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統一! はしばみ草愛好会世界制覇への道! - (2007/07/05 (木) 23:11:53) のソース

統一! はしばみ草愛好会世界制覇への道! 

※このSSはスターダストファミリアーのIFであり、本編とは多少関係があります。 

「よし、ガソリンを入れ終わったぞジョータロー君!」 
「ああ、解ってる。メーターも満タンだ」 
承太郎は操縦席の機器を操作し、エンジンをかけた。 
左手のルーンは光りっぱなしだ。すでに彼は臨戦態勢にある。 
「危ねーぜ、離れてな」 
承太郎の言葉に皆が離れる。が、一人だけゼロ戦に駆け寄った。 
タバサだ。 
「何してやがる、邪魔だ」 
「これ」 
小さな手が小さな水筒を差し出す。 
「タバサ特製はしばみ茶七号。私の最高傑作」 
「こんな時に、そんな物を……」 
エンジン音が大きく響く。その音に負けないようタバサは声を大きくした。 
「ヨシェナヴェの方がおいしいかもしれない。 
 でも、絶対おいしいから。飲んで欲しい。お願い」 
わずかに逡巡した承太郎だが、ルーンの光る左手でその水筒を受け取った。 
そしてふたを開けると、一気にあおる。 
ゴクン、ゴクンと、承太郎ののどが脈打つのをタバサは信じられないような目で見た。 
微笑を見せて承太郎は空になった水筒をタバサに返す。 
「……うまかったぜ。ありが――ゴフゥッ!」 
ガクンッ、と竜の羽衣の中で意識を失う承太郎。 
ルイズやコルベールが慌てて声をかけ、竜の羽衣からレビテーションで出して、頬をはたいたり水をかけたりしてみたが、承太郎は一行に目覚めなかった。 

こうしてタルブの村はアルビオン軍に侵略され、さらにゲルマニアの援軍が来る前に首都トリスタニアも落とされてしまったとさ。 
ちゃんちゃん。 


「ちゃんちゃん、じゃなあぁぁぁい! どこの昔話よ! それ!」 
と、ゲルマニアのツェルプストー領内にあるキュルケの別荘で、ルイズは天に向かって烈火の如く吼えた。 
トリステインが敗戦する直前、オールド・オスマンの計らいで、魔法学院の生徒達は隣国ゲルマニアへと避難したのだ。 
そしてルイズ、キュルケ、タバサの三人は、キュルケの別荘に住んでいた。 
ギーシュはモンモランシーを守るべく他の生徒と一緒に行ってしまった。 
ルイズはゲルマニアの世話になるなんて嫌だと言い張っていたが、昏睡状態に陥った承太郎の世話をしてくれるのがキュルケくらいだったので、仕方なく我慢して我慢して我慢してここにいるのだ。 
さてその承太郎はと言えば、今日も昏睡状態のまま眠り続けている。 
何度呼びかけても指一本動かさない。 
でも帽子を脱がそうとするとスタープラチナがいきなり「オラオラ」してくる。 
謎だった。 

「まーそれはそれとして、今タバサがジョータローの治療法を調べてるから、 
 あんたはちょっとおとなしくしてなさい」 
「ジョータローがこうなったのは、タバサの作ったお茶のせいでしょうが!」 
そしてタバサは治療法をふたつ発見した。 
「ふたつ? やるじゃないタバサ。じゃあ簡単そうな治療法から教えて」 
「お姫様のキス」 
一分後、激しい口論の末、爆発と爆炎が別荘の一室を焼いた。 
その隙にタバサは承太郎を連れて別室に逃げていた。 
そして黒コゲになって冷静さを取り戻したルイズとキュルケは、どちらも自分はお姫様ではないという事で一応の決着をつけた。 
「で、タバサ。もうひとつの方法は?」 
タバサはとても真剣な口調で、その方法を説明した。 


