印象付けたくないからな。 だが同時にこちらでは帽子は余り使われていなかった帽子を衣装選びをする時選択肢の一つに数えられるようにはしなければならない。 どれだけ大人しいデザインのものを用意しても周りに身につけている者が一人もいないと目立って仕方が無い。 そう考えて手は打ったのだが―僕は目だけを動かして会場の中を確認する。 組織の者の手でプレゼントされた帽子などが幾つか見えた。 今あるドレスなどに飽きているような噂を聞いたご婦人達に『他国で流行の兆しが』とか適当な言葉と共にお送りしたのだが、その中の何人かが帽子を身につけているようだ。 もう少し数がいた方がいいのだが、それは今後地道に増やしていくしかない。 まだ全て始めたばかり…少しずつ広げていく事が大事だ。 「それは…その、なあ」 理由如何によっては期間を早めると匂わせた僕に、彼は照れた様子でそっぽを向いた。 人目につかぬよう隅の中でも木陰になっている場所を選んだのだが、はっきり分かるほどだ。 その様子だけで、少し都合してあげるつもりだったが彼の友人が僕が何かを言い出す前に口を開いた。 「彼の結婚記念日なんですよ。コイツ愛妻家で有名でしてね。まぁッこんな田舎では妻と過ごす時間には事欠かぬというわけでして…」「また貴様は勝手に…!」 照れ隠しからかより気色ばむ彼とそれをなだめようとする友人達を見るに、彼らとは今後も清い付き合いができそうだなと僕は考えていた。 「まぁ…お恥ずかしい話ですが、そういうわけです。妻が懇意にしている商人がトリスティンのある貴婦人が帽子に凝り始めたとかなんとか…私には全くわからんのですがね」 すまん。それ嘘ですよ。 かなり鵜呑みにしているらしい彼と彼の友人には、少し骨を折るのも悪くない事だろう。 僕は彼をからかっている友人の一人に声をかける。 その貴族はガーゴイル作りに定評がある、と聞いておりそれの作成と製法を少し教えてもらう約束をしていた。 「そうでしたか…男爵。貴方にお願いしていたガーゴイルの件、早めても構いませんか?」 「これ以上かね? それは少し…あぁ、それで少し早まるのかね?」 「ええ。実は僕も知人への土産が無いと帰れない立場でしてね」 本当はその技術を全く違う目的に使うつもりだが、それはまだ教えられない。 彼らの口からもし広がってしまえば予定が大きく狂ってしまうからな。 そう考える僕を他所に、貴族達はその口下手な愛妻家殿をからかい始めた。 僕は彼らに調子を程ほどに合わせながら、園遊会の雰囲気を楽しみ…ふいに周囲から歓声が上がった。 「イザベラ様がダンスを披露なさるそうですよ」 誰かがそう言ったのを聞き、ジョルノは内心首を傾げた。 昨日襲われていた知り合いの少女かそれとも本人かはともかく、そんな事をするタイプではないと思っていたからだが… その間にふらふらと、その王女様が観客席から舞台へと向かっていく。 それまで舞台で踊っていた、薄い布を幾重にも纏った女達がそれにあわせて舞台中央にスペースを作り少女を迎えいれた。 王女は不自然なほど素早くそこへとたどり着き、周囲へ笑顔を見せながらナイフを振り上げた。悲鳴が上がる。 辺りが騒然とする中、僕は笑みを浮かべていた。 視線の先では、主賓のガリア王女が探していたアイテム(インテリジェンスナイフ)に操られて裸で踊りはじめていた。 『地下水』と呼ばれ、人を操る力と何種類かの系統魔法、持ち主を操って行う格闘も中々の腕を持つナイフが日の光を反射して冷たく輝いていた。 やれやれ、どこの誰かは知らないが…これで楽に手に入れられるかもしれないな。 僕は笑みを引っ込めて席を立つ。 周りでは止めるか、いや王女の芸術だとかどーでもいい事で騒いでいるようだが、いい加減見るに耐えないですしね。 澄み切った空へと僕は咎めるような視線を向けた。 上空を嬉しそうに旋回する影は、確かに僕の知る少女の竜だった。 ----
い、今起こったことをありのまま話すぜ! 私を召喚したルイズが石を錬金しらた爆発が起きた…な、何を言ってるか分からないと思うが私にも何が起こったのかわからなかった。 錬金なんてちゃちなもんじゃねーもっと戦闘向きな魔法を味わったぜ! 出したままのスタンドで私は周囲の惨状を見る。 爆発で壊れた教室の備品! 砕けた石の破片が食い込んだ壁! マジシャンズレッドがスタンドでなかったらと思うとゾッとするぜ… ルイズが使い魔は外と言うんでおとなしくマジシャンズレッドで授業を盗み見してたんだが、私が生身なら同席を希望して爆発の影響下にいたはずだ。 ジョルノが見つけてくれるまで、無駄なストレスとダメージは回避すべきだからな。