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「マジシャンズ・ゼロ-4」(2007/06/10 (日) 14:44:22) の最新版変更点
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ルイズの部屋は貴族の名に相応しいモノだった。
一人で使うには広い部屋に、アンティークの家具が置かれセンスが伺われた。
「……で、聞きたいことって何?」
イスに腰掛けルイズが聞く。
「………ここは地球なのか?」
長い沈黙の後、アヴドゥルは重く質問した。
ルイズを待っている際に見た空飛ぶ竜。
スタンドなのかもしれないが、あれからはスタンドの『エネルギー』は感じなかった。
死んだはずなのに、生きている自分。
全くの未知の場所。
それらが、アヴドゥルに一つの可能性を指示した。
趣味の古書集めに、生まれつきのスタンドも相まってアヴドゥルはSF的要素のある作品も読んできた。
その中でよく題材に上げられる『平行世界』に、自分は居るのかもしれないと……。
(この答えで分かるはずだ!)
自分に起きている状況が、起きた事が。
そんな、アヴドゥルの思いなど露知らずルイズは呆れていた。
(はぁ?チキュウって何よ?しかも…何か怖いぐらい真剣に聞いてくるし)
熱くなりやすく賭けに向かないアヴドゥルは、自身の表情の変化には気付いていない。
「だ~か~ら!さっきも言ったでしょ。ココはハルケギニア大陸のトリステイン王国のトリステイン魔法学院!」
さりげなく説明を付け足して言うルイズ。
その答えより現状を理解したのかアヴドゥルは深い溜息を付きつつ言う。
「………そうか」
出た声は掠れるほど弱かった。
(『異世界』が確定したか、だが来たのならば帰れるのも道理だ)
自分の生存をポルナレフ達に知らせるためにも、元の世界に帰らなければならない。
「送り返すような術はないのか?まさか、一方通行ということもあるまい」
「無理よ。送り返す魔法はあるけど、私にはまだ使えないし。例え使えても、私が知らない場所に送ることは不可能なの」
最期の望みはルイズの声でガオンッ、と消された。
続けてルイズの声が響く。
「ぐだぐだ言ってないで、さっさと私の使い魔になりなさい!」
「帰れないことは理解した。では使い魔とはどういったものだ?」
返答には答えず質問を返すアヴドゥルに、ルイズが頬を引きつり気味にし答える。
「使い魔は主人の目となり耳となったりするの、でもあんたにはそういったのはなさそうね」
何も見えないもんっと、目を瞑ったり凝らしたりしながら言い。
「他は秘薬なんかの探索だけど……これも無理そうね」
「ああ、わたしはココに詳しくないんでな」
ココを強調してアヴドゥルが言うが、ルイズは気にしない。
(どうせ、知られるのが恥ずかしいくらいの田舎から来たんでしょ。何がチキュウよ!)
ルイズ的には、アヴドゥルは山奥の田舎者で決定らしい。
「最後に一番大切な役目だけど……」
チラッとアヴドゥルに視線を向ける。
身長は190サント近くがっちりしているため力はありそうだ。
だが、たかが平民に何が出来る。
結論を早々に付けるとルイズは残りを言った。
「主人を守ることよ、でもあんたには無理ね」
冷たいいいように少々カチンッと来たが、娘ほど離れた少女(外見から判断し中学生程度)の言い分だと思い堪える。
「そう、決め付けるのはよくないんじゃあないかな」
子供に言い含めるように言い返す。
敏感にガキ扱いされたのを察知したのかルイズが不機嫌になる。
「ふんッ、力は強そうだけど所詮平民じゃない」
「そのさっきから言っている平民とはどういうことだ?」
「そんなことも知らないの!?いったい何処でくらしたらそうなんのよ」
その後、空に暗くなるまで及んだルイズの熱弁を要約すると…。
1.貴族は魔法が使える
2.平民は魔法が使えない
3.平民は貴族に逆らえない
4.ヴァリエールは公爵家で偉い
5.ツェルプストーは色情狂いの一族
6.ルイズ様の黄金ツンデレ比について
7.貧乳はステータスだ!
