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ジョルノ+ポルナレフ-13 - (2007/12/23 (日) 06:17:23) の最新版との変更点

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「聞いてくれカメナレフ! モンモランシーが僕の説明を聞いてくれないんだよぉぉぉおっ!」 「てめぇは頭脳が間抜けか? と先日決闘したばっかりなのを忘れたのか?」 決闘から数日後。先日決闘した場所の隅っこで私はゲーシュの相談を受けていた。 私は授業の間待ってろを言われ、いつも通り使い魔達と一緒に待っていたんだが、そこへこのギーシュが授業をサボって現れやがってな。 私はギーシュにとって都合のいい場所に移動して泣きつかれている。 どうしてこんなゲーシュと話しているのかって? べ、別に跡でギーシュがいいものを分けるといったからじゃないぜ…? ともかくギーシュの野郎はとげとげしい返事を返した私の亀に頬ずりしそうな勢いで顔を寄せていた。 ちょっと酒臭いなこいつ。 「モチロンそんなことは分かってるさッ! だが、僕の話を聞いてくれる相手はもう君くらいしかいなさそうなんだから仕方ないじゃないか!」 堂々と情け無い事を言うガキだな… 私はため息をついて、返事をする。 まぁ確かにあんな事があったのにコイツと仲良くするような友人はそうはいないだろう。 私なら、まぁマジシャンズレッドやジョルノ…アイツは仲良くするというよりは矯正される気がするな。 「あのな。普通あんな振られ方をしたらお前とはなしたくなんかねぇだろ」 「だからそれが誤解だと言ってるじゃないか! 僕はケティとは手を繋いだこともなかったんだ。「香水の件はどう「それこそ誰かが勝手な事を言っただけさ! ちゃんと後で回収するつもりだったんだ!」 私は白い目でゲーシュを見る。 亀の中からだったが、無言の圧力を感じたのかゲーシュはちょっとだけ引き下がった。 私はちょっとばかし剣呑な声でギーシュに問いかける。 「それは、ギャグで言ってるのか?」 「ち、違う! 信じてくれ!! だからこうしてボコボコにしてくれた君にまで相談してるんじゃないか! ケティの目を盗んで君とこうして話す機会を作るだけで僕がどれだけ苦労したと…!」 (そのケティが黒幕だとはこれっぽっちも思っていない)私は素早くマジシャンズレッドを出してギーシュの顔面を殴った。 吹っ飛んで頬を押さえる程度に加減しておいてやったが、それでも奥歯位はぐらぐらになったっぽいギーシュを見下ろして私は言う。 怒りが私を包んでいた。 このゲス野郎に対してチョッピリでも哀れみを感じて相談に乗ってやったのが愚かな行為だったのか? 私が野菜人ならもっと、更に髪が逆立ってる所だぜ! 「テメェ、あの状況で貴様を庇ったケティ嬢になんて言い草だ。ゲーシュのくせに生意気だぞッ!」 ジャイアニズム全開な私の罵り。しかしギーシュはケティ嬢に助けられた事に関しては思うところあるのか素直に罪悪感を表情に表せた。 そして謝罪を口にする。 「すまない…だが、僕が好きなのはあくまでモンモランシーなんだ! ほら、見てくれ…今度開かれる舞踏会に向けてエルメェスのパンティを」 「セクハラじゃねぇか!」 まだ寝言をほざくゲーシュに吐き捨てるように言いながらもう一発顔面にアヴドゥルの気合が篭ったパンチをお見舞いする。 奴が取り出そうとしていたプレゼントの包みが宙に飛び、流石にそれが地面に落ちちまうのは何だと思った私はマジシャンズレッドに受け止めさせた。 「っていうかエルメェス?」 私はハッとして殴られてきりもみ回転しながら吹っ飛んだギーシュに確かめるように聞く。 私の世界でもエルメェスはある。ファッションブランドの一つだ。 元は1837年に開いた馬具工房で、ナポレオン3世やロシア皇帝などを顧客として発展した。 かのナポレオン3世や、ロシア皇帝ニコライ2世も愛用するほどの品質は一言で言うと…いや、言うまでも無い。 ”何十年程度では駄目にならないほど丈夫”な皮革製品をちゃんと使っていれば分かる事だからな。 今では服飾品・装飾品・香水、などの分野にも手を広げ、それらの製品のデザイン、製造、販売するメーカーになった。 だが、アトリエ・エルメスの屋上にはHERMES/SELLIER(鞍屋エルメス)が残っており、今でも完成まで1つ27時間かけて馬具を作り続けている。 話が逸れちまったが、私の腑に落ちない態度を見たギーシュは頬を押さえながら私に説明を始めた。 「あ、ああ。ゲルマニアのネアポリス伯が始めた事業の一つで、最近貴族の間でちょっとした人気になってるんだ。と言っても馬具やバッグなどでの評価が高いらしいがね」 他のブランドまではまだまだチェックできていないんだと言うギーシュ(一応説明してもらっているからゲーシュ呼ばわりは勘弁してやるぜ。今はな) ネアポリス伯は他にも、工房を纏めたり職人を集めたりしていて、ジュエリーブランドのテファニーだかティファニーアだかやアルマニという服飾工房を始めているらしい。 伯自身が細かく要望を出して作らせているという製品全てが高品質かつ斬新で洗練されたデザイン、と出来て間もないと言うのに既に各宮廷の流行を引っ張る紳士や貴婦人の評価を得ているとかギーシュは説明していたが… 私はそれを聞いてそのネアポリス伯爵が誰かわかった。 (ジョルノだ。間違いない…あいつ私を迎えに来ないで何やってやがる。パクリじゃねぇか!) 再会したらジョルノに問い詰めなければならない。 ギーシュが取り出したプレゼント用の包装にはきっちりあのエルメェスのロゴとそっくりのが入っている。 薬にパクリとか幾らなんでも金儲けに走りすぎだとおもうぜ。 アルマニは多分あの「ミラノの3G」が立ち上げたアレが元ネタなんだろうが…彼は語録で「私はニセモノが嫌いだ。見せかけの真実は見たくない」と言うほどの漢。 確かにこっちじゃあ彼はいないわけだが…知ってるんならもっと敬意を払うべきじゃあねぇのか? 納得の行く説明を奴がしやがるかはわからんが、問い詰めなければ… 「とりあえず黙ってくれ」 まだ説明をするゲーシュにもう一発、顔面に私のやるせなさが篭ったパンチをお見舞いする。 これ以上そんな話をされるとこっちの頭が痛くなっちまいそうだ。 「何をするんだ! 君が知らなさそうだから説明してやってたのに!」 またも吹っ飛ばされたギーシュの顔はちょっぴり原型を留めていなかったが、私は追い討ちをかけるように言葉をかける。 「とりあず言っておく。貴様への私の返事はこうだ…諦めろ! 既に貴様はゲーシュッ、手ひどく女を振ったゲス野郎で彼女との縁なんぞとっくに消滅しているッ!」 私に殴られただけではない。 もうモンモランシーとの未来なんぞ存在しないという宣告にわかってはいたのだろうが、呆然とするギーシュ… それを見ていると、まるで本当にうっかりしちまっただけに思えてくるから不思議だ。 (チッあんなことが無かったら可哀想な奴と気を許しちまうところだぜ) これが、ゲーシュかとある種感心しながらも私は今度は騙されなかった。 だがしかし、こいつの演技は真に迫っているというのも確かだ。 もしかして演技じゃあないのか? と疑問が頭を過ぎる…いいや、と私は頭を振った。 このゲーシュとあの時のケティ嬢。 どちらを信用する? ゲス野郎を庇う美少女とそのゲス野郎。 二つを並べてどちらかを選ぶなら当然美少女を選ぶ。 誰だってそーする。私もモチロンそうだ。 貧乳はステイタスって言う位当然だ。 噂をすればなんとやら…いつの間にかゲーシュの背後からケティ嬢が迫っているしな。 しかし余り目立たない場所を選んだというのに見つけるとは、流石に良く見ているといったところか? 「亀さんこんにちわ。ギーシュ様、こんな所で何をされているの?」 「ケティ! い、いや…これは、その」 声をかけられるまで全く気付いてなかったこの間抜け野郎はプレゼントの包みを気にしたが、それが駄目だな。 