ラッキーだったぜ。 ルイズが魔法を使うときは離れておくのがベストだな。 周りの連中が言っていることを盗み聞きした感じでは、絶対に失敗して爆発を起こすらしい。 顔を合わせる度にじゃれあってるキュルケとかが言っているから間違いないんだろう。 なんだかんだ言って、ルイズと一番仲がいいのは彼女だからな。 騒ぎを聞きつけてきた教師もそこの所を理解しているらしく、ルイズにくれぐれも魔法を使わずに片付けろと罰を命じている。 しかし…失敗すると確実に爆発するなんてことがありえんのか? テファの魔法の話やマチルダお姉さんの魔法を直に見た私は、なんか頭の隅っこのほうで引っかかるものがあった。 「まぁ気のせいか」 私はそう結論付けると、マジシャンズレッドに亀を持ち上げさせる。 所詮私は魔法に関しては殆ど知識が無いからな。専門家どもが言ってるならそーなんだろう。 外で待っているふりをしてるのも暇なんでな。 私は他の生徒が出て行くのを見届けてから教室に入った。 広い教室は擂鉢状に近い形をしている。 魔法で全部作られてるってのがまた凄いな。 外から見ているだけだった私は改めて中に入って感慨に耽った。 だがそれも視線を中央に向けるまでの話だ。 後ろの席ほど高い位置にあり、どこの席についても教師の姿が見えるようになっているんだが…その教師が立つ壇上で一人で片づけをしてるってのは、見栄えがよくなかった。 不機嫌そうなルイズは、同時に傷ついているように見えちまうじゃねぇか。 今まで見たどの表情よりルイズの表情は暗く沈んでいて泣いているようにさえ私の眼には映った。 亀を抱えたマジシャンズレッドは、ルイズへとゆっくり近づいていく。 「何しにきたのよ?外で待ってるように言ったでしょ。あんたに片づけができるわけないんだから、おとなしくしてなさい!」 私が入ってきた事に気付いたルイズはちょっとばかしヒステリックな調子でそう言った。 こちらを見ようともしないが、背を向けたまま顔を拭くような仕草をしたのには、流石の私も気付いていた。 確かにルイズの言うとおりではある。私はできれば話し相手とかだけにしときたいんだ。 こんな小娘の世話なんて面倒臭いからな。 だが、ここでルイズ一人に片付けさせるのは時間がかかる。 そうするとコイツ、飯食いっぱぐれたり次の授業に遅れちまうかもしれない。 そう考えた私はマジシャンズレッドを動かして教室を片付け始める。 べ、別に一人でやらせるのはかわいそうだとかそんなことはこれっぽっちも思ってねぇぜ! 私がマジシャンズレッドを使い片づけを創めるとルイズは驚き、私が能力を隠していたことを責めてきたが、ピンチの時に使った方が守るのに有利だと考えていたと嘘をついておいた。 自分の使い魔の思っても見ない能力にルイズは喜んだようだが、同時に使い魔のほうがまともに魔法が使えることにショックを受けたようだった。 魔法じゃなくてスタンドなんだが、誤解を解くのも面倒だから放っておく。 ルイズがどう思おうがマジシャンズレッドは名前の通り私の傍らに立ち、私を助ける。 重要なのはそこなんだからな。 だが、落ち込んだのを放っておくのは天国の奴になんか言われちまうかもしれん。 私は肩を竦めた。 仕方がないなっ! 私はこんな柄じゃあないんだが…こんな時誰より頼りになる承太郎ならなんと言って慰めるだろうか? 常にクールで頼りになった戦友はあれで時に優しさを見せる野郎だった。 アイツなら、一体どう言って慰めるだろうな? 私はそれを思い浮かべながらちょっと考えた。 勿論手を動かしながらだったが、私は言葉を選びながらルイズに語りかけた。 「ルイズ、貴族ってのは威張るだけの能無しばっかだ「なんですって!」」 落ち込んでいたルイズの顔は赤く染まり、興奮しているのが丸分かりだった。 一瞬落ち込んでいた方がいいんじゃーねぇのーっと思ったが、言い出したからには遣り通すべきだろう。 しかし、何か、違うな…おかしい。奴は簡単にやってたもんだが… 怒りを増したルイズに多少慌てながらも、私は一つ咳払いをして方向修正を図る。 落ち着け。落ち着くんだポルナレフ…まだ、修正可能なはず。 「魔法も威張る為にしか使ってねー。ご主人様、そんな貴族の中でアンタの魔法は何より容赦がねぇ…戦闘以外で人に向けて使うんじゃねーぜ?」 「つ、つつ使い魔如きにまで!馬鹿にされるいわれはないわよ!ああ、アンタ、お昼抜きだからね!」 癇癪を起こしたルイズは言い捨てて何処かに行っちまった。 おいおい、まだ教室片付いてねぇぜ? 周りを見渡し、残っているゴミや薄汚れちまってる教壇などを見て私はため息を付いた。 