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---ドスドスドドス…!! 触手が何かに突き刺さる音がした。 それは、さっきのような、地面に突き刺す音ではなく、もっと生々しい音だった。 --例えていうなら、肉に突き刺すような。 しかし、貫かれる際の衝撃もなければ、実感もなかった。 ただ沈黙があった。 「…………?」 恐る恐る目を開ける。 キュルケが見たのは、自分に背を向けて生首に対して両腕を広げているルイズだった。 「キュ……ル…ケ。」 首だけ振り向いて、ルイズはキュルケの方を向いた。 『…ニヤリ』 キュルケの無事を確かめたルイズは、あたかも自分の企みがうまくいったというような、してやったりの笑顔を浮かべた。次の瞬間、ルイズはその小さな口から鮮やかな血をコフッと吐いた。 パシャッとそれがキュルケにかかった。 「ル……………ルイズーーーー!!!!」 ルイズの華奢な胸に、生首からの触手が四本、生えていた。 "ズギュュユン" 次の瞬間、ルイズの体がビグッと跳ねた。 ここまで走って来て、真っ赤だったルイズの顔が、あっという間に真っ青になっていった。 と、何事もなかったかのように、肉片が彼女を解放した。締め付けられていた喉を解放されて、キュルケはゴホゴホと咳き込んだ。 もうお前には用はないとばかりにキュルケを放した肉片の群は、続けざまにルイズに飛びかかり、その触手で無慈悲にルイズの全身を貫いた。 ----ドスドスドズドドスドスドズドズッ……!! 激痛でルイズはたまらず身を捩ったが、そんなことはお構いなしに、触手たちは再び『吸い』始めた。 "ズギュュン…ズギュン…ズギュユュン…" さっきの何倍もの勢いで『吸わ』れ、脳に回すべき血を一気に奪われたルイズは、急性の貧血で意識を失った。 それとは逆に、触手を伸ばす生首や左足は、どんどんと色つやがよくなり、肌にハリが出てきていた。 『吸血』…!!なんてことだ…やつはルイズの血を『吸って』いるのだ…!! その目を覆いたくなる光景を前にして、キュルケは悟った。 --ルイズを助けねば……!! ピタリと杖を向けるキュルケだったが、触手だけに狙いをつけられなかった。 自分の大ざっぱな魔法では、確実にルイズも巻き込んでしまう。 どうにもできずに迷っていると--- "ドンドンドンドンッッ" 後ろから氷の刃が飛来してきた。 ---- [[11へ>http://www22.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/101.html]] ----
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