その目の動き。きっちり見られてるぜ? 「あぁすまない。ギーシュが貴女にプレゼントしたいものがあるんだがどうやったらうまく渡せるかと私に相談しに来てな」 「ポルナレフ!?」 私の咄嗟の嘘に、ゲーシュの野郎が何か慌てているが知ったこっちゃ無い。 奴が言うには下着が入っているらしいエルメェスのロゴマーク付きの包みはバッチリケティ嬢の視界に入っちまってるんだからしかたねぇだろう? 純真無垢そうな彼女にゲーシュの奴が、『手ひどく振った前の女とよりを戻そうとして人気急上昇中のブランドで下着を購入してきた』なんぞといえるだろうか? 私にはそんな残酷なことは言えなかったが、ケティ嬢は気付いてしまったようだ。 隠し切れない悲しみを私とゲーシュに見せながら、耐えるような彼女の仕草が私の胸を打った。 「ギーシュ様、まさか…」 「け、ケティ…すまない。だが僕の話を聞いて欲しい。これは…今度の舞踏会の為に、あの事件が起こる前に注文した品だったんだ」 「…わかりました。信じますわ」 ケティは男ならグッとくるような寂しさを漂わせた笑顔でそう答え、私とゲーシュはまた言葉に詰まった。 ゲーシュは言葉もなく彼女を抱き寄せ、私は見てられねぇと目を逸らそうとした。 だが私は、奇妙だがケティ嬢から目を離せなかった。 一つ、気になった点がある。 …? 気のせいか? ゲーシュの野郎の言葉を信じる彼女には頭が下がる想いだったが、どういうわけか私はまた疑問が頭に浮かぶのを止められずにいる。 クッ自分が情けないぜ… だがしかし、今の表情、何か嘘っぽく無いか? むしろ、今微かに見えた表情は。 そんな事は知ってますわって感じじゃあなかったか? 馬鹿なと首を振る私にケティ嬢はギーシュを伴い、「亀さん、ギーシュ様の相談に乗ってくださってありがとうございました」と言って去っていった。 その際、何故か一度女子寮へと視線を向けたケティ嬢に私は首を捻ったが、「あぁ私でよければまた相談してくれ」と返した。 「ありがとうございます…そうだわッ!」 ケティ嬢は思い出したように、そして名案が浮かんだとでもいう風な態度でギーシュに待つよう頼んで私へと可愛らしい顔を寄せた。 「それなら亀さん、ミス・モンモランシーがまだショックで部屋に閉じこもっているので…(もし名案が浮かぶようでしたら)貴方からも励ましてあげてくださいませんか? 私には…かけてさしあげる言葉がありませんから」 相談場所に選んだ中庭に冷たい風が吹いたような気がして、私は一度だけ身震いをした。 「あ、あぁ。任せてくれ。そういうのは苦手なんだが、できることがあればやってみよう」 ケティ嬢はお願いしますともう一度お願いしてから二人連れ立って去っていった。 「全くいい子だな。奴には勿体無い」 あぁ、そろそろ授業が終るな。 毎日のことなんでなんとなくそう感じた私は校舎へ視線を向け、ルイズが授業を受けている教室へ移動していく。 その時先程頼まれたばかりだからだろうか? 私はミス・モンモランシーの事が気にかかり女子寮へと視線を向けた。 部屋の場所は分からないが、私が目を向けるのと同時にカーテンが一つ閉じたのが、マジシャンズレッドの視界では確認できた。 まさかとは想うが…それが彼女の部屋じゃない事を祈るぜ。 なんせさっきゲーシュの野郎がケティ嬢を思わず抱きしめてたし、今も腕を組んで戻っていくからな。 酷い野郎なんだからスッパリ忘れちまえとはいえねぇ …失恋したばかりの彼女には、酷な光景だ。 私はため息を一つついて使い魔達の待つ場所に戻った。 * さっきの授業が午前の部の最後の授業だったんで、程なくして教室から出てきたルイズに連れられ、私は食堂へ行った。 ここでも使い魔達と一緒じゃあねぇ。 例のゲーシュ事件以来私の中でのルイズ評価は下がったが、「貴族を見るには使い魔を見ろ」という言葉もあるらしくルイズと私の周囲からの評価は上がっており、また話せるってこともあって私は食堂の中で飯を食うことができるようになっていた。 「っつーことがあってよぉ、私は感心したね!」 