承太郎教えてくれ…俺はどこで間違えたんだ? 『てめぇの間違いはたった一つ。シンプルな答えだ…てめぇはルイズを怒らせた』 そんな幻聴が聞こえた気がするが、私はため息を一つ零しただけで片づけを再開する。 都市を食って私も落ち着いたって事だな。 あの旅の頃の私なら、絶対にこんな片付けはしないぜ。 ため息を吐いた数だけ教室は片付けられていった。 ジョルノ。さっさとてめーも来てくれ。 俺には10代の学生のテンションに付いていくのはつらいものがあるぜ。 逆に考えると私が年老いているか10代の学生も付いていけないほど大人気ないのか、だが…それは考えない事にした。 …ポルナレフさんがそんな事になっている頃。 当然だがそんなことなど知る由も無い僕はまだガリアにいた。 知っていたら何かしたのかというと…それはまた別の話ですけどね。 少し、組織の状況について話しましょう。 アルビオンはレコンキスタを中心にあっさりと独占できた。 碌でもない人達が多かったが…それだけでもない。 王族への反感も高まっている中で麻薬に逃げる者もいれば、数で負け、連戦連敗しても戦わなければならない自分を鼓舞する為に精神高揚剤として必要とする悲しい人もいた。 どう使われようがそれらは黒い金ですが…アルビオンで独占しようと他の国の市場ってものがあるし、アルビオンは戦争状態に入ってしまったのではっきり言うと不味い市場だ。 戦争状態は、色々と裏事を進めるのは楽な時もあるが、平時より更に平民の事は省みられないし簡単にインフレ状態に陥ったりするからな。 僕にとっては、麻薬に頼りきりな組織を作っても仕方が無いからと準備を始めていた他の事業を開始するにはいいきっかけになったのが皮肉でしたが… 組織は既にゲルマニアには展開を始めている。 少し落ち着いたんで今度はこちらで市場調査ってわけです。 故郷に比べ、こちらはまだ全てにおいて幼い。 パッショーネは色々な場所で競争に打ち勝つ為に洗練してきた…その手法や向こうで既に使い古されたやり方などを少し変えればつまらない程に形になる事がある。そのお陰で急速に拡大する事が出来ているが、壁もいくつかある。 一番厄介なのは、どこに行ってもある程度の規模になると貴族が出てくる点だ。 間抜けな者が多いとはいえ、利権を握っている上法と慣習で守られているのはとても厄介だ。 だがそんな彼らの幾人か、麻薬を買った貴族達から遠回りしてコネは手に入れている。 二つ目の問題は人手だ。犯罪者や商人、農民、善良に生きているが更に下の人達…彼らの中から才能を拾い上げ、人を育てなければならないって言うのが酷く難しい。 平民の中、貴族の中にも志が高いものが多いとしても、だ。 ゲルマニアはそうして拾い上げた彼らとその下に既にいた人達に任せてある。 妙なプライドを持った奴も多かったが、パッショーネ流に調教したので問題ないでしょう。 長くなりましたが、要するに順調ってことです。 お陰で今はちょっとした旅行気分。観光や買い物も思ったよりできてテファも喜んでいる。 この国のガーゴイルも出来れば商品に加えたい所だ。 色々と考えながら僕は目的の大体8割程度は達成し、最後の調査場所での調査と売り込みを行っていた…んですが、そこで思わぬアクシデントに見舞われた。 夜半になり屋敷の主人の部屋で騒動が起きた。 まだ眠りに付かず、今日決まった商談を加えた絵を考えている時だった。 一瞬テファの事が気になったが、観客になるまではうまく行きました。 腕の良いメイジを見る機会は余り無かったのですが、とても参考になりました。 今度スクエアも見たいな。 僕に直接関係する話ではなかったのですが、知っている女の子がその中心にいたので僕は少し首を突っ込んでみました… 危険なら少し手を貸すつもりでしたが、彼女は僕が思っているよりも優秀なメイジだったので、その必要もありませんでしたが。 そうして、見物を終えて程なく朝を迎えた僕は、テファと朝食を取りながら騒動の主役となったアイテムを可能なら記念に手に入れることを決めました。 簡単に手に入るとも思えませんが、とても得難い物に見えましたからね。 どうやって手に入れるか考えながら、僕はテファと別れて彼女を常に視界に納められ、また人目に付かぬパーティ会場の隅でこの園遊会で出会った貴族達の何名かと話していました。 「…では帽子が届くのは少し先になりますか?」 「ええ。特殊な作り方をしておりますから」 テファの被る帽子を物欲しそうにみる貴族に答えながらジョルノはダンスを眺め、ステップを記憶していく。 