etc
途中から関係ないものも混じっていたが、そういったモノでは目が逝っちゃっていたので止めることが出来なかった。
「分かった。もういい。結構だ。…使い魔になろう」
他に行くとこも無く天涯孤独の身としては元より選択肢など無く。
会話から掃除、洗濯、雑用さえすれば飯にありつけるのも分かり。
魔法学院ということは、他より帰る手段も見つかりやすいだろうという算段。
どういう経緯か分からないが、命を救われた恩を返すため返答した。
それを聞き、逝っちゃった目で巨乳を罵倒していたルイズは目を覚まし。
「ぜーはー…ぜーはー……。分かればいいのよ分かれば。」
ルイズが荒い呼吸を納めると時間はいつもの終身時間。
熱弁のお陰か心地よい疲労感もあり、今日は寝ることにした。
「今日はもう寝るわ」
言葉と共に服を脱ぎ始めるとアヴドゥルからストップが入る。
「何をしているんだ!」
「ん?何って…寝るから着替えてるのよ」
自分がおかしなことをしていると、全く思っていない様子のルイズ。
「わたしがいるんだぞ。君からすればおじさんだろうが、異性がいるのに服を脱ぐのはやめておけ」
「なんで使い魔なんか気にしなくちゃいけないの?」
せっかくの忠告も、あんた人間じゃないでしょ?と、言わんばかりの返事を受けアヴドゥルは大人しく後ろを向いた。
目尻を押さえていると何か布のようなモノが頭に乗った。
「それ、洗濯しといて~」
まさかパンツを頭に乗せられるとは思わなかったが、子供のやることと説教をかますのを堪える。
アヴドゥルは態々、モゾモゾとベッドに潜り込む音が聞こえるまで待ち、振り返り当然の質問をした。
「それで、わたしの寝る場所はどこだ?」
部屋にベッドは一つ、ソファーのようなモノもなく壁床も石材。
再度見回していると、顔に毛布を投げかけられる。
「それで十分でしょ?私もう眠いの、黙って寝なさい」
ルイズの眠そうな声の後、照明が消され暗闇の中、アヴドゥルは立ち尽くす。
(子供のすることじゃないか。恩を忘れたのか我慢するんだ)
夜が明けるまで説教したい気を抑え、壁にもたれ掛り毛布を被り寝る体勢に入る。
(少女と一つ屋根の下か、ポルナレフなら喜んで変わってくれそうな状況だな………いや、幼すぎるか)
ルイズを見、戦友には特殊な性嗜好がなかったはずと思いながら笑いを堪える。
ふと見た空には二つの月が浮かんでいた。
直ぐに、すー…すー…とルイズの寝息らしきモノが聞こえてくる。
ルイズの寝息をBGMに地球にはない月を眺めながら、アヴドゥルの意識は落ちていった。
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ルイズの部屋は貴族の名に相応しいモノだった。
一人で使うには広い部屋に、アンティークの家具が置かれセンスが伺われた。
「……で、聞きたいことって何?」
イスに腰掛けルイズが聞く。
「………ここは地球なのか?」
長い沈黙の後、アヴドゥルは重く質問した。
ルイズを待っている際に見た空飛ぶ竜。
スタンドなのかもしれないが、あれからはスタンドの『エネルギー』は感じなかった。
死んだはずなのに、生きている自分。
全くの未知の場所。
それらが、アヴドゥルに一つの可能性を指示した。
趣味の古書集めに、生まれつきのスタンドも相まってアヴドゥルはSF的要素のある作品も読んできた。
その中でよく題材に上げられる『平行世界』に、自分は居るのかもしれないと……。
(この答えで分かるはずだ!)
自分に起きている状況が、起きた事が。
そんな、アヴドゥルの思いなど露知らずルイズは呆れていた。
(はぁ?チキュウって何よ?しかも…何か怖いぐらい真剣に聞いてくるし)
熱くなりやすく賭けに向かないアヴドゥルは、自身の表情の変化には気付いていない。
「だ~か~ら!さっきも言ったでしょ。ココはハルケギニア大陸のトリステイン王国のトリステイン魔法学院!」
さりげなく説明を付け足して言うルイズ。
その答えより現状を理解したのかアヴドゥルは深い溜息を付きつつ言う。
「………そうか」
出た声は掠れるほど弱かった。
(『異世界』が確定したか、だが来たのならば帰れるのも道理だ)
自分の生存をポルナレフ達に知らせるためにも、元の世界に帰らなければならない。
「送り返すような術はないのか?まさか、一方通行ということもあるまい」
「無理よ。送り返す魔法はあるけど、私にはまだ使えないし。例え使えても、私が知らない場所に送ることは不可能なの」
最期の望みはルイズの声でガオンッ、と消された。
続けてルイズの声が響く。
「ぐだぐだ言ってないで、さっさと私の使い魔になりなさい!」
「帰れないことは理解した。では使い魔とはどういったものだ?」
返す問いには答えず質問を返すアヴドゥルに、ルイズが頬を引きつり気味にし答える。
「使い魔は主人の目となり耳となったりするの、でもあんたにはそういったのはなさそうね」
何も見えないもんっと、目を瞑ったり凝らしたりしながら言い。
「他は秘薬なんかの探索だけど……これも無理そうね」
「ああ、わたしはココに詳しくないんでな」
ココを強調してアヴドゥルが言うが、ルイズは気にしない。
(どうせ、知られるのが恥ずかしいくらいの田舎から来たんでしょ。何がチキュウよ!)