「ふーん、ゲーシュは相変わらずね。ケティもゲーシュなんかの何がいいのかしらね?」 私の言葉にルイズはワインを飲む手と止めて相槌を打つ。 ちなみに私があんまり好かんルイズと一緒に飯なのは使い魔だからってのもあったが…ルイズって友達少ないからな。 魔法が使えないメイジの扱いなんぞ悪いもんだ。 入ったばかりの、魔法がスゲー苦手な奴らでも一つ二つなら使えるからな。 たった一つ二つ。 だがそれが何よりも高い壁となっている。 分からない奴は醜いアヒルの子でも読んで勉強してくれ。 ルイズが白鳥の子供かどうかは分からんけどな。 ルイズは妙な誇り高さとコンプレックスがあるからそういう奴らとも付き合う気は無いらしい(どっちにしろ馬鹿にされるだけみたいだな) キュルケはある意味友達ともいえるようだが、一番侮辱しまくるのもキュルケなんでルイズ的には友人とはいえないだろうな。 私にとってはゲーシュ戦のことがムカつくが、それ以外は案外順応してきたんでここで一番ルイズと話すのは私かもしれない。 うっかり向こうの事やいつまで経ってもこねージョルノの事を愚痴っちまうからギブアンドテイクって感じかね? 「品評会? 私に見世物になれってのか?」 だが、そんなルイズがあぁそうだとか言って口にした使い魔の品評会ってのは気にイラねぇ。 私に見世物になれって話をなんで承諾してやらなきゃならねぇんだ? 当然そう思った私は拒否する意向を伝えるがルイズは駄目よと全く取り合う気がなさそうな返事を返してきた。 「今年は姫様も来られるんだから、絶対に無様な真似はできないの。適当に空飛ぶだけでいいからやってもらうわよ」 そう言うルイズの言葉にはムカついたが、私は反論しなかった。 何か切羽詰ったものを感じてこう思ったからだ。 その使い魔の品評会、もしかしたらルイズの親も見に来るんじゃねぇの? 早くに親を亡くした私にも一度位は授業参観の経験はある。 ああいう場所で親の前で恥をかくのってかなりきついものがあるからな。 実際恥をかいた経験がある私は…すぐに仕方ねぇから付き合ってやることに決めた。 ----
「聞いてくれカメナレフ! モンモランシーが僕の説明を聞いてくれないんだよぉぉぉおっ!」 「てめぇは頭脳が間抜けか? と先日決闘したばっかりなのを忘れたのか?」 決闘から数日後。先日決闘した場所の隅っこで私はゲーシュの相談を受けていた。 私は授業の間待ってろを言われ、いつも通り使い魔達と一緒に待っていたんだが、そこへこのギーシュが授業をサボって現れやがってな。 私はギーシュにとって都合のいい場所に移動して泣きつかれている。 どうしてこんなゲーシュと話しているのかって? べ、別にあとでギーシュがいいものを分けるといったからじゃないぜ…? ともかくギーシュの野郎はとげとげしい返事を返した私の亀に頬ずりしそうな勢いで顔を寄せていた。 ちょっと酒臭いなこいつ。 「モチロンそんなことは分かってるさッ! だが、僕の話を聞いてくれる相手はもう君くらいしかいなさそうなんだから仕方ないじゃないか!」 堂々と情け無い事を言うガキだな… 私はため息をついて、返事をする。 まぁ確かにあんな事があったのにコイツと仲良くするような友人はそうはいないだろう。 私なら、まぁマジシャンズレッドやジョルノ…アイツは仲良くするというよりは矯正される気がするな。 「あのな。普通あんな振られ方をしたらお前とはなしたくなんかねぇだろ」 「だからそれが誤解だと言ってるじゃないか! 僕はケティとは手を繋いだこともなかったんだ。「香水の件はどう「それこそ誰かが勝手な事を言っただけさ! ちゃんと後で回収するつもりだったんだ!」 私は白い目でゲーシュを見る。 亀の中からだったが、無言の圧力を感じたのかゲーシュはちょっとだけ引き下がった。 私はちょっとばかし剣呑な声でギーシュに問いかける。 「それは、ギャグで言ってるのか?」 「ち、違う! 