幾つか覚えてきたが、また少し違うのが興味深い…それに水を差すようにその貴族は囁いてくる。 「来月に間に合わせたかったのですが…どうにもならないものですか?」 「フ~ム………何か理由がおありのようですね。聞かせていただけますか?」 テファの長い耳を隠す為に、僕は彼女にドレスなどと共に帽子を用意した。 貴族達が着飾って集まる会場で咎められないよう華やかななものにしてみたが…もう少しフェミニンな装いにした方がこの園遊会の雰囲気に合っていたかもしれない。 今着ているのも悪くは無いが、余り強く印象付けたくないからな。 だが同時にこちらでは帽子は余り使われていなかった帽子を衣装選びをする時選択肢の一つに数えられるようにはしなければならない。 どれだけ大人しいデザインのものを用意しても周りに身につけている者が一人もいないと目立って仕方が無い。 そう考えて手は打ったのだが―僕は目だけを動かして会場の中を確認する。 組織の者の手でプレゼントされた帽子などが幾つか見えた。 今あるドレスなどに飽きているような噂を聞いたご婦人達に『他国で流行の兆しが』とか適当な言葉と共にお送りしたのだが、その中の何人かが帽子を身につけているようだ。 もう少し数がいた方がいいのだが、それは今後地道に増やしていくしかない。 まだ全て始めたばかり…少しずつ広げていく事が大事だ。 「それは…その、なあ」 理由如何によっては期間を早めると匂わせた僕に、彼は照れた様子でそっぽを向いた。 人目につかぬよう隅の中でも木陰になっている場所を選んだのだが、はっきり分かるほどだ。 その様子だけで、少し都合してあげるつもりだったが彼の友人が僕が何かを言い出す前に口を開いた。 「彼の結婚記念日なんですよ。コイツ愛妻家で有名でしてね。まぁッこんな田舎では妻と過ごす時間には事欠かぬというわけでして…」「また貴様は勝手に…!」 照れ隠しからかより気色ばむ彼とそれをなだめようとする友人達を見るに、彼らとは今後も清い付き合いができそうだなと僕は考えていた。 「まぁ…お恥ずかしい話ですが、そういうわけです。妻が懇意にしている商人がトリスティンのある貴婦人が帽子に凝り始めたとかなんとか…私には全くわからんのですがね」 すまん。それ嘘ですよ。 かなり鵜呑みにしているらしい彼と彼の友人には、少し骨を折るのも悪くない事だろう。 僕は彼をからかっている友人の一人に声をかける。 その貴族はガーゴイル作りに定評がある、と聞いておりそれの作成と製法を少し教えてもらう約束をしていた。 「そうでしたか…男爵。貴方にお願いしていたガーゴイルの件、早めても構いませんか?」 「これ以上かね? それは少し…あぁ、それで少し早まるのかね?」 「ええ。実は僕も知人への土産が無いと帰れない立場でしてね」 本当はその技術を全く違う目的に使うつもりだが、それはまだ教えられない。 彼らの口からもし広がってしまえば予定が大きく狂ってしまうからな。 そう考える僕を他所に、貴族達はその口下手な愛妻家殿をからかい始めた。 僕は彼らに調子を程ほどに合わせながら、園遊会の雰囲気を楽しみ…ふいに周囲から歓声が上がった。 「イザベラ様がダンスを披露なさるそうですよ」 誰かがそう言ったのを聞き、ジョルノは内心首を傾げた。 昨日襲われていた知り合いの少女かそれとも本人かはともかく、そんな事をするタイプではないと思っていたからだが… その間にふらふらと、その王女様が観客席から舞台へと向かっていく。 それまで舞台で踊っていた、薄い布を幾重にも纏った女達がそれにあわせて舞台中央にスペースを作り少女を迎えいれた。 王女は不自然なほど素早くそこへとたどり着き、周囲へ笑顔を見せながらナイフを振り上げた。悲鳴が上がる。 辺りが騒然とする中、僕は笑みを浮かべていた。 視線の先では、主賓のガリア王女が探していたアイテム(インテリジェンスナイフ)に操られて裸で踊りはじめていた。 『地下水』と呼ばれ、人を操る力と何種類かの系統魔法、持ち主を操って行う格闘も中々の腕を持つナイフが日の光を反射して冷たく輝いていた。 やれやれ、どこの誰かは知らないが…これで楽に手に入れられるかもしれないな。 僕は笑みを引っ込めて席を立つ。 周りでは止めるか、いや王女の芸術だとかどーでもいい事で騒いでいるようだが、いい加減見るに耐えないですしね。 澄み切った空へと僕は咎めるような視線を向けた。 上空を嬉しそうに旋回する影は、確かに僕の知る少女の竜だった。 ----

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