「純愛! 大和撫子のお持ち帰りぃ!」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

純愛! 大和撫子のお持ち帰りぃ!」(2007/07/05 (木) 00:43:26) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

純愛! 大和撫子のお持ち帰りぃ! ※このSSはスターダストファミリアーのIFであり、本編とは多少関係があります。 タルブの村の草原――夕焼けの中で――彼女は告白をした。 「私も一緒に連れてってください!!」 瞳いっぱいに涙を浮かべたシエスタが、真っ直ぐに承太郎を見つめて叫んだ。 頬は紅潮し、手も唇も震えている。 けれど、とても綺麗だった。 「……解っているのか? 俺と一緒に行くって事は、もう二度と、この世界に……故郷に……家族の元に、帰ってこられないかもしれない」 「解ってます! そんなの、解ってます! それでも私、私は……」 ポロポロとこぼれた涙を、シエスタは承太郎の胸に押しつけた。 承太郎のシャツをギュッと握りしめ、すがるようにして言う。 「ジョータローさんが……好きなんです……」 「……故郷を……家族を……捨てるつもりか? シエスタ。  おめーが今まで出会いめぐり合ってきたものすべてを捨てるつもりか?」 承太郎の胸の中で、シエスタはしっかりとうなずいた。 「それでも、貴方となら。貴方とならどこでもいい。  貴方と一緒なら、異世界でも、世界の果てでも、構わない。  貧しくても、ひもじくても、住む家さえ無くてもいい。  ジョータローさんと一緒なら……そこが私にとって、幸せのある場所なんです」 「シエスタ……」 シエスタは感じた、肩に置かれている承太郎の手に力がこもるのを。 そして、ゆっくりと、身体を引き離された。 見上げる。彼の顔を。 いつものままの無表情。でも眼差しは優しく、そして――。 「ジョータロー、さん……」 「……シエスタ」 承太郎はゆっくりとシエスタの顔に己の顔を近づける。 ああ、これが答えなのかと、シエスタは理解して――涙がこぼれる。 目を閉じる。すると、承太郎の息遣いが近づいてくるのがよく解った。 緊張で震える唇を、承太郎のそれがふさぐ。 「んっ――」 普段のクールで無愛想な承太郎だとは信じられないような、熱い口付け。 まるで唇が火傷してしまいそうで、けれどその熱が頭の芯までとろけさせる。 シエスタはまさに幸せの絶頂にあった。 まるで夢のような、本当に夢のような、そんな気がする。 夢のようなひとときとは、まさにこの事だった。 その日、シエスタは承太郎と腕を組んで帰宅した。 その姿、シエスタの家族も魔法学院のみんなも、月まで吹っ飛ぶような衝撃を受けた。 その晩、シエスタは承太郎と一緒に、父親に事情を説明した。 シローお爺ちゃんと承太郎は、実は異世界から来た。 そこではカガクという文明が発展していて、平民や貴族といった身分制度は無い。 今度の日食の時、竜の羽衣で太陽に飛び込めばその世界に行けるかもしれない。 成功したら二度と帰ってこれないかもしれない。 この世界に。家族の元に。もう、二度と。 「それを理解した上で……答えてもらいたい。シエスタは必ず幸せにしてみせる。  だから……あんたの娘を、俺にくれ」 「お父さん、私からもお願い!」 シエスタは我が家の長女であり、魔法学院に奉公している大切な稼ぎ頭だ。 弟妹の面倒を見るべく、今まで多くの苦労をかけてきた。 そんなシエスタが、今までわがままを言わなかったシエスタが。 ……父として、断れるはずがない。それが娘の幸せならばと、父親は腹をくくった。 「解った。ジョータロー君、うちの娘を……シエスタを幸せにしてやってくれ」 「……ああ。あんたの父親に誓って」 こうして承太郎とシエスタの父は酒を酌み交わした。 翌日、承太郎はシエスタを残して魔法学院に戻った。 次の日食までが、シエスタが家族とすごす最後の時間となる。 コルベールは熱心にガソリンの錬金をし、承太郎もできる限りの協力をした。 さらにギーシュが「承太郎とシエスタの幸せのためだ」と言って協力してきた。 ドットクラスの彼だったが、なぜか奇跡的に一日で完璧なガソリンを錬金する。 まさに偶然の産物だったが、後はそれを元にコルベールがガソリンを量産した。 こうして日食の日の前日には、ゼロ戦の燃料タンクを満タンにする事ができた。 「という訳でタルブの村に行ってくるぜ。