「三日三晩、ゲッ○ー線を浴びせつつ、 
 チェンゲ主題歌『HEATS』ネオゲ主題歌『STORM』新ゲ主題歌『DRAGON』の三曲を、繰り返し順番で歌い続けなければならない。歌詞の間違いは三回まで許される。 
 順番を間違えたり、歌詞を四回以上間違えたら、彼はゲッ○ー線に取り込まれる。 
 間違ってTV版の主題歌を歌ったら、OVA版の鬼畜外道っぷりと反発して、彼が目覚めた時に性格が反転してしまうので注意。 
 そして一日三回、これを飲ませる。計九回分しか用意できなかったので注意」 
取り出したのは小さなビン。ラベルにはこう書かれていた。 

『アルバフィカ特製はしばみ草ローズティーは死の香り☆エクセリオン』 
「 ま た は し ば み 草 か !!」 
ルイズとキュルケがピッタリの呼吸でツッコミを入れた。 
ヴァリエール家のツェルプストー家の素晴らしい友情に乾杯。 
ああ無常それでも彼女達のツッコミはタバサの耳には入らない。 
「黄金会員に昇格したお祝いに、会長閣下が特別に用意してくれた物。 
 ハルケギニアの健康を願うはしばみ草愛好会の頂点に立つお方のローズティー、いくらお金を積んでも作ってもらえない、とても貴重な物」 
「いやいやいや、死の香りとか書いてあるし。死の香りとか書いてあるしぃぃぃっ!」 
「エクセリオンって何!? 怪しい、怪しすぎるわ!」 
キュルケは不安に駆られてアルティー☆エクセリオンを取り、 
ラベルに記載されている原材料を見た。 

・原材料 
はしばみ草。アルバフィカの猛毒血液。魔宮薔薇のエキス。波紋入りの薔薇のエキス。 
マムシの毒。ハブの毒。コブラの毒。タランチュラの毒。カモノハシの毒。 
ベニテングタケ。トリカブト。青酸カリ。テトロドトキシン。 
T―ウイルス。パープルヘイズ。デビルガンダム細胞。どくけしそう。 


「毒ばっかりや~~~~~~~ンッ!」 
キュルケは自分のキャラクターがぶっ壊れるほどの衝撃を受けた。 
それに対しタバサは短く答える。 
「どくけしそうで中和されてるから平気」 

という訳で空条承太郎蘇生計画が発動された! 
ゲッ○ー線を浴びせつつ三日三晩歌い続けなければならないため、三人は一時間交代で72時間歌い続けた。 
歌詞の間違いはルイズとキュルケが一回ずつ、計二回なのでセーフだ。 
タバサが間違ってTV版主題歌を歌いかけた時は、キュルケがタバサに華麗なメラゾーマを決めて、 
代わりにルイズが歌うという連携プレーで乗り切る事に成功した。 
そして三日目の夜、ついに儀式は終了した。 

ルイズは承太郎に話しかけた。 
返事が無い、ただの屍のようだ。 

「みゃ……脈が無いわ!」 
「ちょっ、タバサ、どういう事!?」 
「失敗。てへ」 
ふたつの火山が大噴火。 
「てへ。……じゃあなぁ~~~~~~い!」 
しかしタバサはうろたえない。ガリアの騎士はうろたえない! 
「最後の手段。お姫様のキス」 
CHU! 
「うーん……朝か? 長い悪夢を見ていたような……」 
「生き返ったぁぁぁぁぁぁ!?」 
タバサ。実はこう見えてガリア王族の人間である。つまりお姫様。 
ああ! 何と感動的なのだろう。お姫様のキッスで目覚める王子様! 
……逆だあああああああああああ!! 
何はともあれ復活した承太郎は、ルイズとキュルケから事の次第を聞かされた。 

「そうか……そんな事があったのか」 
「タルブの村は占領されて、村人達は奴隷同然の扱いだそうよ。 
 多分シエスタも……。殺されなかっただけ、幸運だと思わないと」 
「他の生徒はゲルマニアにある魔法学院に転入したわ。 
 私達はジョータローが心配でまだ学院には行ってないけど」 
そして最後に、この事件を引き起こした犯人、タバサが謝る。 
「ごめんなさい」 
「…………」 
承太郎は無言だ。だからタバサは、精いっぱいの謝罪の言葉を――。 
「今度こそ本当においしいはしばみ茶を作るから」 
「てめー! いい加減にしやがれ!!」 
怒られた。 

事件はロマリア皇国で起こった。 
アルビオン軍の侵攻を脅威に感じたロマリア皇国は、国民を結束させるため、はしばみ草愛好会が異端審問会にかけたのだ。 
始祖ブリミル以外を崇拝する宗教などハルケギニアには存在しない。 
まず内部の問題を解決し、万全の状態でアルビオンと戦う作戦だった。 
だが! はしばみ草愛好会は真っ向から教皇に立ち向かった。 
結果。 
世界中から集結したはしばみ草愛好家の活躍ではしばみ草愛好会の勝利。 
ロマリア皇国は名を新国家アテナと改めた。 
この時、戦場には雪風のタバサの姿もあったという。 

そしてレコン・キスタvsアテナの構図が描かれる事になる! 
レコン・キスタはまず領土拡大のため、ゲルマニアとガリアを落とした。 
アテナは孤立無援。断崖絶壁に立たされた。 
だが――だが――だが!! 
世界中から集まったはしばみ草愛好会の会員は伊達じゃない! 

・はしばみ草愛好会主要メンバーの一部 

会長アルバフィカ。副会長ハーデス。 
通販部長シオン。開発部長童虎。宣伝部長サーシャ。 

・黄金会員 
牡羊座のムウ。牡牛座のアルデバラン。双子座のサガ。獅子座のアイオリア。 
乙女座のシャカ。蠍座のミロ。射手座のアイオロス。山羊座のシュラ。 
水瓶座のカミュ。魚座のアフロディーテ。シードラゴンのカノン。 
東方不敗マスターアジア。衝撃のアルベルト。雪風のタバサ。 
赤の次は金ピカのクワトロ。親衛隊のハリー。光の騎士スペリオルドラゴン。 

・白銀会員 
天猛星のラダマンティス。天貴星のミーノス。天雄星のアイアコス。 
世紀末救世主ケンシロウ。世紀末覇者ラオウ。猛獣使いのカトレア。 
わしが男塾塾長江田島平八である!! 死亡確認の王大人。 
ツンデレの烈海王。一日三十時間のジャック・ハンマー。 

・青銅会員 
フェニックス一輝。フォークのエルルゥ。土くれのマチルダ。 
真っ先に死ぬジーン。作画崩壊のククルス・ドアン。 
裏切りのカイン。ザキ厨のクリフト。永遠の二番手ルイージ。 

はしばみ草愛好会でも凄腕の会員達が、はしばみ草で得た健康を武器にレコン・キスタ軍を次々と打ち破る! 
聖地を取り戻すという目的で集まったレコン・キスタは、はしばみ草を愛好するという目的で集まったはしばみ草愛好会に、見事なまでの完全敗北をして死亡確認されると蘇ってさらに再起不能にされた。 

こうしてただ『はしばみ草と、それを愛好する同志を守りたい』という、それだけを願って戦ってきた会員達は、何の因果か、ハルケギニア全土を統一してしまったのだ! 
さらにはしばみ草のおいしさを東方のエルフ達とも語り合い、友情が芽生え、ついにエルフ達とも友好を交わす事に大成功した! 
聖地? レコン・キスタじゃないんだからそんなの興味ありませんよ。 
こうしてハルケギニア統一国家アテナは、永遠の繁栄を手にするのである。 

「――という訳の解らん怒涛の展開の果てに待つものがコレか」 
と、うんざりした口調で承太郎は言った。 
彼の前には朝食が並んでいる。普通の朝食だ。 
焼き立てのパン。熱々のシチュー。様々なフルーツ。はしばみ草のサラダ。 

そう、はしばみ草愛好会は貴族も平民も差別せず、まさに人類の理想郷を創り上げた――だが! 
はしばみ草のおいしさを一人でも多くの人に知ってもらうため、 
統一国家アテナの民は朝昼晩の三食に、必ず一品はしばみ草を加える事を義務づけられてしまったのだ! 
最初は大不評だった法律だが、はしばみ草愛好会開発部は伊達じゃない! 
多種多様なはしばみ草料理を次から次へと開発しまくり、はしばみ草が大嫌いな人々も、あまりの料理の多さから、「まあこれなら何とか」という料理をひとつくらいは発見するのだった。 

「さあ、食べて」 
先の統一戦争で活躍しつつ様々なタバ茶を開発したタバサは、 
はしばみ草愛好会黄金会員から、開発部に転属され、若きエリートとして活躍し、承太郎やルイズの面倒を見ているのであった。 

「……俺はタルブの村に行く! そして寄せ鍋を、朝昼晩寄せ鍋を食う!」 
「このサラダは白銀会員のジャックと青銅会員のクリフトが協力して考えたサラダ。 
 試しに食べてみて。私的には、味はまさにステロイドを越えたザラキ」 
「俺を殺す気か」 
その様子を見ながら、ルイズとキュルケは、ただのはしばみ草を食べていた。 
「まーこの程度なら我慢できるから、私達はいいけど」 
「今度、極楽鳥を使ったはしばみ草料理でも探してみようかしら」 
統一国家アテナに結構馴染んでる二人だった。 
ちなみにヴァリエール家もツェルプストー家も戦争で潰れた。 
はしばみ草愛好会は貴族も平民も差別しなかったため、貴族だからといって特別な扱いを受ける事なく、家の復興は自力でやる事に。 
白銀会員のカトレアのおかげでヴァリエール家は他より裕福という程度にはなった。 
ツェルプストー家は「タバコは健康に悪い」とはしばみ愛好会会員から言われたが、国王アルバフィカの「毒もすぎれば薬になる」という言葉で許され、タバコの売り上げによりすごい勢いで盛り返している最中である。 
だが統一国家アテナの幹部(開発部職員)であるタバサにはかなわなかった。 

「今日ははしばみ草とグリフォンの肉のギョウザ」 
「お昼ははしばみ草でダシを取った特製ラーメン」 
「夕飯ははしばみ草とピーマンの煮物」 

こうして憔悴し切った承太郎は、黄金会員のサガに土下座した。 
「頼む。どこでもいいから俺をアナザーディメンションで異世界に飛ばしてくれ」 
「いいだろう。料金は300エキューだ」 
払えなかった。 
だが! なぜかタバサが現れてこう行った。 
「私も行く。だから私が払う」 
「開発部の方からお金をもらう訳にはいかん。タダで結構だ」 
「感謝」 
こうして承太郎は結局タバサから逃げられないまま、アナザーディメンションで異世界に飛ばされる事になった。 
――が、事はそれだけでは終わらなかった。 
黄金会員サガは、なぜか青銅会員の一輝という少年(にしては老けてる)を、 
二人に同行するよう勧めてきたのだ。 
「彼は異次元の狭間に放逐されても普通に帰ってくる男だ。 
 ハルケギニアに帰ってきたくなったら彼に言うといい、案内してくれるだろう」 
「俺は群れるのが嫌いだ。タバ茶の開発者といえど知った事か」 
「幻朧魔皇拳。さあ一輝よ、この二人に同行しろ」 
「甘いなサガ。お前に従っている俺は、鳳凰幻魔拳による幻だ」 
最強の青銅会員フェニックス一輝は、黄金会員サガと千日手戦争を起こした。 
仕方ないから黄金会員のカノンがゴールデントライアングルで送ってくれた。 
一輝の代わりに乙女座のシャカが同行してくれたのは幸運だったと言える。 

こうして承太郎は何とか日本に帰る事ができ、シャカに頼んでタバサだけをハルケギニアに連れ帰ってもらうのだった。 
「やれやれだぜ。これにて一件落着だ」 

後日、日本で平穏にすごしていた承太郎の前に、異次元空間の穴が現れた。 
中からタバサが出てきた。 
「タバ茶五十号完成。記念に飲んでみて。 
 この世界の食材を使ってみたからあなたにも飲めるはず」 
「スタープラチナ・ザ・ワールド!!」 

こうして承太郎とタバサの追いかけっこは、いつまでもいつまでも続きましたとさ。 
――と思いきや、夕暮れの川原に二人して寝転んで、次のような会話が発生した。 
「やるじゃねーか、タバサ」 
「あなたこそ」 
こうして喧嘩して夕暮れの川原で寝転んで友情が芽生えるイベントを終えた二人は、その後とても仲睦まじくタバサ特製品種改良型特製はしばみ茶六六六号を飲んだそうな。 

スターダスト外伝 完 
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