信じてくれ!! だからこうしてボコボコにしてくれた君にまで相談してるんじゃないか! ケティの目を盗んで君とこうして話す機会を作るだけで僕がどれだけ苦労したと…!」 (そのケティが黒幕だとはこれっぽっちも思っていない)私は素早くマジシャンズレッドを出してギーシュの顔面を殴った。 吹っ飛んで頬を押さえる程度に加減しておいてやったが、それでも奥歯位はぐらぐらになったっぽいギーシュを見下ろして私は言う。 怒りが私を包んでいた。 このゲス野郎に対してチョッピリでも哀れみを感じて相談に乗ってやったのが愚かな行為だったのか? 私が野菜人ならもっと、更に髪が逆立ってる所だぜ! 「テメェ、あの状況で貴様を庇ったケティ嬢になんて言い草だ。ゲーシュのくせに生意気だぞッ!」 ジャイアニズム全開な私の罵り。しかしギーシュはケティ嬢に助けられた事に関しては思うところあるのか素直に罪悪感を表情に表せた。 そして謝罪を口にする。 「すまない…だが、僕が好きなのはあくまでモンモランシーなんだ! ほら、見てくれ…今度開かれる舞踏会に向けてエルメェスのパンティを」 「セクハラじゃねぇか!」 まだ寝言をほざくゲーシュに吐き捨てるように言いながらもう一発顔面にアヴドゥルの気合が篭ったパンチをお見舞いする。 奴が取り出そうとしていたプレゼントの包みが宙に飛び、流石にそれが地面に落ちちまうのは何だと思った私はマジシャンズレッドに受け止めさせた。 「っていうかエルメェス?」 私はハッとして殴られてきりもみ回転しながら吹っ飛んだギーシュに確かめるように聞く。 私の世界でもエルメェスはある。ファッションブランドの一つだ。 元は1837年に開いた馬具工房で、ナポレオン3世やロシア皇帝などを顧客として発展した。 かのナポレオン3世や、ロシア皇帝ニコライ2世も愛用するほどの品質は一言で言うと…いや、言うまでも無い。 ”何十年程度では駄目にならないほど丈夫”な皮革製品をちゃんと使っていれば分かる事だからな。 今では服飾品・装飾品・香水、などの分野にも手を広げ、それらの製品のデザイン、製造、販売するメーカーになった。 だが、アトリエ・エルメスの屋上にはHERMES/SELLIER(鞍屋エルメス)が残っており、今でも完成まで1つ27時間かけて馬具を作り続けている。 話が逸れちまったが、私の腑に落ちない態度を見たギーシュは頬を押さえながら私に説明を始めた。 「あ、ああ。ゲルマニアのネアポリス伯が始めた事業の一つで、最近貴族の間でちょっとした人気になってるんだ。と言っても馬具やバッグなどでの評価が高いらしいがね」 他のブランドまではまだまだチェックできていないんだと言うギーシュ(一応説明してもらっているからゲーシュ呼ばわりは勘弁してやるぜ。今はな) ネアポリス伯は他にも、工房を纏めたり職人を集めたりしていて、ジュエリーブランドのテファニーだかティファニーアだかやアルマニという服飾工房を始めているらしい。 伯自身が細かく要望を出して作らせているという製品全てが高品質かつ斬新で洗練されたデザイン、と出来て間もないと言うのに既に各宮廷の流行を引っ張る紳士や貴婦人の評価を得ているとかギーシュは説明していたが… 私はそれを聞いてそのネアポリス伯爵が誰かわかった。 (ジョルノだ。間違いない…あいつ私を迎えに来ないで何やってやがる。パクリじゃねぇか!) 再会したらジョルノに問い詰めなければならない。 ギーシュが取り出したプレゼント用の包装にはきっちりあのエルメェスのロゴとそっくりのが入っている。 薬にパクリとか幾らなんでも金儲けに走りすぎだとおもうぜ。 アルマニは多分あの「ミラノの3G」が立ち上げたアレが元ネタなんだろうが…彼は語録で「私はニセモノが嫌いだ。見せかけの真実は見たくない」と言うほどの漢。 確かにこっちじゃあ彼はいないわけだが…知ってるんならもっと敬意を払うべきじゃあねぇのか? 納得の行く説明を奴がしやがるかはわからんが、問い詰めなければ… 「とりあえず黙ってくれ」 まだ説明をするゲーシュにもう一発、顔面に私のやるせなさが篭ったパンチをお見舞いする。 これ以上そんな話をされるとこっちの頭が痛くなっちまいそうだ。 「何をするんだ! 君が知らなさそうだから説明してやってたのに!」 またも吹っ飛ばされたギーシュの顔はちょっぴり原型を留めていなかったが、私は追い討ちをかけるように言葉をかける。 「とりあず言っておく。貴様への私の返事はこうだ…諦めろ! 既に貴様はゲーシュッ、手ひどく女を振ったゲス野郎で彼女との縁なんぞとっくに消滅しているッ!」 私に殴られただけではない。 もうモンモランシーとの未来なんぞ存在しないという宣告にわかってはいたのだろうが、呆然とするギーシュ… それを見ていると、まるで本当にうっかりしちまっただけに思えてくるから不思議だ。 (チッあんなことが無かったら可哀想な奴と気を許しちまうところだぜ) これが、ゲーシュかとある種感心しながらも私は今度は騙されなかった。 だがしかし、こいつの演技は真に迫っているというのも確かだ。 もしかして演技じゃあないのか? と疑問が頭を過ぎる…いいや、と私は頭を振った。 このゲーシュとあの時のケティ嬢。 どちらを信用する? ゲス野郎を庇う美少女とそのゲス野郎。 二つを並べてどちらかを選ぶなら当然美少女を選ぶ。 誰だってそーする。私もモチロンそうだ。 貧乳はステイタスって言う位当然だ。 噂をすればなんとやら…いつの間にかゲーシュの背後からケティ嬢が迫っているしな。 しかし余り目立たない場所を選んだというのに見つけるとは、流石に良く見ているといったところか? 「亀さんこんにちわ。ギーシュ様、こんな所で何をされているの?」 「ケティ! い、いや…これは、その」 声をかけられるまで全く気付いてなかったこの間抜け野郎はプレゼントの包みを気にしたが、それが駄目だな。 その目の動き。きっちり見られてるぜ? 「あぁすまない。ギーシュが貴女にプレゼントしたいものがあるんだがどうやったらうまく渡せるかと私に相談しに来てな」 「ポルナレフ!?」 私の咄嗟の嘘に、ゲーシュの野郎が何か慌てているが知ったこっちゃ無い。 奴が言うには下着が入っているらしいエルメェスのロゴマーク付きの包みはバッチリケティ嬢の視界に入っちまってるんだからしかたねぇだろう? 純真無垢そうな彼女にゲーシュの奴が、『手ひどく振った前の女とよりを戻そうとして人気急上昇中のブランドで下着を購入してきた』なんぞといえるだろうか? 私にはそんな残酷なことは言えなかったが、ケティ嬢は気付いてしまったようだ。 隠し切れない悲しみを私とゲーシュに見せながら、耐えるような彼女の仕草が私の胸を打った。 「ギーシュ様、まさか…」 「け、ケティ…すまない。だが僕の話を聞いて欲しい。これは…今度の舞踏会の為に、あの事件が起こる前に注文した品だったんだ」 「…わかりました。信じますわ」 ケティは男ならグッとくるような寂しさを漂わせた笑顔でそう答え、私とゲーシュはまた言葉に詰まった。 ゲーシュは言葉もなく彼女を抱き寄せ、私は見てられねぇと目を逸らそうとした。 だが私は、奇妙だがケティ嬢から目を離せなかった。 一つ、気になった点がある。 …? 気のせいか? ゲーシュの野郎の言葉を信じる彼女には頭が下がる想いだったが、どういうわけか私はまた疑問が頭に浮かぶのを止められずにいる。 クッ自分が情けないぜ… だがしかし、今の表情、何か嘘っぽく無いか? むしろ、今微かに見えた表情は。 そんな事は知ってますわって感じじゃあなかったか? 馬鹿なと首を振る私にケティ嬢はギーシュを伴い、「亀さん、ギーシュ様の相談に乗ってくださってありがとうございました」と言って去っていった。 その際、何故か一度女子寮へと視線を向けたケティ嬢に私は首を捻ったが、「あぁ私でよければまた相談してくれ」と返した。 「ありがとうございます…そうだわッ!」 ケティ嬢は思い出したように、そして名案が浮かんだとでもいう風な態度でギーシュに待つよう頼んで私へと可愛らしい顔を寄せた。 「それなら亀さん、ミス・モンモランシーがまだショックで部屋に閉じこもっているので…(もし名案が浮かぶようでしたら)貴方からも励ましてあげてくださいませんか? 私には…かけてさしあげる言葉がありませんから」 相談場所に選んだ中庭に冷たい風が吹いたような気がして、私は一度だけ身震いをした。 「あ、あぁ。任せてくれ。そういうのは苦手なんだが、できることがあればやってみよう」 ケティ嬢はお願いしますともう一度お願いしてから二人連れ立って去っていった。 「全くいい子だな。奴には勿体無い」 あぁ、そろそろ授業が終るな。 毎日のことなんでなんとなくそう感じた私は校舎へ視線を向け、ルイズが授業を受けている教室へ移動していく。 その時先程頼まれたばかりだからだろうか? 私はミス・モンモランシーの事が気にかかり女子寮へと視線を向けた。 部屋の場所は分からないが、私が目を向けるのと同時にカーテンが一つ閉じたのが、マジシャンズレッドの視界では確認できた。 まさかとは想うが…それが彼女の部屋じゃない事を祈るぜ。 なんせさっきゲーシュの野郎がケティ嬢を思わず抱きしめてたし、今も腕を組んで戻っていくからな。 酷い野郎なんだからスッパリ忘れちまえとはいえねぇ …失恋したばかりの彼女には、酷な光景だ。 私はため息を一つついて使い魔達の待つ場所に戻った。 * さっきの授業が午前の部の最後の授業だったんで、程なくして教室から出てきたルイズに連れられ、私は食堂へ行った。 ここでも使い魔達と一緒じゃあねぇ。 例のゲーシュ事件以来私の中でのルイズ評価は下がったが、「貴族を見るには使い魔を見ろ」という言葉もあるらしくルイズと私の周囲からの評価は上がっており、また話せるってこともあって私は食堂の中で飯を食うことができるようになっていた。 「っつーことがあってよぉ、私は感心したね!」 「ふーん、ゲーシュは相変わらずね。ケティもゲーシュなんかの何がいいのかしらね?」 私の言葉にルイズはワインを飲む手と止めて相槌を打つ。 ちなみに私があんまり好かんルイズと一緒に飯なのは使い魔だからってのもあったが…ルイズって友達少ないからな。 魔法が使えないメイジの扱いなんぞ悪いもんだ。 入ったばかりの、魔法がスゲー苦手な奴らでも一つ二つなら使えるからな。 たった一つ二つ。 だがそれが何よりも高い壁となっている。 分からない奴は醜いアヒルの子でも読んで勉強してくれ。 ルイズが白鳥の子供かどうかは分からんけどな。 ルイズは妙な誇り高さとコンプレックスがあるからそういう奴らとも付き合う気は無いらしい(どっちにしろ馬鹿にされるだけみたいだな) キュルケはある意味友達ともいえるようだが、一番侮辱しまくるのもキュルケなんでルイズ的には友人とはいえないだろうな。 私にとってはゲーシュ戦のことがムカつくが、それ以外は案外順応してきたんでここで一番ルイズと話すのは私かもしれない。 うっかり向こうの事やいつまで経ってもこねージョルノの事を愚痴っちまうからギブアンドテイクって感じかね? 「品評会? 私に見世物になれってのか?」 だが、そんなルイズがあぁそうだとか言って口にした使い魔の品評会ってのは気にイラねぇ。 私に見世物になれって話をなんで承諾してやらなきゃならねぇんだ? 当然そう思った私は拒否する意向を伝えるがルイズは駄目よと全く取り合う気がなさそうな返事を返してきた。 「今年は姫様も来られるんだから、絶対に無様な真似はできないの。適当に空飛ぶだけでいいからやってもらうわよ」 そう言うルイズの言葉にはムカついたが、私は反論しなかった。 何か切羽詰ったものを感じてこう思ったからだ。 その使い魔の品評会、もしかしたらルイズの親も見に来るんじゃねぇの? 早くに親を亡くした私にも一度位は授業参観の経験はある。 ああいう場所で親の前で恥をかくのってかなりきついものがあるからな。 実際恥をかいた経験がある私は…すぐに仕方ねぇから付き合ってやることに決めた。 ----

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