ルイズ的には、アヴドゥルは山奥の田舎者で決定らしい。
「最後に一番大切な役目だけど……」
チラッとアヴドゥルに視線を向ける。
身長は190サント近くがっちりしているため力はありそうだ。
だが、たかが平民に何が出来る。
結論を早々に付けるとルイズは残りを言った。
「主人を守ることよ、でもあんたには無理ね」
冷たいいいように少々カチンッと来たが、娘ほど離れた少女(外見から判断し中学生程度)の言い分だと思い堪える。
「そう、決め付けるのはよくないんじゃあないかな」
子供に言い含めるように言い返す。
敏感にガキ扱いされたのを察知したのかルイズが不機嫌になる。
「ふんッ、力は強そうだけど所詮平民じゃない」
「そのさっきから言っている平民とはどういうことだ?」
「そんなことも知らないの!?いったい何処でくらしたらそうなんのよ」
その後、空に暗くなるまで及んだルイズの熱弁を要約すると…。
1.貴族は魔法が使える
2.平民は魔法が使えない
3.平民は貴族に逆らえない
4.ヴァリエールは公爵家で偉い
5.ツェルプストーは色情狂いの一族
6.ルイズ様の黄金ツンデレ比について
7.貧乳はステータスだ!
etc
途中から関係ないものも混じっていたが、そういったモノでは目が逝っちゃっていたので止めることが出来なかった。
「分かった。もういい。結構だ。…使い魔になろう」
他に行くとこも無く天涯孤独の身としては元より選択肢など無く。
会話から掃除、洗濯、雑用さえすれば飯にありつけるのも分かり。
魔法学院ということは、他より帰る手段も見つかりやすいだろうという算段。
どういう経緯か分からないが、命を救われた恩を返すため返答した。
それを聞き、逝っちゃった目で巨乳を罵倒していたルイズは目を覚まし。
「ぜーはー…ぜーはー……。分かればいいのよ分かれば。」
ルイズが荒い呼吸を納めると時間はいつもの終身時間。
熱弁のお陰か心地よい疲労感もあり、今日は寝ることにした。
「今日はもう寝るわ」
言葉と共に服を脱ぎ始めるとアヴドゥルからストップが入る。
「何をしているんだ!」
「ん?何って…寝るから着替えてるのよ」
自分がおかしなことをしていると、全く思っていない様子のルイズ。
「わたしがいるんだぞ。君からすればおじさんだろうが、異性がいるのに服を脱ぐのはやめておけ」
「なんで使い魔なんか気にしなくちゃいけないの?」
せっかくの忠告も、あんた人間じゃないでしょ?と、言わんばかりの返事を受けアヴドゥルは大人しく後ろを向いた。
目尻を押さえていると何か布のようなモノが頭に乗った。
「それ、洗濯しといて~」
まさかパンツを頭に乗せられるとは思わなかったが、子供のやることと説教をかますのを堪える。
アヴドゥルは態々、モゾモゾとベッドに潜り込む音が聞こえるまで待ち、振り返り当然の質問をした。
「それで、わたしの寝る場所はどこだ?」
部屋にベッドは一つ、ソファーのようなモノもなく壁床も石材。
再度見回していると、顔に毛布を投げかけられる。
「それで十分でしょ?私もう眠いの、黙って寝なさい」
ルイズの眠そうな声の後、照明が消され暗闇の中、アヴドゥルは立ち尽くす。
(子供のすることじゃないか。恩を忘れたのか我慢するんだ)
夜が明けるまで説教したい気を抑え、壁にもたれ掛り毛布を被り寝る体勢に入る。
(少女と一つ屋根の下か、ポルナレフなら喜んで変わってくれそうな状況だな………いや、幼すぎるか)
ルイズを見、戦友には特殊な性嗜好がなかったはずと思いながら笑いを堪える。
ふと見た空には二つの月が浮かんでいた。
直ぐに、すー…すー…とルイズの寝息らしきモノが聞こえてくる。
ルイズの寝息をBGMに地球にはない月を眺めながら、アヴドゥルの意識は落ちていった。
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