世話になったな」 「まさか平民のメイドにジョータローを取られるなんて……ショックだわ」 「お幸せに」 「結婚式には呼んでくれたまえ! 君の故郷だろうと必ず駆けつけるよ!」 トリステインで得た友人達からも祝福され、承太郎は微笑を返した。 そして、ルイズともお別れの時がやって来た。 「ルイズ……色々あったが、おめーには感謝している。  この世界に召喚されなかったら、お前やギーシュ達、  それにシエスタに会えなかったからな……」 「ふ、フン! 平民同士、お似合いよ。せいぜい幸せになる事ね!」 「……元気でな、あばよ」 こうして承太郎の乗るゼロ戦は飛び立った。タルブの村へ向けて。 タルブの村では、すでにシエスタが荷物をまとめていた。 もういつでも出発準備OKだ。 だがしかし、翌日の出来事。アルビオン軍が攻めてきた。 承太郎はすぐさまゼロ戦で発進。すぐさま竜騎士隊を壊滅させた。 さらにレキシントン号に単身殴り込みをかける。 その際、ゼロ戦はレキシントン号の甲板に特攻させた。まさに神風。 「俺は、生きる! 生きてシエスタと添い遂げる!」 ゼロ戦の前の持ち主の魂が宿ったかのように承太郎は燃えていた。 そしてスタープラチナの凄まじい戦闘力と、時間を止めるという驚異的な能力でレキシントン号を見事に沈める。 その時レキシントン号に乗っていたワルドと鉢合わせたため、オラオララッシュを5ページほど叩き込んで再起不能にしておいた。 ついでにフーケもいたが、彼女はフライの魔法で早々に逃げて行った。 正しい判断だ。 旗艦レキシントン号を失ったアルビオン艦隊は大混乱に陥り、さらに事態を聞きつけたギーシュ達がシルフィードに乗って現れた。 そこでギーシュが再び奇跡を起こした。 「チェェェンジ! ワルキューレッ、ワン!」 三体のワルキューレが空中で合体し、鬼のような姿に変化する。 「ゲッター・ワルキューレ!」 ちなみにゲッター・ワルキューレが飛ぶ理由は簡単である。 タバサがレビテーションで飛ばしているのだ。 なぜか非常にノリノリで。 「ゲッターなら、武器はトマホーク」 などと注文をつけてまでだ。 こうして竜の羽衣と空条承太郎、ゲッター・ワルキューレと青銅のギーシュ、さらにゲッター・ワルキューレの空中操作担当タバサ、さらにゲッター・ワルキューレのビーム担当キュルケ、彼等四人の大活躍によりトリステイン軍は大勝利を収めた! ルイズの出番は無かった。 こうして戦いは終わった! しかし――。 「竜の羽衣、壊れちゃいましたね……」 「ああ……こいつぁもう修理不能だ」 ゼロ戦、レキシントン号に特攻をかけ大破! ボロボロの機体を眺めている承太郎達の上空で、無情にも日食は終わりを告げた。 こうなったら仕方ないと、承太郎はシエスタの父に誘われ、タルブの村に移住した。 シエスタと結婚すると、承太郎はタルブの村にあるブドウ畑を購入した。 資金はギーシュとキュルケとタバサが結婚祝いに出してくれた。 ちなみにタバサは最近実入りがいいらしい。通信販売の手伝いをしているとの噂だ。 ともかく、おかげで良質なブドウが取れる畑を得た承太郎とシエスタは、丹精込めてブドウを育て、ワインを作った。 銘柄は『ヤマトナデシコ』といい、シエスタのような淑女を差すのだという。 『ヤマトナデシコ』はすぐに評判になり、トリステイン王家や魔法学院からもご贔屓にされ、タルブの村の財政は潤った。 その日もシエスタは球のような汗をかきながら、畑のブドウの手入れをしていた。 向こうでは、相変わらず学ラン姿の承太郎がスタンドを使って数人分の働きをしている。 私もがんばらなくっちゃ、とシエスタはブドウの木の枝に手を伸ばし――。 「あっ」 昨夜降った雨のせいで濡れていた地面のせいでバランスを崩し、転びかける。 咄嗟にシエスタはお腹を両手で覆った。本能だった。 そして、地面がすぐそこまで迫り――突如、背後から抱き支えられる。 「無理はするな」 振り返ってみれば、そこには愛しい旦那様の姿。 でも、あれ? さっき仕事をしていた場所から、一瞬でここまで、どうやって? 多分承太郎の持っているスタンドという力だろうとシエスタは勝手に納得した。 「ごめんなさい貴方。もう私一人の身体じゃないのに」 「……気にするな。何があってもお前達は俺が守る……絶対に」 大きく膨らんだシエスタのお腹を、承太郎は愛しそうに見つめ、微笑んだ。 スターダスト外伝 完

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー